今回も結構ギリギリ間に合った感じなので、中途半端な出来になってしまったかも知れませぬ…(汗)
前回までのあらすじ
『偶然出会った由紀ちゃんの買い物に付き合うことに』
由紀「ふんふんふ~ん♪」
目の前を歩く由紀がご機嫌そうに鼻歌を歌う。彼はそんな由紀の背中を眺めながらデパート内をトコトコと歩いていたのだが、由紀はどこを目指して歩いているのだろうか…。
「由紀ちゃん、あんたはいったいどこに――」
由紀「あっ!」
彼が尋ねようとした瞬間だった。由紀が前方に見えてきた一つの店をじっと見つめ、ニコニコと微笑む。どうやら、あれが目当ての店のようだ。
(あれは書店か…。由紀ちゃんはここに何を買いに来たんだろう…)
由紀がその書店の中へと駆けていく…。彼はのんびり歩きながら彼女のあとを追い、その中へと入った。
(………見失った)
書店に一歩入って辺りを見回すが、のんびり歩いていたせいで由紀の姿を見失ってしまう。辺りにはいくつもの本棚が並べられており…彼女は恐らくこのどれかの裏にいるのだろうが…
「はぁ……」
彼はため息をつきながらも、由紀を探す事にした。この書店は中々に広く本棚の数も多いが、由紀は女の子だ…いるとすれば、少女漫画などのコーナーだろう。彼はそう考え、店の中を進んでいく…。
(……あれ?いなそうだな)
少女漫画のコーナー自体は見つかったのだが、肝心の由紀がそこにいない…。念のためその近辺の棚の裏なども覗いてみたが、いるのはその他の一般客だけだった。
(他に由紀ちゃんのいそうな場所……)
彼女はこの書店内のどこへ向かったのかと考える…。しかし少女漫画のコーナーにいなかった段階で、彼の頭にはもう一つの候補が浮かんでいた。
(まさか……ね)
苦笑いしながらスタスタと歩き、彼はそこに向かう…。少しして彼がたどり着いた場所、そこには『えほん』と書かれたプレートが天井に吊るされており、彼はその近辺を見回す。
(…………いないか!)
いくら子供っぽい由紀とはいえ、絵本を買いにくるほどではなかったらしい。もっとも、絵本という物の中には大人が見ても色々と考えさせられる作品も少なからずあったりするのだが……。
(じゃあ少年誌のコーナーか?小説…とかは読まないだろうし…)
この書店は広い。なので当然、売っているラインナップは漫画以外にも色々…それこそ高校生用の参考書などもあるのだが、彼が探しているのはあの『丈槍由紀』…。それらの書物を求めている可能性は最初からゼロだと考えていた。
(…仕方ない。端から見てまわるか)
出来るなら彼女の居場所を推理してビシッと見つけ出したかったのだが、もう面倒だ。そう思って彼がくるりと振り返ると、さっきまで姿を消していた由紀がすぐそばで彼の事を不思議そうに見つめていた。
由紀「……絵本買うの?」
「買いません」
由紀「えっ?じゃあなにを見てたの?」
彼が何故絵本コーナーにいたのか…由紀はそれが気になっていた。彼は自分の目の前で首を傾げている彼女の顔をじっと見つめた後、深くため息をつく。
「はぁ………由紀ちゃんを探してただけなんですけど」
由紀「あっ!ごめんね?そっかそっか…わたしが一人で走ってっちゃったから、どこにいるのか分からなくなっちゃってたんだ…」
「…由紀ちゃんは僕がいなくなってる事に気づかなかったのかな?」
由紀「えへへ……目当てのマンガを探すのに夢中で気づかなかった…」
「………子供ってのはこうやって迷子になるんだな」
由紀「なにか言った?」
「いや…なにも…」
照れながら笑う由紀を見て彼がボソッと呟くと、彼女がそれを聞き返す。だが面と向かって『あなたは子供っぽい』などとは言いにくいので、彼は目線を逸らしてごまかす事にした。
「…で、目当ての物はありましたか?」
由紀「うんっ、あったよ~♪ちょっと買ってくるね!」
そう言って由紀はレジへと駆けていく。よく見れば、彼女は右手に一冊の単行本とみられるものを持っていた。彼は一足先に書店の出口に立ち、彼女の会計が終わるのを待つ……。
(っていうか…ここが目当ての店だったとして僕がついて来た意味は?他の人の感想が必要になるかも…とか言ってたよな)
