軌跡〜ひとりからみんなへ〜   作:チモシー

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前回は図書館へと入った圭一、穂村、狭山の三人が別れたところで終わりました。


今回はそれぞれの戦いを少しずつ描いたものになっていますが、相も変わらず見辛いと思います(-_-;)

有馬という男の率いる大勢の敵…それに対する三人の戦いをご覧下さいm(__)m


七話『開戦』

敵の潜む図書館内を別れて進む圭一達…。

最初はどこに敵がいるのかも分からないほどに静かだったが、館内はすぐに騒がしくなった…。

 

 

 

 

 

穂村「よっ…と!!」ブンッ!

 

大きな本棚に囲まれた部屋のちょうど真ん中辺り…。穂村は自分目掛けてバットを振り上げてきた男の首を掴み、そのままそばにあった本棚へと投げ飛ばす。男はかなりガッシリした体格をしていたが、穂村は片手だけでその男を投げ飛ばした。

 

 

「ぐッ!!!」

 

勢いよく投げ飛ばされ、男は背中を激しく打ち付ける…。

ぶつかったその衝撃で本棚は倒れ、その向こうに配置されていたいくつかの本棚をドミノのように倒した…。大きな音が辺りに響き、たくさんの(ほこり)が舞う…。穂村は今、複数の敵に囲まれているのだがその内の一人はたった今投げ飛ばされ、衝撃で気を失った。残った他の敵はというと、辺りを舞う埃のせいで咳き込んでいる。

 

 

 

 

「ごほっ!ごほっ!…なんて馬鹿力だよ…」

 

穂村「さて、一人ダウンさせたから………残り六人か。めんどくさいし、とっとと終わらせてもらうんで――」

 

言いながらゆっくりと敵の方へと歩く。

するとその途中に穂村が横切った一つの本棚…その陰から一人の男が飛び出し、持っていた大きなナイフを構えて背後から穂村に襲いかかった。

 

 

「っ!!」シュッ!

 

構えたナイフ、それを穂村の背に向け…勢いよく、躊躇いなく突く。

穂村はその男の存在をギリギリの所で察知し、素早く横へと飛び退く。結果、男のナイフは穂村を貫く事なく何もない空を突いていた…。

 

 

穂村「っぶねぇなぁ!!」

 

飛び退いた穂村は直後にその男を睨み、そのまますかさず間合いを詰める。男は寄ってきた穂村目掛けて再びナイフを振ったが、穂村は左手でその攻撃をそらした。攻撃をそらした直後に穂村は右手をグッと握り…その拳を男の腹部へと放つ。

 

 

ドゴッ!!

 

「ガぁッ…!!」

 

穂村の放った拳が男に命中すると辺りに鈍い音が響き、男は口から血を垂らしながら地面に倒れる…。あまりの痛みに声すらあげられないらしく、男は小刻みに震えながら苦しんでいた。

 

 

穂村「俺は優しくないから遠慮なく殺していくけど、構わないよな?お前らからケンカ売ってきたんだもんなぁ?覚悟は出来てんだろ?」

 

倒れた男の背に片足を乗せ、先にいる六人の敵を威圧するようにして穂村は笑う。男達は多少焦っているような表情を見せたものの、戦う姿勢を崩しはしなかった。

 

 

「でかい口叩いていられるのも今の内だ。そっちはたった三人だけだろうが、こっちは三十人を越えてる。本気で勝てると思ってるのか?」

 

一人の男がニヤリと笑いながらそう告げ、仲間と共に穂村へ一歩迫る…。

敵の戦力が三十人越えという事を知った穂村は少しだけ顔をしかめ、ため息をついた。

 

 

穂村「さん…じゅっ!?……はぁ…マジかよ。でもまぁ、一人ずつ狩っていけばあっという間だろ。初っぱなから二人ダウンさせたしな。あと六人――」

 

「残念…、七人だ」

 

 

 

ガンッ!!

