慌てて書いたので少し雑になってしまっているかもですが、楽しんでもらえたら嬉しいですm(__)m
前回までのあらすじ『りーさんが無防備だった』
勉強会をする為に悠里の家へとやってきた彼…。
狭い部屋に二人きり…そして悠里の格好がどこか無防備だったことから危うく手を出してしまいそうになったものの、悠里の妹…るーが部屋へとやって来たことでそれは避けられた。
そして時刻は昼を少し過ぎた辺り…。
悠里はお腹がすいたと告げてきた妹と彼に昼食を振る舞うべく、三人で一階のキッチンへと集まる。
悠里「さて…パパっと作っちゃうからちょっと待っててね?」
持ってきていたエプロンを身に纏い、悠里が彼と妹に笑顔を向けた。二人はそばの席について大人しくそれを見守りながら、じっと料理の完成を待つ…。
悠里「えっと…残ってる材料はそこまで多くないから……」
冷蔵庫を開けてその中身を確認しながら頭を悩ませる悠里…。
彼はその光景から決して目を離さなかった。
(エプロンつけてキッチンに立つりーさん…。なんていうか、お嫁さんオーラが半端じゃない…!!)
由紀や胡桃と比べてもそうだが、クラス全体を見回しても悠里ほど大人びた女の子はそういない…。そんな彼女がキッチンに立つ様子はやたらと絵になる。
(お姉さんっぽさもあるし…母性も感じるんだよな。こんな人をお嫁さんに貰える男はどれだけ幸せだろう…)
悠里に彼氏がいるだとか、そんな話は聞いたことがない。だがもし仮にいたとしたら……その男が羨ましいと彼は思った。
「ねぇ、るーちゃん。りーさんって彼氏いる?」
思わず、るーに尋ねる。るーはう~んと唸りながら首を傾げた後、キッチンに立つ悠里を見つめた。るー自身も姉に彼氏がいるのかどうか知らなかったのだ。
るー「ねぇ、りーねーって彼氏いるの?」
悠里「えっ?」
るーがストレートな問いをぶつけた瞬間、彼の胸がドキッとする。このままだと、るーは彼がそう聞いてきたから質問したなどと言いかねない雰囲気だった。
悠里「か、彼氏…?今は…いないけど…」
るー「そっか」
るーが「だって」と言わんばかりの表情を彼に向ける。しかし彼はそんな事はまるで気にしてないかのように、るーから目を逸らした。
(でも…今はって言ったな…。前はいたのか…?)
一度気になると頭から離れない…。
彼は隣に座るるーの肩をちょんちょんと小突き、小さな声で囁く。
「前はいたの?って聞いてみて…」
彼が言うと、るーはコクリと頷いた。
るー「ねぇねぇ、前は彼氏いたの?」
悠里「なっ!?さっきから何を聞くのよっ!?」
妹からの思わぬ質問攻めに戸惑い、顔を赤くする悠里。
料理の途中だからか、その手には包丁が握られていた。
るー「りーねーおしえて。彼氏いた?」
悠里「っぐ……いませんっ!今も昔も、そんな人いたことないですっ!」
プイッと顔を逸らし、
少し意外な反応にも見えたが、これは自分に彼氏がいないのを気にしての反応ではなく、彼の前で自分のそういった事を語るのが恥ずかしいからだった。
(りーさん、彼氏いたことないのか…。意外だな)
悠里はルックス、性格ともにかなりレベルが高い。彼女に好意を持っている男子は間違いなくいると思うが、それでも彼氏を持たないのはまだ恋愛ごとに興味がないからなのだろうか…。
るー「ねぇ、お兄ちゃんは彼女いるの?」
「へっ?」
味方だと思っていたるーから不意打ちをくらい、彼は言葉を詰まらせる。よく見れば、キッチンの向こうから悠里がこちらの様子をじっくりと観察していた。
悠里「私も気になるなぁ♪」
聞かれる側から聞く側になった事で、悠里はニヤニヤと微笑む。
彼は深くため息をつき、仕方なくそれに答えた。
「えっと…いません…」
るー「へぇ~…」
悠里「ふ~ん…」
るーは真顔で…悠里はニヤニヤしながら彼を見つめる。その視線を浴びるのは何故かやたらと恥ずかしくて、彼は先程同じ質問をされた悠里が顔を逸らした意味を理解した。
その後、悠里は三人分のスパゲティーを作ってそれをテーブルに並べる。真っ赤なミートソースのかかったそれはかなり良くできており、三人はあっという間にそれを平らげた。
「ふぅ…ご馳走さまでした」
悠里「はい。味、変じゃなかった?」
