軌跡〜ひとりからみんなへ〜   作:チモシー

120 / 323
出来るだけ早く話を進めていきたいので、今回は少し長めになっています!
しかし長めにすればするほど見辛い文章になってしまうのは気のせいでしょうか…(汗)いや…私に文章力が無いだけですね(苦笑)




百十一話『約束』

 

 

 

 

 

 

狭山「世界がこんなふうになってから色んな人に出会った…。そのほとんどがどうしようもない人間で、ボクは何度も殺されそうになった…」

 

 

 

狭山「でもボクはあの人に出会ったおかげで前のボクとは違うモノになれたから、ある程度の危機的状況は切り抜ける事が出来た。あの人が何者かは未だによく分かってないけど、そんな事はどうでも良い…。大事なのは、ボクは前の弱かった『狭山真冬』とは別人になれたってこと……」

 

 

 

狭山「まぁ強くなったと言っても限度があるから、何度か危ない場面はあったけどね…。でもね、そんなふうに強くなったボクがたった一人の人間…しかも女の子相手にこんな苦労するなんて思ってもみなかった。だから、褒めてあげる」

 

 

 

 

 

 

 

狭山「…よくがんばったね。胡桃」

 

激しく降り注ぐ雨に打たれながら、狭山は二つの武器をそれぞれの手に持って目の前にいる胡桃を見下すようにして見つめる…。狭山の右手には警棒…そして左手には、彼女から奪い取ったシャベルを手にしていた。

 

 

 

 

 

胡桃「はぁっ……はぁっ……!」

 

胡桃は息をきらしながら地面に膝をつく。出来ることなら今すぐに起き上がらないといけないのだが、どうにも体が動かない…。狭山と争った際、何度か攻撃を受けてしまったのがその原因かも知れなかった。

 

 

 

 

 

狭山「ほんと、胡桃は強い娘だよ…。ボクに殴られても何度も立ち上がってきたし、しっかり反撃もしてきた。まぁ、今一つ力が込もってなかったのは気になるけど…」

 

胡桃「だから…言っただろ…。あたしはお前を殺す気なんかない…本気でなんか殴れるかよ…」

 

両膝、そして右手を地面について狭山を見つめる胡桃…。

激しい雨の中で狭山と争った彼女の全身はかなり汚れてしまっており、体操着の上に羽織っているジャージは泥に汚れ、所々破れている。更に髪を止めていた二つのリボンも片方が解けてしまい、髪型が僅かに乱れていた。

 

 

 

 

 

狭山「もし本気でやってたら、ボクを殺せたかも知れないのに…」

 

胡桃「本気でやらなくても平気だと思ったんだけどなぁ……。お前…見た目よりずっとタフな奴だな…」

 

狭山「ボクはちょっと特別な身体(カラダ)だからね…。もし胡桃がボクと同じ状態だったら、きっとボクなんか相手にもならない…。キミはそれほどに強かった」

 

胡桃「特別な……身体?」

 

狭山の発言を不思議に思い、そのまま彼女を見つめる。

するとその後方から一体の感染者が現れ、静かに狭山の方へと歩いていく。胡桃と狭山が争う音を聞き付けたのか、はたまた偶然現れたのかは分からないが、狭山は背後から寄るその感染者に気付いていないようだった。

 

 

 

 

胡桃「おいっ!!後ろに――」

 

狭山「………」

 

 

『グアァ…ッ!!』

 

降り注ぐ雨の音が激しく、忍び寄る感染者に気づけていない。そう思って狭山に声をかけた胡桃だが、その必要はなかった…。何故なら狭山は直後感染者の方へ振り向き、左手に持っていたシャベルをそれ目掛けて振り払ったからだ…。

 

 

 

 

グシャッ!!

