軌跡〜ひとりからみんなへ〜   作:チモシー

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今回の話はリクエストいただいたアイデアを作品にした…その1話目となっています!

リクエストのテーマは"ハーレムもの"という事なので、本編の方を遥かに越える勢いで彼に迫る『学園生活部』や、その他の女性達を書いていく予定です♪

本編のキャラや性格をそのままに、平和な世界で展開する恋愛特化ストーリーとなる予定です!

あらすじとしては本編主人公の彼が転校生として巡ヶ丘学院高校に現れた、その数日後設定となっています!


どんな世界でも好きな人
第一話『であい』(前編)


 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………眠い」

 

今日は天気が良い。窓から入る日射しがとても暖かく、彼は眠気に誘われる。今はどのみち休み時間だ…ほんの少しだけ眠るのもありかも知れない。そんなことを思ったその時だった…。

 

 

 

 

???「…ねぇねぇ。転校生くん、眠いの?」

 

「……まぁ、少しだけ…」

 

彼の隣の席、そこに座る女子がこちらを見ながら話しかけてきた。彼がこの学校に来て数日経ったが、彼女はやけにグイグイと会話を振ってくる。

 

 

 

??「寝ちゃだめだよ~。次の授業まで、あと五分くらいしかないんだから」

 

「…日差しが暖かくて、どうしても眠気が…」

 

??「おおっ?それ、すごい分かるよ!わたしの席も少しだけ日が当たるから、暖かくてつい眠たくなっちゃうんだよね~♪」

 

「じゃあ一緒に寝ましょ。残された時間はあと五分もない、急がないと…」

 

??「それも良いけどさ、お喋りしようよ?わたし、まだ君のことあんまり知らないんだ。今まで何回も話しかけたのに、いっつも無視したり、適当な返事を返したりするんだもん!!」

 

「…怒った?」

 

??「う~ん…。また無視したらさすがに怒るけど、ちゃんとお喋りしてくれるなら許してあげる♪」

 

隣の席でにっこりと微笑みながら、こちらに期待の眼差しを向けてくるその人を見て、彼は仕方なくお喋りに付き合う事にする。さすがに、隣の席の人とくらいは仲良くしておいた方が良いだろう。そうでもしなきゃ、彼の学園生活はかなり暗いものになってしまう。

 

 

 

 

「じゃあ五分だけお喋りしますかね。ええっと……」

 

言いかけたところで、彼は焦ったような表情を向ける。もう数日経ったというのに、隣の席にいるこの女子の名が分からなかったのだ。

 

 

「すいません、名前がわからない…」

 

??「えっ!?ここに来てもう一週間くらいたつよね?それなのに隣の席にいるわたしの名前も分からないの?」

 

「ええ、まぁ……」

 

??「うそ…ちょっとがっかりだよ…」

 

彼女は名前も覚えてもらっていなかったという事実にショックを受けたらしく、ガクッと肩を落とす。直後、彼女は少し潤んだ目で彼を見つめ、自らの名を名乗った。

 

 

 

 

由紀「丈槍ゆき。よろしくね♪」

 

「…ゆき?」

 

由紀「うん、ゆき。…ちゃんと覚えてよ?もし明日になって忘れてたら、もう教えてあげないからね?」

 

「わかった、しっかり覚えておく。よろしく由紀ちゃん」

 

 

 

 

由紀「んん?ゆきちゃん…ゆきちゃん?」

 

「へっ?何かおかしかった?」

 

由紀「…ううん。ただ、男の子に名前をちゃん付けで呼ばれるの初めてだな~って思ったの。クラスの男の子はみんな、わたしのこと『丈槍』って呼ぶから…」

 

言われれば、確かに少し馴れ馴れしい呼び方かもしれない…。しかし彼女の名を聞いた時、こう呼ぶのが自然な気がしたのだ。彼はその時に感じた妙な違和感に戸惑いつつ、その呼び名を訂正すべきか彼女に尋ねる。

 

 

 

 

「すいません。丈槍って呼んだ方が良いですかな?」

 

由紀「えっ?ううん、ゆきちゃんって呼んでくれる方がいいな。なんかしっくりくるっていうか…そっちの方が安心する」

 

