この素晴らしい世界にレグルスを!   作:vanity

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2話

 重い重い静寂が辺りを支配していた――なんてことはなく当然ギルドの前での白昼堂々の処女確認だったので何人かがレグルスとゆんゆんを見つめて何かぼそぼそと言っている。注目を集めているという事実と、質問された内容の意味不明さにゆんゆんは顔を赤くして、絞り出すように声を出す。

 

「えっと処女ですか…? 聞き間違いや言い間違いではなく?」

 

 ゆんゆんのかすかな希望を持った問い。そう、常識的に考えれば処女であるか否かなんて問うはずがない。いまはまだそんな関係でもなく…いやもしかしたら友人って処女確認をしあうものだろうかとゆんゆんは自問する。とうぜん普通の友達関係を持たないゆんゆんにはその答えは出せない。

 友人とは処女確認をするものなのか――? そもそも私とレグルスさんは友人なのか――? 道案内をして、その道中楽しく喋ったのならもはや友人ではないのか――?

 ゆんゆんの頭の中にいくつもの疑問が沸き上がる。当然答えは全て否であるのだが。

 

「ああ驚かせてしまったかな? すまないね。いきなりで驚かせたのは本当に悪かった。僕はこうして自分に非が有れば素直に謝れる人間だからね。世の中、自分の非も認められずにぐじゃぐじゃ言い訳を重ねるような見苦しい人間もいるけど、あれって過ちも認められないって意味じゃ器が小さすぎて嫌になるよね。自分は過ちなんかしないだなんて信じてるのかもしれないけど、そうやって自分を過信した挙句に回りを傷つけて謝れないだなんて言うのは最も疎むべき行為だ。そうは思わないかい?」

「そうですよね、謝れる人の方がいいですよね! それで、さっきの質問の意図は…

「そう、こうやって一つずつ認識のすり合わせていくのが人間関係を築く上で最も大事なことだ。特に僕はいずれ妻になるかもしれない君とは優良な新婚生活が送れるようにするために他の人間よりももっと大切なことだと思う。そういう意味では最初の認識がお互い同じだったというのは幸先がいいね。運命だったに違いない。さて、さっきの質問の意図だったかな? ただ単に僕は今妻が一人もいない状況でね、運命的な出会いをした君を妻に娶ろうかと思ったんだ。」

 

 ちなみにレグルスが妻を欲しがったのは今までいた妻を失って寂しいだとかではなく、この世界でも結婚をすれば再び強欲の権能が手に入るのではないかと考えたからである。

 レグルスとて、何も考えていないわけではない。流石に権能のない自分が魔王とやらの脅威がある異世界で生きていくのは難しい、と散々葛藤したすえに思い、ならば権能を取り戻せばいいのではないかと思ったのだ。もともと、レグルスの強欲たる権能『小さな王』は嫁がいて始めてその真価を発揮する権能である。まあいなくても制限がかかるだけで権能は使えるので現状使えない時点で結婚したところで復活するかはお察しといったところなのだが。

 

「それで、結婚するにあたってまず、君の体が誰にも触れられていない確信が欲しいんだ」

 

 そういってレグルスはゆんゆんの幼さの割に出るとこは出ている性的な体をなめ回すように見つめる。その視線に流石に恐怖を感じたのかゆんゆんは涙目になりながら一歩だけ後ずさる。

 

「うん、夫婦になるものと言っても恥じらいは大切だ。えっとそれで僕は君を娶るにあたって君の体が僕だけのものである確信が欲しいんだよ。僕が夫になり、君が妻となって長い間愛という鎖によって結ばれ続ける以上、互いに己の全てをささげるのは当然の事だよね? だから僕は君が己の全てをささげるのかどうかという事を試す、そう試金石のようなものとして君が処女かどうか聞いたんだよ。もちろんそれだけで君の思いや人生を全て推し量ろうというのは無理だと思うよ。僕はそこまで視野は狭くない。だけど、すべては推し量れなくても処女か否かというのは小さいながら重要な質問だとおもうんだよ。だからあえて、君に嫌な思いをさせるかもしれないと思っていながらも尋ねたんだ。わかってほしいんだけどさ、これは僕が君を愛していこうとしているからだよ。愛そうとしていない、関係のない相手の処女性なんて知ったことじゃない。君を愛そうとするから、僕は確かめるんだ」

