異常で過負荷な悪平等の幻想入り(?)   作:クマー二郎

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「僕」って字は「ぼく」とも「しもべ」とも読むよね!


僕の僕になれ

 

〈人間ごときがこの我に刃向かうだと?愚か者め〉

「人間に成り下がったけどよー・・・だがここでお前を斬る!」

 

僕の剣を右手に持ち、弾丸のように飛び出し一つの首を薙ぎ払う。いとも簡単に切れて龍の首が地面に落ちる。

 

〈貴様っ・・・今何をした!〉

「本当に切れ味規格外だな・・・切った気すらしねーよ」

 

うん、一人と一匹(七匹かな?)の意識は僕には向いていなくなったな。といっても特にすることがないから傷を「なかったこと」にした。

スサノオは一撃確殺の剣を振るう。それをヤマタノオロチは巨体が仇を成し、抵抗することすらできずに避けれず次々首を切り落とされていく。現れて数分もしないうちに残る首は一本だけになった。

 

〈ありえないありえないありえない!何故ここまであっさりと我がやられるのだ!〉

「うーんなんでだろーな。まあ依頼だから死んでくれ」

 

戦いというにはあまりにもあっさりと一方的に片付けられた。

 

「『瞬殺だったね』」

「お前のおかげでな」

「『褒めんなって』『何もでないからさ』」

「照れんなよ気持ちわりーな。これ返すぜ」

「『・・・尻尾を斬らなきゃね』」

「は?」

 

伝説の通りならここで尻尾から草薙剣がでるはずなのだ。回収しないとフラグが成立しない。

絶断剣(アブソリュートブレード)の切断能力を「ヤマタノオロチの肉体」に制限して尻尾をざくざく刻む。「カチンッ」と何かにぶつかる音がした。

 

「『スサノオ』『ちょっと来て』」

「ああ?」

 

切れ目の中に手を突っ込んだ。赤黒くドロドロしたものが付着した制服の袖を軽く振り払い、左手に掴んだものを渡した。

 

「『名前はいろいろあるけど』『これとヤマタノオロチの首でも捧げればいい口実にはなるよ』」

「剣・・・?それにどうしろっていうんだ」

「来いよ。姉弟間の問題を解決しなきゃならないだろ」

「っ!お前どっちが本物だよ」

「『それは聞かないこと』

『おー!スサノオ様が化け物を倒してくれたぞー!!!』」

「あっ!お前何を言いやがる!」

 

「おお!あの化け物が!」

「スサノオ様ってあのスサノオ様か!?」

「失礼いたしました!これより宴を開くのでぜひご一緒に!」

 

「(ほら余計なのが来たじゃねーか!)」

「『(適当なこと言って撒いといて。頭の回収は済ましておくから)』」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「『ふう』『尻尾の切れ端が手に入ったな』『これを元にして・・・』」

 

頭と尻尾を回収した僕は尻尾を地面に置く。そしてヤマタノオロチの霊体を「創り」出した。

 

〈む・・・ここはどこだ〉

「『やあ伝説の大蛇(ヤマタノオロチ)』『君を消すか活かせるかは僕にかかってるぜ?』」

〈くっ人間め・・・〉

「『余計な問答は必要ない』『僕の(しもべ)になれ』」

〈誰がそんなことを〉

「『仕方がないな』『なら消そう』」

〈待て!具体的にはどうされるのだ〉

「『簡単なことだよ』『僕によって召喚される式になればいいだけさ』『召喚獣としての役割だけのね』」

〈その代償はどうなる?〉

「『君の存在は消滅しない』『力の供給はしてあげるから僕が死なない限りは消滅は免れられるよ』」

〈寿命の短い人間がか?笑わせるな。何千年生きて来たと思っている?〉

「『・・・遥か昔』『今の人間が生まれる前にここら一体の生物は全て滅んだ』『月の住民によってね』『そのときから既に僕は生きている』『この事実を知っているのはとても限られてるよ』『それでも僕を信用しない?』」

〈・・・仕えることにしよう。消滅はしたくないからな〉

「『ん』『契約成立だね』『悪刀「捻切」の中に入るといい』『イメージするだけでできるから』」

 

「おーい球磨川。どこにいやがる?」

「『ここここ!』」

「繋げて言うと言葉の意味失って聞こえるぞ」

「『いいんだよ』『それよりも宴はどうしたの?』」

「丁寧に断っても無駄だったから酒だけもらっといた。飲むか?」

「『いやー酒は飲んだこと無いしやめておくよ』」

「そーか?今度飲ませるから付き合えよ」

「『君とは戦うだけで充分だよ・・・』」

「何だよそれ!酒は飲まねーってか?」

「『遠慮します』」

「そーかよ。覚えておきやがれ」

 

僕は背筋にゾッとするものを感じ取った。なんだか人に恨みばかり貰ってる気がする。

 

こうして僕はスサノオを先導して天岩戸へ向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

天岩戸に着いた私たちは何もできずに居た。動かそうとも壊そうとも通り抜けようともしたが全て無意味に終わった。

 

「神奈子〜どうにかならないの〜?」

「はぁ・・・はぁ・・・無駄だろう。堅いなんてものではないぞ」

「う〜ん・・・」

 

現在、他の神様たちが天岩戸の岩をどうにかしようとしてるが、何一つ有効な手段が見受けられない。

 

そんな中、問題児Aと問題児Bが遅ればせながら到着した。

 

「球磨川っ・・・は元から仕方がないがスサノオ!貴様はよくもこの場所に出て来たな!」

「待て!この男がわざわざ厄介な事を連れてくるはずがないだろう!ここは一つ託してみてはどうだ!」

 

反論する神様はいるものの、神奈子のその一言には確かにうなずけるものはあった。どうせなら任せてみよう、と。

 

「『えええええ!?』『こんな僕にそんな大役を任せちゃうの!?』」

 

空気が凍り付いた。

 

「『え?どうしちゃったのみんな?』」

「お前は場所と発言を考えろ!」

 

スサノオのツッコミで皆が我に返る。

 

「『冗談だよ冗談』『で、この岩をどうにかしたいんだね?』『でも多分普通に連れ出した所で彼女はそう簡単に治ると思うかい?』」

「だが連れて来ない事にはだな・・・」

「『それもわかる』『だけど心の怪我と物理的な怪我は同じじゃないんだ』」

「哿、やってくれる?」

「人間、お前に頼らざるを得ないんだ。引き受けてくれ」

「俺からも頼む!」

「わしからも」「私も!」「我も!」「『僕も!』」

「「「「「何でお前が入るんだよ!」」」」」

「『だってメインの役割はスサノオにかかってるから』『この事はすでに話しているからそうさせてもらうよ』」

「みんな、申し訳なかった。姉上にまずは謝らせて欲しい。その際にこれらを捧げるつもりだ」

 

そう言ってスサノオはヤマタノオロチの頭と剣を取り出した。皆が口を開けた。なにしろ手出しが簡単にできない強さの悪龍だったのだ。その横には立派な剣。手柄として納めるには充分だろう。

 

「『それじゃあ行くよスサノオ』『僕と君に世界がかかっていると言っても過言じゃないんだ』」

「当然だ!待っていてくれ・・・」




スサノオはきっといい子。そう信じてる
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