みーくんイベントの二話目です。
みーくんイベントとは言っていますが、実際はみーくん&圭ちゃんイベントと言った方が正しいですかね…。
前回までのあらすじ『雨が止まない…』
散歩中の彼と偶然に出会い、降っていた小雨が止むまでの暇潰しにその家へあがり込んだ美紀と圭。しかし雨は止むどころか勢いを増し、美紀と圭は彼の家から出るに出られなくなってしまった…。そうして一時間ほど過ぎた頃、圭がため息をつきながら呟く。
圭「はぁ……雨、全然止まないね」
美紀「…うん。むしろ強くなってる」
読んでいた本をパタンと閉じ、美紀は窓の外の様子を覗く。雨は猛烈な勢いで降り注いでおり、激しい風も吹いていた。この調子だとまだもうしばらく止みそうにない…。
圭「お昼早めに食べといて良かった。じゃなきゃ今頃、お腹がすいて困ってたはずだよ」
美紀「だね…。そう言えば、先輩はお昼食べました?」
「あぁ、食べました。ご心配なさらず」
美紀「そうですか…ならよかったです」
時刻は既に昼を過ぎている…。外があんな状況な以上外食などには行けないため、三人は自分達が早めに昼食をとっていて正解だったと心から思った。
圭「美紀ちゃん、読書は終わったの?」
美紀「ううん。一旦休憩しようと思っただけ。圭こそさっきまで漫画読んでなかった?」
圭「んん、もう読み終わっちゃった…」
圭は退屈そうな表情をしながら美紀に答える。漫画を読み終えた直後はテレビを見たりもしたようだが、気に入った番組が無かったらしくすぐに消してしまっていた。
圭「太郎丸と遊びたいけどぐっすり寝てるし、起こさない方が良いよね」
美紀「…そうだね」
部屋の隅…そこで丸くなって眠る太郎丸を見て美紀が微笑む。太郎丸は彼女に対してやたらと素っ気ないのに、彼女はそれでも愛情を向けているようだった。よほど動物が好きなのか、はたまた太郎丸を気に入っただけなのか……彼女の笑顔を見ていた彼はそれが気になり、彼女のそばへと寄った。
「美紀さんは動物が好きなんですか?」
美紀「嫌いではないです。見ていて癒されますから…」
「美紀さんに対してあんなに素っ気ないヤツなのに?」
彼がそう言うと、笑顔だった美紀の表情がどんよりと重苦しそうなものへと変わる…。どうやら、太郎丸に避けられた瞬間の事を思い出しているらしい。彼女はそのまま十秒ほど
美紀「っ…………」
「…ああ、すいません。気にしてました?」
美紀「…平気です。太郎丸だって、何度か顔を見せに来ればきっとなついてくれるはずですから!」
彼女はそう言ってプイッと顔をそむける。不機嫌そうな彼女を見て彼はやってしまったと焦るが、圭は何故かニヤニヤと笑って美紀の事を見つめていた。美紀はそんな彼女の表情に気が付くと、これまた不機嫌そうに口を開く。
美紀「圭…なにニヤニヤしてるの?」
圭「えへへっ!いやぁ…なんでもないよ~♪」
やけに楽しそうに笑う圭を見て、美紀はあることを思う…。
美紀(もしかして…自分が太郎丸になつかれてるからって私の事をバカにしてるのかな…。だからこんなにニヤニヤして……)
美紀「圭、バカにしてられるのも今の内だから…。次に二人でこの家に来る頃、太郎丸は圭じゃなく私を―――」
ニヤニヤと笑う彼女に少しムカッとしてしまい、次回までに太郎丸をなつかせておく宣言をする美紀。しかし圭がニヤニヤしていた理由は太郎丸が美紀になついていない事をバカにしていたからではなく、もっと別の事が理由だった。
圭「バカになんてしてないよ。……ただ、美紀ちゃんはこれから何度も
美紀「っ!?いっ…いやっ!違うからっ!!そういう意味で言ったんじゃなくてっ!」