 

穂村「ぐッ!!」

 

 

『七人だ』…男がそう言って笑った直後、後頭部に強い衝撃を受けて穂村の視界がガクッと下に向く…。軽くふらつきかけたが、足に力を入れてそれに耐え、穂村は後ろに振り向いた。

 

 

「マジかよ…よく倒れねぇな…」

 

背後にいたのは金属バットを両手で構えた男…先程の衝撃は、この男の不意打ちによるものだったのだろう。渾身の一撃を与えたのに倒れる事なく自分を睨む穂村を見て、男は驚愕している。

 

 

穂村「いってぇな…!」

 

穂村は背後にいた男のバットを素早く奪い、右手で振り上げる…。

そしてそれを勢いよく振り払い、元の持ち主の頭を砕いた。

 

 

ズシャッ!!!

 

先程穂村の頭を打った時とはまるで違う音を発し、バットは振り払われる。穂村の振ったバットに打ち倒された男はもう言葉を発する事なく、ピクピクと痙攣しながら力なく地面に倒れた。

 

 

「なっ…!!?」

 

「化け物かよ…!」

 

不意打ちをまともに受けても倒れず、更に反撃までした穂村を前にしてさすがに焦る男達…。穂村の一撃を受けて倒れた仲間の頭が砕けて血だまりを広げている光景が、穂村に対する恐怖心を強めていった。

 

 

 

穂村「いてて……確かに七人"だった"な。油断したぜ…」

 

穂村はバットを肩にかけ、左手で自分の頭を撫でる。

受けた不意打ちの傷は決して浅くないらしく、頭を撫でた手のひらには血がべっとりとこべりついていた…。

 

 

穂村(くそっ…マジでいてぇ…。『三十人』って言葉に軽くビビっちまったのかもな…おかげで反応が遅れた…)

 

血のついた手をプルプルと振り、軽く血を払う。

既に三人の敵を倒し、残るは六人。

しかし…まだ付近に潜んでいる可能性や、増援が来る可能性等もある。最後の一人を仕留め、圭一・狭山と合流するまでは気を抜けない…。

 

 

穂村(少しふらつくけど、まぁ…どうにかなるだろ…)

 

 

「倒せはしなかったが、全くダメージがないわけでもない…。全員で囲めばすぐにぶっ倒せるさ」

 

「だな…。動かなくなるまで叩いて、有馬さんに死体を見せてやるか」

 

六人は静かに動きだし、穂村を取り囲む…。

穂村はバットをギュッと握ると、どこか楽しげに微笑んだ。

 

 

 

穂村「やれるもんなら…ってやつだな」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~~~~~

 

 

 

 

…ガチャッ

 

 

 

狭山「…外に出ちゃった…」

 

穂村が図書館内部で戦っている一方、狭山は自分が開けた扉が外に続いていた事に戸惑っていた。

 

 

 

狭山「裏口…かな…。まぁ、別にここでもいいか…」

 

狭山が出た場所は図書館の裏口らしく、正面入口の方と比べると飾りっ気が無い。外へと出てしまった狭山だがあえて中には戻らず、そばにあった図書館と道路を隔てていた鉄柵へと寄りかかって裏口の扉を見つめていた。

 

 

 

狭山「…………」

 

 

……ガチャッ

 

鉄柵に寄りかかってすぐ、先程狭山が出てきた扉が開く…。

中から出てきた人物は外にいる狭山を見つけて嬉しそうに微笑み、彼女に声をかけた。

 

 

 

如月「あらあら…一人で外に出ちゃうなんて、迷子なのかしら?」

 

数人の男を引き連れた如月は一人きりの狭山へと語りかけ、扉を閉める…。狭山は寄りかかっていた柵から背を離し、如月とその連れを見つめた。

 

 

 

 

狭山「…扉、ちゃんと閉めといてね。逃げられると面倒だから」

 

如月「ふふっ、私達は逃げないわよ。だって、せっかく狭山ちゃんを追い詰めたんだもの♪」

 

