軌跡〜ひとりからみんなへ〜   作:チモシー

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今回は少しだけ短いかもですが、その短い間に出来るだけニヤニヤ出来るイベントを詰め込もうと頑張ってみました!

楽しんでもらえたら幸いですm(__)m


第四十一話『すなはま』

 

 

 

 

胡桃「とりゃ~っ!!」

 

由紀「うわっ!くるみちゃん、冷たいよ~♪」

 

浅瀬に立つ由紀は目の前にいた胡桃の手によって海水を浴びせられ、楽しげに笑う。由紀はともかく、胡桃もいつもよりテンションが高く見えるのは、やはり海効果だろうか。

 

 

(どれ…僕もやってみるか)

 

由紀と胡桃のやり取りがあまりにも楽しそうだったので、それに触発された彼も海へ両手をつける。あとはこの両手で勢いよく振り上げ、誰かに海水をかけてやれば良いのだが、この相手を決めるのが結構悩む。

 

 

 

(……よし、りーさんにしよう)

 

自分のすぐそば…そこに立っていた悠里を見て彼は決意する。悠里は今、まるで娘を見守る母のような眼差しを由紀と胡桃へ向けている…。いきなり水をかけられようものなら、さすがの彼女も驚くハズだ。

 

 

 

「ほっ!」

 

 

バシャッ!!!

 

悠里「ひゃうっ!!?」

 

彼の両手によって巻き上げられた海水は勢いよく悠里の顔、そして身体を濡らす。長く、綺麗な茶髪も微かに濡れて頬へ張り付き、胸の谷間や腹部を海水が伝ってキラキラと光る…。同い年とは思えない程に大人びたその色気とは真逆に、不意に水をかけられた事に驚いたその声は可愛らしいものだった。

 

 

 

(あのりーさんが…『ひゃうっ!』って…!)

 

悠里「もうっ!冷たいでしょう!?」

 

頬に張り付いた毛先を指で退かしつつ、悠里はぷく~っと頬を膨らます。さっきの声といい、今の表情といい、今日は悠里もいつになく子供っぽい。

 

 

 

「…すいません、ついやりたくなっちゃって」

 

悠里「じゃあ……私も仕返ししちゃおうかな?」

 

悠里はニコリと笑ってから前屈みになり、両手を海水につける。直後、彼女はその両手を使い、彼目掛けてバシャッと勢いよく海水を浴びせた。

 

 

 

「おおぅっ!」

 

悠里「えいっ♪えいっ♪」

 

バシャッ!バシャッ!と…連続で海水を浴びせにかかる悠里。やはり、今日は彼女もテンションが高いらしい。彼は自分目掛けて飛んで来る海水が目に入らぬように腕でガードしつつ、海水をかけてくる際、一瞬だけ前屈みになる悠里の胸の谷間を凝視した。

 

 

 

(ヤバい…!やっぱり、りーさんは凄いっ!)

 

緑色のビキニから溢れてしまいそうな程に大きな彼女の胸は前屈みになる度…そして彼に海水を浴びせる為両手を振る度にぷるんぷるんと揺れる。これを間近に見れただけでも海に来た価値があったなぁと…彼はしみじみ思う。

 

 

 

由紀「あた~っく!!」

 

「うおっ!?」

 

突如、由紀が真横から飛びかかってくる。こちらに水をかけてくる悠里の谷間にばかり目線がいっていた彼はそれをかわすどころか、体勢を保つ事すら出来ない。由紀のタックルをまともに受けた彼は由紀共々、浅瀬に倒れてバシャンッ!と水しぶきをあげる。

 

 

 

「ぐ……ぅ…っ」

 

由紀「えへへ~♪」

 

倒れた彼の上に身を重ねながら、由紀はいたずらっ子のような笑みを浮かべる。彼はすぐに上半身を起こし、そんな彼女を見つめるのだが…その顔が思ったよりもずっと近かった事……更には、身体を重ねている事で彼女の太ももが自分の足に触れていたり、柔らかな胸の感触が自分の胸板に伝わっている事に気が付き、驚きやら嬉しさやらに目を丸くした。

 

 

 

(胸がぷにぷにしてる…!太もももぷにぷにしてる…!!)