「いやいや…スゴく美味しかったです」
そう答えると悠里は嬉しそうに微笑む…。
実際その料理はとても美味しくて、彼は悠里の万能さに驚いていた。
(勉強出来て、料理も出来て、見た目も良くて中身も良い…。こうして見ると、りーさんってダメなところが全然がないな…)
これだけ色々出来る上に、更にあの胸だ…。よく見れば左目の下には泣きボクロがあり、それがまた彼女の魅力を引き立てている…。
「ん~………」
悠里「な、なにかしら…?ずっとこっちを見てるけど……」
「ああ、いや…なんでも……」
るー「りーねー、もう勉強は終わったの?」
テーブルの上で手をパタパタと動かしながらるーが尋ねる。そう言えばまだ勉強会は途中までしか進んでおらず、それを思い出した彼は顔を俯けた。正直に言うと、もう止めたいと思っていたからだ。
悠里「えっと…あとちょっとかな?」
るー「終わったら遊んでくれる?わたし、一人でつまんない…」
るーが頬を膨らませながら告げる。それを見た悠里は顎に手をあてて何やら考え込み、少ししてからるーの頭を優しく撫でた。
悠里「じゃあ予定していたよりも短くするわね。そうすればすぐに終わるから、私と彼の勉強が済んだら一緒に遊びましょう♪」
るー「うんっ♡」
悠里がそう答えたのは、妹がつまらない思いをしないようという優しさからなのだろう…。その後、三人はまた二階の部屋に戻り、るーは彼と悠里の勉強が済むのをそばで静かに待っていた。
~~~~~
悠里「はい終わりっ!お疲れ様でした」
ノートと教科書を閉じ、悠里が告げる。
当初の予定よりも数ページ短い勉強量に終わったが、それでも彼の体力は限界に近付いており…バタッとテーブルの上に顔を伏せていた。
「つ…疲れた……」
呟きながらテーブルの上の勉強道具を少しずつ自らのカバンにしまっていく…。あとはこのまま帰るだけだと思う彼だったが、それは間違いだった。
るー「りーねー、もう一緒に遊べる?」
悠里「うん。いいわよ♪」
るー「えへへ…お兄ちゃんも遊ぶよね?」
勉強道具を片付け終えたばかりの彼にるーが尋ねる。正直に言うと彼はもうこのまま帰るつもりだったのだが、るーのキラキラした期待の眼差しを見てしまったら断ることなど出来ない…。悠里も悠里で、出来ることなら彼にもう少しだけ付き合って欲しそうな表情を向けている。
「そうだね、わかった…。遊んでくよ」
悠里「だって。良かったわね、るーちゃん」
るー「うん!ちょっと待っててね?準備してくる!」
嬉しそうな表情を見せながら、るーはその部屋を出ていく。
直後、悠里はそっと彼に頭を下げた。
悠里「ありがとう。わざわざ付き合ってくれて」
「いえいえ、ちょっと遊ぶくらい構いませんよ」
悠里「るーちゃんって結構人見知りしたりする子なんだけど、あなたにはしてないわね?今日初めて会った人なのに……」
「え、えぇ…」
悠里が不思議そうに首を傾げる…。本当の事を言うと、るーに会ったのは今日が初めてではないのだが、彼はそれを言わずにいた。
「…にしても、準備って何ですかね?トランプとかかな…」
悠里「かもね。家には由紀ちゃんがよく来てくれるんだけど、その時はよく皆でトランプをしてるから…」
二人が話していると部屋の扉が開き、るーが戻ってきた。ただその手に抱えられていたのはトランプなどではなく大きなプラスチックの箱のような物…。
るー「ただいま~」
悠里「るーちゃん、それなに?」
箱を指差して悠里が尋ねる。彼もその答えが気になっていたのでちょうど良いタイミングだ。るーはにっこりと微笑んでからその箱を床に置くと、少しだけ恥ずかしそうに二人へ告げた。
るー「あの…三人でね……おままごとしたいの…」
悠里「お、おままごと…?」
「おぉ……」
るーが持ってきた箱の中にはおもちゃの食器や調理器具など、いかにもおままごと用といった感じの物が沢山詰められていた。二人だけならともかく、男の彼を加えてのおままごととなると色々大変だろうと思い、悠里は苦い表情をする。
悠里「るーちゃん、あのね…おままごとだとこのお兄ちゃんが楽しめないと思うから、もっと別の遊びにしない?」
るー「えぇ~~…」
露骨に嫌そうな顔のるー…。