 

 流暢に流暢にレグルスは持論を押し付けていく。

 そして一泊区切り、いつになく真剣な目でゆんゆんを見つめて、問う。

 

「だから改めて聞かせてほしい。――ゆんゆん、君は処女かな? それだけは、それだけは本当に大切な事だからさ」

 

 対するゆんゆんは思考が完全に崩壊していた。紅魔族の高い知能もレグルスの言葉を理解させるには至らない。友達ですらなく夫婦、それはもはや実質友達を超えた友達なのではないか? 出会ったばかりだが結婚とはそういうものなのか? 夫の事は友達としても数えてもいいのか? そうやって崩壊していたゆんゆんは、投げかけられた問いに、内容を考えることもなく、衝動的に返答していた。

 

「しょ、処女です!」

 

 その返答にレグルスは口角をあげ、満足げにほほ笑む。いつの間にかあたりに集まっていたギャラリーがはやしたてているが、今のレグルスにはそのギャラリーに怒りを抱くこともなかった。なんといっても異世界に行き、初日から嫁が手に入りそうなのだ。権能は戻るだろうし、これでいい歳して嫁のいない人間だなんて見下される事もない。福音は無くなってしまったが、これでこの世界でも平穏な生活を送れるのだと。レグルスは本気でそう思っていた。

 

「それは素晴らしい。やはり君は僕が期待した通りの乙女だったようだ」

 

 レグルスはさらに言葉を続けようとしたとき、ふと、ゆんゆんが何か言いたそうにしている事に気が付いた。今はレグルスの気分も悪くない。嫁の言葉を聞いてあげるのも夫の甲斐性だろうと気遣い、言う。

 

「どうしたんだい。言ってみなよ。僕は嫁の言葉の一つも聞けないような甲斐性なしじゃないからね」

「どうして…私なんです?」

「顔だよ! それが僕の愛する理由の全てさ。それで?」

 

 ギャラリーはドン引きしていた。

 

「これどうみても悪い男に嬢ちゃんが引っかかろうとしてるんじゃ…」

「あの女の敵さっきギルドでも喚いていたわね」

「これ助けた方がいいんじゃ…」

「まて、まだ奴は手は出しちゃいない。ここはもっとピンチになってから助けた方が、この後あの嬢ちゃんをナンパするのに有利だ」

「流石ダストだな! 名前の通りだ! 尊敬するぜ!」

 

 ギャラリーの声は脳内お花畑となったレグルスの耳には聞こえなかった。

 そして、運命のゆんゆんの口が開かれる…!

 

「あのっ! 出会ったばかりなんですけどそれでも大丈夫ですか? 私は今まで人間の友達がいなかったくらい人付き合いが苦手で、そんな面倒くさい私だけどそれでも本当に大丈夫ですか? 後、私の夫になるって事は、友達にもなってくれるんだってことですよね? 結婚するなら、毎日私のお話しを聞いてくれて、それで一緒に冒険してくれて、引退したら静かに余生を一緒に過ごしてくれるんですよね? 今までこうやって誰かに誘われた事なかった私を憐れんでいった冗談……とかじゃありませんよね? 毎日話の輪に入れず、こっそり聞き耳をたてて面白い話題だったら聞こえないように少し笑うような面倒くさい私でも本当にいいんですか?」

 

 今度固まるのはレグルスの番だった。ギャラリーも当然のように固まった。

 ギャラリーが想定していたのは、この頭のおかしい長話野郎の求婚を断り、その結果逆上した頭のおかしい長話野郎に襲われる、というものだ。

 それがまさかOKで返し、更に聞くには涙を堪えきれない少女の発言に誰もがとまったのだ。

 

 一番早くレグルスは思考を復帰し、まるで当然だと言わんばかりの顔で言った。

 

「問題ないよ。友達がいなくても、面倒くさくても、出会ったばかりでも、何も問題ない。

 ――だって、僕は君の顔が好きなんだからさ」

 

 ギャラリー、決め顔のレグルスのセリフにもう何度目か分からないドン引きである。

 

「ふ、ふつつかものですがよろしくお願いします! 後、私は友達がいないんじゃなくて、人間の友達がいないだけですから。ちゃんとサボテンの友達がいるのでそこは間違えないでくださいね」

「えっ」

 

 ゆんゆんは ダメ男に 捕まった!

