軌跡〜ひとりからみんなへ〜   作:チモシー

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またしても随分と更新が遅れてしまいました(汗)
申し訳ありません(-_-;)

次回は出来るだけ早く更新したいと思っております…(>_<)

少し駆け足気味に話を進めていこうと思っているので、あと三話ほどでこの外伝は一度終わります(`◇´)ゞ


六話『図書館の中へ』

 

 

 

 

 

穂村「…チッ、誰もいねぇじゃん」

 

扉から内部へと入った穂村・狭山・圭一の三人だが、だだっ広いそのフロアにあるのは無人のカウンターとボロボロのソファーだけで、あれだけいた敵は一人もいなかった…。

 

 

狭山「…みんな奥の方に隠れたんだよ」

 

圭一「俺達と真っ向から戦う気はないってわけだな…」

 

穂村「なんだそりゃ…たかが三人相手にビビりすぎだろ」

 

狭山「有馬さんはボク達がただの人間じゃないって気づいてるのかもね…。前に戦った時、穂村に圧倒されたから」

 

穂村「あ~…前の経験を活かしてる訳か…。賢いねぇ」

 

感心しているのか馬鹿にしているのか分からない笑みを浮かべて、穂村は奥へと進む。何の迷いもなく正面の道を行く穂村だったが、そばには二階へ上がる為の階段など、いくつかの分岐路があった。

 

 

狭山「穂村待って、そっちでいいの?」

 

穂村「あ?何が?」

 

穂村は立ち止まり、背後に立つ狭山の方へと振り返る。

狭山はそばにある階段や他の通路…それらを順に指さした。

 

 

狭山「この図書館かなり広いみたいだけど…そっちからでいいの?」

 

穂村「そりゃ…まずは正面の道から攻めた方が良いだろ…」

 

穂村が進もうとした通路は入り口から真っ直ぐに進んでいくものであり、恐らくはこの図書館の中心部に続いている。ならば、そこを叩くのが妥当だと穂村は考えた。

 

 

穂村「てかさ…狭山先生、音で敵の場所分かんないの?」

 

狭山「どうだろ……やってみる。静かにしててね」

 

集中時に聴力が増すという狭山の特技を使えば敵の場所も分かるのでは…。そんな事を思い、穂村がそれを提案する。狭山はすぐそれに同意し、瞳を閉じて集中し始めた。

 

 

 

狭山「…………」

 

穂村・圭一は彼女の邪魔にならないように口を閉じ、静かに結果を待つ…。以前に彼女がこれをやった時、穂村が大きなくしゃみをしてしまい死ぬほど怒られた。普段からかなり耳の良い狭山だが集中時にはより人間離れした聴力になる為、そばで騒がれると激しい頭痛に襲われるらしい…。

 

 

 

 

 

狭山「…話し声は聞こえないね」

 

少しすると狭山はその瞳を開き、二人へと告げた。

 

 

 

穂村「そりゃ残念…」

 

圭一「話し声以外の音は?」

 

圭一が尋ねると狭山は一つの通路へと視線を向ける。それは穂村が進もうとしてた通路だった。

 

 

狭山「足音みたいな音なら聞こえたよ。そっちからね」

 

穂村「ほれみろ!やっぱしこっちじゃん!」

 

誇らしげな表情をしながらそっちへと進もうとする穂村だったが、今度は二階へ続く階段を見つめて狭山が呟いた。

 

 

 

狭山「でも、二階からも少しだけ物音がしてたんだよね…」

 

圭一「そこらじゅうに隠れてるってことかね…」

 

穂村「じゃあバラけて潰していこうぜ!その方が手っ取り早いし!」

 

穂村がヘラヘラしながらそう提案する。

圭一と狭山はその提案に乗るべきか少しだけ考えた後、二人揃って静かに頷いた。

 

 

 

狭山「もう夜になるし、あまり時間もかけられない…。分かれて手早く済ませよっか」

 

圭一「だな…。じゃあ俺は二階で」

 

狭山「…ボクはあっち」

 

圭一は二階へ続く階段へ…狭山は穂村が選んでいたのとは違う、一つの細い通路を選んでそこへと歩いていく。

 

 

穂村「んじゃ、俺はこっちか…。二人とも、がんばれよ~」

 

穂村は最初から向かう予定だった通路へと体を向け、それぞれの方向へと歩いていく二人へと一時の別れを告げた。すると二人は歩みを止め、穂村へと返事を返す。

 

 

 

圭一「ああ、そっちもな」

 

狭山「圭一さん、何かあったら連絡してね。出来るだけすぐ助けに行くから」

 

 

圭一「わかった、そっちもな」

 

狭山「…うん」

 

穂村「ピンチになったら連絡するから、助けに来てくれよ?」

 

狭山「嫌だ、穂村は助けない…」

 

穂村「なっ!?」

 

冷たく言い放ち、トコトコと進んでいく狭山…。

圭一は彼女の発言を聞いて少しおかしそうに鼻で笑い、階段を上っていく。少しすると二人の姿は見えなくなり、一人残された穂村は深いため息をついていた…。

 

