この二人だけでなく、学園生活部のみんなもどんどん書いていきたいので、出来るだけテンポ良く進めていきたい…!
由紀達が大学へと出発したその日の夜、彼と真冬、柳と圭一は四人で簡単な夕食を済ませていた。普段は少し騒がしいこの時間も由紀達がいないだけで一気に静かになってどこか物足りないと感じる彼だったが、少しの間の辛抱だと思って我慢する。あと数日もすれば…それぞれが自分の仕事を無事に終えられれば、またいつも通りの毎日がやって来るのだ。
柳「そう言えば、さっき穂村君から連絡が入ったよ」
夕食を終えて一息ついていると、柳がそんな報告をする。
穂村は真冬に渡された無線機を持っていった為、それで柳に連絡をしたのだろう…。彼も真冬も、柳の言葉に耳を傾けた。皆は無事だろうか……怪我などしていないだろうか…。
柳「そんな心配そうな顔をしなくても大丈夫、みんな無事だそうだ」
「…そりゃ良かった。で、その大学には何かあったんですかね?」
柳「狭山君が言っていた通り、数名の生存者がいたらしい。が、その生存者らの間にはちょっとした派閥があるらしく、大学に入って早々片方のグループに襲われたらしいが………まぁ、穂村君もいたし、そこはどうにかなったらしい。彼女らはその後、襲ってきたグループから逃れてもう一方のグループ……比較的協力的な方のグループと合流して多少は仲良くやっているようだ」
「怪我とか…してないですよね?」
柳「ああ、穂村君はみんな無事だと言っていたよ」
生存者がいるらしいというのは聞いていたが、いきなり襲われてしまうのは少し予想外だった…。何はともあれ、皆が無事と聞いて一安心した彼は改めて柳と向き合う。
「みんなが合流したグループの人らは信頼出来るんですかね…」
真冬「その連中について、穂村は何か言ってた?」
柳「とりあえず、彼女らが合流した穏健派のグループには女性しかいないそうだ。『りーさん程じゃないにせよ、そこそこ可愛い女の子もいるぜ!』…と、穂村君ははしゃいでいたよ」
そんな情報は、別にいらないのだが…。
彼と真冬はほぼ同時に呆れた表情を浮かべ、不安げにため息を放つ。
柳「まあまあ、穂村君だってただのバカじゃない。穏健派の中に怪しい動きをしてる者がいたら気付くだろうし、仮にもう一方のグループが襲撃してきてもみんなを守りきれる筈だ」
「だと良いんだけど……」
真冬「どうにも不安なんだよね…」
圭一「…なら、穂村に命令してやれば良い。
最初に襲いかかってきた方のグループの連中全員を始末しろとな」
ここまで黙っていた圭一が静かにそう告げる。実際にそうしたら由紀達の身の安全はより確かなものになるだろうが…
柳「それは…少し難しいかも知れないね。最初に襲われた際、穂村君はすぐに反撃して相手を仕留めようとしたらしいが丈槍君や若狭君に制止されて踏みとどまったらしい。彼女らはあまり争い事を好まないようだから、当然と言えば当然だね…」
圭一「…つまり、向こうから余程の攻撃をされない限りは守りに徹するつもりでいるって事か」
柳「そういう事になるね。まぁ、彼女らの命に関わるような事態になれば穂村君も本気になってくれるだろう。あまりにも危険そうな雰囲気になってきたら帰ってくるようにと伝えてある。だからきっと大丈夫さ」
何にせよ、今はみんなが無事でいられる事を祈るしかない…。
不安な気持ちを抱える彼と真冬……二人に出発の命令が出たのは、由紀達が出発してから二日後の昼を過ぎた辺りの事だった。
柳「さて、待たせたね。色々と確認が出来たので可能ならあの学校に行ってきて欲しいのだが、大丈夫かな?」
「ああ、大丈夫ですよ」
真冬「…で、ボクらは何してくれば良いの?」
真冬が尋ねると、柳は用意していたカバンを彼女に渡す。
小さ過ぎず大き過ぎない、普通のカバンだ。
柳「その中にメモが入ってるから、そこに書かれている物を取ってきてくれれば良い。君らにとっては簡単な仕事だと思うし、すぐに終わると思う。けど、油断はしないようにね」
真冬「…分かった。行ってくる」
彼と真冬は軽い支度だけをしてから庭へと出ていくと、柳と圭一も同じ様に庭へと出てくる。どうやらこの二人も今から外へ出掛けるつもりらしい。
「ええっと、お二人さんが向かうのはランダルだったっけ?」
真冬「そうだね…。で、ボクらが向かうのは巡ヶ丘学院高等学校…つまり、由紀達が過ごしていた学校…」
由紀達が通い、そして暮らしていた学校…。
話には聞いていたが、実際に向かうのは初めてだ。
彼と真冬は庭先にあるガレージへ向かうと穂村が使っていたボロボロの車へと乗り込み、そして柳と圭一は柳が所有していた車へと乗り込む。穂村が使っていた車は所々ヘコんでいたり傷があったりしてみずぼらしいが、柳の車には目立つ傷も無く、いかにも高級車という感じがした。
真冬「…あ、キミって車の運転出来る?」
「いや、そういうのはどうにも苦手で…。
もし出来るのなら、真冬がやってくれると有り難いかな」
真冬「そう………分かった。別に良いよ」
運転が苦手な彼は助手席に座り、真冬は運転席へと座る。
彼と真冬を乗せた車、そして柳と圭一を乗せた車はほぼ同時に屋敷を出ていくと、それぞれの目的地を目指して街の中を走り出した…。