3+4=   作:けーおー

4 / 6
完結というのは嘘です。
ついつい筆が乗ってしまい……、まだまだ二人のラブコメは続きそうです。

リクエスト、募集中です。


遊園地 Fun_and_Jealousy.

 

 

 

 今日は土曜日。

 学園都市の名の通り、人口の大部分を占める学生たちが一斉に休日となる。

 

 天気は快晴で、暑過ぎず寒過ぎずの気温という、外出するには絶好の初秋らしい天候。

 とあるマンションの高層階にも、眩しい日光が入り込み、テーブルに向かい合って座る二人の女性を照らしていた。

 

 時刻は9時過ぎ、少し遅めの朝食をとっている麦野と御坂。

 

 

「…ったく、もうこんな時間じゃない。今日の約束、忘れてたなんて言わせないわよ?」

 

 

「はいはい、ちゃーんと覚えてますよ。美琴だって、満更じゃなかったでしょ? 朝からあんなに……」

 

 

「ちょ、ちょっと……! 分かった、分かったから!」

 

 

 朝食を取りながら軽口を叩きあう二人は、共にシャワーを浴びたばかり。

 なぜシャワーを浴びなくてはならなくなったかを口にしそうになる麦野の言葉を、御坂が顔を真っ赤にしながら遮り、憮然とした表情で食事を再開する。

 

 今日は一緒に学園都市のテーマパークに遊びに行く約束の二人。

 

 長く艶やかな髪は乾いているものの、白のバスローブのみを纏った麦野。

 一方、御坂はTシャツにパンツスタイルという身軽な服装で、出かける準備はほとんど整っている。

 

 

「食べたらすぐに準備するから心配ご無用。アンタこそ、ちゃんと体力回復しておきなさいよ? さっきまで激しい運動してたんだし」

 

 

「だーかーらー……、それはもういいって言ってんでしょ!」

 

 

 麦野が涼しい表情でさらりと口にしたからかいの言葉に、御坂が自制心を失いかけ、怒りの表情で前髪に微弱な電流をちらつかせる。

 二人は会話しながら朝食を終え、髪のセットをやり直す羽目になった御坂に対し、麦野はメイクと着替えに向かう。

 

 一足先に御坂が準備を終え、リビングのソファーに座って待っていると、支度を終えた麦野が戻ってくる。

 ゆったりとしたブラウスを身に着け、落ち着いた雰囲気でまとめた麦野は、御坂に伊達メガネを強引にかけさせる。

 

 

「ちょっとは有名人の自覚を持ちなさい。これくらいは変装しておいた方がいいわよ?」

 

 

「ん……、ありがと」

 

 

 同じレベル5とはいえ、暗部として人目に触れない場所で生きてきた麦野に対して、学園都市の広告塔として半ばアイドルのように扱われてきた御坂はかなり知名度が高い。

 二人でのデートに出来るだけ邪魔が入らないようにと、麦野の気遣いに嬉しそうに頬を染める御坂を見て、麦野も少し色の入ったグラスをかけて微笑む。

 

 

「さてと、そろそろ出発しましょうか。今日はお気の済むまでエスコートさせていただきますよ、お嬢様?」

 

 

「……本当に? 二言はないわね?」

 

 

「……あるかも」

 

 

「ダーメ! 一回聞いちゃったから、もう取り消せませーん。今日は遊ぶわよー!」

 

 

 麦野の迂闊な一言に気を良くした御坂は、足取り軽くスキップのように部屋を飛び出していく。

 無邪気な御坂の明るい様子に苦笑した麦野は、やれやれといった様子でかぶりを振るものの、つられて表情を緩めながらその後を追う。

 

 

 

 ----------

 

 

 

 お昼少し前に二人が到着したのは、最近オープンした第六学区の遊園地。

 定番のジェットコースターや観覧車などは勿論、ARやVRなど学園都市の最先端技術を惜しげもなく使用したお化け屋敷などのアトラクションも好評らしい。

 