 

 

 

穂村「はぁ…。本当に冷たい女だよなぁ~…。くそっ…そっちがピンチになっても助けてやんねぇからな…」

 

ブツブツ言いながら穂村も奥へと進む。

狭山は圭一や柳にはそれとなく優しいが、穂村にだけはその優しさを見せてくれない…。だが…

 

 

穂村「…あ、そういえば狭山先生…敵の男連中に危ない目で見られてたよな?…一人にしても大丈夫か?…心配になってきた……」

 

なんだかんだ、穂村の方は狭山に甘い。

それは彼女が自分の仲間だからだとか、唯一の女性メンバーだからだとか、様々な理由があった。

 

 

穂村「………ま、本当に危なくなったら連絡してくるか…。とりあえず、俺は俺でお仕事お仕事っと…」

 

 

 

狭山なら大丈夫だと信じ、穂村は進む。

 

そしてちょうどその頃、一人屋敷に残っていた柳は地下室に身を潜めつつ、一冊のノートに目を通していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

~~~~

 

 

柳「如月…如月……あったあった、狭山君は本当によく調べてくれているなぁ」

 

狭山は日々外に出て、物資の収集をしながら辺りを調べていた。

彼女は自分が立ち寄った場所、見かけた生存者などの事を探り、それをノートに記録して柳に手渡していた。

 

柳が開いたそのページには『キサラギ』と書かれており、今狭山達が戦っているあの『如月』という女性の情報が記されている…。

 

 

 

柳「どれどれ……」

 

自分の仲間達がどんな人間を相手にしているのか、一人残った柳は気になっていた。彼等が戻るまでの暇潰しも兼ねて、そのノートに記してある如月の情報に目を通す…。

 

 

 

~キサラギ~(生存者)

 

『たぶん苗字。名前は知らない。年は二十代後半~三十代前半?ボクにやたらとつっかかる嫌な女の人。何人か仲間を引き連れていました』

 

 

柳「……ん?これだけか?」

 

情報量の無さに驚き、柳はページを捲る。

捲ったその次ページには如月についての情報が引き続き記されており、柳は一安心した。

 

 

『キサラギさんについて追加情報……。先日たまたま見かけたので、こっそりと追跡した。この人は今、図書館を隠れ家にしているみたい。最初会ったときよりも仲間がふえてた。たぶん、十人以上いる』

 

柳(十人か…その程度なら負けないだろうが、これは結構前の情報…。今はもう少し増えているかもな。…ん?)

 

どれだけ増したか分からない敵の数に少しばかりの不安を抱きながらノートを見ていると、今までの文字よりも一回り小さく書かれた文字を見つけた。

 

 

 

『図書館の名前を調べ忘れました…。ちゃんと場所は覚えてるから、怒らないで下さい』

 

 

 

柳「…まったく、別に怒らないよ」

 

ひっそりと書かれていたその文が面白くて、柳は一人で笑う。

結局如月の情報はそれのみだったので、暇潰しに他のページをペラペラと捲っていった。いくつかのページを見ると分かるのだが、情報が事細かに書かれているものもあれば、ほんの数行の文しかないものもある…。

 

 

柳(情報量が多いのと少ないものの差が激しいな…。まぁ…気分に任せて書いているって言ってたし、こんなもんだろう。どんな情報でも、無いよりはマシだ)

 

このノートは柳が頼んだ訳でなく、狭山が自分で書き始めた物…。

日によっては気分が乗らなかったのか、内容が雑になっているページもあるが、外の状況を少しでも知ることが出来るので柳にとってはありがたかった。

 

 

柳(見よう見ようと思って忘れてたからな…この機会に目を通しておこう)

 

記されているのは狭山が探索した建物やその周辺の状況が主だが、見かけた生存者などについても少なからず記されていた…。

 

 

 

~○○教会~(×月10日に探索)

 

『一人で辺りを少し見回った。中に入ろうかとも思ったけど、感染者が多かったので断念…。あの様子だと中に生存者はいないかな。』

 

 

 

~○□警察署~(□月5日に探索)

 

『ホムラ、圭一さんと一緒に探索。外にいた感染者を無視して中に入ると、中に四人の生存者を発見。こっちに対してやたらと敵意を向けてきたから、ホムラが三人を倒す。最後の一人には逃げられたけど、たぶん問題ナシ。警察署なら武器があるかと思ったけど、もう何も残っていなかった。(既に持ち出された後?)』

 

 

~聖イシドロス大学~(□月25日に探索)

 

『一人で出掛けた時に見つけた大きな大学。外にいた何体かの感染者を片付けたあと、中に入ろうと思ったけど…人の気配がするので外から偵察。その結果、中に数人の生存者がいる事、そしてこの大学には電気等が生きていることを確認した。(必要ならまた後日、中に入ってみます)』

 

 

 

~□□病院~(□月30日に探索)

 

『今日も元気に一人で探索。中は感染者だらけ…。右手を少し怪我したけど、そのかいあっていくつかの医療品を手に入れた。使い道の分からない薬も多かったけど、とりあえず持ち帰ることに…』

 

 