 

胡桃「…っ……」

 

狭山が振ったシャベルは感染者の首へと当たり、その首を体から切り離す。感染者は狭山の横にドサッと倒れ、はね飛ばされた首は胡桃の横をゴロゴロと転がっていった。

 

 

 

 

 

狭山「この感染者の事は言われなくても気づいてたけど、一応聞いておくね。ボクは君達の敵なのに、どうして後ろにコレがいるのを教えようとしたの?胡桃が黙っていれば、ボクはコレに噛まれて死んだかもしれないのに」

 

胡桃「…聞かなくても分かるだろ?」

 

 

 

狭山「殺したくないから……か。まったく……」

 

答えながら微かに微笑む胡桃を見た狭山は呆れたようにため息をつくと、左手に持っていたシャベルを胡桃の前へと投げる。カランッ!と音をたてて目の前に転がったシャベルを胡桃は手に取り、それを杖のようにして体をゆっくりと起こした。

 

 

 

胡桃「わざわざ返してくれるあたり、お前も甘いと思うけどな…」

 

狭山「………」

 

体を起こしてからそっとシャベルを構え、狭山を警戒する…。

だが狭山は胡桃から目線を逸らし、横に倒れた感染者を見つめていた。

 

 

 

 

狭山「ボクと胡桃だったら…ボクを選ぶんだね」

 

胡桃「…なんのことだ?」

 

狭山「この感染者だよ。目の前に二人獲物がいたのに、ボクの事を襲おうとしたでしょ」

 

胡桃「お前の方が近かったからだろ……」

 

狭山「確かにそうだけど、理由はそれだけじゃない。君達には言ってなかったけど、ボクって少し感染者に狙われにくいんだ。なのにこの感染者は胡桃じゃなく、ボクを襲った…」

 

狭山が何故感染者に狙われにくいのかという理由は胡桃には全く理解できない。しかし、彼女のその口ぶりから言いたいことは予想できた。

 

 

 

 

 

胡桃「…………」

 

狭山「胡桃…だいぶ"かれら"に近付いてるね。ボクなんかより、キミの方がよっぽど化け物だ」

 

 

胡桃「…ぅ!!」

 

狭山の言葉、そしてその嫌味な笑みを見て胡桃は言葉を失う…。

彼女が自分の身体に起きている異変を見抜いた事には驚いたが、それよりも面と向かって『化け物』と言われた事がショックで…頭が真っ白になった。しかし……

 

 

 

 

バシャバシャッ…

 

 

狭山の発言を受けて胡桃が呆然としていると、背後から音が聞こえた…。水溜まりの上を駆けるようなそんな音が耳に入った直後、胡桃の横を勢いよく通り過ぎたその人物は真っ直ぐに狭山の方へと向かい、彼女目掛けてナイフを振り払った。

 

 

 

 

ガチィッ…!!

 

狭山「おっ……早かったね?」

 

その人物に振り払らわれたナイフを持っていた警棒で受け止め、狭山は微笑む。しかし彼女の目の前にいるその人物は真剣な表情のまま、真っ直ぐに狭山の事を睨んでいた。

 

 

 

 

「誰が化け物だって?」

 

狭山の警棒からナイフを離し、距離をあけてその人物…彼が尋ねる。狭山がその問いに答えないでいると彼は狭山を警戒したまま下がり、後方にいた胡桃の元へと寄った。

 

 

 

 

「…怪我は?」

 

胡桃「大丈夫…だと思う」

 

何度か狭山に殴られはしたが、強い痛みは感じない…。それが怪我をしてないからではなく、ただ感覚が無くなってきているだけだと思うと少し不安になるが…彼を心配させない為に胡桃は平気そうな顔をして答えた。

 

 

 

美紀「胡桃先輩っ!無事でよかった……」

 

胡桃「美紀、お前も来たのか?」

 

背後から聞こえた後輩の声に振り向く…。するとそこにいたのは美紀だけでなく、由紀と悠里も心配そうな表情をして立っていた。

 

 

 

 

胡桃「みんな来たのか……」

 

危険なので彼だけ来てくれれば良かったのだが、美紀・由紀・悠里…全員胡桃の事が心配だったのだろう。みんなは未だ寝間着に上着を羽織っただけの状態で、傘すら持ってきていなかった…。

 

 

 

 

由紀「胡桃ちゃんっ…わたし…胡桃ちゃんの事が心配で…!」

 

胡桃「…あぁ、わかってる。由紀、ありがとな」

 

