時系列的には『どんな世界でも好きな人・第二十五話』の後のifストーリーとなっています!
第一話『仲良くなりたい』
「……はぁ」
頭がふらふらする程に強い日差しの下、彼はある家の前に立ちため息をつく。自宅から十数分歩いてやって来たこの場所、そこにある表札には『若狭』の文字。つまりここは悠里の家なのだが…その前に立つ彼が一人憂鬱そうな顔をしていたのにはある理由があった。
(せっかくなら普通に遊んだりしたいもんだけどな…)
心の中で愚痴をこぼす彼だが、そういう訳にはいかない。今日、ここには悠里の招待を受けて来たわけだが、その目的は一緒に遊ぼうだとか、そんな微笑ましい物ではなく、彼の学力を上げるべく勉強をする為…。暗い顔をして立つ彼の右手にはカバンが握られており、その中には教科書やらノートやら筆記用具やら、勉強道具一式が入っていた。
「はぁ……」
女の子の家に呼ばれたのに、その目的が勉強とは…。勉強があまり好きではない彼はここに来るまでにもう何度ため息をついたか分からない。だが、来てしまったものは仕方ないだろう…。彼は左手をそっと上げ、インターホンのボタンを押した。
ピンポーン
ボタンを押すと、家の中からチャイム音が聞こえる。その音に反応して外へと現れた少女、若狭悠里は部屋着であろう半袖のシャツ、そして短パン姿のまま彼の前へと歩みより、ニッコリと笑みを浮かべた。
悠里「いらっしゃい、暑い中ご苦労様っ。さぁ、あがってちょうだい」
「あぁ…はい…」
言われるままに中へと入り、玄関で靴を脱ぐ。彼はそのまま悠里の背後をついていき二階へと上がって彼女の部屋へ足を踏み入れたのだが、その間彼女の親や妹…その誰とも会うことがなかった。
「今日、家にいるのはりーさんだけですか?」
悠里「両親は少し出掛けてて、るーちゃんは隣の部屋にいるわ。また後で挨拶してあげてね?」
その言葉に対し、彼は首を縦に振る。彼女の妹である『るー』とは多少交流があるし、帰るまでに一度くらいは顔を見せておくべきだろう。
悠里「…さて、じゃあさっそく始めましょうか」
「………」
悠里は彼の返事を待たずして、普段使っているのであろう勉強机の上から教科書やノート、筆記用具を持ち出す。彼女はそれを部屋の中央にある小さなテーブルの上へと置き、そのそばに腰を下ろしてニコニコと微笑みながら彼の方を見た。
悠里「どうしたの?もう始められるわよ?」
「あっ……はい」
出来るなら始めたくないのだが、そんな事を口に出せばきっと怒られるだろう…。彼は渋々ながらカバンを開き、テーブルの上に勉強道具を並べてからそばへと腰を下ろした。
悠里「この前、めぐねえの補習を受けたんでしょう?大変だった?」
「まぁ、それなりに大変でしたね…」
悠里「もうそんな思いをしない為にも、勉強はきちんとしなきゃね。……あ、今嫌そうな顔したでしょう?」
悠里はムッとしたような表情を浮かべ、彼の目を見つめる。彼自身その自覚はなかったのだが、やはり勉強と聞くと無意識の内に苦い表情をしてしまうようだ。
「正直…どこかへ遊びにでも行きたいです…」
悠里「正直なところは評価するけど、でも遊んでばかりいちゃだめよ?ほらっ、分からないところがあれば教えてあげるから、一緒にがんばりましょう」
「…はいはい」
彼は教科書、ノートを開き、勉強の準備をする。やはり勉強は嫌いだし、出来ることなら避けたいのも事実だが…目の前で微笑む悠里の顔を見ていると、たまにはこんなのも良いだろうと思えるから不思議だった。
その後、彼は教科書を見つめ、どうにか理解できるところは自分で進めていく。しかし中にはまるで理解できぬ物も少なからずあり、その時には悠里の力を借りた。
「りーさん、ちょっとすいません」