 

互いに水着という面積の少ない物を纏っている事で、その感触がよりハッキリと分かる。全身が海水に濡れているのにも関わらず、由紀の体温がほんのりと分かる程だ。

 

 

 

悠里「ゆきちゃんっ!いきなり飛びかかったら危ないでしょ?」

 

由紀「あっ、ごめんごめんっ!大丈夫?怪我してない?」

 

「…あぁ、大丈夫…」

 

由紀はそっと起き上がり、心配そうに彼を見つめる。彼はすぐに自身も起き上がり、怪我していないことを伝えるが…その内心では由紀の身体が離れた事を惜しんでいた。もう少しだけ、彼女の温もりや感触を感じていたかったのだ。

 

 

 

 

(ヤバい………海って最高だな…)

 

悠里の谷間を凝視出来たり、由紀と身体を重ねられたり…この短時間でかなり興奮したので、もしかしたら鼻血が出ているかも知れない…。彼はそんな事を思って鼻を拭うが、それは思い過ごしで済む。拭った手についていたのは鼻血ではなく、海水だけだった。

 

 

 

胡桃「…なにニヤニヤしてんだよ。気持ちわりぃな……」

 

「胡桃ちゃん、僕はこの短時間で海というものが大好きになった…」

 

胡桃「ふ~ん?そりゃよかったな」

 

「あぁ……本当によかった……」

 

胡桃は彼の発言を不思議に思っているらしく、目の前で微かに首を傾げている。そんな彼女も、当然ながら水着姿だ。彼はいつもは服に隠れていて見ることの出来ない彼女の胸の谷間や太もも…引き締まった腹部にある綺麗なへそなどを見て、また一層に海を愛する。

 

 

 

 

(もう、死んでもいい……)

 

そう思わせる程、この数分の間にいくつもの良い思いをした。もしこの経験を同級生の男子らに話でもしたら、彼はさぞかし羨ましがられ、妬まれる事だろう…。

 

 

 

「少し…休憩する」

 

胡桃「おう。わかった」

 

このまま彼女達と戯れていたら、興奮のあまりすぐに体力が切れてしまう。彼は一旦海から上がり、砂浜へと足を運んでいった。

 

 

 

 

美紀「…あれ?どうかしました?」

 

「いや、少し休憩しようと思って…」

 

砂浜にいた美紀の横へと座り、彼は一息つく。美紀もさっきまで海に入っていたのだが、今は砂浜にペタンと腰を下ろして休んでいたようだ。

 

 

 

「…他の皆は?」

 

美紀「圭たちなら、飲み物を買いに行きました。たぶん…もう少しで帰ってくると思いますよ」

 

「そう…」

 

さっきから圭、真冬、果夏、歌衣の姿が見えないのはそういう事だったらしい。彼女達が向かったのはこの浜辺に一軒だけある海の家かと思い、彼は数十メートル先のそこへ目線を向けるが……そこに人の気配はなかった。ならば恐らく、彼女達はどこかにある自動販売機でも探しに行ったのだろう。

 

 

 

 

「…ところで、さっきから何やってるの?」

 

美紀「私ですか?なんとなく、砂のトンネルを作ろうかと…」

 

ついさっき彼がここに来た時から美紀は砂浜に腰を下ろし、一人両手で砂をかき集めていた。どうやら砂のトンネルを作りたいらしく、彼女は慎重に手を動かしている…。

 

 

 

…ドサッ

 

美紀「また失敗…。意外と難しいな……」

 

崩れたトンネルを見て悔しそうにボソッと呟き、一から砂を整えていく。美紀も結構大人びた娘かと思っていたが、こんな子供っぽい一面もあるようだ。

 

 

 

美紀「……なんです?」

 

「いや、なにも……」

 

一生懸命に砂をかき集め、整える美紀が可愛らしくて彼はつい見つめてしまっていたが、美紀がそれに気付いてしまったので慌てて目を逸らす。本当は、じっくりと観察していたいのだが…。

 

 

 

美紀「……先輩も、少し手伝ってくれます?」

 

「えっ?あ、あぁ……」

 

目を逸らした直後にそんな事を言われるもんだから、彼は少しだけ戸惑った。しかし美紀自身が手伝ってほしいと言うのなら協力してやろうと思い、そちらを向いて一緒に砂をかき集めた。砂は微かに海水で湿っており、山のような形を作るのはさほど難しくない。問題はここからだ。

 

 

 

美紀「…よし。じゃああとは二人で少しずつ、慎重に穴を開けていきましょう。慎重に…ですよ?勢いよくやったりするとすぐに崩れちゃいますから」

 

「了解」

 

彼は手前から…美紀は奥から…挟むようにして少しずつ、その砂山の下部にトンネルを掘っていく。美紀の言った通り、少しでも余計に力を込めると山の天辺がポロポロと崩れかけた。

 

 

(……結構難しいな)

 

崩れかけた天辺を軽く叩き、静かに形を整える。それを終えてからまたトンネルを掘り、どこかが崩れかけたらそこを直し、そんな地味な作業を少しずつ繰り返していく。

 

 

 

美紀「もう少しですね…」

 

「あぁ、そうだね」

 