柳(んー…この中では『聖イシドロス大学』が少しだけ気になるな。電気が生きていて、生存者もいる…。みんな無事に帰ってきたら、また後日、調べに行ってきてもらおうかな…)

 

世の中がこんな状況になった今、電気の生きている建物はかなり珍しい。

だからこそ、如月達は柳の屋敷を狙っているのだろう。

圭一達が無事に戦いから戻ったらこの大学を調べてもらおうと思いつつ、柳はページを捲った。

 

 

 

 

~巡ヶ丘学院高校~(○月3日に探索)

 

『彼女たちの着ていた制服…たしかこの学校の制服だったから、気になって見に行った。かなり荒れていて中には誰もいなかったけど…誰かが暮らしていた形跡が残っていた。やっぱり、彼女たちはここにいたのかも知れない。』

 

ノートにはそう書かれていたが、その文章の下方にはこれについての追記がしてあった。

 

 

『いたのかも…じゃない。彼女たちはここにいた。一つの教室の黒板にメッセージが残ってた。きっと、彼女たちが書いたものだと思う。彼女たちは…この学校を卒業したみたい』

 

   

柳(卒業?いったい…どういうことだ?)

 

『巡ヶ丘学院高校』についての情報は一際多く、まだ色々と書かれていた。今現在は荒れてしまっているものの、元はかなり設備が整っていたようだという事なども記されていたが、後半はほとんど狭山の日記のようになっていた…。

 

 

『この黒板を見てたら、ボクはまだ学校を卒業してないってことに気付いた。まぁそれは別に良いんだけど、気になったのはここに書かれていた言葉…。「生きてて良いことあったよ」と言うメッセージが書かれていたんだけど、良いことっていうのは何なんだろう…』

 

 

『そういえば、彼女達のことはまだ書いてなかった。今、改めて情報をまとめておこうと思う』

 

その文章のとおり、次のページには『彼女達』の名前などの情報が記されていた…。

 

 

 

~タケヤ ユキ~(生存者)

 

『映像越しにしか見たことがない。子供っぽい印象が強かった』

 

 

~エビスザワ クルミ~(生存者)

 

『声はかけなかったけど、前に一度だけ見かけた。シャベルを使って戦うみたいだけど、この人がこのチームの主力なのかな。彼女には少し注目しておいたほうがいいかもしれない。普通の人間とは違う雰囲気を感じたから、もしかしたら…』

 

 

~ワカサ ユウリ~(生存者)

 

『映像越しにしか見たことがない。とりあえず言えることは、ホムラが好きそうな見た目してたってこと。(主に胸)』

 

 

~ナオキ ミキ~(生存者)

 

『映像越しにしか見たことがない。ボーイッシュな感じの人』

 

狭山の記した情報は更にあと一人、例の少年についても記されていた。

 

 

 

『彼とは直接顔を会わせ、少しだけ話もした。彼は辺りの薬を独占していた連中を一人で倒し、襲われていたクルミを助けたみたい。あの連中にはボクらも迷惑してたから、倒してくれたのはありがたかったね。…にしても、敵は三人…しかも大人の男の人だったのに、彼は一人で勝った。運動神経もある程度は良いんだろうけど、たぶん「躊躇いの無さ」が一番の武器になってるんだと思う。相手の首、普通に切ってたし…』

 

 

 

~まとめ~

 

タケヤ ユキ

 

『猫耳帽子が可愛い』

 

 

エビスザワ クルミ

 

『ツインテール&シャベル。戦闘担当?』

 

 

ワカサ ユウリ

 

『胸が大きくてびっくりした。ボクとそんなに年は変わらないハズなんだけど…』

 

 

ナオキ ミキ

 

『ボーイッシュな見た目の人。これで一人称が「ボク」だったら面白いのに…』

 

 

 

 

 

柳「……このまとめにはなんの意味が…」

 

よく分からない狭山の一面を垣間見た後、ノートを閉じる。

狭山と出会ってそれなりに経ったが、彼女のことは未だによく分からない。

 

 

 

柳(…今はとりあえず、無事に戻ってくることを祈っていよう。もっとも、彼等なら何も問題ないとは思うが…)

 

地下室に置かれていた小さなテーブルにノートを置き、そばにあった椅子に座る…。圭一達がここを出ていって三十分は経っただろうか…。彼等がここに戻るのを、柳は静かに待っていた…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




後半は柳さんがノートを読んでいるだけでしたね(汗)


そんなノートを書いた本人である狭山真冬ちゃんはほぼ毎日外へと出て様々な場所を探索しているので、外伝メンバーの中では一番行動力があります。(いつの間にか由紀ちゃん達のいた学校を一人で見に行ったりもしてますからね)

普通の人間とは少し違う彼女だからこそ、日々散歩感覚で"かれら"だらけの外を出歩ける訳です。普通の人は真似しちゃいけません!(苦笑)

まあ感染こそしないものの、首とか噛まれたら普通に出血死してしまうかもなので、彼女にはもう少し気を付けてほしいものですね(>_<)
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