悠里「んっ?今度はどこ?」
分からない所がある度悠里に声をかける彼だったが、彼女はそれを何度重ねようと嫌な顔ひとつしない…。それどころかニコニコと優しい笑みを浮かべながら彼の隣へと腰を下ろし、問題の箇所を分かりやすく解説してくれるのだ。
悠里「…こんな感じになるわけだけど、理解できたかしら?」
「ああ、ばっちりです。何度もすいません」
悠里「ふふっ、どういたしまして♪」
顔の前に垂れかけた前髪を左手を使って耳へとかけ直し、彼女はまた優しく微笑む。その可愛らしい笑顔や、長い髪が揺れる度に香る甘い匂い…。それらにより何度か集中力を欠きそうになったものの、彼はどうにか持ちこたえ続けていった。
~~~~~~
悠里「…あっ、もうこんな時間ね」
部屋にかけられた時計の針が示していた時間は午後の二時。彼がやって来たのはちょうど昼頃だったので、約二時間ばかり勉強をしていた事になる。
悠里「今さらになって悪いけど、お昼とか食べてきた?」
「ええ、来る前に食べてきました」
悠里「そう、なら良かった」
悠里も彼が来る直前にるーと昼食を済ませていた為、空腹に悩まされたりといった事はない。なのでもう少しばかり勉強を続けていても良いのだが、二時間休まずに勉強を続けてきた彼の顔には微かな疲れが見えた。
悠里「…少し休憩しましょうか」
「それはありがたいですね」
悠里(やっぱり疲れてたんだ…。もう少し早く気づいてあげたかったな)
休憩という言葉を聞いた彼はホッとしたような笑みを浮かべ、部屋に敷かれていたカーペットの上にゴロンと寝転がる。彼はこの二時間言葉には出さなかったが、苦手な勉強を続けて疲れてきていたのだろう。
悠里「じゃあ、ゆっくりしててね」
横になる彼へとそう告げ、悠里は静かに立ち上がる。そのままスタスタと歩きだし、部屋の扉へ手をかける彼女を見て、彼はひょいっと体を起こした。
「あれ、どこに行くんですか?」
悠里「ちょっと飲み物とか、お菓子とか…色々持ってくるわ。だからそれまでのんびりとしていて構わないわよ」
ニッコリと笑顔を見せ、悠里は部屋を出ていく。一人部屋に残された彼は彼女の言葉に甘えてのんびりするべく、再び体を横にしたが、一人になるとどうにも落ち着かない。
(りーさんの部屋…なんだよな…)
今、自分の寝転がっている綺麗なカーペットや窓際につけられている緑のカーテン…部屋の隅にある白いタンスや小さなぬいぐるみなど、それらを見めてふと思う。今、自分はあの悠里の部屋にいるのだと…。ここに来たのは初めてではないのだが、こうして一人残されると妙に辺りが気になってしまう。
「…っと」
そっと体を起こし、何気なく辺りを見回す…。パッと見た感じだと落ち着いている雰囲気に思える悠里の部屋だったが、カーテンに可愛らしいレースがついていたり、ベットの上にぬいぐるみが置かれていたりと、所々に女の子らしさが感じられた。
(…ベット、良い匂いとかするのかな?)
ふと、彼女が使っているのであろうベットを見てそんな事を考えてしまう。しかし彼もそればっかりはマズイ考えだと自覚したらしく、邪念を振り払う為に大きく深呼吸をした。
「すぅ……はぁ……」
(というか、部屋自体が良い匂いだな…)
邪念を振り払うべく深呼吸をしたのに、鼻から息を吸った空気がやけに甘い匂いだったのでまた余計な邪念が芽生えてしまう。これではいけないと思った彼は自分の頬をペシペシと叩き、悠里の様子を見に行こうと立ち上がった。
「……ん?」
その時、悠里の勉強机の上に置かれていた一冊のノートに目線がいく。彼女の勉強机は綺麗に整理されており、ノートや教科書等も綺麗にしまってあったのだが、だからこそ…一冊だけ雑に置かれていたそのノートが気になった。
(何のノートだ?)