 休日だけあって混雑している中、御坂は目を輝かせながら辺りをきょろきょろとせわしなく見渡し、麦野は入り口にあったパンフレットを眺め地理的情報をインプットしていく。

 

 

「ねえねえ、まずはどこ行く? あー、どれも面白そうで悩んじゃう……!」

 

 

「はぁ……、とりあえず落ち着きなさい。おすすめから順に回っていけばいいんじゃない?」

 

 

 はしゃぐ御坂の頭に軽くチョップを食らわせた麦野は、パンフレットを眺め終えて顔を上げ、自分がいる位置と方角を把握する。

 頭をさすりながら恨みがましい視線を向けてくる御坂に対し、十分に離れたところからでも見える巨大で凶悪なジェットコースターを指で指し示す麦野は、にやりと楽しげに笑う。

 

 

「まずはアレでどう? それとも、お嬢様はもう少し大人しめのじゃないと耐えられないかにゃーん……?」

 

 

「上等よ。どんなコースターだろうと、受けて立ってやるわ……!」

 

 

 麦野のあからさまな挑発に乗った御坂は、早速ジェットコースターへと意気揚々と足を向ける。

 二人が到着すると、人気アトラクションの前には長蛇の列が出来ており、大人しくその最後尾へと回る。

 

 待ち時間の間、麦野と御坂は互いの学校のことや仕事のことなどを話のネタにし、楽しい時間を過ごしていると、思ったより早く順番が回ってくる。

 多くの人が並んでいるとはいえ、一度に乗れる人数の多い大型のコースターはどんどん人を飲み込んでおり、待ち時間は予想以上に短かった。

 

 運がいいのか悪いのか、二人は最前列の席へと案内され、席に着くと自動で固定具が二人の身体に装着される。

 

 

「……もうここまで来たら、ギブアップはなしよ。泣き叫ぼうが、ゲロ吐こうが大人しく座ってなさい?」

 

 

「そっくりそのまま、お返しするわ。後で優ーしく看病してあげるわよ、沈利」

 

 

 余裕の表れから、強気な笑みを浮かべて互いの軽口に応酬し合う二人。

 ――そんな余裕は、ジェットコースターがいきなり時速200㎞で発射した途端、木っ端微塵に消えてなくなってしまうのだった。

 

 

「なな、ななな、っ……、身体、押し潰されて……、何か、何か出ちゃううぅっ……!!」

 

 

「……レー、ル……、そんな、レールな…っああああぁぁ……っ……!!」

 

 

 

 ----------

 

 

 

 ジェットコースターの上は、最初は阿鼻叫喚の有様だったが、一周して元の場所に戻ってくる頃には、不気味なほどの静寂に支配されていた。

 たった数分間のアトラクションだったが、項垂れ戻ってきた乗客全員は、係員の手助けを借りなければまともに立つことすらままならない惨状だった。

 

 もちろん、最前列に座った二人も例外ではなかった。

 

 

「何よ、あれ……、あんな加速とスピード、反則でしょ……」

 

 

「お子様、ね……、あんなの全然平気よ……いや、嘘……嘘つきました、ごめんなさい……」

 

 

 ジェットコースターの近くに置かれたベンチ群の一つに並んで座る二人。

 

 途中でレールが途切れ宙を舞ったり、加速度が自由自在に変化したり、呼吸が困難になりそうなほどのスピードでほぼ垂直に落下したり……

 まさに「ぼくのかんがえたさいきょうのジェットコースター」といった有様に、二人は見事にKOされた。

 

 天を仰ぎながら、あまりの速度に文句を言う御坂に対し、麦野が強がって見せるも、御坂が身体を揺らしてやると早々にギブアップを宣言し、力なく嘘を認める。

 

 とはいえ、能力を使った高速戦闘で耐性がわずかなりともある二人は、少しの休憩で歩けるほどまでに回復する。

 周囲のベンチで屍と化した元乗客たちを尻目に、二人は休息がてら昼食を取ることにして移動する。

 

