軌跡〜ひとりからみんなへ〜   作:チモシー

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せっかくなら今年もやりたいと思って、大急ぎで仕上げました。
一応本編世界が舞台のクリスマス回となっています!
のんびりとお楽しみ下さいませm(_ _)m


クリスマス回(2020)(☆)

 

 

由紀「ねぇりーさん、あと少しするとクリスマスだよね?」

 

ある日のこと、由紀がニコニコと微笑みながら尋ねてくる。確かに彼女の言う通り、クリスマスは一週間後にまで迫っていた。

 

悠里「そうね。せっかくだから何か少し、お祝いみたいなのを出来れば良いのだけど…」

 

簡単な飾り付けとかをしたり、食事を少し豪華な感じにしたりすれば、多少は雰囲気も出るだろうか…。悠里があれこれ考えていると、由紀は何か意味ありげに『ふふふ…』と笑う。

 

悠里「もしかして…何か計画でもあるの?」

 

由紀「うんっ♪…けど、その為には色々準備したりしないといけなくて…。わたし一人だと無理だと思うから、みんなも手伝ってくれるかな?」

 

悠里「由紀ちゃんのお願いならみんな断らないと思うけど……みんなって?」

 

由紀「ええっとね、わたしと、りーさんに…みーくんと胡桃ちゃん!あと、真冬ちゃんにもお願いしたいなぁ」

 

つまり、女性陣全員…ということか。

他の者はともかく、彼に力を借りない理由は何かあるのだろうか?気になった悠里がそれを尋ねると、由紀はほんの少しだけ照れたように頬を染める。

 

 

由紀「あの…ね。今年はさ、彼にいっぱいお世話になったから、わたし達でお礼がしたいな〜って…そう思ったんだけど……」

 

悠里「…なるほどね。うんっ、良いんじゃないかしら♪」

 

悠里が笑顔で答えると、由紀も嬉しそうに笑う。

二人はその後、美紀と胡桃と真冬を呼んで共にあれこれと計画を練ったり、残りの期間で必要な物を集めに回った…。今回の計画を話した時、美紀と真冬はすぐに自分らも手伝うと言ってくれたし、胡桃も何だかんだで了承してくれた。みんな、多かれ少なかれ彼に感謝しているのだろう。準備は順調に進み、そして一週間の時が流れた………。

 

 

 

 

 

――――――

 

由紀「メリークリスマ〜ス!!」

 

迎えたクリスマス当日、由紀はジュースの入ったグラス片手にパーティーを楽しんで騒ぐ。彼女のいる部屋は壁にクリスマスリースがかけてあったり、机の上に小さなツリーの置物があったりして飾り付けもバッチリ。また、いつもより少し豪華に思える食事もテーブルに並んでいたりして結構ちゃんとしたパーティーっぽくなっているのだが、部屋にいるのは由紀と彼だけ…。しかし由紀は大して気にする様子もなく、真っ赤なサンタ風の衣装を身に着けて楽しげにはしゃいでいる。

 

「ええっと、他のみんなは?」

 

由紀「ふふふ…あとから来るよ〜♪

多分、準備に時間がかかってるのかな?」

 

「……準備?」

 

見たところ飾り付けも、食事の用意も終わっている。

これ以上何の準備をするのだろう?

彼がそんな事を思っていたその時、部屋のドアが開いた。

 

 

悠里「待たせてごめんなさい。

どれが誰のか分からなくなっちゃって…」

 

そう言い放つ悠里は由紀と似たような衣装を…サンタ風の服を着ていた。ワンピースタイプのその衣装は鮮やかな赤と白のモフモフが可愛らしいが、悠里が着ると胸の谷間が強調されていてやたらとセクシーだ。

 

「おお……!」

 

魅惑的な谷間に見惚れていると、悠里に続いて胡桃、美紀、そして真冬が部屋に入る。皆、サンタ風の衣装を着ていた。皆が着てる衣装はどれもほぼ同じデザイン…違いと言ったらサイズくらいなのだろうが、着てる女の子によってタイプがかなり違うものに見える。同じ衣装でも美紀や真冬のはどこかクールな感じに見えるし、胡桃は悠里程では無いにせよ谷間が見えていてセクシーな感じだ…。

 

「うん、素晴らしいな…」

 

由紀「ね!言ったでしょ?彼はこういうの好きだって♪」

 

美紀「ですね。由紀先輩の言った通りでした」

 

会話から察するに、皆がサンタ服を着ているのは由紀の提案らしい。…もっとも、由紀はただこういう格好をすればパーティーっぽさ、クリスマスっぽさが増して彼も喜ぶのではと考えたたけで、彼がそれぞれの胸元やミニスカートから伸びる太ももを見ている事には気付いていない。

 

 

真冬「なんか…目がやらしい……」

 

「失礼だな。そんな事はない」

 

と言いつつ、目の前を歩く胡桃を眺める…。

綺麗な肩や鎖骨の辺りを見て、胸元を見る…。彼女が歩く毎に小さく揺れる胸の谷間はとても魅力的で、少し触ってみたいな〜とか、あの服を下に引っ張ったら胸がポロリするのかな〜とか、どうしようもない事ばかりを考えてしまう。

