異常で過負荷な悪平等の幻想入り(?)   作:クマー二郎

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龍心院なじむって言うんだ

 

僕は岩の前に立つ。封印やらなんやらわからないが普通なら(・・・・)干渉できないだろう。そう、普通なら。

 

「『手始めに「物理的障害をなかったことにする」』『これで岩は存在するけど肉体は通り抜けられるよ』『行こうか』『他はついて来ないでね』」

 

そう言って僕ら2人は洞窟の中に入った。

洞窟の中は明るくそして短く、その光源はすぐにアマテラスのものだとわかった。

 

「『アマテラスさん』」

「!!」

「『「どうやって入った」なんて聞かないでくださいよ?これくらい朝飯前です』」

「どう・・・して」

「『「不甲斐ない自分のせいでスサノオを止められなかった」なんて思ってるんじゃないですか?』」

「・・・」

「『「自分のせいで」「自分のせいで」「自分のせいで」「自分のせいで」』

そうやって全部が全部自分が悪いから背負い込むのか!」

「「っ!?」」

「何でも自分ができないせいだから、で済ませるのか!そうやって閉じこもるのか!ふざけるな!周りが心配しているんだ!支えようとしてくれているんだ!他人を頼れ!相談しろ!

完璧な神も人間すらもどこにも存在しないんだよ。必ず欠陥がある。だから人に頼ればいいんだ。任せるんじゃなくてさ。『・・・あーあ』『性に合わない事をべらべらしゃべっちゃった』『姉弟仲良く話していなよ』『僕は音楽でも聞いてるから』」

 

自分で言っておいて今さらふと気がついた。()()()()()()()を使う事ができるのか、ということだ。試しにスマートフォンを「創る」。手元には見慣れた林檎マークのケータイがあった。スサノオとアマテラスの事すら忘れてその事に集中し始めた。おお。マジで時間つぶしとかできそうだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「姉上・・・申し訳なかった!」

「・・・・・・」

「自分勝手で感情任せに動いてさ・・・迷惑をかけていたなんて一切考えていなかった。そんな馬鹿な俺をどうか許してくれ!」

「・・・・・・」

「いや、この際許してもらえなくてもいいかな。ただ、あなたの愚弟は間違いを認めて償っていきます。ただそれだっk!?」

「堅く・・・なる必要な・・・んかないじゃないですか。・・・許す許さないも怒ってなど居ませんから。・・・あなたは大切な弟・・・ですよ?わかってますって・・・ただ、今回は蓄積しすぎましたけどね・・・」

 

アマテラスは涙を流しながら言った。スサノオもそれに対して不覚にも涙が溢れた。仲のいい姉弟はそこまであった話を思い出しながら懐かしみ、また話していなかった事を話したりしてそれはそれは楽しそうにしていた。

・・・場違いな少年一人。

 

「『お!?曲は名前だけで入れる事ができた!』」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ヘッドホンをしながら上機嫌に僕は2人を置いて出て来た。楽しそうに話すあの様子ならきっともう大丈夫だろう。岩を通り抜けてみんなの前に戻る。

 

「『♪』」

「「「「「・・・。」」」」」

「『ん?』『みんなどうしたの?』」

「場違いがいるなーって」「どうしてそんな風になってるんだって」「中の様子の報告はどうしたんだろうなーって」

 

口々に文句を言い始めた。とりあえずスサノオのあの態度は黙っておいた方がいいだろう。

 

「『きっと戻ってくるよ』『ちょっと僕は怒っちゃったけど問題ないだろうね』『ほら来た』」

 

天岩戸の前にある大岩が砕け散った。スサノオの持つ草薙剣の一撃だ。実態が無くなったにも関わらず斬り飛ばした。

そうして出て来たアマテラスは満面の笑みを浮かべていた。スサノオは少し不貞腐れているふりをしているがやはり嬉しさを滲ませていた。

 

「迷惑をおかけしましした。困った時は頼らせてもらいますね!」

「当たり前だよ!」「当然だ!」「頼れ!」「一人じゃないんだよ!」「『僕に頼るな!』」

「「「「「だから何でお前が居るんだよ!!!」」」」」

 

みんな笑ってそれに伴って空は光を取り戻し始めた。

そして珍客が訪れる。

 

「ふうん。僕としては悪くない流れだと思うよ?」

「我もそう思うな。あのスサノオが変わったのだから」

 

一人は見覚えのあるーーーいや、記憶にしっかりとある存在。体に螺子を打ち込まれて真っ白の長い髪を下の方でリボンで纏めている、

 

「『安心院さん?』」

「やあ哿くん()()()()()龍心院(りゅうじんいん)なじむって言うんだ。安心院(あじむ)なじみの個体から生まれたほぼ同データだよ。僕の事は親しみを込めて龍心院さんと呼びなさい」

「なじむ。話をしたいなら向こうに連れて行け。我はこっちで話をするからな」

「竜神様!?なぜこちらへ!?」

「アマテラス。お前はあとで説教だな。スサノオ。余計な手出しはするなよ?」

「ひえええ!お許しを!」「くっ!」

「さ、哿くん、ちょっと来ようか」

 

竜神と呼ばれた女性はアマテラスをどこかに引き摺っていき、他の神様たちは諦めた様子で見ていた。そして僕は封印状態の安心院さんそっくり(?)についていった。

 

「ここら辺でいいかな?」

「『僕は構わないけど』『安心院さんである事には間違いはないんだよね?』」

「そうだね。ただここでは龍心院さんと呼びたまえ「『無理だね』」言うと思ったよ。前座はここいらで終わりにするとして。本体からの伝言は「よく生きていてくれた!」だって。安心院なじみ(僕本体)はきっと死ぬらしいんだ。君と同じように敵わなくて。だから同データの僕をスキルで作り出して独立させた。これで保存されたようなものさ」

「『あの全知全能の人外が負けて死ぬの?』『そうならないことは?』」

「その願いすらも叶わなくて敵わない。そういう相手なんだ。手助けしようにもこの世界から出る事はできないだろうしね」

「『そうか・・・』『でもひょんな事から生き返るだろうからいいかな』『それよりも一つ質問するよ?』」

「どうぞ?」

「『この世界ともとの世界、時間の経過はどうなっているの?』」

「それはつまり経過の仕方なのかい?それとも来てから何年、ということなのかい?」

「『前者だね』」

「簡単に言うなら時間の流れ方が世界によって不規則だから、今この世界では向こうよりも早く流れている。向こうの世界にすればゆっくり流れている。だから(本体)の「欲視力(パラサイトシーイング)」を使えばものすごい早さで動いているように見えるだろうねただ、流れる早さは変化するから急に同じ速度にだって成りうる、ということだけは言えるよ」

「『それがわかればいいや』『で、安心院さん。この君の役割は?』」

「今回の僕はただいるだけ、かな?龍神と一緒にお茶を飲むのが仕事さ。表舞台には極力でないつもりらしいから基本無干渉かな」

「『ふーん』『そうするんだ』」

「あーそうそう。また眠ってらっしゃい☆」

「『へ?』」

 

僕の周りに螺子が浮かび上がり体を貫く。髪の毛は真っ白になり、そのまま地面に倒れ伏した。

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