 少し歩いたところにフードコートを発見し、カウンターでメニュー表を眺める二人。

 

 

「チッ……、なーんで、鮭弁がねェンだよ……あァン?」

 

 

「いやいや、あるわけないでしょ。沈利って、鮭だけしかエネルギー源にならないわけ?」

 

 

「あァ? 何当たり前のこと言ってんの? 鮭食べない一日なんて考えらんないでしょ」

 

 

「そういえば……、……本当に、毎日一食は絶対鮭を食べているっ……!?」

 

 

 カウンター越しの店員に凄んで見せる麦野を御坂が冷静に押しとどめると、麦野の思わぬ一言に御坂が戸惑う。

 思い返してみれば、麦野が本当に鮭を食べない日はこれまでなかったというどうでもいい事実が判明する中、麦野の殺気に顔色が悪い店員に二人は無難なメニューを注文する。

 

 麦野はナポリタン、御坂はカレーライスを受け取り、近くの白い丸テーブルへと移動する。

 

 

「ん……、悪くない。腹を満たしてくれる以外には、あんまり期待はしてなかったんだけど」

 

 

「容赦ないわね……、こういう場所で食べる物は、雰囲気で美味しく感じられるものなのよ」

 

 

 麦野の言葉に苦笑するも、無自覚のうちに自分でも十分に毒を吐いている御坂。

 

 鮭料理の代替品として、何となく注文したナポリタンが意外と美味しく感じられるのは、御坂と一緒に楽しんでいるからなのだろうかと麦野がふと表情を緩める。

 すると、姦しい女子高生の一団が二人の近くを通り過ぎ、そのうちの一人が長い黒髪であったことを麦野が目敏く見つけ、表情が強張る。

 

 その女子高生の顔が見知ったものではないことを確認し、フォークに巻き付いたナポリタンをゆっくりと視線の位置まで持ち上げた麦野は、そのフォーク越しに御坂の姿を捉える。

 

 

「……どうかしたの?」

 

 

「そういえば、この前食事に行ったんでしょ? ……佐天と」

 

 

「ああ、偶然、校門の前で会ったから。涙子から聞いたの? その店のパスタ、結構美味しいから今度一緒に行ってみようよ」

 

 

 御坂にとっては楽しい友人との食事、という認識だろうが、麦野にとっては恋敵の逢瀬であり、どうしようもない嫉妬の感情が胸の底から湧き上がってくる。

 

 何気ない風を装って尋ねた麦野の言葉に、御坂は特に躊躇うことなく正直に佐天と食事をしたことを告げ、隠そうとなどしない。

 その事実から、佐天は御坂にとって友人以上の関係ではないことを察する麦野だが、一度灯って燻ったままの嫉妬と不満はそれだけでは収まらない。

 

 麦野はムッとした様子で憮然と御坂を見つめていると、自分への視線に御坂は首を傾げる。

 しばらくして、御坂は何か思いついた様子で、カレーライスを一口分スプーンに掬い、そのまま身を乗り出し麦野の口元へと差し出す。

 

 

「ほら……、あーん」

 

 

「……いや、何のつもり?」

 

 

「え? だって、じーっとこっち見てるから……カレーも食べてみたくなったのかと思って」

 

 

 御坂のとんでもない方向からのアプローチに、麦野は呆れたように深いため息を漏らす。

 自分からは好意を率直に告げる癖に、他人からの好意には鈍感な御坂に、麦野はもどかしい感情に苛立ちつつも、差し出されたスプーンを勢いよく加え、甘めのカレーを口に含む。

 

 正直、味はよく分からないが、御坂から食べさせてもらったことに価値を感じる麦野。

 

 

「どう? 結構、美味しいでしょ? 人が食べてるものって、何となく美味しそうに見えるのよね……、涙子みたい」

 

 

