軌跡〜ひとりからみんなへ〜   作:チモシー

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今回は久しぶりの真冬アフターとなります!
前回は真冬ちゃんが彼に告白し、付き合う事になって終わりましたので、その数日後が舞台となっているお話です。

本当は書く予定の無かったお話なのですが、ちょっとした理由があって書く事となりました…。タイトルを見ての通り、ちょっぴりエッチな展開となっています!R-18とまでは言いませんが、R-15くらいの内容かも…?

楽しんでもらえたら幸いですm(__)m


第四話『もう、お嫁に行けない…』(☆)

 

「ふぅ…さっぱりした」

 

夕食を済ませてから入浴を終え、彼は自室へと戻る。

もう寝間着には着替えたので、あとは髪の毛を拭いてから少しのんびりとしてベッドに潜るだけ…。大きなバスタオルを用いて髪の毛をゴシゴシと拭っていく彼だったが、次の瞬間―――――

 

 

「あっ!?おい、返せって!」

 

彼と共にこの家で暮らしている唯一の存在…太郎丸がピョンと跳ねながらそのバスタオルを口に咥えて奪い去り、部屋の隅へと隠れていく。小さな尻尾を左右に揺らしながらバスタオルをガシガシと噛んでいく太郎丸を見た彼は諦めたようにため息をつき、そばの棚からまた違うタオルを取り出して髪の毛を拭う。

 

 

「お前、本当にそのタオル好きだな……」

 

どういう訳か、太郎丸はあのバスタオルだけをやたらと気に入っている。初めてあれを取られた時、彼は『どうせ噛むならこっちにしろ』と古いタオルを渡したが、見向きもされなかった…。あれは比較的新しくて結構良いタオルなので、あまりボロボロにはして欲しくないのだが…一度ああなってしまったら太郎丸が飽きるのを待つしかない。

 

 

(まぁ、いつも二~三分で終わるし、別に良いか…)

 

『飽きたらそこに置いておけよ』とだけ太郎丸に告げて、彼は髪の毛を拭いつつ携帯をチェックする…。すると一件、メッセージが届いている事に気が付いた。

 

 

(おっ…真冬からだ)

 

メッセージの送り主は狭山真冬…。

二年生の女の子であり、彼の恋人でもある少女…。

つい先日、彼は彼女に告白されてそのまま付き合う事になった。

初めて会った時は凄くクールであまり笑ったりしない女の子だと思っていたが最近の彼女はどことなく雰囲気が柔らかくなったような気がして、とても可愛らしい。

 

そんな彼女からのメッセージは…【明後日、キミの家に行っても良い?】という短い内容だった。明後日は学校も休みで特に用事も無い…。彼が【良いよ】とだけ返信すると、またすぐにメッセージが届く…。今度の内容は【よかった…。じゃあ、お昼前には着くようにするね】…というものだった。

 

 

 

(これは…お家デートってヤツか…?)

 

真冬とはまだデート出来ていなかったので、これが実質"初デート"となるのだろうか…。お家デートというのは何をしたら良いのだろう?真冬が楽しめるような物がこの家にあっただろうか?それとも、途中からは二人一緒に外出してどこかに繰り出した方が良いのだろうか?

 

彼はあれこれと悩みながらベッドに潜り、そして二日後…。

 

 

 

 

―――――――――――

 

 

 

 

「これは……マズくないか…?」

 

朝、目を覚ました彼は外から聞こえるその音に反応して飛び起き、窓の外を見て冷や汗を流す…。朝だというのに外は真っ暗……大きな雨雲が空を覆い、驚くくらいに激しい雨が降り注いでいた。

 

部屋の中にいてもその雨音が聞こえてくるくらいの豪雨……これはもう、デートどころではない。彼は携帯を手に取り、真冬にデート中止のメッセージを送ろうとするが――――――

 

 

 

ピンポーン…

 

 

…と、家のチャイムが鳴り響く…。

もしやと思った彼は大慌てで玄関へと駆け寄り、扉を開けてため息をついた。玄関前に立っていたのは、やはり真冬だ…。彼女は右手に青い傘を持っていたが、この豪雨の中では傘なんて役に立たなかったのだろう…。彼女は髪の毛から爪先まで全身ずぶ濡れ…真っ白なシャツが肌にピッチリと張り付き、黒い短パンからもポタポタと水滴を垂らしていた。

 

 

「びしょ濡れじゃん…!まさかこんな雨の中を歩いてくるなんて…」

 

真冬「この前、キミの家に行くって約束した……。だから絶対に行かないとって思ってたし、それに…………」

 

雨に濡れた傘を畳んで傘立てへと収め、真冬は気まずそうに前髪を弄る…。シャワーでも浴びたばかりなのかと思うくらいに濡れきった前髪を指先でクルクルと弄った真冬はそっと顔を俯けると彼の事を上目遣いで見つめ、頬を真っ赤に染めた…。

 

 

 