「そう…?じゃあ、呼ぶ時は『ゆきちゃん』で良いですね?」

 

由紀「うんっ♪」

 

次の授業が始まるまで、彼は隣の席の由紀と会話を交わした。

彼女は少し子供っぽい感じがして、話しているだけでもなんとなく癒される…。たった五分会話しただけで、どうせならもっとはやく話しかければ良かったと彼は後悔した。

 

 

 

 

そして全ての授業が終わり、迎えた放課後…。

 

ノート等をカバンに詰め、帰る準備を進める。

彼がふと隣の席を見ると、そこには笑顔でこちらを見つめる由紀がいて…一歩ずつこちらへと歩み寄ってきた。

 

 

 

 

由紀「そういえば…お友達は何人くらいいるの?」

 

いきなりそんな事を尋ねてきた彼女に答えるべく、彼は無言で彼女を指さす。この学校に転校してきて、できた友達は彼女くらいだと思っていたのだ。

 

 

 

 

由紀「えっ?もしかして、わたしだけ?転校初日の時、みんなにすごく話しかけられてたじゃん!?」

 

「そうなんですけどね…。あの時はまた一段と眠くて、不覚にも全員無視してしまった…。返事を返さなきゃとは思ってたんだけど…声が出なくて…」

 

由紀「あらら…印象悪いね?」

 

「自分で言うのもなんだけど、最低だと思う」

 

あの日を(さかい)に、クラスメートの殆どは彼と関わらないようにしている気がする。当たり前だ…。その初日のイメージが最悪なんだから。さすがの彼もこれは開き直って笑うしかない。

 

 

 

 

由紀「じゃあ…わたしのお友達紹介してあげるね♪みんなすごく優しいから、たぶん君とも仲良しになれるよ!今日も一緒に帰る約束してるから、たぶん校門あたりで待ってるかな?」

 

「…そうですか?じゃあせっかくだし、お言葉に甘えようかな…」

 

由紀「えへへ♪じゃあ行こっ!待たせちゃわるいし!」

 

由紀は彼の手を引き、嬉しそうに走り出す。思い返せば、この日から全てが始まったのだ。丈槍由紀というこの少女と友達になり、そうして彼女の友人である彼女達と出会った事で、彼の学園生活は大きく変わった。

 

 

 

 

 

 

??「…遅かったわね?」

 

???「まったく、何してたんだよ?」

 

由紀に引かれるまま校門へたどり着くと、そこで待っていた二人の女子が由紀に言葉をかける。長い茶髪を揺らすスタイルの良い少女と、長い黒髪を縛ってツインテールにしている少し目付きの鋭い少女…。どうやら、この二人が由紀の友達らしい。

 

 

 

 

由紀「りーさん、くるみちゃん!遅れてごめんねっ!新しいお友達を連れてきたんだ♪」

 

胡桃「新しい友達?…っておい!そいつかよ!?」

 

悠里「あら…意外な人を…」

 

二人が彼へ目線を向ける。そのあからさまに嫌そうな顔を見て、彼はもしかしたらと思う…。そう、この二人もまた、自分と同じクラスの生徒だった。

 

 

 

 

由紀「くるみちゃんとりーさんだよ。同じクラスだから名前くらい知ってる…よね?」

 

由紀がどこか心配そうな表情で彼の目を見る。やはり二人は同じクラスの生徒らしいが、となれば少々まずい…。転校初日から話し掛けてきた生徒を無視し続けた、彼の印象は間違いなく最悪だからだ。

 

 

 

 

「ま、まぁ…ちょっとは聞いた事のある名前…ですけど」

 

胡桃「ちょっと?……ふんっ、やっぱりな。クラスメートの事なんて全然興味ないんだろ。だから無視したんだよな?あの時、あたしもちゃんと挨拶したのに…」

 

胡桃と呼ばれていた女生徒がムッとした表情を彼へと向ける。彼はどうにか誤解を解こうと努力するが…

 

 

 

 

 

「いや…!興味ない訳じゃ…あの時はただ、すごく眠くて…」

 

胡桃「うわ…最低の言い訳だな」

 

「んん……自分でもそう思います」

 

誤解を解こうと思ったが、胡桃の目を見てそれがどれだけ大変な事かを悟る。『うわ』と言ったときの彼女の目は本当に冷たく、まるでゴミか何かを見るような目だった。

 

