軌跡〜ひとりからみんなへ〜   作:チモシー

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先に言っておきますと…

今回の話はちょびっとハードです。

以前、空彦が由紀ちゃんを襲った時と同等か……それ以上かも知れないイライラ展開となります。

あの話を好きでいてくれる方は今回も大丈夫だと思いますが…あの話は嫌いだ、という方はご注意を…


三十三話『待ち構える絶望』

 

 

 

 

 

 

深夜…一人で車を抜け出して、岡宏樹達がいた薬局へと向かう胡桃。

 

 

 

 

 

 

 

胡桃(ここからあの薬局は1~2Kmしか離れてない、走ればすぐに着く!!)

 

胡桃は始めからあの薬局へ忍び込む事を決めており、その為にわざと薬局から近いこの公園を宿泊場に決めたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

胡桃「……」

 

少ししてその薬局に辿り着いた胡桃は、小さめの懐中電灯を点けると、中で眠っているであろう岡達を起こさぬように静かに…罠も警戒しながら中へと入って行く。

 

 

 

 

 

胡桃(今日見た限り、普通の商品棚には何も置いてなかった……だったらもっと奥に隠してるのか?)

 

胡桃は考えを巡らせながらゆっくりと歩いていく…。そして店の奥にバックヤードへ続くであろうドアを見つけると、それをそっと開く。

 

 

 

 

胡桃「……」

 

 

ドアを開くと細い通路に出て、更にそこには三つのドアがあった。

 

 

 

 

 

 

胡桃(ちっ!…どれだよ!?)

 

どのドアを開けるべきか分からず焦る胡桃…。しかしその内の一つ……通路の一番奥のドアは位置的に外へ出る裏口だと気付いた。

 

 

 

 

 

胡桃(あれは違うとして、あと二つ……)

 

片方に薬がしまってあるとして……もう片方は恐らく奴等の居住区だろう…胡桃はそう考えて悩む。

 

 

 

 

 

胡桃(ドアはどっちも似たようなもんだし、小窓も付いてないから中の様子も見れない……)

 

胡桃(しかたないな……ゆっくりと開けよう。二分の一で当りだし、もし奴等の寝床でもそっと閉めればバレないだろう)

 

そう考えて、胡桃は片方のドアをゆっくりと、慎重に開ける。

 

 

 

 

 

胡桃「………。」キィ~…

 

僅かにドアが音をたててしまい、焦った胡桃は手を止める。

 

 

 

 

 

胡桃「………」

 

 

胡桃(…大丈夫だよな?)

 

誰も起きて来ないのを確認してから、僅かに開いたドアの隙間から中の様子を窺う…。そうして見た光景は胡桃の望んでいたもので、思わず頬がゆるんだ。

 

 

 

 

胡桃(……………よしっ!)

 

胡桃の視線の先の部屋の中には、いくつか並べられた棚…その上に置かれた大量の医療品、そして床には無数のダンボール箱があった。

 

 

 

 

 

胡桃(当たりだな…)

 

そう確信して慎重にドアを開け、中に入る胡桃。

 

 

 

 

胡桃(すげぇ数の医療品だな……アイツ等早い内からここに立て籠って独占してたのか?…それにしても多い気がするけど。)

 

中に入り棚の医療品を確認するが、目当ての物はない…。続いてそばに置かれていたダンボールの中も確認すると、その中にも様々な医療品が無分別に詰め込まれていた。

 

 

 

 

 

 

胡桃(本当にすげぇな……これなら解熱剤くらい…)

 

そう思いつつ、ダンボールの中に手を入れて漁る…。

直後、背後から大きな音が鳴り響いた。

 

 

 

 

 

 

バタン!!

 

 

 

 

 

胡桃「っ!!」

 

不意に胡桃が通ってきた半開きのドアが完全に開かれ、三人の男が入ってくる。それの三人を見た胡桃は冷や汗を流し、拳をギュッと握りしめた。

 

 

 

 

 

川崎「宏樹の言った通り、やっぱ盗みにきたな?」

 

岡「この女だけ諦めきっていない目をしていたからな…真夜中にでも忍び込むと思ってたよ。」

 

棚の上にライトを置き、部屋を明るくしてから岡が言う。

置かれたライトは比較的強力なのもあり、部屋全体をかなり明るくした。

 

 

 

 

安田「図々しいヤツ…」

 

そう言って安田はドアを閉める。

逃げ道を完全に塞がれてしまい、胡桃はただひたすらに焦った。

 