 

 

由紀「えへへ、どうかな?みんなの服、かわいいでしょ♪」

 

「ああ、凄く可愛い…!」

 

ほんの少し興奮気味に答え、彼は適当な料理を手に取る。

こんな可愛い格好をした彼女らとパーティーが出来るのなら、これからは毎日クリスマスになって欲しいと願う程だ。

 

悠里「今回のパーティーは由紀ちゃんが計画したの。

…でね、私達みんな、あなたにはこれまでお世話になってきたから、このパーティーの最中に少しずつお返しをしようと思ってるのよ」

 

「お返し?…それって、どんな?」

 

正直言って、期待せずにはいられない…。

彼は期待に胸を高鳴らせ、その隣に立つ悠里はニヤリと笑う。

彼女は数秒間何も言わずに微笑み続けると、やがて彼が手にしていた料理皿をひったくり、その上に乗っていたウインナーをフォークで刺してから彼の口の前へと運んだ。

 

 

悠里「はい、あ〜ん♪」

 

「…え?あ、あぁ………あ〜ん……」

 

差し出されたウインナーをパクリと食べ、ゴクリと飲み込む。その後、悠里は皿とフォークを彼に返してからまたニヤニヤと微笑み、彼の顔を覗き込んだ。

 

「…お返しって、今のですか?」

 

悠里「ええ、そうだけど……不満だったかしら?」

 

「いや……」

 

不満かどうかと聞かれれば、そんな事はない…。

悠里のような美少女に“あ〜ん”をしてもらえたのだから、むしろ嬉しいくらいだ。…しかし、お返しという響きがちょっぴり意味深に聞こえてしまい、彼はもう少しだけ過激なものを期待していたりもした…。

 

 

美紀「すいません。本当は何かプレゼントでも…と思ったのですが、先輩の欲しい物が分からなくて。……はい先輩、あ〜ん」

 

美紀は事情を話しつつ、彼の前に食べ物を突き出す。彼はそれをありがたく頂戴した後、口をモグモグと動かしながら苦笑した。…まさか、全員がこの“あ〜ん”をやるつもりなのだろうか?一人一人が別のお返しをする訳ではなく、全員が同じ事を…“あ〜ん”をお返しとしてやるつもりなのだろうか?

 

(……まぁ、良いけどね。少しドキッとするし)

 

ただ、美紀の“あ〜ん”はあまりにも事務的というか、機械的というか、クールな感じだった…。もう少し感情を込めて、照れた感じでやってくれるとドキドキ出来るのだが、やってくれただけで充分なので贅沢は言えない。

 

 

真冬「じゃあ、次はボクが………」

 

「あ、少しドキッとくる感じでやれる?」

 

贅沢は言えない……そう思っていたのに、つい口に出してしまった…。真冬はフォークを持ったまま露骨に嫌そうな顔をして半歩下がっており、彼は冷や汗を流す。

 

「…調子に乗りました。申し訳無い…」

 

真冬「う、うん………」

 

真冬は気にしないで…と言うように手を振っていたが、結局、“あ〜ん”すらやらぬまま下がってしまう。彼はつい最近気付いたのだが、真冬は人一倍恥ずかしがり屋な娘のようだ。そんな彼女に対して『ドキッとくる感じであ〜んをして』なんて言ったら、まぁ逃げられるのが当然だろう。そうして真冬が下がっていく一方、胡桃はため息混じりに彼へと近付き、呆れ顔を見せた。

 

胡桃「お前なぁ、せっかく真冬が頑張ってんのに……」

 

胡桃は言いながらフォークを持ち、皿に盛られていた肉を刺す。

自分で食べるのかと思ったが、彼女はそれを彼の方へと向けた。どうやら、今度は胡桃の番らしい…。けど、説教と一緒にこんな事をされてもドキドキなんて出来る訳がない。せめて説教のあとにやって欲しいと思った彼は咄嗟に横を向いて顔を逸らしたのだが、その際、胡桃が持つフォークに刺さっていた肉がポトリと床へ落ちてしまった。

 

胡桃「あちゃ〜、勿体ないなぁ…」

 

「あ、ごめんごめん」

 

彼がその場に屈んで肉を拾おうとするが、胡桃はそれを手で制して自分がしゃがむ。物を食べさせてやるのは失敗したが、その代わりに片付けくらいはやってやろうと思ったのだろう…。

 

 

胡桃「カーペットにソースがついちゃったな…。

美紀わるい、ティッシュあるか?」

 

美紀「ええっと、はい、どうぞです」

 

胡桃「サンキュー。…っと、落ちるかな、これ」

 

カーペットに出来たシミが広がらぬよう、胡桃は丁寧にソースを拭く。彼は目の前でその様子を見守っていたのだが………

 

 

「…………っ!!?」

 

その時、凄い事に気が付いた…。

胡桃はカーペットを拭くのに集中しているあまり気付いていないようだが、その場に足を曲げてしゃがんでいるせいで彼の方からはミニスカートの中が見ている…。カーペットをポンポンと叩くように拭く度に彼女の足と足の間に微かな隙間が開き、薄緑色のショーツがチラチラと見えていた。