「途中から君をつけてたんだけど、気づかなかったのかな?」

 

「怖がって逃げたりしないでくれよ」

 

「ま、走って逃げる女の子を追っかけてってのも中々に面白そうだけどな」

 

そばにいた男らは狭山を見ながらニタニタと微笑み、ジリジリと歩み寄る。しかし、狭山は表情一つ変えなかった。

 

 

 

狭山「つけられてるの…気付いてたけどね」

 

如月「あら、そうなの?…あぁ、だから外に逃げたってわけ?」

 

狭山「いや…どっか鍵のかかる個室にでも誘き寄せて仕留めようと思ってたら外に出ちゃって…」

 

如月「誘き寄せる?なんでそんなことしようと思ったの?」

 

狭山「だから……さっき言ったでしょ…。逃げられると面倒だからだよ」

 

その言葉と同時に、恐ろしく冷たい視線を向ける狭山…。

如月とそのそばにいた男達の内の何人かはその視線に微かな恐怖を感じたが、相手は少女一人…そう思うと、一瞬でも怖がったのがバカらしくなる。

 

 

 

如月「…この人数なら、万が一も無いわよね…。よし、じゃあ…作戦通りにいきましょうか!」

 

「了解っ!!」

 

狭山を見つめていた如月の目がキッと鋭くなり、それと同時に彼女の仲間が狭山目掛けて駆け出す…。迫る敵は三人…。如月はというと、狭山に迫る三人の男らの後方で、残った他の仲間と共にたたずんでいる…。狭山の隙でも窺っているのか、向かわせた三人だけで勝てると思っているのか…今一つ如月の考えが読めない狭山だったが、一先ず目の前の三人を相手にすることとした。

 

 

 

 

「ほらっ!」ブンッ!

 

三人の内の一人が狭山の体目掛けて拳を放つ…。

三人ともナイフを腰にさげていたが、狭山を殺す気はないのか…全員が素手で彼女に挑んだ。たった一人の少女相手なら、武器などいらないと判断したのかも知れない。

 

 

狭山「…っ!」

 

狭山は放たれた男の拳をギリギリのところでかわすと、自分のポーチから警棒を取り出す。すぐさまそれを振り上げ、その男の頭に放とうとする狭山だったが…彼女はそれを止めて後ろへと跳んだ。二人の男が彼女目掛けて手を伸ばしてきたからだ。

 

 

狭山「よっ…とっと……」

 

「へへっ、すばしっこい娘だなぁ…」

 

伸ばした手を的確にかわし、距離を空ける狭山を見て男が笑う…。

 

 

 

狭山(三人同時に攻撃されると、かわすがやっとだから面倒…。今度はボクから攻めていって、素早く…一人ずつ確実に倒していこうかな…)

 

警棒を持つ右手に力を入れ、目の前の三人を見つめる。

その三人の数メートル後方では、如月が四人の仲間と共にこちらをニヤニヤしながら見ていた。

 

余裕たっぷりと言わんばかりのその表情は狭山を挑発しているかのようだったが、狭山はそれを大して気にもせず、冷静なままでいた。

 

 

 

 

狭山(目の前に三人……。更にその後ろには如月さんを含めた五人の敵…。合計八人……かなりの人数だけど、このままなら問題なくいける)

 

敵は狭山の容姿に惑わされ、かなり油断している…。

あえて武器を使わず素手なのと、八人全員でかかってこないのがその証拠だと狭山は考えた。

 

 

狭山(八人全員でかかってくればよかったのに、バカな人たちだな…)

 

 

頭の中でそんなことを思いながら、狭山は一気に駆け出す。

目の前にいる三人のそばへと駆け寄った狭山はその内の一人へと狙いをさだめ、持っていた警棒を振り抜いた。

 

一連の動作はとても素早く、狭山の放った攻撃は一人の男の腹部に命中し、ダメージを与える。

 

 

ドスッ!!