 

 

 

胡桃「悪い事をしたと思ってる……。でも一つだけ解熱剤が欲しいだけだ!!それ以外は何も取らないから…!」

 

黙って忍び込んだ自分も悪い…。胡桃はそれを自覚しているからこそ、申し訳なさそうに三人へと告げる。

 

 

 

 

岡「まぁわざわざ来たんだ…もし土下座して頼むってんなら、解熱剤くらいやるよ」

 

ニヤッと微笑み、岡が胡桃に提案した。

本当ならば絶対に嫌な提案だったが、全ては友達のため…。自分の土下座一つで救えるならと思い、胡桃は勇気を振り絞る。

 

 

 

胡桃「……本当だな?」

 

 

岡「ああ」

 

 

岡の言葉を信じた胡桃はシャベルを横に置くと、そっと床に頭をつける…。そうして土下座した彼女は、すがるようにして言葉を放った…。

 

 

 

胡桃「頼むよ……大切な友達が熱で苦しんでる…一つで良いから、薬を分けてくれ…」

 

川崎「あ…?分けてくれ?」

 

何かを正せと言わんばかりに川崎が胡桃を睨む…。

胡桃はそれが何を示しているのかを察すると、その言葉を正した…。

 

 

 

胡桃「…っ」

 

 

 

 

胡桃「……………」

 

 

 

 

 

胡桃「……分けて…下さい……お願い…します…」

 

川崎の発言に少々は苛立ったが、これも悠里の為…胡桃は必死に堪えた。

 

 

 

 

 

 

岡「ほら…川崎。この子…ちゃんと頼んだぞ。」

 

川崎「だな…嬢ちゃん、もう顔上げていいぞ。」

 

 

 

 

 

胡桃「!!…じゃあ薬を…」

 

胡桃は少し安心して顔を上げる、頭を下げ、必死に頼んだのは無駄ではなかったと思ったから……。しかし、次の瞬間に川崎の発した言葉で、胡桃からその安心は消えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

川崎「土下座したくらいじゃやらないに決まってんじゃん…」

 

 

 

 

 

胡桃「え?……だって…さっき…」

 

そう言って胡桃は岡を見る。しかし奴のその顔もニヤニヤと微笑んでおり、胡桃の顔は青ざめた。

 

 

岡「ん?あぁ、悪いね、嘘だよ。…川崎の奴が、もし本当に君が来たら土下座の一つでもさせたいって言ってたからさ。」

 

川崎「嬢ちゃん、気が強そうだからね。そんな嬢ちゃんが頭下げて必死に頼む姿が見たかったんだよ…いや~中々興奮したよ!」

 

全く悪びれる様子の無い岡と、床に手をつく胡桃を見てニヤニヤと笑う川崎…そんな二人を見て、胡桃はシャベルを拾うと、立ち上がって言った。

 

 

 

 

 

胡桃「ふざけるな!!約束が違う!なんの為に…あたしは土下座まで…」

 

さっきまでの自分の姿を思い返して、思わず泣きそうになる…。

必死に堪えたのに…心から頼んだのに……。

 

 

 

 

川崎「なんの為?…俺を興奮させる為じゃない?」

 

安田「良い趣味してるな…ほんと」

 

胡桃「っ!!ふざけやがって!結局渡す気がなかったんだろ!!」

 

 

 

 

 

川崎「いやいや……今朝会った時言ったろ?薬が欲しければ俺達と遊べって…遊んでくれるの?なら薬くらいあげるよ?」

 

胡桃に近付きながら川崎が言うが、そればかりは難しい…。

胡桃は思わず目を逸らし、顔を俯ける。

 

 

胡桃「っ!………それは…さすがに…」

 

岡「まぁ良いさ、一人でここに来て俺達の物資を漁ってたんだ……そんくらいの覚悟はしてたろ?」

 

その一言で胡桃の顔がますます青ざめる…。このままでは薬を取れないばかりか、自分の身すら……。

 

 

 

胡桃「…たった解熱剤一つだぞ!?こんなに頼んでるんだから…良いだろ!それくらい!!」

 

岡「はぁ…」

 

岡は呆れたような表情をしてため息をつき、胡桃の目を睨む…。

 

 

 

 

岡「無理矢理するのは嫌だったけど……そっちがそういう態度ならしかたないよな…。」

 

川崎「楽しみに待ってたんだぞ、嬢ちゃんがここにくるの…。」

 

川崎一歩ずつ胡桃に近付き、ニヤニヤと笑う…。

その表情がとても怖くて、胡桃はそっと身構えた。

 

 

 

 

 

胡桃「……!」

 

 

岡「お前ら…好きにしていいぞ」

 

川崎「ほいほ~い!」

 

 

 

 

胡桃「…くっ!!」ブンッ!!