 

「ん!んん…………」

 

申し訳無いと思ってはいるが、目を離せない…。

もう少し足を開いてくれれば、この部屋のライトがあともう一段階明るければ、あのショーツがよりハッキリと見れるのに…。彼が目を大きく開いてそこを見つめ続ける中、胡桃がカーペットを拭き終えそうになったその時……

 

真冬「…胡桃、その……足、閉じた方が良い」

 

胡桃「へっ?」

 

彼のそばにいた真冬もそれに気付いていたらしく、言いづらそうに注意する。それを聞いた胡桃は自分の下半身に目を向けると大慌てでスカートを押さえて足を閉じたが、次の瞬間、自分のすぐ目の前……つまり、さっきまでスカートの中が見えていたであろう位置に彼が立っている事に改めて気が付き、顔を真っ赤にした。

 

胡桃「っっ…!!み、見てない…よな?」

 

「ん?あ、ああ。もちろん見てな―――」

 

真冬「彼、ずっと見てたよ…。

だから胡桃に教えてあげようと思って注意したんだもん…」

 

「!!?!」

 

咄嗟に嘘をつこうとしたが、真冬によって逃げ場が無くなる。

胡桃は赤面したままゆっくり立ち上がると微かに潤んだ瞳で彼を強く睨み付け、先端に肉の刺さったフォークを逆手に持った。

 

 

胡桃「ほら、口開けろよ……。あ〜ん…してやるからさ…」

 

「いや……え、遠慮します……」

 

今の胡桃からは殺気が漏れている。

何の警戒もせずに『あ〜ん』なんて口を開けたら、勢いよくフォークを突っ込まれて舌を刺されそうだ。彼は一歩後ろに下がるが、胡桃はすかさず一歩前に出る。

 

胡桃「食べさせてやるって言ってんだ…逃げんなよ…」

 

「…ほんっとにごめん。謝るんで許して…」

 

胡桃「謝るって……何をだ?」

 

「その……パンツ見ちゃってごめんなさい……」

 

目を逸らし、恐る恐る謝る…。

まるで、親に怒られるのを恐れている子供のように…。彼は苦笑し、冷や汗を流しながら謝罪したが、彼の言葉を聞いた胡桃はまた顔を一層に赤らめた。

 

 

胡桃「やっぱり見てたんじゃねぇか!!!」

 

片手で彼の胸倉を掴み、片手でフォークを構える胡桃。

彼は困った表情を浮かべて周りの皆に助けを求めるが、由紀も美紀も悠里も真冬も、それぞれ料理を食べながら雑談を始めている。彼と胡桃の事など見えていないかのようだ。この調子だと、周りの助けは期待できない…。窮地に立った彼は半分開き直り、胡桃を見返す。

 

「でも、警戒心なく足開いてる胡桃ちゃんもどうかと思うね!

女の子なんだからさ、まずそういうところをキチンと―――」

 

胡桃「なっっ!!?お前に女の子がどうとか言われたくねぇよ!

それに、足だってそんな思い切り開いてた訳じゃないだろ!ほ、ほんの少〜し開いちゃってただけだ!それを覗く方が悪いに決まってんだろ!!」

 

「そう言われても、目の前に女の子がいて、スカートの中が見えそうになってたらついつい見ちゃうのが男ってヤツで―――」

 

胡桃「何開き直ってんだよ!変態っ!!」

 

言い合いは少しずつ白熱していくが、本気の喧嘩にはならない。胡桃も手に持ったフォークはあくまで構えるだけで、彼に振り下ろしたりはしそうにない。…まぁ、もし本気で振り下ろしたらそこそこの事件になるのだが。

 

 

悠里「ふふふ、賑やかねぇ」

 

美紀「大声で騒いでるのはあの二人だけですけどね……」

 

由紀「あっ、真冬ちゃん、このジュース飲んだ?

すごく美味しかったから飲んでみて!」

 

真冬「あ………うん。…ほんとだ、美味しい」

 

あの二人は喧嘩してるというより、ただじゃれてるだけ。

そう分かっているからこそ、由紀達は動じずにパーティーを楽しむ。少しすると彼と胡桃は何事も無かったかのようにパーティーに参加し、会話や食事を楽しんでいた。

 

由紀「また来年も、みんなでパーティーがしたいな…」

 

由紀はみんなの顔を見回してから、静かに呟く。また来年も、その翌年も、そのまた翌年も、みんな一緒に楽しい時間を過ごせますように…。

 

 

 

 

 

 

 




ここ最近の本編はシリアスな展開ばかり書いていたので、今回の番外編は書いていてとても楽しかった(*´ω`*)明るい話、好きなので…。


…と、今回は久しぶりに挿絵を描きました。
クリスマス仕様の真冬ちゃんですが、真冬ちゃんを描くのは凄く久しぶりなのでちょっとドキドキ…。少しでも可愛いと思ってもらえたら嬉しいです!!



【挿絵表示】



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