手にとって見るが、ノートの表面には何も書かれていない。それこそ名前すら書かれていなかった為、もしかして新品のノートなのかとも思ったが…。
(悪いけど、ちょっと覗いてみるか…)
確認するにはそれが一番手っ取り早いだろう。彼は静かにそのノートをパラリと捲るが、最初のページには何も書かれていなかった。やはり、このノートは新品なのかも知れない。そんな事を思いつつパラパラとページを捲っていくと、ちょうど真ん中辺りのページだろうか…そこには文字が書かれており、彼の手が止まる。黒いペンで書かれた綺麗な文字、彼はそれを読んでいった…。
『×月15日……最近、彼が由紀ちゃんや胡桃…美紀さんと仲が良い。最初はあまり良いイメージの無かった彼だけど、話してみたら優しい人だって分かった。私もみんなと同様に彼の事は気に入っているから、あの人とはこれからも良い関係でいたい』
『×月25日……この前、彼を家に招いた。彼があまり授業についていけてないようだったから誘ったのだけど、もしかしたら迷惑に思われたかもしれない…。でも、るーちゃんも彼の事が気に入ったようだから、そこは嬉しかった』
(これ、日記か…?)
ノートに書かれていた内容は学校の授業などの内容ではなく、日記か何かのようだ。彼は無意識の内にページを捲り、その後も続きを読み進めていく。
『△月5日……ひょっとしたら、彼は私達以外と付き合いがないのかな?そんなふうに思う時もあったけど、勘違いみたい。最近、彼がクラスメートの人達と親しげに話しているのをよく見る。話せば面白い人だっていうのが、みんなにも伝わったようで安心した』
その文章を読み、彼はふふっと笑う。思い返せばこの日記に書かれているのは悠里から見た彼の話が多く、まるで子を心配する親が書いた日記のように思えたからだ。
(前回も、それに今日もそうだもんな。僕の成績が下がるのを心配して勉強に誘ってくれたんだ…ほんと、面倒見のいい人だよ)
自分と同い年のはずなのに、何故か彼女と話していると年上の女性と話しているような気分になる。見た目の大人っぽさもあるが、やはり一番の理由はこの面倒見の良さだろう。彼は自分のような人間の面倒を見てくれる彼女の優しさに改めて感謝しつつ、ノートのページを捲った。
『△月10日……最近、彼の事を気にしてばかりいる気がする。学校でも、家に帰ってからも、彼の事が頭から離れない…。出会う前から彼の事を前から知っていたような、そんな勘違いすらしてしまうほどだ』
「っ…」
この文章を見た瞬間、彼の鼓動が高鳴る…。あの悠里が自分の事を意識していたなど、全く予想していなかったからだ。しかし、次のページ…そこに書かれていた内容は彼を更に驚かせる事になる。
『△月15日……私だって、子供じゃない…。彼に対して抱いている自分の気持ちがなんなのか、もう分かっているつもりだ。私はきっと…彼の事が好きなんだと思う。もっとも、彼はそれに気づいてくれてないようだけど…』
思わず、ノートを持つ手に力が入る…。あの悠里が自分の事を好きでいてくれたなど、彼女が
『このままだと彼はいつまでも気づいてくれなそうだから、思いきって告白してみようと思う…。といっても、真正面から告白するのは恥ずかしい…。けど一つだけ、運任せになるかもだけど、良い方法を思い付いた。彼を家に誘って、それから――』
文章がそこで途切れていた為、彼はページを捲る。このノートには彼女の気持ちが込められているのだから、それを勝手に読むのは申し訳ないと思う…。しかし、ここまで読んだらもう止められなかった。
『私がいない時、彼がこのノートを読んでくれる事を祈ろう…。文字でなら私の気持ちを伝えられるから…。だから、このノートは出来るだけ目立つ場所に置いておこうと思う』
「……えっ?」
その文章を見て、思わず声が漏れる。つまり、ここにノートが置かれていたのはわざとであり、彼がこうして覗き見る事すらも悠里の計算の内…ということなのだろうか。
…ガチャッ
「っ!?」
