軌跡〜ひとりからみんなへ〜   作:チモシー

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彼と穂村の覗きも失敗し、胡桃ちゃんは自らの身に起きている異変を由紀ちゃんに打ち明け、今回の温泉編も終わりを迎えようとしています。今回の話は少し長めですが、のんびり楽しんでもらえたら幸いですm(__)m


百四十三話『おわかれよりも』(☆)

 

 

 

 

真冬と悠里と美紀が穂村を捕らえに向かい、10分は経過しただろうか…。未だ温泉に残っていた由紀は肩まで湯に浸かりながら、隣にいる胡桃の事をそっと見つめる。

 

 

由紀「そろそろあがろっか?」

 

胡桃「ああ、そうだな…」

 

もうすっかり、身体の芯まで温まった。

これ以上長湯するとのぼせてしまうかも知れない。

二人は静かに湯から出るとそばの岩場に置いていた衣服を着て荷物を背負い、真冬達との合流を目指す。

 

 

胡桃「よし、じゃあ行くか」

 

由紀「うんっ」

 

どこに"かれら"が潜んでいるか分からないので、胡桃は右手にしっかりとシャベルを持つ。万が一、みんなと合流する前に"かれら"と出会したらいつものようにこのシャベルを振るい、由紀を守ろう…。

 

そう思って手に力を込めた矢先、また違和感を感じた。

やはり、上手く力が入らない。この感じだと恐らく、シャベルを振ったところで好調時の半分の力も出せないだろう…。

 

 

由紀「胡桃ちゃん、大丈夫…?」

 

胡桃「…えっ?あ、ああ、大丈夫だ」

 

こんな調子で戦えるのだろうか…。

由紀を守れるのだろうか…。

みんなを守れるのだろうか…。

様々な不安が顔に出てしまっていたらしく、由紀が心配そうに問う。

胡桃はすぐに笑顔で答えたが、正直なところ"大丈夫"ではない…。

 

 

胡桃(あたし、どうなるのかな……)

 

急に意識が遠のいたり、何でもないところで(つまず)いたり…身体の調子がおかしいのは今に始まった事ではない。が、今朝になってからは特に酷い…。シャベルを持つ手にいくら力を込めようと手応えを感じられないし、なんだか歩くのすら…立っているのすら辛くなってきた。

 

 

胡桃(もう、だめなのか…?)

 

身体の具合は明らかに良くない方向へと向かっている…。

最低でもあと数ヶ月は……いや、数週間くらいはみんなと一緒にいられると思っていたが、このままではたったの数日すら持ちそうにない…。気付けば頭の中はまたしても嫌なイメージでいっぱいになり、胡桃の顔は少しずつ青ざめていく。

 

 

由紀「ねぇ、本当に大丈夫なの?顔色悪いよ…」

 

胡桃「…わるい、心配かけたな。大丈夫…大丈夫だ…」

 

気遣ってくれた由紀に精一杯の笑顔を返すが、由紀は意外と鋭い娘だ…。

きっと、この笑顔がただの強がりだとバレているだろう。胡桃はそんな笑顔を浮かべたままゆっくりと歩き出して山道を進むが、ほんの数歩進んだだけで足がもつれて転びそうになる。

 

 

胡桃(っ……うわ、ほんとにヤバいかも……)

 

すぐに体勢を立て直し、隣を歩く由紀に悟られないように上手く歩を進めていくが、足が度々もつれてしまう…。ただゆっくりと歩いているだけなのに、それが辛くて仕方ない。

 

今の自分ではもう、前のように走ることなんて出来ないだろう…。

胡桃がそれを悟って顔を俯けたその時、こちらへと迎えに来ていた悠里達と合流する事が出来た。見たところ、彼や穂村も一緒だ。

 

 

悠里「あら、ちょうど出てきたところだった?」

 

由紀「うんっ!のんびり温まってきたよ~」

 

悠里「ふふっ、なら良かったわ」

 

悠里と言葉を交わした由紀はそのままトコトコと歩き、穂村の前に立つ。そうしてから大きな瞳を細めてニヤニヤと笑い、穂村の肩を指先でツンツンと小突いた。

 

 

由紀「ほむさ~ん、覗きしようとしたでしょ~?そういう事しちゃダメなんだよ~?」

 

穂村「あー、分かった分かった。もうしないって」

 

真冬「ウソだ……絶対にまたやる…。穂村はそういうヤツ…」

 

ジトーッとした真冬の視線を受けた途端、穂村は慌てて目線を空へと向ける。よく見るとその額からは冷や汗が流れており、この男がどれだけ反省していないかがよく分かった。

 

 