そういう意味で言ったわけではないが、確かにそうも聞こえる言い方をしてしまった…。太郎丸との信頼を築く為とはいえ、先輩である彼の家にこれからも訪れるという宣言をしてしまったのだ。自らの発言を思い返し頬を真っ赤に染める美紀と、それを見て益々ニヤける圭…。二人が騒ぐ一方で、彼はそれを静かに見守っている。
圭「美紀ちゃんに変な虫が寄らないようにと見守ってきたけど、美紀ちゃんの方から相手に寄ってっちゃうんじゃさすがの私も止められないなぁ~」
美紀「だから違うって言ってるでしょ!!私がまた後日ここに来たとしてもっ、それは太郎丸に会いに来ただけであって――」
圭「はいはい。そういう
美紀「~~っ!!圭っ!本気で怒るよっ!!?」
顔を真っ赤に染めながら怒鳴る美紀…。既に本気で怒っているようにも見えるが、圭はそれを気にもしないと言わんばかりにニヤけていた。
圭「ごめんごめんっ。美紀ちゃんからかうの楽しくて!」
満足そうに微笑み、圭は美紀の頭を撫でる。美紀は膨れっ面を見せてはいたものの、圭のその手を避けたりはしなかった…。
圭「さて…先輩、ちょっとトイレ借りてもいいですか?」
「んん、ご自由にどうぞ」
彼の許可を得た圭は立ち上がり、トイレの位置を聞いてから部屋をあとにする。圭が出ていき彼と二人きりになった瞬間、美紀は彼のことをチラチラと横目で覗いた。
美紀「…すいません。変なこと言っちゃって…」
「別にそこまで変なことじゃないでしょう…。ただ、これからも家に遊びにくるって宣言しただけなんですから」
美紀「いや…まずいですよ。だって先輩は一人暮らしの男性なのに、私はそこに一人で訪れようとしてたんですから…」
自らの発言を思い返すだけでまた頬が熱くなる…。一刻も早く太郎丸になついて欲しいが故の発言だったとはいえ、一人暮らしの先輩男性の元に訪れようとするなど自分らしくなかった。
「心配ご無用。いくら二人きりになろうと、いきなり美紀さんに襲いかかったりしませんから」
美紀「そこの心配はしてません…。これでも一応、先輩のこと信頼してますから」
「ふふっ、それは嬉しい言葉ですな」
信頼してると言われ、思わず彼の口元が緩む。彼は多少変わっているようにも思える人物だったが、それでもいきなり襲いかかってくるような人ではないと美紀は信じていた。
美紀「でも…やっぱり遊びにくるのはまずいというか、ちょっとアレですよね…。付き合ってるわけでもないのに…」
「付き合ってなきゃ家に来てはならないなんてルールは無い。美紀さんはあくまでも太郎丸に会いたいだけなんですから、変に気を使わないで気楽に来てください」
彼にそう言われた途端、美紀は変に意識してしまっていた自分が馬鹿馬鹿しく思えた。彼の言う通りだ……変に気を使わず、気楽に訪れてみるのも良いかも知れない。美紀は彼の顔を見つめ、ニッコリと微笑んだ。
美紀「…では、また遊びに来るかもしれません。一日でもはやく太郎丸と仲良くなりたいですから」
「はい。そのついでで良いんで、その犬の飼い主であるこの先輩とも少しずつ仲良くなってあげて下さい」
美紀「私は先輩と結構親しく接していたつもりでしたが……無愛想な後輩ですいませんね」
「いや、無愛想だなんて思ってないですから!」
自分から目を逸らす美紀を見て彼は慌てるが、彼女は冗談のつもりだったらしく慌てる彼を横目にニコニコと笑う。彼女に遊ばれているようでなんとも言えぬ気分になるが、こんなふうに冗談を言える間柄なのだなと思うと嬉しくもあった。
美紀「そういえば、圭も先輩のこと気に入っているようですよ。あの娘は人と関わるのが私より得意なタイプなので友達も多いですが、上級生の男性の中ではあなたが一番気に入っているみたいですね。さっきから圭のテンションがやたらと高いのも、あなたがいるからなのかも…」