「あァ? 佐天だァ?」

 

 

「うん。この前、ご飯食べに行ったときに、涙子が羨ましそうにこっち見てたから、私のを一口分けてあげたの」

 

 

「マジかこいつ完全無自覚かよ信じらんねぇ……」

 

 

 さらなる爆弾発言にもはやフリーズ寸前の麦野が小さく呟くと、御坂は聞き取りきれなかったのはまた不思議そうに首を傾げる。

 脳内で自分を嘲笑っている佐天を幻視すると、怒りの感情で再起動した麦野は、手早くナポリタンをフォークに巻き付け、強引に御坂の口元にねじ込む。

 

 

「ちょっ、ん……、……あ、結構美味しいかも」

 

 

「佐天に食べさせたことはあっても、食べさせられたことはないだろ?」

 

 

「んー……、確かにないわね。そのナポリタン、美味しかったわ」

 

 

 突然のことに目を白黒させていた御坂だったが、数度咀嚼し飲み込むと、のんきにナポリタンの味を品評する。

 佐天がやっていないことをやってやったと優越感に浸る麦野は、すっかり気を良くして、先ほどまでの嫉妬を雲散霧消させる。

 

 良く事情が呑み込めない御坂だったが、麦野から不穏な空気が消えて安堵する。

 その後は、麦野からの要望で何度もお互いに食べさせ合いっこをして食事を進めていった。

 

 途中からようやく恋人らしい行為だと気づいた御坂が照れて頬を赤らめ始めるも、麦野は構うことなく食事を続け、むしろ二人の相思相愛っぷりを見せつけてやらんばかりの勢いでそのまま食事を終えた。

 

 

「ふう……、少し食べ過ぎたわね」

 

 

「もう、皆の前であんなに……、恥ずかしい……」

 

 

「恥ずかしがってる暇なんてないわ。ここからはノンストップでいくわよ!」

 

 

 まだ恥じらいの感情が抜けきらず、足取りが覚束ない御坂の手を引く麦野は、再びパンフレットを確認し、意気揚々と宣言する。

 そんな麦野の様子を愛おしく感じた御坂は自然と笑顔を浮かべると、麦野と手を繋いだまま隣を歩き始める。

 

 

「そうね、せっかく来たんだし遊び倒すわよ!」

 

 

 御坂の宣言に麦野もまた笑みを深め、アトラクションへと歩いていく。

 

 ――シューティングゲーム、お化け屋敷などなど、たくさんのアトラクションを二人で笑いながら騒ぎ、楽しみ終えた頃には、空は夕焼けで赤く染まっていた。

 

 

「……さて、そろそろ締めね。行くわよ、美琴」

 

 

「行くって、どこに?」

 

 

 御坂は行き先が分からぬまま、麦野に強引に手を引かれ、次のアトラクションまで連行される。

 麦野が足を止めると、顔を上げた御坂は目の前の大きな観覧車に気付き、感嘆の吐息を漏らす。

 

 例のごとく、観覧車には乗車待ちの列が出来ており、しばらくの待機時間の後に乗り込むことが出来た。

 

 

「さあ、参りましょう……お姫様?」

 

 

「ありがと、沈利」

 

 

 麦野にお姫様扱いされるのは複雑な気分ではあったが、嫌な気持ちはもちろんしない。

 美琴は頬を染め笑みを浮かべながら、ゴンドラの前で跪く麦野の手を取り、仰々しいエスコートを受け、共に観覧車のゴンドラに乗り込む。

 

 全面が無色透明な素材になっているゴンドラに乗り、徐々に高度が上がっていくと、宙に浮いているような錯覚すら覚える。

 そんな中、向き合って座る麦野が御坂に問いかける。

 

 

「どう? 今日のデートは楽しんでもらえたかしら?」

 

 

「凄く楽しかったわ! 私が提案した場所だったのに、結局、沈利に引っ張ってもらっちゃったわね」

 

 

