1984年、学園艦の旅 作:OTK
トランジットの為に立ち寄った”館山“/千波単空港、これが半端なく大きいのだ。
いつぞやか立ち寄った成田空港をそのまま持ってきたような大きさで、
ただ一つ、成田と違う点をあげるならば団結小屋がない程度だろう。
その大きさから、わざわざ
しかしながら彼の空港ほどのの需要がないにも関わらずテストヘッドの名目でこの大きさとは、利権にまみれた政治家ってやつを自然と想像してしまう。
昔は政治家は好き勝手やっていた。昔と言っても、バブル当時の景気が良かった頃だ。某とか言う政治家は無価値の河川敷を買取り、発展させて多額の利益を得たりしていた。これもその端くれに当たるのかもしれない。
ここ最近だと地方の学園艦の統廃合を推し進めているが、業者との癒着だというのは察しの通りだ。
何時の時代にも政治家に媚びを売る教育者が存在する。学生としても、旅行者としても、全く以って嫌な話だ。
ある噂によると…この地はかつての紛争時代、学生運動のメッカだったそうだ。
お役人的にも、過去の歴史を消し去るべく、このだだっ広い空港を作ったのだろう。
推測の域を出ないまでも公然の噂である。
とは言っても、このだだっ広い空港内は割りかし適度な混雑で、まるっきり無駄って訳でも無いようだ。
ふとターミナル内を見渡すとあちこちにクラブ出店らしい店がある。
部費獲得のためか小遣い稼ぎか…、規模は違えど文化祭の模擬店のような雰囲気が感じられるその佇まいは高校時代を思い出させる。
我が
例えば、これから向かうアンツィオは南イタリアのラテン的な雰囲気が漂っている。この千波単だって商品の勧め方なんかを見るとアメ横の叩き売りのような…言うならば、お客にトツゲキして征くスタイルだ。
読者の方にも、用心無くば直ぐに両手が買い物袋で塞がる事を御覚悟していただきたい。
極端な例を出すとプラウダなどは未だに紛争時代の気風を残しているらしい。これはあとで見てのお楽しみだが。
「そういば〇〇って何部だったんだい?」
時々、相方ことヤツは聞いてくる。
んでもって私が
「帰宅部だ…」
と、毎度のように言うと彼女はクツクツと笑いながら
「部活ってのはイイもんだ、学生の本分だよ。何か一つの事に本気で取り組むってのは機会がなけりゃァ中々出来ないものさ。」
なんて言うのだ
「だけど、今も悪く無いね」
「自由気ままな渡り鳥ってのもイイさ、何か一つの事をやっていたぶん分かるのさ」
すると彼女はと言うような意味の文言を必ずと言っていい程に言う。
すると私も毎度の如く
「ならば今の私は言う所の旅人部ってワケだ。」
そこに彼女の皮肉が飛んでくる。
「帰れば自由な身分でね。開放感はあるものの何か寂しい気すらする自由な身分。」
そして話を切り上げようと、
「部活ってのも似たようなモンじゃないのかい?」
などと言うとヤツもクツクツと笑いながら
「それもそうだ。自腹を切るところをの ぞ け ば。」
と言う。そう、例の如く。
しばらくすると彼女は何か面白いモノを見つけたように私に言った。
「“突撃魂!千波単ボイラー饅頭”だってさ!」
「ボイラーで蒸した饅頭か…船舶科ならではの中々面白いアイデアだね」
「帰りも寄るワケだし、土産にでもしよう」
饅頭の形はアヒルでも売れそうなんだけどなぁ。勿論あの"アヒル"だ。砲塔に被せたヤツ。
千波単空港の10番スポットに我々が乗るコンチネンタルミクロネシア機があった。
本土じゃそうそうお目にかかれない
しかしながら、海外のエアラインでコイツに乗るのは最初で最後かもしれないだろう…そう考えると一期一会の旅情ってのが出てきたのだ。
全くもって私という人間は流されやすいタチらしい。自分の中で理屈が完結してしまう。
ところで、我が
大抵はタラップ車か
しかし、曲がりなりにも名門校、しかもマンモスと来たこの千波単にはボーディングブリッジが存在する。
カタッカタッと、軽い音を響かせながらたどり着いた機内は、多少の空席が目立つものの大方アンツィオへの旅行客か学生だろう。
制服から察するに、千波単の生徒が1/3、残りの2/3を航路外に位置する学園艦の生徒と我々のような貧乏旅行者が埋めている。
無論、ここで絵葉書を頂戴する事を忘れてはいけない。
何せ、写真以外で機内の思い出がカタチとして残るのはこれくらいしか無いからだ。
席に座ってから出発まで束の間の時間がある訳であるが、窓の外から見える景色だけでも十分に旅情を掻き立てられる。
ここへ並んでいる垂直尾翼は何処へと旅たつのだろう、
ちっぽけな船から各地に広がるであろう扇型はなんともワクワクするものだ。
後方からのエンジン音が強まる頃、機体は離陸を始めていた。
たかだか数十分の滞在であるが、なんとも名残惜しい気さえする。
願わくば帰りはこの学園艦のなかを暫し散策したいものだ。
傾きと共に強まるワクワク感は飛行機ならではのものだろう。
離陸直後に見下ろす景色はそれを顕著に感じさせる。
クリアゾーンの林を隔てて広がるビル群や、半ば
千波単を出発し、四国沖の元親高校に、
そこから20分で屋久島沖の島佐多高校に到着して沖縄は那覇空港へ、島伝いに南下して石垣島沖の八重山高校へ
そこ経由し2度目の軽食を取りつつ台湾沖の公海上を航行するアンツィオ/清水空港へ。
…着く頃には西日輝く時間帯、気候はザ・亜熱帯と来た。
湿気さえなければそこは正にイタリア、沈む夕日は地中海のものと寸分違わぬものだろう。
ただし、湿気が否応なく日本という国を主張する。
…例えるならば、
姿かたちが似ていても
方やケチャップだ。
しかし、両者共に言える事は大変に美味である事だろう。
どんなに似ていても必ず、違うところがある。
これこそが異国情緒であり旅情を掻き立てるのだから。
次回からはいよいよ本格的にスタートします。
果たして2人は座席の椅子で地獄を見るのでしょうか?