美紀「あの…少しでも長生きしたいのなら、もうそういうのはやめるべきかと…。このままだと、次は本当に殺されちゃいますよ?その…真冬に…」

 

穂村「……あぁ、そうだな。その可能性は高いよなぁ…」

 

真冬「大丈夫、痛くしない…。一瞬で楽にしてあげる…」

 

ニヤニヤと微笑みながら放たれたその言葉は、真冬なりの冗談なのだろうか…。恐らくそうだとは思うが、彼女が穂村に対してそういう事を言うと少なからず本気にも思えてしまう。真冬の笑みから逃げるように目線を逸らし続ける穂村と、そんな穂村をイタズラに見つめ続ける真冬……。それを見ていた一行は楽しげに笑みを浮かべたが、胡桃だけは顔を俯けたまま、そっと彼の手を掴んだ。

 

 

 

胡桃「あっ…忘れ物した…。おい、ちょっとついてきてくれるか?」

 

「えっ?ああ、別にいいけど…」

 

その返事を聞いた途端、胡桃は彼を連れて来た道を引き返そうとする。

 

 

悠里「忘れ物って…温泉に?」

 

胡桃「……うん」

 

美紀「なら、私達も一緒に――――」

 

胡桃「大丈夫、すぐ済むから…。コイツだけいてくれれば良い。みんなは先に行っててくれよ、すぐに追い付くから」

 

まだ温泉からは全然離れていないので全員で向かうのも容易なのだが、胡桃はそれを拒み続ける…。彼の手を掴んだまま背を向け、悠里達には『大丈夫』『すぐに済むから…』とだけ言い続けた。

 

 

悠里「じゃあ、先に行ってるわよ?」

 

胡桃「…うん、そうしてくれると助かる」

 

渋々ながらもそれを了承した悠里に背を向けたまま礼を告げ、胡桃は進む…。しかしその直前にチラッとだけ由紀の方を見つめると、そのままニコッと笑みを浮かべて口を開く。

 

 

胡桃「由紀、さっきはありがとな」

 

由紀「…えっ?」

 

放たれた言葉はとても小さな声で、由紀はそれを聞き取れない…。

胡桃はその言葉を改めて告げ直す事はせずに再び背を向けてしまい、そのまま彼と二人きりで温泉方向へと戻っていく…。ついさっき由紀と二人で歩いたばかりの山道をのんびりと歩き、幾らか経ったあとで後ろを振り向くと、もう悠里達の姿は見えなくなっていた。その瞬間、胡桃は歩みを止めて彼と向かい合う…。

 

 

「ん?どうした?」

 

急に歩みを止めた事を疑問に思い、彼は胡桃の顔を見る。

彼女の表情はやけに暗く、何か良くない事があったのはすぐに分かったが、直後…胡桃は彼が更に戸惑い、驚くような発言をしていく。

 

 

胡桃「なぁ…今、ここであたしを殺してほしいって言ったら…困るか?」

 

弱々しい笑みを浮かべながら、ハッキリそう告げた…。

彼の目を真っ直ぐに見つめ、その目が驚きに染まるのをしっかりと感じながら、胡桃は更に言葉を放ち続ける。

 

 

胡桃「身体の様子がおかしい…。力が上手く入らないし、歩くのも辛いんだ…。ついこの前までは平気だったのに、ここ最近になって一気に悪くなってきてる。このままだと多分もうすぐ、あたしは……」

 

そう言えば、悠里達と別れてここに来るまでの間、胡桃はやけにのんびりと歩いていた。あれはわざとのんびり歩いていたのではなく、そのくらいのペースじゃないと辛かったからなのだろう…。彼女がそうして弱っていく様を……辛そうな表情を見ているのは異様な程に苦しいが、彼は微笑みを浮かべて彼女を元気付けていく。

 

 

「大丈夫、そうなる前に治るよ」

 

胡桃「……本当に…そう思うか…?」

 

「ああ、絶対に大丈夫」

 

正直、その言葉には何の保証も無い。

柳が薬を作るよりも先に、胡桃の身が持たなくなってしまう可能性だってある。…が、彼は胡桃が無事に治る事を信じた。『絶対に大丈夫』という言葉を彼女に……そして自分に言い聞かせるように放って。

 

 

胡桃「身体の調子が悪いって事はさっき、由紀にも言ったんだ…。そしたら、由紀もお前と同じことを言ってくれた。あたしなら、絶対に大丈夫だって……。あたしだって、その言葉を信じてずっとお前達のそばにいたいって思ってる。お別れなんて、辛いから……」

 