「フッ……、アンタが私を引っ張ろうだなんて、百万年早いわよ」

 

 

 問いに対して笑顔で答えた御坂の表情に、強気な笑みを浮かべからかう麦野だったが、内心では安堵の気持ちが大きかった。

 自分が愛する人を楽しませることが出来たという充実感に浸る麦野は、御坂と今日の思い出について談笑していると、外の景色がどんどん小さくなっていく。

 

 しばらく会話に耽っていると、ゴンドラは頂点に差し掛かり、夕日はビル群の向こうにちょうど沈みかけていた。

 席からそっと立ち上がった御坂は、窓の外に目を向け、夕日の眩しさに目を細めながらゆっくりと口を開く。

 

 

「……ねえ、知ってる? この観覧車で、夕日を見ながら恋人とキスすると――」

 

 

「永遠に結ばれ、幸せに暮らせる……でしょ? 知らなかったら、わざわざこんな刺激の足りないモンに乗らないわよ」

 

 

 迷信やオカルトの類は信用しない麦野からの思わぬ答えに、御坂は目を丸くする。

 いつの間にか立ち上がっていた麦野に、御坂が身体を引き寄せられ強く抱き締められたかと思うと、麦野の顔がゆっくりと迫ってきて、御坂は目を閉じそれを受け入れた。

 

 二人の唇が重なった瞬間、ゴンドラは頂点に達し、夕日のオレンジ色の光が二人を明るく照らし出した。

 

 

「んん、っ……、……っ、ふ……」

 

 

「……っ……、んっ……、……っあ……!」

 

 

 何度も息継ぎをし、舌を絡め合う濃厚な口付けを交わし合った二人は体を離すころには、夕日はほとんど沈みかけており、ゴンドラはかなり地上に近付いていた。

 二人は荒くなった息を整えながら、とりあえず席に座り直す。

 

 

「ふう……、ちょっと、長過ぎたんじゃない?」

 

 

「別に、長過ぎだからってペナルティはないでしょ。もしあったとしたら、文句言ってやるわ」

 

 

 神をも恐れぬ麦野らしい言葉に御坂が微笑むと、係員によってドアが開けられ、二人はゴンドラから降りる。

 口付けで火照った二人の身体を、初秋の風が優しく冷ます。

 

 

「さて、帰ろっか。今日の夕ご飯、何にしよう?」

 

 

「はぁ? 何言ってるのよ。今日は泊まりよ、泊まり。明日は日曜日だってこと忘れた?」

 

 

「泊まりって、まさか……!?」

 

 

 遊園地の中には高級な宿泊施設が備わっており、部屋から夜のパレードや空を彩る花火を見ることができる。

 もちろん、人気が高い上に宿泊代はかなり高額で、滅多なことでは予約が取れないはずだが、麦野が宿泊チケットを二枚取り出し、不敵に微笑む。

 

 

「は……、……便利屋みたいな野郎にダメ元で頼んでみたら、意外と予約取れちゃったのよ」

 

 

「それならそうと、早く言ってくれればいいのに……!」

 

 

 麦野からの思わぬサプライズに喜びが抑えきれず、その場でピョンピョンと飛び跳ねる御坂。

 御坂の笑顔に満足げな表情を見せる麦野が、御坂の頭をそっと撫でると優しく腰を抱く。

 

 

「さあ、今日の夜は長いわよ? ヤりながら花火見物、ってのもありね」

 

 

「ったく、こんなところに来てまで……」

 

 

「美琴だって、さっきのキスで身体疼いちゃってるでしょ? 部屋についたら、ちゃーんとすっきりさせてあげるから」

 

 

「う、疼いてなんて……ないこともない、けど」

 

 

 御坂の頼りない声は、秋風に乗って儚く消える。

 腰を抱き締める麦野の手をやけに熱く感じながら、御坂は諦めの吐息を漏らし、そのまま寄り添い身を預けるのだった。

 

 

 

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