 

 

 ***

 

 

 結婚、とは言っても互いに駆け出し――いやレグルスは駆け出し未満ではあるが――の二人に結婚式を開けるような金があるわけではない。レグルスも結婚式は必要だと考えていたが、無理に今すぐ開くほどのものではない。ということでしばらくは二人はパーティとして活動し、結婚式だの書類の提出だのは落ち着いてからで――ということになり、二人は一旦わかれた。

 とりあえずレグルスはゆんゆんの事を嫁として認識できたのだ。今のレグルスにとってはそれだけでいい。何故なら、

 

「よし、これでいい。これで僕の資産、『強欲』の権能が帰ってきたはずなんだからさあ!」

 

 ご機嫌のレグルスは目の前の町の外壁を蹴ってその権能の効力を確認しようとする。権能が働いていればその蹴りは外壁を貫き、そして散っていった外壁の破片は町の外のモンスター達を虐殺する刃になるだろう。一応加減が効かないかもしれないので、危なくないようにゆんゆんとはいったんわかれておいたのだ。

 

「あがぁっ! 痛ッ! なんなんだよこれはああああああああああ!」

 

 レグルスは外壁に思いっきり打ち付けた足先の痛みにうずくまってもがき苦しむ。至極真っ当な結果だ。わりと思いっきり蹴ったので足の爪が割れていたようだ。血が靴に染みわたっていく。

 

「ありえないありえないありえない。ふざけやがって。僕を、誰だと思っている? 『強欲』の大罪司教、レグルス・コルニアスだぞ!? どいつもこいつも僕の! 僕の僕の僕の僕の僕の僕の僕の僕の僕の僕の僕の僕の僕の僕の僕の僕の僕の僕の僕の僕だけの権利を侵害しやがって! 僕が傷を負ってだなんて事、絶対にあっちゃいけないんだよぉ!」

 

 特に今は誰もレグルスの権利を侵害していないが……それはともかくとしてレグルスはこの状況を作り出し、己の権利をしたであろう人物がいないかと顔を上げる。

 

「にゃー?」

 

 ふと黒い猫と目があった。そこはかとなく邪悪な雰囲気をまといながらそれでもなお愛らしい見た目だ。

 どうやら樽の上で丸まって昼寝をしていたところをレグルスが騒いだせいで起きてしまったようだ。どうでもいいことだと猫は思ったのか再び丸まって眠り始める。

 レグルスは二ヤリとほくそえむ。流石に権能もない今、適当に衛兵や冒険者に八つ当たりをすれば逆にボコボコにされかねない事は分かっている。レグルスの中では八つ当たりではなく正当な権利の行使でボコボコにされかねないのは本気で戦えないせいだとは思っていたが。

 

 冒険者や衛兵等では分が悪い――で、あれば猫ならどうだろうか?

 

「あのさあ、君僕は今怪我をして、痛がっているわけ。それをさ居眠りしてて、まあそれは君の自由だよ? だけど、けがをした僕を見て、心配も、治療もせずに再び眠りにつくってどうなのかなあ? それって人間に近しい動物として根本的に誤ってると自覚できない? 人間じゃなくてもさ人間と一緒に住まう動物である以上は人間のルールを守るっていうのが常識だよね。で、人間はけがをした人を見たら助けるべきなんだ。当然君も一緒だ。怪我っていうのはどんなに小さい怪我でも、下手したら病気に感染して、最悪死にかねないものなんだ。それを無視して居眠りするって事はさ、僕を死んでもいいって思ってるって事だ。いや、死んでもいいと思ってけがをした相手を見て見ぬふりをするって事はもはや見殺しですらなく殺人だ」