胡桃の声が、だんだんと小さな震え声に変わる…。

皆とお別れする事を…自分一人だけがいなくなる事を想像すると辛くて、寂しくて、悲しくて、怖いのだろう…。

 

 

胡桃「けどさ、さっき気付いた…。お別れすることよりも辛い事があるんだよ…。このままみんなと一緒にいたとして、あたしは前ほど役には立てない。それどころか、ただの足手まといになると思う…。あたしのせいでみんなを危険に晒す事だってあるかも知れないし、もしかしたら…あたし自身がみんなを傷付ける事だってあるかも知れない…」

 

この調子だと数日後にはゆっくり歩く事すらままならなくなり、当然ながら戦う事すら出来なくなる…。そうして皆の足を引っ張るのも心苦しいが、一番心配なのは自分がその内"かれら"のようになり、大切な誰かを傷付けてしまうのでは、という事だ。それは胡桃にとって、お別れよりも辛い事…。

 

 

胡桃「由紀を……みんなを傷付けてしまうくらいなら、ここでお別れした方がずっと良い…。大切な誰かを巻き込むくらいなら、あたし一人で死んだ方がずっと良いと思う…。だから、さ……もう、ここであたしを殺すか、置いていくってのも一つの手じゃないか?みんなには…何か適当に言い訳してさ……」

 

胡桃は"かれら"に襲われてしまった…。山道を転げ落ちてしまった…。

『そんな事を言って誤魔化せば良い』と胡桃は笑うが、彼は首を横に振る。胡桃をここで殺すつもりなんて無いし、置いていくつもりも全くと言って良いほどに無い。大体、そんな事を言ったところで由紀達は納得しないだろう。

 

 

「…バカな事を言ってないで、もう戻ろう」

 

忘れ物をした…というのはこれを伝える為の嘘だったに違いない。彼は胡桃の手を掴んで皆の元へ戻ろうとするが、その手はそっと振り払われた。

 

 

胡桃「これ以上、みんなと一緒にいていいのか分からない…。無事に治ってくれたら良いけど、もし治らなかったら…あたしはただ、お前らに迷惑をかけるだけだぞ?」

 

自分の身体に起きている異変にかなり焦っているのか、胡桃の視線は落ち着きなく泳ぎ、涙が溜まってきている…。それだけ悩み、苦しんでいるのだろう…。

 

彼女の辛そうな顔を見ていると胸がズキズキとして、こっちまで苦しくなる…。彼はそれを抑えるべく、胡桃の気持ちを少しでも楽にするべく、そばへと寄って声をかける。

 

 

「迷惑なんかじゃない…。胡桃ちゃんがどうなろうと、それを迷惑だなんて思わないから、だから…ずっと一緒にいよう」

 

胡桃「っ……あ……」

 

どんな事になろうと、ずっとそばにいて欲しい…。

言葉だけじゃその思いを伝えきれない気がして、彼は胡桃を抱き締める。

両手をしっかりと背に回し、ギュッと抱き締めた彼女の身体はヒンヤリとして冷たくもあったが、こうすると心が落ち着いた。

 

 

「辛いと思うけど、怖いと思うけど、もう少しだけ頑張ろう…。胡桃ちゃんなら……胡桃なら、絶対に大丈夫だよ…」

 

胡桃「………」

 

胡桃は何も言わないでいたが、少しすると静かに腕を上げ、彼の事を抱き返す…。そしてその胸に顔を埋めると微かな間だけ肩を震わせ、それが終わるとゆっくりと顔を上げた。

 

 

胡桃「…分かった、もう少しがんばるよ…」

 

向けられた微笑みは弱々しく、瞳からは涙が溢れかけている…。

出来ることなら、胡桃にこんな顔をさせたくはない…。彼女には何時だって笑っていて欲しいが、今はこれが精一杯だ…。

 

 

胡桃「…じゃ、戻るか?」

 

「ああ、そうしよう…」

 

胡桃の頭をそっと撫で、皆の元へと向かう…。

彼女は今にも泣き出してしまいそうな顔をしていたが、それも少しずつ落ち着いていくのが分かった。…ただ、山道を歩くその足取りは少しおぼつかない。やはり、身体の調子が悪いのだろう。彼は胡桃の前に身を置くと、その場に屈んで背中を差し出す。

 

 

「…よし、乗って」

 

胡桃「えっ?い、いや…そこまでしてもらわなくても良いって!確かに少しだけ辛いけどさ、一応、歩けない訳ではないし……」

 

「転んだりしたら危ないだろ。大丈夫だから、ほら」

 

胡桃「ん、んん……じゃあ、乗せてもらおうかな…」

 