雨に濡れているせいでよく分からないが、由紀の目が微かに潤んでいる気がする…。胡桃はそんな彼女の頭にポンッと手をおき、そっと撫でた。

 

 

 

「状況を整理したいんだけど…どうなってる?」

 

数メートル先に立つ狭山を警戒したまま、彼が胡桃に尋ねる。ここへ向かう道中に美紀から事情は聞いたものの、それが断片的に感じて理解しきれずにいた。

 

 

 

胡桃「説明したいけど、あたしと美紀にもよく分からない…。真冬が急に美紀を襲って、あたしがそれを止めた。でもアイツはまだ止まる気がないみたいで……あたしら全員を殺そうとしてる」

 

自分が知っている限りの情報をその場にいる全員に告げる。それを聞いた全員が険しい表情をする中、真っ先に狭山へ声をかけたのは由紀だった。

 

 

 

 

由紀「真冬ちゃん、どうしたの…?何か理由があるなら話して?わたし、みんなが真冬ちゃんとケンカするのなんか見たくないよ…」

 

狭山「…由紀。ボクらがするのはケンカじゃなくて、殺し合いだよ」

 

由紀「そんなのっ、わたし見たくないっ!!」

 

狭山「じゃあ、君達は大人しく立ってればいい…。そうすればこれは殺し合いじゃなく、ボクの一方的な殺しになるから」

 

由紀の言葉を全く気にせず、狭山は手にしている警棒を見つめている。彼女のそんな様子をみた由紀はどうしたらいいのか分からずに悠里や美紀を見つめるが、二人もどうすればいいのか分かっていなかった…。

 

 

 

 

 

 

悠里「狭山さん…あなた、本気で私達を殺すつもりなの?」

 

狭山「うん…そうだよ」

 

悠里「どうして…?もしかして食料とか、物資に困ってたりするの?」

 

狭山「いや、違う…」

 

悠里「じゃあなんで!?争う理由が無いじゃないっ!」

 

もし狭山が食料などに困っているというならば、分けてあげようとも考えた…。しかし彼女は物資には困ってないと答え、相変わらずこちらへ敵意を向ける。何故彼女がこんなことをしているのか理解できず、悠里は声を荒げた。

 

 

 

 

 

狭山「ボクが……君達を襲う理由………」

 

由紀「さっきまで、真冬ちゃんはわたしたちと普通に話してたんだよ…。なのにこんなのおかしいよ…急にどうして…」

 

こうなった理由を悠里に問われた狭山はボーッとした様子で彼女達を見つめ、雨に濡れた前髪をかきあげる。狭山は少しの間黙っていたが、由紀達を見て思い出したように告げた。

 

 

 

 

 

狭山「そういえば、皆でここに来たんだね。誰か一人だけ車に残したりしたら大変だったから、ある意味運がいい…」

 

「…どういうことだ?」

 

胡桃「…あっ」

 

狭山の発言に彼が不思議そうな表情を見せる中、胡桃はあることを思い出す。狭山は先程自分と争っていた際、あることをしていたのだ。

 

 

 

 

 

胡桃「さっきあたしと争ってる途中、無線機みたいなの使って誰かに連絡してたな…。もしかして、あたしらの車が停めてある公園に仲間を呼んだのか…?」

 

狭山「正解。ボク一人だと誰か逃がしちゃうかも知れないから、仲間に連絡したんだ。ちょうどこの近くをうろついてたみたいだから、もうあの公園についてるかもね」

 

「出来ることならその仲間にあんたの事を話して説教でもしてもらいたいけど、そうはいかないか…」

 

 

 

狭山「うん…。ボクの仲間はあまり優しい人じゃないからね。言えば助けてもらえる…とか期待しないほうがいいよ」

 

「…そうかい」

 

胡桃「わりぃ…あたしが連絡させなきゃよかったのに、止められなくて…」

 

「仕方ないさ、謝らなくていい。それよりあの人をどうにかしないと」

 

今、急いであの公園に戻れば狭山の仲間はまだいないかも知れない。しかし狭山はそれを黙って見送りはしないだろう…。なら、彼のとる行動は一つだった。

 

 

 

 

 

 