直後、部屋の扉がゆっくりと開く。その向こうには真っ赤に染まった顔をほんの少しだけ俯けた悠里が立っており、彼女は彼がそのノートを手にしている事を目で確認していた。
悠里「もう、見た…わよね……」
「え、えっと……まぁ……ちょっとだけ」
ノートを元の場所に置き、彼は先程まで勉強していた場所に戻って腰を下ろす。悠里はそれを無言のまま見つめていたが、その無言が何を意味しているのか分からず、彼は冷や汗を流した。
悠里「……っ」
悠里はそんな彼の隣へ勢いよく腰を下ろし、瞳をキョロキョロ落ち着きなく泳がせる。突然隣に座ってきた彼女になんと言葉をかければ良いか分からずに彼が戸惑っていると、悠里はムッとしたような表情を見せた。
悠里「人のノート、勝手に見るなんて…」
「す、すいません……つい…」
悠里「…だめ、許さないから」
彼女はそう言ってから彼の頬に右手をあて、赤い顔を俯ける…。彼女はそのまま手に力を入れて彼の顔を自分の方へ向けると、消えてしまいそうなほど小さく、弱々しい声で呟いた。
悠里「変な伝え方になっちゃって……ごめんね…」
気まずそうな笑みを浮かべてそう呟いたかと思うと、悠里は真っ赤に染まったその顔をグッと彼の方へ寄せていく。互いの顔がある程度迫った所で彼女はギュッと瞳を閉じ、次の瞬間…彼は唇に温かい感触を感じた…。
「ん…っ……」
悠里「っ…ぅ……」
かつてない程間近に見える悠里の顔を見て、彼は自分と彼女の唇が重なっている事に気が付く。柔らかく、温かい悠里の唇……その感触を確かめるようにして唇を動かすと、これ以上赤くはならないと思っていた悠里の顔がまたみるみる赤くなっていった。
悠里「んっ…あ……ぅっ……」
唇を重ねて十秒ほど経ってから、彼女の肩が震えていた事に気が付く。彼はその肩にそっと手をあて、彼女が安心出来るようにゆっくりと撫でた。
悠里「っ……ごめんなさい…私っ、いきなりこんな事しちゃって…」
重なっていた唇を離し、悠里は彼に頭を下げる。その目は今にも泣き出してしまいそうに潤んでおり、声も震えていたが、彼は彼女の肩を撫で続けた。
「…いや、全然大丈夫ですよ」
悠里「……本当に…?」
不安そうな、怯えたような、そんな目線を向ける悠里。きっと、いきなりキスをしたせいで嫌われたのではとか、そんな事を思っているのだろう。だが、そんなの心配は無用だった。何故なら、悠里が彼を愛していたように…彼もまた…
「僕も、りーさんの事が好きですし…」
悠里「っ……!ん、ん…っ!?」
笑顔で呟き、撫でていた彼女の肩を掴む。彼はそのまま彼女の顔へと唇を寄せると、悠里が戸惑うのもお構いなしにもう一度キスをした。
悠里「んっ…!う…っん………」
彼の方からキスしてくる事を想定していなかった悠里は一時それに戸惑い、両手に微かな力を込めて彼の体を引き離そうとした。しかし、これこそが自分の望んでいた展開なのだと気付き、彼の体を押していた両手から力を抜く。悠里はその手を静かに彼の肩へ回すと、再び目をギュッと閉じて唇を動かした…。
悠里「っん……ぅ……」
彼は悠里の唇の感触を確かめるべく唇を動かしていたが、悠里もまた同じように唇を動かしている。その事実や、唇を動かす度に漏れる悠里の甘い声…それらに理性を奪われた彼は、悠里の口の中へ自分の舌をねじ込もうとした。
悠里「っ…む……っ!?ちょっ、ちょっと待って…!?」
自らの口の中へ彼の舌が入り込み、それが自身の舌へと触れた…。その瞬間、悠里は体をビクッと震わせて慌てたように唇を離すが、その際に彼と悠里、二人の唾液が交わった物が互いの唇の間でツーっと糸を引き、悠里は恥ずかしそうに自分の唇を押さえた。
悠里「っ……!」
「ええっと、嫌…でした?」
気持ちが高まって舌を入れてしまったが、さすがにやり過ぎただろうか。耳まで赤くなっていた悠里の顔を見てそんな事を思う彼だったが、悠里はその首を横に振る。
悠里「そ、そうじゃないのっ…!ただ、恥ずかしくてっ……。それに、あまりキスしてたら……その…止められなく、なっちゃうでしょ…?」