人に背負ってもらうなんて、何時ぶりだろう…。

しかも彼のような同い年の男の子に背負われるとあっては少しばかり恥ずかしいが、胡桃はゆっくりとその背中に身を寄せ、肩に両手を回していく。

 

 

「よし、行くか…」

 

胡桃「あの…重かったら降ろして良いからな?」

 

「平気だよ」

 

彼は胡桃の太ももに両手を添えてその身をしっかりと背負い、静かに立ち上がってから歩き出す…。不安定な山道で、シャベルやら荷物やらを持った女の子を背負うのは色々と大変だろうが、彼は嫌な顔一つしない。ここで『重い』なんて言われたら少し傷付くが、逆に『平気だ』と言われると何だか嬉しくなってしまい、胡桃は背に身を寄せたまま頬を緩める。

 

 

胡桃「……あ、そう言えば、お前や穂村さんは温泉入んないのか?」

 

「ああ、今回はいいや。あの人も覗きに失敗して落ち込んでて、それどころじゃないみたいだし…僕もそんな気分じゃない。…あ、胡桃ちゃんが一緒に入ってくれるなら、喜んで入るけど?」

 

胡桃「…ばーか、無理に決まってるだろ、そんなの」

 

彼は前を向きながら歩いているので胡桃がどんな表情をしているのか分からなかったが、耳元から聞こえたクスクスという笑い声で彼女が楽しんでくれているのは分かった。さっきまではかなり辛そうだったが、今は冗談を楽しむ余裕が出来たらしい。

 

 

胡桃「でも、そうだな…。裸で入るのは無理だけど、水着とか着た状態でなら一緒に入ってやっても良いぞ」

 

「おおっ、本当?それは楽しみだ」

 

胡桃「ま、今度ここに来るのが何時になるか分からないけど…せいぜい楽しみにしててくれ。あっ…水着といえば、またみんなと一緒に川遊びとかしたいなぁ」

 

「良いね。…そう言えば、胡桃ちゃん知ってた?柳さんの屋敷、裏の方にプールがあるんだってさ」

 

胡桃「マジ?じゃあわざわざ川なんて行かなくても、そこで安全に遊べるじゃん」

 

「まぁ、全然使ってないからかなり汚れてるらしいし、先に掃除する必要があるけどね…。また今度、みんなで掃除しようか?」

 

胡桃「んん、そうだな。しっかり掃除して、綺麗にして、みんなで遊ぼう…。ん~、となると、また新しい水着が欲しいな。探しに行かないと…」

 

「そうだね。出来るなら、セクシーなヤツを着て欲しいかな」

 

胡桃「悪いな、リクエストは受け付けてないんだ」

 

胡桃は彼の頬をペシッと叩き、また楽しげに笑う。

やはり、彼女は暗い顔をしているよりも笑顔の方が良い…。

これから先も、彼女には笑顔でいてもらいたい…。

 

 

「たしか胡桃ちゃんは…可愛いお嫁さんになるのが夢だったよね…。なら、少なくともその夢を叶えるまでは頑張ろう」

 

胡桃「ま、まぁ……そういうのに憧れはあるけど、少し難しくないか?その…こんな世界だと、中々相手がいないし…」

 

「…ま、どうにかなるでしょ。胡桃ちゃんなら、その内良い相手を見付けられるよ」

 

胡桃「…………んん」

 

またほんの少しだけ、胡桃の表情が暗くなる…。

この時、胡桃は心のどこかである言葉を期待していた…。

冗談でも良いから、彼が自分の相手に名乗り出てくれたら嬉しいのにな…と、ほんのちょっぴりだけ期待を…。

 

 

胡桃「はぁぁ……なんか、色々と大変な世界だよなぁ…」

 

「…ああ。これが映画やゲームの世界ならもう少し楽に進むんだろうけど、現実は…この世界はそこまで甘くない」

 

胡桃はもちろん、由紀達全員とはこれからもずっと一緒にいたい。

その気持ちは確かなものだが、彼らの生きるこの世界はとても過酷な世界だ。一日一日をただ生き延びるだけでも苦労する、先の見えない世界…。例えば一年後、皆の内の誰かを失っていても不思議ではないし、明日…誰かを失う可能性だってある。ここは、そういう世界…。むしろ、これまで生き延びてこられただけでも幸運なくらいだ。

 

 

「けど、精一杯頑張ろう…」

 

胡桃「…うん、がんばるか」

 

胡桃は…彼女達は、みんな良い娘だ…。

だからこそ、全員幸せになって欲しい…。

彼女達が幸せになる為なら、どんな事だってする。必要なら、自身の命だって捨ててみせよう…。これから先も皆を守り抜こうと彼が改めて決意した時、その背に乗っていた胡桃は彼の頬を指先でツンと小突く。