由紀は一人きりで買い物を済ませたので、彼の意見が求められた場面など無かった。ならば何故自分についてきてほしいと言ってきたのか……そんな事を考える彼のもとに、会計を終えた由紀が駆け寄ってくる。
由紀「おまたせ~!」
「はいはい。ところで由紀ちゃん、ちょっと聞きたいことが…」
由紀「んっ?なにかな?」
「僕がここに来た意味は?」
自分で考えても答えを出せそうにないので、彼は由紀本人に尋ねてみることにする。しかし、由紀は何故か首を傾げていた…。
由紀「えっと……意味ってどうゆう意味?」
「いや…だから僕がここまでついてきた意味だよ。他の人の感想が必要になるとかって言ってたのに、結局何も聞かれてないからさ」
由紀「あ~!違う違う!ここにはただ、ぶらっと寄っただけだよ。ちょうど欲しい本があったんだ~♪」
先程買った本の入ったビニール袋を右手に持ち、由紀は嬉しそうに微笑む。どうもこの書店はついでに寄っただけだったようだ。
「…そう。…で、目当ての店には行かないの?」
由紀「目当てのお店?それってどこのこと?」
「知らないよ…。まだ何も聞いてないからね…」
彼が言うと由紀は腕を組み『むむっ~』っと唸り声をあげる。どうやら、書店に寄った間に自分がどこに行こうとしていたのか忘れたらしい…。
由紀「ちょ、ちょっと待ってね……。えっと…どこに行こうとしてたっけ…」
「…………」
由紀「…あっ!そうだった!!この前りーさんたちと一緒に話してたらまたみんなでどっか遊びにいこうってなって……よしっ!思い出したよ~♪」
そうして由紀は再び歩き出す…。今回もまた何も言わぬまま歩き出したので彼は少し不安だったが、もう一度目的地を忘れるような事はさすがに無いだろうと信じて彼女についていった…。
(まぁ…不安には不安なんだけどね)
特に会話もないまま、彼は鼻歌を歌う由紀の背後をついていく…。そして約五分ほど歩いた時、由紀が一つの店を指さして彼に笑顔を見せた。
「…この店ですかい?」
由紀「そうだよ♪」
にっこりと微笑み答える由紀だが、彼は少し気が進まない…。何故かと言うと、由紀が指さしたその店は外から見ても明らかに女性向けのファッション店だと分かるくらいに可愛らしい服ばかりが並んでいたからだ。
「僕が入るの?ここに?由紀ちゃんと?」
由紀「そうしてくれると嬉しいけど……いや?」
由紀が上目づかいして彼に尋ねる。そんな風に言われたら断れる訳もなく、彼は渋々ながらもその店内へと足を踏み入れた。
由紀「えへへっ♪でね、わたしのみたいやつなんだけどね」
『店のラインナップから察するに普通に服を選ぶだけだろう…』そう考えながら彼ははしゃぐ由紀のあとをつける。周りにいる客はほとんどが女性…もしくはカップルとみられる者達ばかりで少し居心地が悪いが…
(でも…周りから見たら僕らもカップルだと思われてたりするのかもな)
そう思うと少し気持ちが楽になる。由紀は確かに子供っぽい容姿や性格をしているが、よく見ればかなり可愛い部類に入る見た目をしているからだ。こんな彼女とカップルだと思われるならば、誇らしい気持ちすら湧く。
由紀「ねぇねぇ、こっちとこっち…どっちが良いかな?」
そばにかけてあった二つの商品をそれぞれ両手に取り、由紀はそれらを交互に自分の体へと重ねて彼に尋ねる。しかしその二つは彼が思っていたような普通の衣服ではなく…もっと面積の少ない……。
「……水着?」
由紀「うん、そうだよ♪」
青色のビキニとピンク色のビキニ…それらを揺らしながら微笑む由紀…。それらはどちらも上下ともに小さなリボンとフリルがついており、違うのは色だけのようだ。あまり大人っぽい水着でもないが、かといって子供っぽい訳でもない…。きっとどっちも由紀に似合うだろうと思ったが…。
(まさか…水着選びに付き合わされるとは…)
辺りを見回せば、いつの間にか水着に囲まれていた。この店は普通の衣服だけでなく、水着も置いてあるらしい…。
由紀「でね、どっちが似合うと思う?」
突然の事にまだ戸惑っているが、ニコニコとした表情を浮かべている由紀をこれ以上待たせるのも悪い…。どうせなら彼女が満足する買い物をさせてあげようと思い、彼は気持ちを切り替えた。