 

 うるさかったのか再び起きた猫は足で耳をがりがりとかき、背伸びをして、大きく欠伸をした。もっと静かな場所へ寝る場所を変えようとレグルスに背を向け樽から飛び降りる。

 

「そう、そうやって殺人をしようとして、挙句の果てに善意の僕の注意も聞かずに立ち去ろうとするんだ」

 

 猫なんだから当たり前だ。

 

「それが君の権利の、自由の使い方ってわけだ。いいさ自由だよ、確かにその行いは君の自由だ。自由だとも。君からしてみれば、いきなり傷を負ってうるさく喚いて、睡眠を邪魔してる奴がいた。だから無視して背を向ける。そんな風に考えているわけだ。いいさ、そうしなよ。でもさ、その考えってつまりこういうことだよね?」

 

「それは僕の権利を――数少ない私産を、蔑ろにするってことだよねぇ?」

 

 瞬間、レグルスの渾身のキックが黒猫へ向けて放つ。レグルスが自分のプライドを保つためには、もう見下せればなんでもいいのだ。乞食でも死体でも――例え猫であっても。

 後ろからの蹴りは猫に当たり、少しばかり猫が吹き飛ばさる。

 

「フシャーッ!」

 

 態勢を立て直した黒猫が、毛を逆立て威嚇してくる。レグルスは不敵に笑いながら距離を詰めていく。

 

「ふーん、正当な復讐を受けておいてまだ自分の非を認めることができないんだ。なら非を認められるように復讐を続けるしかないなあ!」

 

 そしてレグルスが再び黒猫を蹴ろうとした。

 そして、そして――

 

 

 ボッという音がした。黒猫が口を開けて火を吹き、レグルスの足を燃やした。

 

「えっ」

 

 火はレグルスのズボンに燃え移り、ちゃくちゃくと燃え広がって体を焦がし、肉体へとダメージを与える。呆けたレグルスも、痛みを認識して――

 

「あああああッ!」

 

 ようやく状況を把握したのかレグルスは悲鳴を上げながら近くにあった水路に飛び込み、必死で鎮火しようとする。

 幸いにも火はそこまで大きくなかったようで、かるいやけどを負わせたで火は水に飲まれて消えていく。ようやく安心したレグルスは、黒猫がいたほうに振り返り、叫ぶ。

 

「あ、あのさぁ……! 卑怯だと思わないのかなぁ!? 今のは完全に肉体だけでの戦いだったよね!? あえて加減して僕は魔法とかを使わなかったっていうのに君はそうやって火を吹いて不意打ちするだなんて……」

 

 すでに黒猫はどこかへ消えていた。

 

 

 ***

 

 

「ちょむすけー! 何処へいったんですかちょむすけー!」

 

 一人の少女が奇天烈な名前の存在を探しながら外壁近くの細い通りを歩いている。

 その容姿は実に美しく――控えめに言っても美少女だった。

 整った顔立ちにスレンダーな姿態、幼いながらも可憐だった。胸だけは残念ながら控えめに言っても控えめだったが。

 そう、めぐみんである。

 

「困りましたね。何処へ行ったのでしょう、いつもはこの辺で寝ているはずなのですが…」

 

 と、そこへとてとてと愛らしい黒猫――ちょむすけが現れる。

 めぐみんはちょむすけをなでながら抱きかかえ、その場を後にする。

 

「今日は仕事は首にされてしまいましたが今日の分の給料は貰えたのであなたの分もご飯を買ってあげますよ。いつまでもゆんゆんにエサを負担させるのは心苦しいですしね」

 自称ライバルのゆんゆんを思い浮かべ、そういえば今日はゆんゆんが結婚相手と友達ができただの言っていた事を思い出す。明らかに怪しい。父の魔導具が素晴らしいといってきた商売人よりもあやしい。いつか出会ったらどうしてゆんゆんをだましたのか問いただしてやろうとめぐみんは決意した。

 

 

 と、猫を抱えて歩くめぐみんの後ろから、走っているであろう足音が聞こえる。

 