 

ドッ! 

 

 

 

川崎「いてっ!!!」

 

 

近付く川崎の横っ腹にシャベルを振る胡桃。だが相手がただの人間という事で少し躊躇ってしまい、力が入らなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

安田「大人しくしろ!!!」

 

胡桃「…うっ!!」

 

一瞬の隙を突かれて、安田に床へ押さえつけられる胡桃、その際にシャベルを落としてしまい、それを岡が拾い上げて奪う。

 

 

 

 

 

 

岡「あらら…大丈夫か?川崎」

 

川崎「ッ~!いてぇけど我慢できる範囲だ……この嬢ちゃん…マジでやってくれたな!」

 

川崎はそう言って安田が押さえつけている胡桃に近づく。

 

 

 

 

 

 

川崎「おい翔!お前は腕だけ押さえといてくれ。」

 

そう言って安田に胡桃の腕を押さえさせると、川崎は胡桃の太ももの上にまたがり馬乗りになって、胡桃の顔を見つめた。

 

 

川崎「ふぅ……かなり痛かったぞ…嬢ちゃん」

 

 

 

 

 

胡桃「…もっと強く振れば良かった…お前みたいなクズ相手に…躊躇う必要なんかなかったのに…」

 

弱々しい声で胡桃が呟く…。

どうにかしてこの場から逃げ出したいが、ここまで押さえられると身動き一つ出来なかった…。

 

 

 

 

 

 

川崎「…俺が一番先で良いよな?じゃなきゃ殴られ損だし」

 

安田「じゃあ俺は二番な」

 

 

岡「…好きにしてくれ」

 

 

 

 

 

川崎「だってさ嬢ちゃん……、胡桃ちゃんだっけ?本当に来てくれて良かったよ……もし来なかったら、俺は一生後悔したね…今朝の段階で襲えば良かったって!」

 

胡桃「うっ………どけよ!!」

 

胡桃は抵抗するが手は安田に、足は川崎が乗っているせいで完全に押さえつけられて振りほどけない。そんな状況に胡桃が焦る中、手を押さえていた安田があることに気付く…。

 

 

 

 

 

安田「…さっきから気になってたんだけど、君…手冷たいな。」

 

胡桃「…くっ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

川崎「冷え性なんじゃないか?大丈夫だよ。俺が温めてやるからさ」

 

川崎はそう言ってから胡桃の着ていたシャツを力任せに破く…。

乱暴に破かれたシャツはビリビリと音を発てていき、胡桃の肌を露出させていった…。

 

 

 

 

 

胡桃「や…っ…!!」

 

シャツは首もとから、へその辺りまで乱暴に裂かれ、胡桃の青色の下着が(あらわ)になる。自分の身体がこんな男の視界に晒されたと気付いた胡桃は焦り、必死に抵抗した。

 

 

 

 

 

胡桃「やだっ…!やめ…ろっ…!!」

 

自身がいかに危機的状況にあるのかを実感した胡桃は顔を赤らめながらもう一度もがいて抵抗するが…やはり抜け出せない。このままでは、この連中の思うように身体を弄ばれてしまう…。

 

 

 

 

 

川崎「恥ずかしがらないで良いよ…優しくしてやるからさ」

 

顔を真っ赤に染め、目をギュッと閉じる胡桃の仕草を見て川崎が笑う…。

 

  

川崎「ま、恥ずかしがるなって言われても無理かなぁ……。クズ扱いした相手が、これから自分の体を隅々まで触るってんだから…」

 

動けない胡桃の頭をガシガシと撫でながら言う。

ただ頭を撫でられるだけでも、胡桃は深い嫌悪感を感じた。

 

 

 

 

 

 

胡桃「触るなっ!離せっ!!」

 

涙を浮かべながら胡桃は必死に抵抗するが、川崎はそんな抵抗を気にも留めずににやけながら胡桃の肌に触れる。その手が腹部に触れた途端、胡桃は顔を真っ赤にしながら顔を逸らした。

 

 

 

 

 

 

胡桃「…っ」

 

 

川崎「ん?……本当に随分冷たいな。」

 

 

安田「だろ?まるで死人みたいだ…。」

 