「そうなんですか?まだそんなに会ってもないのになんでだろう…」
美紀「もしかしたら波長が合うんじゃないでしょうか。思い返せば、圭ってゆき先輩ともすぐに仲良くなったんですよね」
「まぁ由紀ちゃんも人なつっこいタイプの娘ですからね」
美紀「ふふっ…そうですね。ほんと、ゆき先輩と圭のそういうところ尊敬します。私は二人ほど人と接するのが得意ではないから」
いや、むしろあの二人はそれが得意すぎる気もする…。圭はともかく、由紀なんて相手が誰であろうと笑顔で接する事が出来るのだ。もちろん、それが彼女の魅力の一つであったりもするのだが…。
圭「たっだいま~」
二人が会話を交わしていると、トイレに行っていた圭が部屋へと戻ってきた。彼女は美紀と彼の会話に混ざるべく笑顔でそのそばへと寄る。
圭「二人でなに話してたの?」
美紀「…圭には内緒」
圭「ええ~っ!教えてよ美紀ちゃんっ!」
美紀「だーめ。先輩と私だけの秘密だよ」
圭「なっ!?美紀ちゃんが本当に先輩と親密な仲にっ!?」
美紀「はいはい。そうかもね…」
今度の美紀は先程のように頬を赤くしたりせず、落ち着いた様子で圭に対応する。彼女のそんな反応をつまらなく思ったのか、圭は背後から彼女に抱きついてその首に顔を埋めた。
美紀「ちょっと圭っ、くっつかないでよ。まったく…子供じゃないんだから」
圭「あ~…そうだね。もうこのまま美紀ちゃんの子になるのも良いかも」
美紀「こんな大きい子はいらない」
圭「冷たいな~。もっと優しくしてよ~」
背後から抱きついたまま、圭は美紀の頬に自分の頬を擦り付ける。その光景は見ているだけで彼が恥ずかしくなる程だったが、美紀はちっとも気にしていないようだった。
「えっと……二人は本当に仲がよろしいことで」
圭「はいっ♡美紀ちゃんも私の事好きでしょ?」
美紀「んん…どうかな……」
圭「嫌いとか言ったら本気でへこむからね…」
至近距離で彼女の横顔を見つめ、圭が呟く。美紀は少しだけめんどくさそうにため息をついた後、その顔をチラッと横目で見つめた。
美紀「嫌いだったら、今日も一緒に出掛けたりしてないよ…」
圭「…ふふふっ♡どうですか先輩っ!美紀ちゃんは普段クールな娘ですけど、こうしてたまに見せてくれる優しさが良いでしょ?」
「まぁ……うん…」
確かに、彼女が時たま見せる優しげな笑顔には思わず見とれてしまう。圭は既にそれの虜になっているのか、彼女にべったりくっついたまま笑っていた。
その後、美紀もトイレに向かい…今度は圭と彼が二人きりになる。その時彼は圭に向かい『圭ちゃんにとって美紀さんはどんな人?』と、先程から少し気になっていた事を尋ねた。すると圭は直ぐ様彼に答えたが、その時の彼女は珍しく真面目な顔をしていた…。
圭「美紀ちゃんは…本当に大切な友達です…。私はあの娘が大好きで、あの娘と一緒に過ごす学園生活が大好きなんです。最近やたらそう思うようになって……なんででしょうね?」
言い終えた後、圭は照れたように笑う。彼女は彼と共に美紀が戻るのを待ちつつ、静かに窓の外を見た…。少しだけ、雨の勢いが弱まっていた。
彼とみーくんの信頼度UPイベントとして始めたつもりでしたが、蓋を開ければみーくんと圭ちゃんがイチャついていた時間がほとんどな気が…(汗)
この世界での圭ちゃんは本当にみーくんの事が大好きで、常にそばにいるイメージとなっています。私自身、圭ちゃんのことも結構好きなので、その内彼女のルートも書こうかなぁとか思ったりしてます(笑)