彼女には悪いが、同い年の男子と共におままごとというのはさすがの悠里も少し恥ずかしい。きっと彼も同じ気持ちだろうと思って目線を向けると、彼は予想外の反応をしていた。
「おままごとねぇ…。るーちゃん、配役ってのはどうなってるのかな?」
るー「わたしが子供で、りーねーがママ。お兄ちゃんがパパ」
「!!………やろっか」
悠里「なっ!?」
配役を聞いた途端、彼の目の色が変わる。るーもまたそれを見て嬉しそうにしていたから問題はないのだが、悠里はどこか嫌な予感がしていた…。
悠里「ほ、ほんとにいいの…?」
「当たり前じゃないですか。他でもない、るーちゃんの頼みですからね。断る理由がないです」
るー「えへへっ♪ありがと~♪」
るーがせっせと準備を始める…。少しずつ周りに置かれていくおもちゃの食器などを見て、彼はこれから始まるそのおままごとへの期待を膨らませていた。なぜ彼はおままごとにここまで期待をするのか…その理由は配役にあった。
(いくら遊びとはいえ、りーさんと夫婦の間柄になれるんだ。これは全力で楽しませてもらわないと損だろう…)
今日一日で、悠里の魅力的なポイントが分かってきた。それを真っ向から夫として味わえるというのなら、これはもはや遊びではない…。彼にとってこのおままごとは…完全なるご褒美だ。
そうして準備が済み、三人は数々のおもちゃが置かれた床へと座る。るーと彼は楽しげに微笑んでいたが、悠里だけはどこかぎこちない笑顔だった…。そんな中、るーの言葉をきっかけにしてついにおままごとが始まる…。
るー「あのね、わたし昨日学校のテストで100点とったんだよ」
悠里「そうなの?凄いじゃない!お母さんに教えたら喜ぶわよ♪」
おままごとが始まっている事に気づいていないのか、悠里が素のリアクションを見せる。それを見た彼は思わず笑いそうになり、るーは不満そうな顔をしていた…。
るー「………」
「………」
悠里「あれ?二人とも、どうしたの…?」
るー「ねぇ聞いて。わたし、昨日テストで100点とったの!」
今度は悠里でなく、彼の方に告げる。
彼は既におままごとが始まっている事を理解していたので、それに対して完璧な受け答えをした。
「そっかそっか~。るーちゃんは凄いなぁ!パパは嬉しいよ~」
るー「えへへ♡」
悠里「あっ、そういう事だったの……」
少し遅れておままごとの始まりに気づき、悠里は苦笑いする。るーは父親役の彼に頭を撫でてもらいながらそんな彼女をじっ…と見つめた。
るー「りーねー…おままごと下手…」
悠里「ご、ごめんね?まだ始まってないと思ってて…」
るー「ちなみに本当のテストはちょっと悪い点だったから…ママには内緒にしててね…?」
ボソッと呟いて悠里から目をそむける…。100点というのはあくまでも設定上だけの話であり、現実は厳しかったようだ。
悠里「あら…ちゃんと勉強しないとダメよ?」
るー「…っ!!」
その言葉から逃れるようにして、るーは彼の胸に顔をうずめる。一瞬それに戸惑いはしたものの、彼はすぐに父親という役を利用して言葉を放った。
「まぁまぁ、るーちゃんはのびのびと育ってくれればそれだけで良いんだよ。勉強なんてちょっと出来るだけで良いんだから」
るー「…パパすきっ♡」
「おぉぅ…//」
るーは彼の胸に顔をうずめるだけでなく、両手を腰にまわしてギュッと抱きつく。その仕草…そしてパパと呼ばれた事で、彼の心が壊れかける…。
(っぐ…!!あぶないあぶない……。危うくおかしな扉を開くところだ…)
悠里「…あなた。実の娘を抱いてニヤニヤしないでくれる?」
「すっ、すいませんっ!!」
るーを慌てて離し、悠里に謝る。
この瞬間、このおままごと上での立場の優劣が決定した…。
悠里「それと、あなたはもう少し家のことを手伝ってもらえるかしら?私一人で全部やるっていうのは無理よ」
「は、はい…。善処いたします…」
悠里「分かってくれたならいいわ…」
頭を下げる彼と、それを見て満足そうに微笑む悠里…。このおままごとにおいて、彼は完全に悠里の尻に敷かれている設定になってしまった…。
「るーちゃん…ママは怖いね…」
るー「でも、ママはパパがお仕事でいない時いつも寂しそうにしてるよ」
「…マジか」