あと少し…あと少しでトンネルが開通するだろうというその時、砂を掘り進めていた彼の手…その指先が何かに触れた。彼も最初は砂に小枝か何かが混じっていたのだろうと思ったのだが、どうも違う気がする。指先で撫でたそれは微かにしっとりとしているが柔らかく、少し温かいのだ。

 

 

 

(なんだ、これ……)

 

美紀「あ…っ……せ、先輩っ……」

 

「ん?なに?」

 

それの感触を確かめていると、美紀が小さな声で彼を呼ぶ。見つめたその顔は頬が真っ赤に染まっており、照れているようにも見えた。

 

 

 

美紀「それ…私の手……ですよ?」

 

「…………」

 

言われてみると、確かにそんな感じの感触だ。彼は夢中になって忘れていたが、美紀も向かい側からトンネルを掘り進めていたのだ。それが開通した時、手が触れてしまう可能性があるのは当然だろう。

 

 

「ほんとごめん…」

 

美紀「いえ…大丈夫です…」

 

本人に言われるまでの僅かな間、その手のひらを隅々まで撫でてしまった…。美紀の恥ずかしそうな顔を見た彼は申し訳なさそうに頭を下げ、開通した砂のトンネルから手を抜こうとする。

 

 

 

美紀「……っ」

 

「…っ?み、美紀…?」

 

抜こうとした手が、美紀の手にガシッと掴まれた。どうしたのかと思った彼はその顔を覗くが、彼女は彼の右手を左手で掴んだまま俯くだけ…。その際、どちらかの手がトンネルの壁を(えぐ)ってしまったのか…砂の山は二人の手を包むようにして崩れてしまった。

 

 

 

「崩れ…たけど?」

 

美紀「……そうですね」

 

応えながら、美紀は彼の手をギュッと握る。それもただ握るだけではなく、互いの手のひらと手のひらが重なるよう、わざわざ握り直してから一本一本の指を絡めていったのだ。

 

 

 

美紀「砂に埋もれてるから…誰にも気づかれません…。だから先輩さえ良ければ、もう少し……もう少しだけ、手を握っていてもいいですか?」

 

赤く染まった顔を彼の方へ向け、美紀は砂の中に埋もれた手を握る。手を握る事自体は別に構わないのだが、彼は不思議に思う。何故このタイミングで、しかも相手が自分なのだろうと…。

 

 

 

「なんで、僕の手を?」

 

美紀「……だめなら…いいです…」

 

恥ずかしがっているような、困ったかのような…そんな力ない声で美紀が呟く。彼女は彼の顔から照れたように目を逸らすとそっと手を離そうとしたが、彼は離れかけたその手を今度は自分から握り返した。

 

 

美紀「あ…っ……」

 

「美紀がそうしたいなら構わないよ…。恋人みたいでドキドキだ」

 

美紀「恋人……ですか……」

 

彼はそんな冗談を放ち、場を和ませようとする。てっきり、呆れた声で『なに言ってるんですか…』などと言うようなツッコミがくると思っていたのだが、美紀は彼の手を握ったまま俯いている。その表情を確かめる事は難しいが、髪の間から顔を出しているその小さな耳が先まで真っ赤なのは分かった。

 

 

 

(なんか…可愛いな)

 

恋人みたいと言われた事に照れているかのような、そんな美紀がいつも以上に可愛く思えてしまう。他にも冗談を言ってイジメたいという気持ちもあるが、今はただ、手を握り合っていよう…。そう考えた時、彼はふと思い出す。

 

 

 

 

 

 

美紀『先輩……私、もしかしたら………』

 

以前、自宅に遊びにきた美紀が今のように自分の手を握り、そんな事を言っていた…。あの言葉の続きは結局聞けなかったが、彼女はあの時…何を伝えようとしたのだろう。今、その答えを本人に聞くことも出来るのだが…。

 

 

 

(まぁ……また今度でいいか)

 

と思ってしまい、彼は無言のまま…砂の中で彼女の手を握る。ギラギラと輝く太陽の下、海ではしゃぐ由紀達を眺めながら美紀と手を繋ぐのは、少しだけ複雑な気持ちだった。

 

 

 

 




後半はみーくんが彼を独占していましたが、その前には各ヒロインとのちょっとした絡みを少しずつ入れてみました(^^)

りーさんと水遊びをし、由紀ちゃんに密着され、胡桃ちゃんの水着姿を間近に眺め、みーくんと手を繋ぐ…。彼はこの全てを短かい間に体験した訳ですが、羨ましすぎて言葉もありません……(苦笑)


もしも皆様が彼と同じ立場なら、彼女達と何をしたいですか?
私は……胡桃ちゃんと水遊びがしたいです(*´-`)

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