顔を上げると、僕の住む小雨町の風景と一人の少女がいた。
え?し ょ う じ ょ ?
つまり、に ん げ ん ?
あれ?これ詰んだ?僕は、いろいろ社会的に死んじゃうんじゃないですか?
メガネをかけていない僕には人間が…ブツブツ
でも、そんな考えは今の自分の状況で打ち砕かれる。
「…え?なんで…」
つい、声に出てしまうほど驚いていた。
僕は上げた視線を下ろさない。いや、下ろせない。
なぜなら、僕の視線の先にいる少女を見ても僕は何ともなかったからだ。
「君は、人間なの?」
咄嗟に出てしまう問い。
僕は今までマジマジと人間を見た事が無かった。
だからこそ、興味と、不安と、未知の恐怖があった。
しっかりと相手を見据えて話しかけたのはこれが初めてだ。
「あなたは?」
彼女は、ほのかに赤い髪を揺らしこちらを振り返る。
…返されるのは新たな問い。
「僕は…人間が怖い人間…だよ」
僕は、このように説明する以外に思いつかない。
「そう」
そっけない解答。
僕は、今自分に降りかかっているこの状況をどうすればいいのかわからないでいた。
初めての経験…
何をすればいいのか分からない恐怖…
「私は怖くないの?」
向こうからの問い。
「うん、君を見ても怖くない」
僕は、自然と答えていた。
「でも、私は人間じゃないよ」
「え?」
僕は、彼女が言った事を理解できなかった。
今まで見てきた、恐怖してきた人間の形をしているのに、この子は違うというのか?
「たぶん、あなたも同じ。」
一拍。
「"この世界の人間"ではないの」
「…え?」
急に降りかかってきた、僕はこの世界の人間じゃない。
という、信じれるか分からない事実。
でも、今までの事を考えてみれば辻褄があってしまう。
自分を鏡でみても怖くなかったり。
目の前の同じと言ったこの子をみて怖くなかったり。
彼女の言葉を借りるなら。
恐怖を覚えるのは"この世界の人間のみ"だった。
自分がこの世界の人間ではないと認めたいわけでは無いが、事実。今目の前の彼女は僕と同じで、この世界の人間ではないと言っている…
「」
…とまあ、長々と自分なりの考察を話してみたが。これは、単純に考えるとこの子がおかしいんだ。
この子の頭の中が既に人間を卒業してるから僕も怖くないんだ。これで全て説明がつく。
それにこんな時間に屋上にいるなんておかしいじゃないか。(人の事は言えないが)
「な、何を言ってるのさ!そんなわけ無いだろ?だって僕の両親は二人とも存命でちゃんと"この世界の人間"だ。だって祖父母だってちゃんといたんだから」
最も簡単な事、祖父母から…いや、それよりももっと前のご先祖様たちから、今の僕ができている。
もし、この世界の人間じゃないというならば、そのご先祖様達もみんな"違う世界の人"にならなければならないじゃないか。
そうでなければ、僕は拾われた子だったりしなければならないじゃないか。
「そうだ、それに妹だっているんだ、妹はなんともない普通の人間だぞ?」
波留は、なんともない。
勉強もできて運動もできて家事だってこなせる。
そんな自慢の妹だっているんだ。
ここまで、言われればこの子だってあんな、頭のおかしい事は言わないはずだ。
「そうかしら?」
なぜか持たれるのは疑問。
「理科で勉強しなかった?遺伝の仕方」
突然彼女の口から飛び出た"理科"と言う単語。
え?scienceのほうであってる?
まぁ確かに、理科で遺伝の仕方は学習している。
だが、それがどうしたというのだろう?
「それが、どうかしたの?」
疑問を投げかける。
「あなたは、"劣性"。妹は、"優性"。こう考えるとどうかしら?」
あれ?この子は何を言っているのかな?
「優性・劣性」については学習もしてるしちゃんとわかってはいる。
だが、それが今どうして関係あるのだろうか?
「あなたの家系図には相当前のご先祖様の中に"こちら側"の人間が混じってるんだと思うわ」
あれ?
「つまり、僕は"先祖返り"で産まれたと?」
うっすら理解できた事を口にする。
たぶん彼女が言いたいのは…
僕の先祖にいた彼女のいう"この世界の人間じゃない人間"が"劣性"の細胞を持ち合わせ、その細胞が僕の時にうまく発生して"この世界の人間じゃない"と言われてる…たぶんこんな感じだ。
「そんなとこ。出現しにくい"劣性"があなたに当たったのね」
"当たった"と言う彼女の表現はなんだか違う気がするのだが…
なるほど、先祖返りね。
…余計にわけわからん。
そういえば、なんで彼女はそんなわけのわからない事を言い出したのだろうか?
彼女のいう"異世界"?になるのか?は、彼女にとってなんなのだろうか?
そして、全く先が見えないんだが。
「私はね、"耳がいいの"」
彼女は言う。
「はいぃ?」
…また、わけのわからない事を口走り始めた。
「この世界の人間はやけに五感が鈍いわ、でも、私"達"はとても優れている感覚があるのよ」
ん?この子、いまさりげなく達って言ったよな?
いつから君の仲間になったんだ僕は。
「いえ、私達は同じよ」
・・・・・?
「え?」
いま、ぼく、口にだしたかな?
「いいえ、あなたは何も言ってないわ」
「えぇっ!?」
完璧に思った事を彼女は言い当て返事している。
「さんざん、いろいろと言ってくれたけど、これで少しは信じる気になった?」
威圧的に彼女は言う。
ああ、そうか。
さっきまでのも聞こえてたのかー。
僕、頭おかしいとか言っちゃったー(棒
「あのね?答えてくれる?全部聞こえてるんだってば!」
あ、やばい、怒ってる。
「えーっと、君は僕の思ってることが聞こえるの?」
先程の行動では、このような考えに辿り着く。
「うん。そう、あなたの声はよく聞こえるわ」
五感が優れていると言うのは、本当らしい。
でも、それだと余計に自分の首を締めていっていないか?
「どうして?」
あ、そうだった、きこえてるんだった。
「だって、僕にはそんな素晴らしい感覚なんてないよ?」
「え?」
彼女と僕の間には、ただ、沈黙が流れた。
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…僕、厄介な子に目、つけられたのかな?
あはは、ホームルームはなかったいいね?