螺子を両手に戦い続けること数時間。能力を駆使することで疲れは無い。ロケットが上がりだした。そしてそれと同時に侵入を許してしまう。
「『ちっ!』」
目の前に積み上げられた死体の山から離れて国の中に瞬間的に移動する。ロケットに一回寄った。そして再び戦いに戻る。第二ラウンド、それも敗者的立場でだ。正面突破を狙う輩に螺子を投げつけていく。
「『何人たりとも遠さない結界を「創る」!』」
僕を倒さない限りは突破させない。これで道は一つだ。
「あ”あ”あ”あ”あ”あ”ぁっ!」
奇声を上げながら来る妖怪を螺子で突き刺し、払い、吹き飛ばす。そんな中、妖怪側から電撃が放たれて内側でゴタゴタが起こった。そしてその犯人は僕の真横に現れる。
「『逃げろって言ったはずだよ!』」
「私は返事をしていない!だからここに残る!」
「僕の後ろにいろ。巻き込まれないように」
ロケットが上がるまで時間が無い。哿はまだ来ない。壁が破られた。そしてようやく到着する。
「『お待たせ』」
「早く乗って!」
「『ああ、うん・・・』ごめんね」
雰囲気が一瞬変わった彼は扉を締めた。重く堅く簡単に開閉できない扉をかなりの早さで。呆然とする私に彼の最後の言葉が耳に残っていた。
「『くっ』『伝!』『ロケットはまだ上がらないのか!?』」
「余所見する暇あるかぁ!?」
「『!』『はあっ!』」
「後もう少し・・・」
螺子と剣、爪、斧、その他いろいろなものにぶつかり合う。相手の数はだいぶ減ってはいるがあと少しが長い。サポートしてくれる伝の電気がとても助かる。
「上がった!」
「『よし!』『はぁっ!』『これでも喰らえ!【ドラゴンブレス】!』」
周囲の敵を文字通り切り離し、そして少しの距離が空いた所で突き出した僕の螺子の先端からマスパの様に極太レーザーが放たれる。
真っ黒で周囲には紅い電気が迸っている。見た目で既に威力の恐ろしさを教えつけているようなものでそして威力もそれに準ずる破壊を起こした。
街の壁、床を大きく削り飛ばし、そこには何も残っていなかった。
「『伝!』『こっちに来て!』」
「っ!」
眩しすぎる真っ白な光が全面を包み込んだ。
「『【ドラゴンブレス】!』」
哿のその一撃は龍の名に恥じない一撃で、思わず見つめていた。
「『ーーー!』『ーー来て!』」
名前を呼ばれたことに気がつけず、「来て」という言葉で我に返る。そういえばこの周辺ごと消し飛ばされるんだっけ。死ぬ、という恐怖心が湧いてきた。彼の言葉に本能的に向かってーーー
ズドオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!
音にならない光が音をたてながら地面を、建物を、空間すら壊すように感じた。気が遠のいた。
が、飛ぶ直前に意識が引き戻された。
「『ショック死してない?』『生きてるー?』『おーい』」
この空間だけは地面が残り平気だった。
「生きてる・・・?」
「『うん』『生きてる』」
「なんで・・・?」
「『確かにさっきの結界だけじゃ無理だったけど』『ここに「ありとあらゆる事柄を防ぐ結界」を「創った」ことで耐えきれたみたい』」
「信じられない・・・」
恐る恐る周りを見回すと【ドラゴンブレス】の通ったあとのようなものが辺り一面に広がっていた。
「『いいんじゃない?生き残れたんだから』」
「これからどうするの?」
「『どうしようか?』あははははは!」
「ぷっ・・・ふふふふふふっ!」
私たちは2人で声を上げて笑った。
哿はここからは何も考えていなかったらしい。
何も無い場所でどうするというんだ。
「『知ってると思うけど人間には寿命がある』『妖怪はわからないけど・・・』『とりあえず僕は自分を封印してしばらく眠るよ』『ときどき起きるかもね』『何年後かは知らないけど』『ただ、君の居場所が安定するまでは一緒にいるよ』『・・・多分』」
「うん・・・いつかはさよならするの?」
私はなんだか泣きそうだった。理由はわからない。ただ一人になるのが嫌だっただけかもしれない。
「『やれやれ・・・』『死んだらそのあとが不安だぜ』『「不老長寿の体を創る」「僕の寿命をなかったことにする」これでいいか・・・ぃ?』」
「へ?」
目の前で崩れ落ちた。慌てて近寄る。息をしていない。脈も無くなった。
「嘘っ・・・何やってるの!?死なないで!」
泣きながら叫んでいた。
「『うんそうだね』『ごめん死んじゃった』『殴る権利くらいは持ってるんじゃないかな?』『僕は今そうい』ぼふっ!」
この
そしてさっき泣いたのは何だったと思って
「馬鹿ぁぁぁぁぁぁぁっ!」
体が先に動いていた。追撃に力加減の無い雷撃を放った。
「『びゃーーーーーーっ!?』」
いや、確かに悪いことをしたと思ってるよ?殺されないと死なない体を作るための手順を踏んだだけなんだけど。ここまでトドメさします?
「(ブツブツブツブツブツブツブツブツ)」
真っ黒なオーラを立ち上らせながら伝は何かを小声で言い続けている。
正直怖い。何と言うかこれはこれで怖い。
ん?怖いものなんてないって言ったじゃないかだって?嘘に決まってるじゃん。やだなぁ騙されちゃって。死ぬまで怖いさ。
「『い、いや』『そこまでするつもりじゃなかったけど』『その・・・』『悪かった』『ごめんなさい』『って言っておく』」
「本当に謝ってるように思えないんだけど・・・」
「『だって』『僕は悪くない』『自分勝手に死んだだけだもん』『悲しむのはそっちの勝手でしょ?』『って表層意識が思った』」
「深層意識は?」
「思ってない」
「はーもういいわ。これ以上何を言っても無駄っぽいし」
「『おお!』『理解してくれた!』『心の友よ!』」
「殴っていい?心の底から一発殴っていい?」
「『それはだめだよ』『先客がいるから』『そっちに殴られないと約束できないね』」
「それならさっさと殴られて来てよ」
「『できることならしてるさ』『・・・やっぱりされたくないな』」
「はあ・・・もう!」
「『あべしっ』」
結局殴られた。