 

 

胡桃「そう言えば、お前には夢とかあるのか?」

 

「夢?…あ~…そうだな……まぁ、みんなが幸せになってくれれば良い」

 

彼女達が幸せになる事こそ、自分の夢だ…。それ以外は特に夢という夢は無いのだが、胡桃はその答えに納得せずため息を放つ。

 

 

胡桃「つまらないヤツだなぁ…」

 

「ああ、はいはい。じゃ、みんなのヒーローになるのを夢にしよう」

 

胡桃「あははっ、それは良い夢だな」

 

冗談混じりにそう言うと、胡桃が楽しそうに笑った。

適当に考えた夢だが、これもそう悪くないのかも知れない…。

 

彼と胡桃は夢の事やこれからの事を語り合いながら山道を下り、町へと向かう…。幸いな事に"かれら"と会わずに由紀達と合流する事が出来たが、胡桃を背負いながら現れた彼に対して皆が何の反応も示さないハズも無く……

 

 

美紀「せ、先輩達…何してるんですか?」

 

胡桃「これは…その……おいっ、もう降ろせっ!」

 

「あ、あぁ…分かったよ」

 

彼はただ、胡桃の身体を気遣って背負っていたのだが、この場にいる皆はそれを知らない…。皆からするとただ、彼と胡桃がイチャイチャしていただけに見えたらしく、美紀は何とも言えない気まずそうな表情を…。悠里はニヤニヤとした笑みを…。由紀と真冬はそれとなく事情を察してくれていたようだが、穂村はやはり大人しくしていてくれない。

 

 

穂村「おいおい、やけに仲良しだな?忘れ物した~とか言ってたけど、あれはコイツとイチャイチャする為の口実だったのか~?」

 

胡桃「っ!ち、違うっ!!そんなわけないだろっ!」

 

穂村「どうかな…。胡桃、顔真っ赤だぞ~?」

 

胡桃「~~っっ!!あたしっ、アンタのこと嫌いだっ!!!」

 

彼の背から降りた胡桃は真っ赤な顔をして穂村を突き飛ばそうとするが、その手はあっさりと避けられてしまう。この時、然り気無く真冬も『ボクも穂村が嫌い…』と呟いていたが、その言葉を聞いていたのは彼女のすぐ隣にいた美紀だけだ…。

 

穂村はその後も胡桃の手をヘラヘラした表情のまま避け続けるが、丁度良いタイミングで合流してきた圭一が横に現れ、邪魔だと言わんばかりにその身を突き飛ばす…。穂村はそのまま体勢を崩して地面に倒れたが、圭一は穂村の恨めしそうな視線を気にもせず胡桃を見つめた。

 

 

圭一「お前、動きがおかしいぞ」

 

胡桃「えっ?あ、ああ…その…ちょっと調子悪くて…」

 

圭一「…そうか、じゃあこのまま屋敷へと戻ろう。ここには大した物は何も無いようだし、長居は無用だ」

 

本当はもう少しだけのんびりとする予定だったが、胡桃の身体に異変が起きているのなら仕方がない…。胡桃の不調を知った悠里達は慌てた様子で彼女に手を貸し、自分達の車へと乗り込んだ。

 

 

 

 




身体だけでなく心まで弱りだしてしまっていた胡桃ちゃんですが、どうにか持ち直したようですね。これから先も様々な困難が待ち受けていると思いますが、胡桃ちゃんはもちろん、他のみんなも幸せな時間を過ごしていって欲しいものです…。

次回は一行が屋敷へ戻ったところから始まりますので、ご期待下さいませ。



…と、今回は久しぶりにイラストを描いてみました。
温泉に入っている最中…というか、身体を洗っている最中の真冬ちゃんを描いたものとなっています!今回の温泉編はドキドキ成分控え目なものになってしまったので、この真冬ちゃんで少しでもドキドキしてもらえたらと思いますが、絵はまだ勉強途中なのであんまりかも…(^_^;)




【挿絵表示】




久しぶりの真冬ちゃん…いかがだったでしょうか?
ちょいとセクシーなシーンにしたので、ドキドキしてもらえたら嬉しいです♪これが、穂村や彼の見たかった光景の一部なのでしょうな…。
こんなイラストが皆さんに見られたと知ったら真冬ちゃんは恥ずかしさのあまり気絶してしまうかも知れませんし、『ちょっとやり過ぎかなぁ…』とも思いましたが、肝心な所は見えていないのでセーフ!!…かな?

では、また次回~。
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