「…時間を稼ぐ。みんなは急いであの公園に戻って車で逃げて」

 

胡桃「なっ!?」

 

悠里「それで…あなたはどうするの?」

 

由紀「そうだよ!キミだけおいて逃げるなんてっ…!」

 

分かっていた事だが、由紀達は彼の案に反対する。

しかし、彼にも考えがあった。

 

 

 

 

「僕もある程度時間を稼いだら逃げる。お互い逃げたあとは……昨日立ち寄ったスーパーマーケットにでも集合しましょう」

 

悠里「……わかったわ」

 

悠里が返事を返す。しかし、まだ他のメンバーは納得していない。由紀は焦ったように悠里の方を向き、その手を掴んだ。

 

 

 

 

由紀「ダメだよりーさんっ!__くんだけおいていくなんてっ…!」

 

悠里「でも、私達がここにいても何も出来ない…。早く戻らなきゃ狭山さんの仲間に車をおさえられて、身動きすることすら出来なくなる。そうなれば私達全員の身が危ないわ…」

 

由紀「でも…でもっ…!」

 

 

 

胡桃「……一人で平気か?」

 

由紀が慌てる中、胡桃は彼に尋ねる。

すると彼は微かに微笑み、胡桃へ返事を返した。

 

 

 

 

「問題ない。またすぐ会える」

 

胡桃「……そっか」

 

胡桃は彼の事を強く信じている…。そんな彼がそう答えるなら、もうこれ以上時間をかける必要はない。胡桃は由紀達と共に一度車へ向かう事を決める。

 

 

 

 

胡桃「由紀、行くぞ…」

 

由紀「胡桃ちゃんっ!」

 

胡桃「こいつなら大丈夫だ。由紀はこいつが信じられないのか?」

 

由紀「信じているけど…でも心配で……」

 

由紀の言いたい事は胡桃もよく分かっていた。胡桃だって彼を心から信じてはいるが、全く不安がない訳ではないのだ。だがそれでもここは先に進まねば、全員が危険な目にあってしまう。

 

 

 

 

「由紀ちゃん、こっちは大丈夫だから…気にしないで」

 

由紀「…………怪我しちゃダメだよ?絶対だからね?」

 

彼に言われ、由紀は渋々ながらもその場を離れる決意をする。これで彼は気兼ねなく狭山に集中できるかと思いきや…今度は美紀が彼のそばへと寄り、静かに口を開いた。

 

 

 

 

 

 

美紀「あの……先輩…」

 

「…なんでしょう?」

 

美紀「本当に…出来ればでいいんです。真冬ちゃんのこと…あまり傷付けないであげて下さい」

 

とても言いづらそうな表情をしながら、弱々しい声で美紀は告げる。彼がその言葉に軽く戸惑っていると、美紀は先に立つ真冬をそっと見つめた。

 

 

 

 

美紀「彼女を見てると…なんかモヤモヤするんです…。もちろん、彼女が私達に敵意を向けているのは分かってます…。でも…それでも私は……何故か真冬ちゃんのことを(ほう)っておけなくて…」

 

「………了解。僕も時間だけ稼いで逃げるつもりだから、心配いらないよ」

 

美紀「…ありがとうございます。先輩もどうか、無事でいてくださいね」

 

美紀はペコッと頭を下げ、彼に礼を言う。そんな彼女が少し安心したように微笑んでいたので、彼もつられてニヤリと微笑んだ。

 

 

 

 

悠里「じゃあ、昨日のスーパーで会いましょうね。もし既に狭山さんの仲間が公園にいた場合…私達も走ってあそこに向かうから」

 

「……そうですね。どうしても車に乗れそうになかったら戦いは避けたほうがいい」

 

あの車はかなり惜しいが狭山の仲間が待ち構えていた場合、それに構わず無理に乗り込もうとして誰かが犠牲になったら最悪だ…。狭山の仲間がどんな者かは分からないが、簡単に押し通れるなどと期待してはいけないだろう。

 

 

 

 

胡桃「みんなはあたしが守るから、お前も死んだりするなよ。お前は……あたしを救うって約束したんだから」

 