 

「がはッ…!!」

 

 

攻撃の後、狭山は間髪入れずに警棒を振り上げてその男にとどめを刺そうとする。

 

しかし、そばにいたもう一人の敵が彼女が仲間に警棒を振り下ろすよりも先に彼女の腕…そして首を掴んだ…。

 

 

 

狭山「っ!!」

 

「つかまえたっ!」

 

 

狭山の首を掴んだ男はニヤリと笑い、彼女を背後の鉄柵へと押し付ける。

武器を持っている右手も掴まれていた狭山はすぐに抵抗出来ず、ガシャン!と激しい音をたてながら鉄柵に背をぶつけてしまう。

 

 

 

狭山「……い…たい」

 

「そいつは悪かった…。でも、君に殴られたアイツの方が痛いと思うぜ?」

 

男は狭山の首、そして右手を掴み、彼女を鉄柵に押し付けながら先程殴られた仲間の方に振り向く…。仲間は狭山に殴られた腹部を手で押さえながら、苦しそうにふらついていた。

 

 

狭山(まだ立ってられるんだ…。お腹じゃなくて、頭を狙えばよかった…)

 

 

 

ダメージを負いながらも立っている男を見た狭山がそんなことを思っていると、彼女の耳に妙な音が飛び込む…。

 

 

カシャッ……

 

 

あまり聞き覚えのない、金属音のようなその音は狭山のすぐ左から聞こえた…。狭山は男に首を掴まれたまま、視線をそっとその方向……自分の左手へと向ける…。

 

 

狭山「………」

 

 

狭山の左手にはいつの間にか手錠がつけられており、後ろの鉄柵と繋がってしまっていた…。狭山にそれをつけたのは、これまたいつの間にかそばに忍び寄ってきていた如月だった。

 

 

如月「あははっ!かわい~!似合ってるよ~♪」

 

左手を鉄柵に繋がれた狭山を見た如月がケラケラ笑うのと同時に、狭山を掴んでいた男が自ら手を離して距離をあける。男の目的は、如月が手錠をつけるまで狭山を鉄柵に寄せる事だったからだ。

 

 

 

狭山「如月さん…さっきまであっちに立ってなかった?いつの間に近寄ってきたの?」

 

如月「狭山ちゃんが戦いに夢中になってる間にね、そ~っと、それでいて素早く忍び寄ってそれをつけたの。いやぁ…まさかこんな簡単にいくなんてね~♪」

 

如月は手錠に繋がれた狭山の手が届かない距離ギリギリのところに立ち、彼女を挑発するかのように笑う。狭山は相変わらずそれを気にせず、ただじっと手錠を見つめていた。

 

 

 

狭山「………」

 

ガチャッ…ガチャッ…

 

手錠の片方は自分の左手に…もう片方は鉄柵に…ガッシリと繋がれていて外れない。狭山は周りに立つ敵の視線を気にせず左手を動かすが、手錠はガチャガチャと耳障りな音を鳴らすだけだった。

 

 

 

 

狭山(……結構頑丈なんだ。…うん、これは少しマズイかも)

 

力を入れても壊れない手錠を相手に狭山は困ったような表情をし、如月へと目線を向ける。如月は狭山が焦っている事に気づいたのか、益々ニヤニヤし始めた。よく見れば、如月の仲間の男らも狭山の手が届かないギリギリの距離まで近寄ってニヤニヤと笑っている。

 

 

 

狭山「これ……鍵は?」

 

如月「鍵?ここにあるよ」

 

小さな鍵を人差し指と親指でつまみ、チラチラと振る如月…。

どうにかしてそれを手に入れたい狭山だが、鉄柵と繋がれている以上どう頑張っても届きそうにない。

 

 

 

如月「狭山ちゃんが私達の仲間になって、更にあの屋敷くれるってならこの鍵あげるよ?」

 

狭山「………それは、ちょっと無理」

 