 

 

 

 

胡桃「………」

 

 

 

 

 

川崎「まぁ別にいいや、始めちまえば気にならないだろう……このシャツ邪魔だな。」

 

そう言って川崎は胡桃の破けたシャツを捲り上げて、それを脱がそうとした。捲り上げられたシャツは胡桃の首を抜け、手首の方まで上げられてしまう…。破れてはいたものの微かに肌を隠していたシャツを脱がされ、上半身の下着姿をもろに見られてしまった胡桃の顔はますます赤みを帯びた…。

 

 

 

胡桃「う…うっ……」

 

 

 

 

川崎「ん?」

 

その時、胡桃の右肩に包帯が巻かれている事に川崎は気付く。

 

 

 

川崎「…何これ?怪我してんの?」

 

岡「!?…おい!ちょっと見せろ!」

 

今までは大人しく後ろで様子を見ていただけの岡が、顔色を変えて胡桃に近寄り、包帯に手を伸ばす。

 

 

 

 

 

胡桃「おいっ!……触るなっ!」

 

動けない胡桃はあっさりと包帯を剥がされ、三人に肩の傷を見られた…。

 

 

 

 

 

 

岡「この傷…!コイツ、噛まれてるな。」

 

剥ぎ取った包帯を投げ捨てて岡は言う。すると川崎は焦ったような表情を見せ、改めて胡桃の事を見つめた。

 

 

川崎「マジかよ!?…じゃあ(じき)に奴らみたいになるって事か?」

 

岡「だろうな、肌が冷たいのもその影響だろう」

(けど、傷は昨日今日の物ではなく…少し古い物みたいだな…噛み傷って事に間違いはないはずだが……どういう事だ?)

 

 

 

 

安田「…どうする?」

 

川崎「…仕方ないな、人間の内に触るだけ触って、もしゾンビになったら殺せば良いだろ。…どうだ?さすがに触るだけなら感染しないよな?」

 

岡「さぁな…どうしてもってなら好きにしろ、俺はもういい……そんなゾンビ女に興味は無い。」

 

胡桃「!!」

 

岡のその一言が胡桃の耳に突き刺さる…。

これだけ辱しめられても堪えていたのに、その言葉だけはやけに胡桃の心を(えぐ)った。

 

 

 

 

 

 

 

 

胡桃(…こんな奴等に何を言われても、気にする必要なんて…無いのに………)

 

胡桃(くそっ…………くそっ…………!)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

川崎「……ん?」

 

 

胡桃「うっ……うう…ぐすっ……っ」

 

土下座させられた事も、服を破かれた事も、胡桃はどうにか我慢した…。だが、ゾンビ女と言われた事…それにはもう堪えられなかった…。押さえられているせいで両手で涙を拭う事も、隠す事も出来ず、ただその泣き顔を奴らに少しでも見られないように……顔を横に向けて泣いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

川崎「あ~あ…ほら、お前がゾンビ女とか言うから泣いちゃったぞ。」

 

岡「はぁ?違うと思うぞ、お前が襲ってるから泣いてるんだろ。」

 

二人が罪を擦り付け合う、安田は胡桃の手を押さえながら、その二人の様子を見て笑った。

 

 

 

 

 

 

 

 

川崎「安心しろよ嬢ちゃん、俺も感染しちまうかも知れないから…本番は勘弁してやる。…その分、嬢ちゃんの色んなとこ(いじ)りまくるけどな。まったく…始める前にキスの一つでもしてやりたかったが、念の為それもやめとくか」

 

 

 

 

胡桃「ううっ……いやだ……やだっ……」

 

迫る川崎から目を逸らし、涙を流す胡桃…。

こんなところで、こんな連中にいいようにされてしまうんだ…。

そんな事を思いながら、胡桃は友達の顔を頭に思い浮かべた。

 

 

 

胡桃(りーさん……由紀……美紀……それに……)

 

胡桃(あたし………もうダメだ……)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

胡桃(ごめん……………みんな……)

 

 

 

 

 

 

 

 

つい先日まで、毎日大切な仲間達の笑い声を聞いていた胡桃…。今その耳には………目の前で不気味に笑う男の声だけが響いていた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




胡桃ちゃんにとって、あまりにも酷い内容…自分でもこれで良いのかと何度も見直しました…その結果、躊躇いつつも投稿する事に。

…空彦を越えるキャラを生み出してしまったなぁ…と思っています。
三人もいるからよけいに酷いですよね(汗)

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