「……まぁ、そうかもですね」
悠里の唇の感触はやたらと柔らかく、そこから漏れる甘い声はいつまでも聞いていたい程だ。もし、あのまま舌を入れられても悠里が抵抗しなかったら彼はしばらくキスを続けていただろうし、彼女もその気になってくれるならばもっと凄い事もしていただろう…。
悠里「今日は…隣の部屋にるーちゃんもいるし、また今度…ね?」
ぷるんとした唇に人指し指をあて、悠里は照れたような笑みを浮かべる。その顔は今まで見てきたどんな表情よりも可愛らしく、そして艶やかで…彼は目を丸くしながらゴクリと喉を鳴らす。
(っぐ…!!ま、まぁ…るーちゃんが隣にいるんじゃ、仕方ない…よな)
「分かりました……また、今度…」
悠里「ええ、それまで我慢…」
いつになるかは分からないが、また後日、るーのいない日にこの家に来れば…。もしくは、自分の家に悠里を誘えば…。その先に待つ展開を想像して彼が胸を高鳴らせていると、悠里は釘を指すようにそれを告げた。
悠里「あの、言っておくけど……キスまでだからね?」
「えっ…?」
悠里「あ、当たり前でしょう!?キスより先は、もっと仲良くなってからですっ!」
彼の反応を見て驚いたように告げる悠里だが、その言葉を聞いた彼の驚きはそれ以上だった。今は隣の部屋にるーがいるから拒絶されただけで、もし家に誰もいなかったらそのままキスの先へ行けると思っていたのだ。
「そう…ですよね…」
悠里「まったく、露骨にがっかりしないでちょうだい!」
呆れたように言う悠里だがその顔は明るく、にっこりと微笑んでいた。彼に自分思いを伝えられた事、そしてそれを知った彼が自分の事を好きだと言ってくれた事が嬉しかったから。
悠里「…改めて聞きたいんだけど、私と付き合ってくれる?」
「もちろん。キスまでしといて、今さら嫌だとか言ったら最低な男じゃないですか…」
悠里「ふふっ、そうね♪」
良い返事をもらえた悠里は嬉しそうに微笑み、彼の手をギュッと握る。こうして彼の手を握ることも、キスをしたことも、全てが嬉しい…。一緒にいてこんな嬉しい気持ちになるのなら、やはり自分は彼の事が好きなのだろう。悠里は改めてその気持ちを実感し、目を閉じてから彼の肩へもたれるように頭を寄せた。
悠里「今思えば、ラブレターでも下駄箱に入れた方が良かったかもね…」
今回、彼が自分の狙い通りあのノートを覗き見てくれたから良かったものの、かなり回りくどい告白になってしまったのは言うまでもない。こんな形で自分の思いを伝えるくらいならオーソドックスにラブレターでも送れば良かったと、今さらながらに思った。
「……まぁ、これはこれでありじゃないですか。ドキドキしましたよ」
悠里「ほんと?なら良かった♪」
「というか、りーさんもよく分からない人ですね。正面から告白するのは恥ずかしがるのに、キスは出来るなんて」
悠里「んん…確かにそうね」
彼の腕を抱きながら肩に頭を寄せ、幸せな気分に浸る。そう言えば彼が前回この家に来た際、次は勉強会ではなく普通に遊ぼうと言ったのに、結局今回も勉強会になってしまった。まぁ勉強会というのは彼を家に招く為の口実で、告白する事こそが真の目的だった訳だが…。
悠里「これからは二人でいっぱい遊んだり、デートしたりして、いっぱい仲良くしましょうね……」
「……はい」
"仲良く"というのは、どこまでを指すのだろう?彼女が放つ言葉に対してそんな事を思ってドキドキしつつ、彼は自分に寄りそう悠里の頭を撫でる…。目の前にあるテーブルの上、そこには二人の勉強道具が並べられていたが、今日はもう勉強をする気になれなかった……。
これまで書いてきた『ゆきアフター』『くるみアフター』と比べ、少し過激な場面もあった今回のお話…。やはり、りーさんが相手だとああいった描写を入れたくなってしまうのです(苦笑)
一話目にして告白・キスを終えたりーさんはこれから彼と付き合っていくわけですが、この先二人はどこまで"仲良く"なれるのか……そこに注目していただけたらなと思っています(^_^)