如月「ほんとに無理かな?ウチのグループって女の子が私と、もう一人の娘しかいなくてさ。しかもその娘は戦ったりも出来ない無能だから…狭山ちゃんがいれば心強いわ。私、狭山ちゃんの事嫌いだけど…無能なのに何故か有馬くんは気に入られてるあの女はもっと嫌いなの」

 

狭山「モテない女の僻み……かな?そういうの、怖いね」

 

 

 

如月「ああ…そう。せっかく誘ってあげたのにそういう態度なら、仕方ないね…」

 

如月は持っていた鍵を上着のポケットにしまい、ニコッと笑う。

なにやら楽しげに微笑んだ如月は仲間の一人からバットを受け取ると、それを何の躊躇いもなく狭山の顔へと振り払った。

 

 

 

狭山「っ!?」

 

 

バシィッ!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

如月「……うん?…ああ、防がれちゃったか」

 

勢いよく振ったバットは狭山の顔に命中せず、狭山がとっさに突き出した右手のひらに防がれていた…。

 

 

如月「まぁ、一発目から終わったらつまんないもんね。これからこれからっ!」

 

そう言って狭山の手のひらからバットを離し、如月は満足げに笑う。

左手が使えず、その場から動くことも出来ない狭山が相手なら、勝つのは簡単だと思ったからだ。

 

 

「にしても…よく手で受けたなぁ。いてぇだろうに…」

 

如月「大丈夫よ。この娘たち、ただの人間じゃないらしいから。あのくらいじゃノーダメージでしょ」

 

 

 

 

狭山(…けっこう痛いよ。ビリビリするもん…)

 

如月の振ったバットを受けた右手を軽く振り、その痛みをまぎらわす。

一発だけならどうにかなるが、短い間隔で二発目…三発目とこられたら、いくら狭山といえど全てを防ぎきれはしないだろう。

 

 

 

如月「これから、ここにいる全員が武器を使ってアンタを殴ってくから、せいぜい頑張って防いでいってね?」

 

狭山「…………」

 

 

バットや鉄パイプにバール…男らはそれぞれが様々な鈍器を持って狭山へと近寄る…。狭山は左手を手錠に封じられ、動かせるのは右手と両足…。しかも持っていた警棒は如月のバットを防ぐ際に落としてしまった……どうにかして拾おうにも、手が届かない。

 

 

 

「じゃあ、始めていいですか?」

 

如月「武器のリーチを活かして殴ってね。無駄に近寄り過ぎると反撃されちゃうかも知れないから」

 

「了解…。近寄り過ぎず、慎重に………って、こんな女の子を相手にかなり情けない戦い方だな」

 

狭山「まったくだよ…。手錠をされて動けない女の子を数人で…それも武器を使って襲うなんて」

 

その場から動けない自分を取り囲む男らを見て、狭山は少し焦り始める。今のままの状態で、武器を持った数人の敵を相手にするのはかなりの難易度だからだ。

 

 

 

 

「んん…悪いね。こっちは絶対に負けられないんで、卑怯な手でも何でも使わなきゃいけないんだわ」

 

「そういうこと。でも大丈夫…君の態度次第ではこっちも殺しまではしないからさ」

 

男達は不気味に微笑み、武器を振り上げる…。攻撃も一人ずつなら右手で防げるが、複数人による同時攻撃だとそうはいかない…。

 

 

 

 

 

 

如月「じゃあ…いってみよっか♪」

 

少し後ろからその様子を眺めている如月のその言葉……それを合図に、男達は手にしていた武器を狭山へと振り下ろした……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~~~~~~~~

 

 

一方、図書館の二階へと上がった圭一は廊下を抜けて一つの部屋へと足を踏み入れていた。その部屋はここに住んでいる連中によって物を片付けられたのか…はたまた元からなのか、部屋に置かれている物は奥にある大きなテーブルだけでなのだが…その上には一人の若い男が座っており、更にそのそばには六、七人の仲間がいた。