真冬「せっかくの初デートだから……すごく楽しみで……。こんな雨なんかで……中止にしたくなくて……それで…っ…」

 

身体が冷えたからなのか、はたまた照れているのか…その声は微かに震えており、彼は胸を高鳴らせる…。クール系だと思っていた真冬にこんな事を言われたら、ドキドキせずにはいられない。

 

 

「と、とりあえず入りなよ…」

 

真冬「…うん………お邪魔…します…」

 

玄関に入った真冬はそのまま立ち尽くし、何やら申し訳なさそうにオロオロとする…。どうやら、雨に濡れた身体で家に上がり、床を濡らしてしまう事を悪く思っているらしい。そんな事、気にする必要は無いのに…。

 

 

「ほら、気にしなくて良いから」

 

真冬「あっ………う、うん…っ…」

 

靴を脱いだ真冬が一歩歩く度に水滴が落ち、床に足跡が付く…。

だが、こんなのは後で拭けば良いだけだ。それより、このままだと真冬の身体が凍えきってしまう。

 

 

「そのままだと風邪引くから、お風呂入ってきなよ。

ちょうど沸いたみたいだし…」

 

真冬「えっ…?い、いいの…?」

 

「ああ、当たり前でしょ」

 

こんなにもずぶ濡れなまま放ってはおけないし、それに真冬は大切な恋人だ。この家の風呂で良いのならゆっくりと浸かって、身体の芯まで温まって欲しい…。

 

真冬は彼の言葉に甘える事にして、風呂場へと案内されていく。

案内を終えた彼は真冬に『ごゆっくり』とだけ告げてその場を去り、残った真冬は静かに衣服を脱ぎ進めた。

 

 

 

真冬(彼の家で……お風呂に入るなんて…)

 

彼氏の家でお風呂……これは何となくドキドキしてしまう…。

彼とは付き合ったばかりだし、キスだってまだしていない…。

にも関わらずお風呂を使わせてもらうなんて、少し恥ずかしい…。

 

雨に濡れきったシャツと短パン…続けて下着を脱いだ真冬はそれらの衣服をそばのカゴヘと入れ、浴室へ足を踏み入れる。そして手早くシャワーを浴びて髪や身体を洗い、しっかりと湯を張っている浴槽へと肩まで浸かって『ふぅ…』とため息をつく…。

 

 

真冬(彼も…いつもはこのお風呂に………)

 

彼も幾度となく、この浴槽に浸かってきたのだろう…。

ついさっき自分が使ったのと同じシャワーヘッドを使い、温かな湯を浴びてきたのだろう…。湯に浸かりながらそんな事ばかりを考えてしまい、真冬は頬を上気させる。

 

 

真冬(…ダメだ、変な事ばかり想像しちゃう…っ…)

 

これ以上おかしな事を考えるのは()めにしよう…。

自分は大人しく彼の厚意を受け入れ、凍えた身体を温めれば良い。

真冬は出来るだけ何も考えないようにしながら湯に浸かり、充分に身体が温まった頃、浴槽を出て脱衣所へと戻る。

 

 

真冬「はぁ……気持ちよかった……」

 

脱衣所に置かれていた棚の上に重なっていた大きなバスタオルを一枚借り、それで身体を拭いていく…。髪の毛から胸元、腕や足までをしっかり拭いた後…真冬はふと思った。

 

 

真冬(服……どうしよう…)

 

脱衣所にあるのは、ついさっき自分で脱いだ服と下着だけ…。だが、これらの衣服は雨でびしょ濡れになってしまっており、とても着られる状態ではない。乾かすにしたってそれなりに時間がかかるだろうし、どうすれば良いのだろう…。

 

少し考えた結果、真冬は一つの答えを見出だした。

恥ずかしいが、彼に服を貸してもらえば良い…。適当なシャツと短パンくらいならきっとあるハズ……だから、それを貸してもらえるかどうか頼んでみよう。

 

 

真冬(今はとりあえず、このバスタオルで……)

 

ここから大声を出して頼んでも良いが、それだと悪い気がする…。

やはり、直接顔を見ながらお願いするべきだろう。

真冬は今使ったばかりの大きなバスタオルを身体に巻き、そっと深呼吸して彼のいる部屋へと向かう…。このバスタオルの下には何も身に付けていない状態だが、簡単にずり落ちたり捲れたりはしないハズだから大丈夫……。無理やり引っ張られたりしない限りは、しっかりと身体を隠せるハズだ…。

 

脱衣所から出た真冬はそのバスタオル一枚だけを身に付けてゆっくりとした足取りで廊下を進み、彼のもとへと辿り着くなりすぐに声を放った…。

 

 

 

真冬「あ、あの………」

 

バスタオルを胸の上で押さえながら顔を背け、静かに声をあげる真冬…。

彼はカーペット上で座り込みつつ太郎丸と遊んでいたようだが、突然現れたバスタオル姿の真冬を前にして呆然とした様子だ…。

 

 

「えっと…どうしたの?」

 

真冬「その……服、濡れちゃってて………だから、何か代わりのを…」

 

そこまで聞いた所で、彼は慌てたようにタンスを漁る。

真冬はあれだけびしょ濡れだったのだから代えの服が必要なのに、それに気付けなかった…。女の子にはどういう服を貸せば良いのだろう?下着はどうすれば良いのだろう?

