俺は珍しく早く学校に辿り着いた。生徒会室にめだかちゃんを抜いて一番乗りで入る。
「よっしゃ一番だ!」
直後、閉めた扉が勢いよく開く。後ろを振り返ると悔しそうなめだかちゃんが居る。
「おのれ善吉・・・あともう少しだったのに・・・」
「いやいや張り合うのか?」
「生徒会長たるもの1番にだな。それにしても他に人が居ない学校を見て回るのもいいものだぞ・・・む?」
「どうかしたか?」
「何か気配があるのだが・・・」
「おはようございますめだかさん!今日もご機嫌そうで!」
「阿久根先輩。何か気配感じます?」
「いやー特に感じられないな人吉君。どうかしたのかい?」
「めだかちゃんがこの調子で・・・」
「この感じを知っている・・・だが思い出せない・・・」
机の引き出しの中、下、壁の隅などを考え事をしながら探し始める。
「いや、隠れるならロッカーじゃね?」
なんて言いつつ俺はロッカーを開けた。こちらに向かって寝袋が倒れて来る。
「うおあ!?」
とっさに回避すると寝袋から「痛っ」と男女どちらにも取れる声が聞こえた。
「ありきたりな場所に隠れていたとは」
「めだかさん、常識から行きましょう」
「それもそうだな・・・」
めだかちゃんは寝袋の中身を躊躇わず調べ始めた。中から出て来たのは目を回した球磨川だった。
「「「・・・・・・」」」
何も見なかったことにしてめだかちゃんはそれをしまい込んだ。
「あ、みんなおはよー」
「き、喜界島、私たちは何も見ていないからな」
「ロ、ロッカーから寝袋出てきたとかないからな?」
「何それ?」
「あ!」という声を無視して喜界島はロッカーを開けてしまった。
さらにあろうことか寝袋を開けてしまった。
「みそぎちゃんなにしてるの?」
「『ん?ここはどこ?』『あ、初めまして』『そういえば昨日からここにいたっけな』」
「絶対寝ぼけているな」「みたいだね?」「そのようだね」
「『あ、善吉に高貴にめだか久しぶりっ!』『僕のこと覚えてる?』」
「はぁ?いつもの球磨川じゃねえかよ?声変わったのか?顔も少し・・・」
「貴様、まさか◆◆◆か!?」
「『おっとめだか正解!』『で、メガネの子は初めまして』『なんだよ?善吉に高貴忘れちゃった?』『酷いなあ』」
「・・・あっ!中学以来か!」
「中学・・・?あぁ!球磨川とめだかさんの喧嘩の前に一度来た時のか!」
「『思い出してくれて嬉しいな』『まってて今サボりの兄を出すから』」
喜界島は話についていけないらしくただ呆然としていた。その一瞬の間に◆◆◆に似た本物の球磨川禊が現れる。
「『サボるな』」
『ちぇっ』『引きこもりの弟をせっかく学校に来させてあげたというのに』
「『建前はいいからさ』『引きこもりでもいいの』」
「みそぎちゃんが2人・・・?」
『いやいや喜界島さん』『これは弟の◆◆◆だよ』『双子の、ではないけど』
「めんどくせーのが2人になった気がするだけだ・・・」
俺は心底呆れてため息をついた。しかしめだかちゃんは対照的に目をキラキラとさせ今すぐ話をしたさそうだった。
「◆◆◆!転校しに来たのか!?」
「『いやいや』『懐かしい顔が見たいかなーって思ったのと』『この馬鹿に「今日変わって☆」とか頼まれただけ』『まあいつ会えるかわからないし』」
そのとき、こいつは「ケホッ」っと弱く咳をしていた。
「よし、なら今すぐ入学手続きだ!ついて来るがよい!」
「『え?』『や、ちょっと』『うわああああ誰か助けてええええ』」
『・・・・・・』
「みそぎちゃん?」
『え?』『いや、何でもないよ?』
「私何も言ってないけど・・・」
球磨川(禊)にしては珍しく何も言わなかった。
しばらくして諦めた表情のめだかちゃんと疲れた様子の球磨川(◆◆◆)が戻って来た。
そのあと俺たち6人は普段の様に話をしていた。
後継者編前。哿が死ぬ前のとある一日。