 

 

 

悠里「まぁまぁ、それが本当かどうかはおいといて…これからの話をしましょ?あなた、とりあえずゆきちゃんとは友達なのよね?」

 

「ええ、まぁ…」

 

由紀「なりたてホヤホヤだよ~」

 

胡桃「ホヤホヤってなんだよ…」

 

胡桃は少しだけ呆れたような表情を由紀に向け、深いため息をつく。彼女はそうしてから彼の方に目線を移し、あることを尋ねた。

 

 

 

 

 

胡桃「…名字」

 

「…はい?」

 

胡桃「あたしとりーさんの名字…どっちか一人でもいいからさ、わかる?」

 

「名字…ええっと…」

 

正直に言うとまるで分からなかった…。強いて言うなら、少し変わった名字の生徒が数人いた気がするが、それが彼女達だという確証はない。にも関わらず、彼の口は自然とその名を呼んでいた…。

 

 

 

 

 

「恵飛須沢…胡桃。それと、若狭悠里」

 

 

胡桃「おっ?」

 

悠里「あら、ちゃんと覚えてくれてるじゃない。」

 

どうやらそれは当たっていたらしく、彼もこれには驚いた。彼女達の事をまるで知らなかったハズなのに、胡桃と悠里…それぞれの名を頭の中で思い浮かべた途端、それぞれの名字が自然と浮かんだのだ。

 

 

 

 

由紀「ええっ!?わたしの名前は覚えてなかったのに~!どうして二人だけ!?」

 

胡桃「もしかして…本当にわざと無視したわけじゃなかったのか?」

 

「…まぁ、そうですね」 

 

胡桃「人付き合いが嫌い~…とか、周りの人間を見下してる~…とかじゃなくて?」

 

「周りの人間を見下してるって…それじゃただのイヤなヤツじゃないですか」

 

胡桃「そのイヤなヤツってのがあたしの中でのお前の印象だった訳だけど…。まぁ、違ったならいいや…」

 

彼女はそう呟いてから彼の方に手を伸ばし、改めてその名前を名乗った。

 

 

 

 

胡桃「恵飛須沢胡桃。よろしくな?」

 

「よろしく、胡桃ちゃん」

 

差し伸べられた彼女の手のひらを握り、握手を交わしながら彼女の名を呼ぶ。すると名を呼ばれた彼女は首をかしげ、なにやら不思議そうな表情をした。

 

 

 

 

胡桃「…胡桃ちゃん?なんかその呼び方…ムズムズするんだけど…」

 

「あっ…胡桃さん。とかの方がいいですか?」

 

胡桃「……ううん。別にいいよ、ちゃん付けでも」

 

 

 

悠里「胡桃…同級生の男子にちゃん付けで呼ばれるの初めてでしょ?」

 

胡桃「まぁ…そうだね」

 

悠里「嬉しい?」

 

胡桃「いっ…いやっ!別に嬉しくはないけど…//」

 

胡桃は頬を赤く染めてからその顔をそむける。彼は彼女の事を最初は怖い女かとも思っていたが、どうやら違うらしい。中々面白そうな人だ。

 

 

 

悠里「じゃあ、今度は私。…若狭悠里です。改めてよろしくね?」

 

「よろしくです。えっと…りーさん、でいいですか?」

 

悠里「ふふっ、ええ。それでいいわよ。」

 

 

 

 

優しく微笑む悠里と握手を交わしてから、彼等は学園の外へと歩き始める…。丈槍由紀、恵飛須沢胡桃、若狭悠里…。彼女達を始めとする様々な人達との出会いをきっかけに彼の学校生活は変わり、毎日が忘れられない物になった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




由紀ちゃん、胡桃ちゃん、りーさん…彼女達全員が同じクラスなのも、この世界ならではの違いの一つとなっています(*^^*)


今回、まずは彼と学園生活部のメンバーを友達にしたかったので、少し雑な感じになってしまったかも知れません(汗)

とりあえず、次回はみーくんが登場する予定!
彼女のデレシーンは本編では貴重なので、それを書くのがもう既に楽しみです♪
そういう展開を普通に出来るのも外伝ならではですね(#^.^#)

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