 

 

真冬「あっ……て、適当なので良いよ……」

 

慌てる彼に向けて優しい声でそう言って、真冬は部屋の隅で待つ…。その時、先ほどまで彼と遊んでいた太郎丸が真冬の事をジーッと見つめ始めた。

 

 

真冬「…ふふっ、どうしたの?ボクと遊びたい…?」

 

そう尋ねると太郎丸は尻尾を振り、トコトコと歩み寄る…。

凄く甘えん坊で人懐っこい子だなぁ…と思った真冬はその小さな身を撫でようと手を伸ばすが…。

 

 

(あれ…?真冬が巻いてるタオルって……)

 

彼はふと真冬の事を…その身体を覆っているバスタオルを見て、全てを察してしまう…。太郎丸は、真冬と遊びたくて歩み寄っているのではない…。太郎丸の目的は…彼女の身体を覆っているその――――――

 

 

 

「太郎丸っ!待てっ…!!」

 

咄嗟に"待て"と命ずるが、太郎丸はそれを聞かずに真冬に飛びつく。

そして彼女が身体に巻いていたバスタオルの端をガブリと咥え、そのまま勢い良く走り出した…。

 

 

真冬「ッ!?や…っ…!!!!」

 

バスタオルはハラリと捲れ、真冬の身体を露にしていく…。

まずは胸元が露となったが真冬はすぐにそれを右手で覆い隠し、離れていくバスタオルに左手を伸ばす…。が、太郎丸は想像以上の速度で部屋の隅へと去っていき、真冬は身体を覆い隠す物を失って立ち尽くした…。

 

 

「っ………あ………」

 

彼は真冬の身体を見つめ、ただ唖然とする…。

真冬はあまりにも突然の事で混乱してしまったらしく胸元に添えていた右手すらも動かしてしまっており、上も下も…全てが露になっていたが――――

 

 

真冬「っっッ……!!?やっ、やだっ…っ…!!」

 

少ししてハッと我にかえり、その場を立ち去って脱衣所へと戻っていった…。部屋に残された彼は今見た光景を思い返しては胸をドキドキと高鳴らせ、部屋の隅でお気に入りのバスタオルを噛んでいる太郎丸に視線を向ける。

 

 

「太郎丸……一応、お礼を言っておくよ…」

 

真冬には悪いが、今のはとても魅力的な光景だった…。彼は太郎丸に礼を告げてから適当な服を持ち、それを脱衣所の前へと置く。

 

 

「服、ここに置いておくからね?」

 

真冬「……ボク……もうお嫁に行けない…っ……」

 

扉の向こうで、真冬が震えた声を放つ…。

人一倍恥ずかしがりやな真冬のことだ……彼氏とはいえ、異性に裸を見られてしまったのはかなりの大事(おおごと)なのだろう。

 

その後、真冬は彼から借りた服を着て部屋へと戻ってきたがかなりの時間赤面しっぱなしだった為、二人の間に気まずい時が流れていった…。が、昼を過ぎた頃には真冬もどうにか立ち直れたらしく笑顔を見せるようになり、結局はそれなりに楽しく、充実したお家デートとなった…。

 

 

 

 

 

 







初めてのお家デートは良い感じで終わったようですが、途中、恥ずかしがりやな真冬ちゃんにとっては大事件であろうアクシデントが起きてしまいましたね…。降り注いでいた雨も夕方には止み、真冬ちゃんは濡れた服を持って自宅へと帰っていったようですが……この日の夜、彼は不意に見てしまった真冬ちゃんの身体を思い返して悶々としていたのではないかなぁと思っています…(^_^;)


と、前書きの方で言っていた『ちょっとした理由』というのをここで明かさせてもらいますね。私は時々、趣味としてイラストを描く事があるのですがその内の一つに今回のワンシーン(太郎丸にタオルを取られた瞬間)をイメージした真冬ちゃんの絵がありまして…。

本来なら誰に見せる訳でもなくこのまま眠らせておこうかと思ったのですが、少し勿体無い気がしてしまったのでこの絵を挿絵として使えるように今回の話を書き上げました…。数ヶ月前に描いた物ですが、真冬ちゃんの可愛さとかが伝われば幸いです…!!

少しエッチな絵ですが、肝心な所は見えていないのでセーフ…なハズ!!




【挿絵表示】








…隠すほど胸無いじゃん。
とか言ったら真冬ちゃんが怒ります。

本当は右下の方に太郎丸もしっかりと描いていたのですが、あまり可愛く描けなかったので画像からカットしました(汗)
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