「どちらかと言えばピンクの方…。というか、その二つしか気に入ったのがなかったの?他にも色々とあるけど…」
由紀「んん~…水着とかあまり選んだことなくて、結局シンプルなのが一番かなって」
「なるほどなるほど……」
彼は顎に手を当てながら、辺りの水着を見回す…。そんな中から一つ、真っ黒な色をしたビキニを手に取り、それを由紀に手渡した。
由紀「これわたしに?」
「…似合うと思うよ?」
由紀「黒かぁ…どうかな~……ってかこれ、下の部分がヒモみたいに…!」
渡されたビキニ、そのボトムを見て由紀は驚いたような表情を浮かべる。そのボトムは前こそ隠せはするだろうが、横の部分の面積が異様に少ない…というか紐だった。
由紀「ちょっと布も狭いし…お尻とかけっこう見えちゃいそう…」
「ん?似合うと思うよ?」
由紀「そうかなぁ…?なんかこれ、せくしー系な水着だけど…」
「大丈夫大丈夫、由紀ちゃん結構スタイル良いから…」
由紀「……本気でいってる?」
水着を抱えながら疑いの目を向ける由紀…。由紀のスタイルは悪くはないが、正直に言えばやはり悠里や胡桃には劣る…。ただ彼は由紀がこんな水着を着たらギャップがあって良いなぁ……とは思っていた。
「…似合うと思う。絶対大丈夫」
由紀「かなぁ…。こうゆーのはりーさんが着た方が良いと思うんだよね」
(それは一理ある…)
水着を見ながら呟く由紀の言葉を聞いて、彼は思わず想像する…。今由紀が持っている黒色の際どい水着…それを着た悠里が目の前にいたら……。
(……ヤバいな。きっと男達の目線を独り占めだろう)
悠里はただでさえ強烈なスタイルの持ち主…。そんな彼女が刺激的な水着を着ようものなら、ビーチにいる男達は一同にその目線を彼女へ向けるだろう。その光景は想像に
「…そういえば、なんで急に水着を?」
由紀「あのね、この前りーさん達とみんなで遊んだんだけど…その時またどこか遠くに遊びに行きたいね~って話になったの。で、もうすぐ夏休みでしょ?だからみんなで海に行こうって約束したの♪」
嬉しそうにその話をする由紀。当然、彼はそんな素敵イベントが計画されていた事など微塵も知らなかった。
「りーさん達って事は…何人かと行くの?」
由紀「うんっ!りーさん・くるみちゃん・みーくん、あとみーくんの友達のけいちゃんって娘も一緒に行くかも♪」
(圭ってのは…この前会ったあの娘か……)
つい先日、美紀と一緒にいた少女の顔を思い浮かべる。あの時美紀は彼女の事を『
由紀「せっかくの海だし新しい水着が欲しくて。それで買い物にきたんだけど、その途中でキミに会ったでしょ?これはもうついてきてもらうしかないと思って!」
「なるほど…大体理解しましたよ…。よしっ!じゃあやっぱりその水着を――」
由紀「これは恥ずかしいからナシかな…。ごめんね、せっかく選んでくれたのに……」
由紀は苦笑いしながら、彼の渡した水着を元の場所へと戻す。セクシーな水着を選ぶ由紀が見れないのは少し残念だったが、本人が気に入らないなら仕方ない…。
由紀「やっぱ最初の二つのどっちかが良いかなぁ…。えっと、キミはピンクのやつの方が良いと思うんだっけ?」
「まぁ…由紀ちゃんと言えばピンク色のイメージがあるので……」
由紀「そっか、じゃあこれにしようかなぁ……」
青色とピンクのビキニ…その青色の方を元の場所へと戻し、由紀は残ったピンク色のビキニをジロジロと見つめ直す。
(あとは会計だけか…意外とすぐに済んだな)
そんなことを思う彼だったが、次の瞬間由紀が放った言葉を聞き…一瞬思考が停止するのだった…。
由紀「ちょっと試着してみるから待っててね♪」
「………へっ?」
由紀ちゃんの欲しいもの…それは水着だということで…。
『どうせなら彼女が満足できる買い物を…』とか言ってハズの彼がすぐさま『由紀ちゃんが着てるのを自分が見たいだけの水着』を選んでいたのはどういう事か…(呆れ)
でも…由紀ちゃんが黒く大人っぽいセクシーな水着を着るのもアリと言えばアリですよね?そう思うのは私だけですか?(もちろん、りーさんが着るのも普通にアリ!)
というわけで、次回は試着編!
相手はあの由紀ちゃんですが、少しピンクな感じのイベントを入れたいとか思ったり思わなかったり…。