ここで、るーが新たな設定を付け足す。
このおままごとにおいて彼女はルールそのものなので、悠里は渋々ながらもそれに付き合った。
悠里「るーちゃんっ、それは内緒でしょ?」
るー「ママ、パパのこと大好きなんだもんね~?」
悠里「え…っと……そ、そうね…」
いくら遊びとはいえ、やはりこういったのは照れる…。悠里の頬は真っ赤に染まっていたが、それでも設定を忠実に守る辺りは凄いと思う。
「じゃあ、僕は仕事に行ってくるよ」
このまま悠里の顔が赤くなっていくのを見ているのも楽しいが、少しかわいそうな気もする…。るーから注意を逸らすべく彼は立ち上がって告げたが、結果それは悠里を更に追い詰める事になった…。
るー「じゃあママ…いつもみたく行ってらっしゃいのチューをパパに…」
悠里「なっ…//」
立ち上がった彼を指差しながらるーが言うと、悠里の顔が更に赤くなっていく…。彼はというと…『行ってらっしゃいのチュー』という魔法のフレーズに心を奪われていた。
(りーさんが行ってらっしゃいのチュー……りーさんが行ってらっしゃいのチュー……りーさんが行ってらっしゃいのチュー……りーさんが…)
彼の思考回路が壊れていく…。
ここまで来たら、しっかりそれをしてもらうべきだと彼は考えた。
「じゃあママ…今日も一つ頼むよ」
悠里「ほ、本気で言ってるの!?」
「本気もなにも…いつもの日課だし……ね?」
目を閉じて、悠里を待つ…。少しすると悠里は立ち上がって彼の前へと歩みより、それからそばにいる妹へと目線を向ける…。
悠里「るーちゃん…チューするフリ、でいいのよね?」
るー「………」
さすがに本当にする事はないだろうと思って尋ねる悠里だったが、るーは無情にもその首を横に振った。その瞬間、悠里の胸の鼓動はどんどん速くなっていき…おかしな汗が額を伝う…。
悠里(わかったわよ…。すれば…いいのよね……)
覚悟を決めた悠里は彼の肩に手をあて、彼の顔にそっと唇を寄せる…。るーはその様子を興味深く観察しており、彼は彼で本当にキスをしてもらえるのかと胸を弾ませていた。
悠里「………んっ」
「………」
目を閉じた彼の頬に柔らかな感触が伝わる。さすがに口にするわけにはいかなかったので、悠里は彼の頬にキスをした…。彼がドキドキしながら目を開けると、真っ赤な顔をしながら微笑む悠里がすぐ目の前にいた…。
悠里「……いってらっしゃい♡」
小さな声で囁く。
その囁きの破壊力は凄まじく、さすがの彼も頬を真っ赤に染めた…。彼はぎこちない様子で悠里にそっと頭を下げると、そばの扉を開けてそのまま部屋を出ていく…。彼は一人廊下に出て、悠里の『いってらっしゃい』という言葉を噛みしめるように思い返していた。
(うわぁ~…!!おままごと最高すぎるっ!!)
悠里と夫婦を演じられたのも、行ってらっしゃいのキスをしてもらったのも、全てはこのおままごとのおかげ…。彼はこのおままごとという遊び自体に感謝をし、更にそれを提案してきたるーにも心で深く感謝した。
るー「ママ、そういえばこの前ね…パパが浮気してるのみたよ」
「えっ……?」
扉の向こう…部屋の中でるーがそう言っているのが聞こえる…。
また新たな設定を付け足したのか。そう思う彼だったが、その設定はどこか身に覚えがあった。
悠里「浮気?パパが…?」
るー「うん。ママの好きなあの喫茶店で、くるみと仲良くデートしてた」
「…………」
聞いた瞬間、彼の額に冷や汗が流れる…。
直後部屋の扉がバタンと開き、中から現れた悠里は廊下にたたずむ彼をじっと見つめて尋ねた…。
悠里「さて……どういうことか説明してくれるかしら?」
「そ、その……えっと……」
楽しいおままごとだと思っていたのに、それは一転して修羅場と化す…。
ということで、楽しいおままごとはただの修羅場になりました(汗)
まぁ、頬っぺたとはいえあのりーさんのキスをしてもらえたのですから…このくらいの代償は仕方ない事でしょう(苦笑)
書いていて思ったのですが、りーさんから溢れるお母さんオーラって凄いですよね(*´-`)
りーさん…母親
胡桃ちゃん…父親
由紀ちゃん…無邪気な姉
みーくん…頭の良い妹
なんとなく、こんなイメージを抱いてしまいました(笑)