「君、その猫を、ひゅう、はーはー、はーーーー」

 

 めぐみんが振り返るとよほど長距離を走って来たのだろうか、息を切らした白髪の男がいた。

 

「……なんでしょうか?」

「僕はレグルス・コル二アス。君がその猫の飼い主かな?」

「そうですよ、そして、名乗られたなら名乗り返さないわけにはいきませんね」

 

 すっとめぐみんはポーズを構えて、人目を気にせずに言う。

 

「我が名はめぐみん!紅魔族随一の魔法の使い手にして爆裂魔法を操る者……!」

「ああ、それでいい、そうやって名乗りあう事から理解は広がりあう」

 

 レグルスは内心名乗り方と名前にに疑問符を抱きながらもとりあえず名乗り返されたので返事を返しておく。

 

「めぐみん、君の黒猫と君に用があってね……!」

「ちょむすけです。後飼い主じゃなくて使い魔と主人です。二度と間違えないでください。

 ちょうどいいです。レグルス・コル二アス、あなたには私も用事があります」

 

 めぐみんとレグルスの目線が交差する。

 そして同時に二人の口が開かれる。

 

「君の使い魔ちょむすけに攻撃されて燃やされたんだけどさ、その責任をとってくれないかな? 飼いぬ……マスターとしては当然のことだろう?」

「おい、うちのゆんゆんをたぶらかして夫だの友達だの詐欺を働いているらしいですね。叩き潰してくれます!」

 

 二人共眉間にしわをよせる。

 

「なんだい、そのいいぐさは? 僕は本気でゆんゆんを愛しているし、君に止められる筋合いはないよ」

「本気で言ってるんですか? 今日会ったばかりらしいじゃないですか。それで本気で言ってるなら何処が好きなんです?」

「顔だよ」

「最低ですね……。しかも猫に燃やされたとか意味不明な事を言ってますし、あなたにはゆんゆんは任せられません!」

 

 めぐみんの言葉に苛立ちを隠せなかったのか、レグルスの表情が露骨に不機嫌そうになる。

 

「あのさあ、なんの権利があって僕とゆんゆんの仲を引き裂こうとするわけ? 僕と彼女は結ばれる。そういう運命なんだよ。僕は基本的に自分というものに満足しているから、他の強欲な人間たちのように新たなものを欲したりはしないけど、与えられるものを受け入れないほど狭量でもない。運命が僕にそれをもたらすならなおさらだ。多くは望まないが、僕の手の届く範囲の僕の世界は何としても守ろう。僕自身と、僕のゆんゆんぐらいは。

 僕の事を使い魔を使って燃やして、あげくのはてに僕とゆんゆんを引き裂こうってのはいくら僕でも許せることじゃあない。っていうか社会倫理的に考えて許しちゃいけない悪だよね。そんなに僕の権利を、資産を犯したいのか? 権利の強姦魔め」

 

「私はゆんゆんのライバルです――それだけで関わる理由は十分です。

 燃やされた云々は分かりませんが、話が通じない事は理解しました」

 

 レグルスを前にしてめぐみんは右の手を大きく掲げ、左手を眼帯に添える。

 

「ゆんゆんを騙したかったら私を倒してからにするのです!」

 

 めぐみんとレグルスの決闘が始まった――!




『小さな王』
 レグルス・コル二アスの持つ強大な権能。
 まず時間停止能力を持ち、自分やその他の物体の時を止めることでありとあらゆる干渉を受け付けなくする事ができる。
 己の時を止めればありとあらゆる攻撃を受け付けない無敵の防御となり、物体の時を止めて敵へぶつければありとあらゆる防御を貫通する最強の攻撃となる。
 しかし、自分の時を止めると自分の心臓を止めてしまうため、5秒間ほどしか連続して発動できない。
 だが、第二の能力として自分が妻と認めた相手にのみ擬似心臓を与える事ができる。擬似心臓を妻に預けている間は、自分の時を止める分にも制限時間がなくなり完全に隙がなくなる。
 なお、あくまで擬似心臓であるため擬似心臓をつぶされてもレグルスが死ぬわけではない。
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