 

 

 

…バタンッ

 

 

部屋に入った圭一は扉を閉め、その連中を見つめる。

テーブルの上に座っている若い男は圭一の服が血で汚れている事に気づき、ニヤリと微笑んだ。

 

 

 

「おっ、ここにくるまでに何人かに襲われたのかな?」

 

圭一「…まぁな」

 

圭一は既にいくつかの部屋をまわっており、その際に何度か襲われていた。いずれも物陰や背後からの攻撃だったが…圭一はそれを受ける事なく、襲いかかってきた全員を返り討ちにしてきた。

 

 

 

「怪我とかしてる?」

 

圭一「残念ながら無傷だ。つまり、ほとんど全力の状態でお前らを殺せる」

 

言いながら圭一が一歩前へと進むと、敵達は警戒してバールなどの武器を構え出す…。しかしテーブルに座るあの男だけは武器を構えることなく、相変わらず座ったままニヤニヤと微笑んで圭一へと尋ねた。

 

 

 

 

 

「ちょっと聞きたいんだけどさ、アンタら三人の中で一番強いのって誰?」

 

圭一「さぁ…誰だろう。全員似たり寄ったりかな」

 

歩みを止めて圭一は答える。

誰が一番強いかなど考えた事はなかったし、わざわざ真剣に考えてまでこの男に答えを返してやる気もない。

 

強いて言うなら…狭山は若い女の子な分、単純な力は穂村や圭一よりいくらか劣るというくらいだろう。とは言っても、柳の薬による強化を受けている以上十分に強いのだが…。

 

 

 

 

「俺からしたら、アンタが一番だと都合がいいなぁ…」

 

圭一「へぇ、そりゃまたなんでだ?」

 

不思議に思った圭一が尋ねると男はテーブルから降り、その上に置かれていたナイフを手に持つ…。少し大きめの刀身をしたナイフを持った男はその先を圭一へと向け、その目をギラリと光らせた。

 

 

 

「このグループで感染者や人間を一番殺してるの、俺なんだよね。ようするに、俺はこのグループの主力ってやつ」

 

圭一「…なるほど、戦い馴れしてるってことか。立派な事で…」

 

どこかバカにしているように言葉を放つ圭一を見て、その男の周りにいた仲間達が次々と口を開き始める。仲間達はこの男の実力にかなりの信頼をおいているのか、それとも相手が圭一一人なのに対して自分達は大勢だからか……余裕たっぷりといった感じだ。

 

 

 

 

「あまりおだてたくないけど、コイツは本当に強いぞ」

 

「アンタみたいな奴が殺されるの、今まで何度見たことか…」

 

 

 

「まあまあ、俺を崇めるのはそれくらいにして……とっとと殺るぞ。コイツの他にも二人残ってるんだからさ」

 

「そんな慌てなくても、もう他の連中に殺られてるんじゃないか?」

 

「ははっ!それもそうか!」

 

男達はゲラゲラと品のない笑い声をあげる…。

圭一は連中のそんな笑い声を遮るように、少し大きめな声で言葉を発した。

 

 

 

圭一「はやく帰りたいんで、とっとと死んでくれるか?お前らを見てると戦う前から疲れる」

 

「へぇ……ずいぶん自信あるんだな。んじゃ、お望み通り始めるか…」

 

 

 

男達は武器を構え直し、静かに圭一を取り囲んでいく…。

それに対する圭一は何一つ武器を持たず、素手のままで男達に視線を向けた。

 

 

 

 

 

 

 

 




穂村、狭山、圭一…それぞれの戦いが始まった訳ですが、狭山VS如月組の割合が若干多かったですかね?

この外伝はあと二話で終わりなのですが、先に言っておくとそちらも穂村・圭一の戦いに比べて、狭山VS如月組の割合がかなり多いです(^_^;)

狭山ちゃんは三人の中でもお気に入りのキャラなので…ついヒイキしてしまいました(笑)
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