「もちろん約束は守りますよ。おヒメさま」

 

胡桃「おヒメって……まぁいい、約束…ちゃんと守れよ?」

 

そう言って胡桃は悠里達と共にその場を離れ、公園へと駆けていく。彼とした約束とは『胡桃を感染症状から救う』という事だが、胡桃自身…彼がそれを果たせなくても良いと思っていた。にも関わらずこの事を持ち出したのは、こう言っておけば彼が自分の前に無事戻ってきてくれると思ったからだ…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

狭山「さて…これで二人きりだね」

 

悠里達がその場を去った後、狭山が彼へと目線を向ける。周囲に降り注ぐ雨の勢いは未だ衰える事なく、道路に立つ二人の体を濡らした。

 

 

 

 

 

「そっちの仲間…まだ公園に来てないといいけど」

 

狭山「どうかな…。のんびり歩いてたらまだついてないかも知れないけど、全力で走ったならもうついてるかも。もしそうだったら、彼女達が危ないね?」

 

「そうなったらそうなったでどうにか逃げるさ…。彼女達も伊達に生き延びてきた訳じゃない」

 

狭山「……どうだか」

 

足元の水溜まりをパシャパシャと鳴らすように踏み、狭山は呟く。彼はそんな彼女を見つめると、ナイフを持った手に力を込めた。

 

 

 

 

 

狭山「美紀は甘いよね…。ここまでしたのに、まだボクを殺してほしくないって言うんだもん」

 

「…聞いてたんだ?」

 

狭山「ボクは少し耳が良いから、全部聞こえてた。彼女はなんでボクを気にかけるんだろうね?」

 

「さぁ……なんでだろう」

 

 

 

狭山「まったく、甘い娘だなぁ…。自分に襲いかかってきた相手なんだから、死んだって構わないだろうに…」

 

「まぁ、こっちの会話が終わるまで待ってたあんたも大概に甘いと僕は思うけどね…。そんなに彼女達を殺したいなら見逃したのは間違いじゃない?」

 

彼は小馬鹿にするように微笑み、狭山へそう告げた。確かに、狭山は彼が由紀達と話している間は静かにたたずんでいるだけだった…。

 

 

 

 

狭山「別に…会話とか遮るのが苦手なだけだよ。ボクが甘いと思っているなら、それはただの勘違いだから」

 

「そうか…それは残念」

 

狭山「君の方こそ、ボクをあまり傷付けないようにするって美紀と約束するなんて…かなり甘い人だよね」

 

先程の発言のお返しと言わんばかりに狭山が言う。

しかし彼はとぼけるようにして首を傾げ、狭山を見つめ返した。

 

 

 

 

「…それはどうかな」

 

狭山「…?」

 

 

 

「確かにあんたみたいな女の子を傷つけるのは気が引ける。でもあんたは美紀さんを襲おうとした上に、胡桃ちゃんを傷付けた…。となれば、こっちもあまり優しくは出来ない」

 

ナイフを持ち直し、彼は狭山を真っ直ぐに見つめる…。

その表情から察するに彼は本気らしく、狭山はふふっと笑った。

 

 

 

 

 

狭山「…キミは彼女達と違うね。彼女達ほど甘くない…殺すべき人間はきちんと殺せる人だ」

 

「出来ることなら美紀さんとの約束は破らずに終わりたいけど、そっちもやる気満々みたいだし…こればっかりは仕方ない」

 

狭山「うん…仕方ないね」

 

狭山の事を気にかけていた美紀の為にも、出来ることなら彼女とは和解したい。しかし相手にその気が無い以上、無駄に放っておく訳にはいかなかった。もし彼女をここで見逃せば、また美紀達を襲うかも知れないからだ。

 

 

 

 

 

 

 

 







出来るならあまり真冬ちゃんを傷付けないでほしい…。
何故か彼女を気にかけているみーくんは彼にそう言いましたが、彼はそれを守る気はあまり無いようです(汗)

彼は由紀ちゃん達にはとても甘いんですが、その分彼女達の脅威になる危険な人間には厳しいですね…。それも彼女達を大事に思うからこそなのですが…(-_-;)





▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。