軌跡〜ひとりからみんなへ〜   作:チモシー

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由紀ちゃんが何らかのゲームを思い付いたところで終わった前回…

今回の話は、その翌朝からスタートします。


第六章・げーむ
四十六話『ゲーム』


 

 

 

 

翌朝…朝食を終えた後に彼が尋ねる。

 

 

 

 

 

「そういえば由紀ちゃん…あの缶詰を賭けるゲームは決まりました?」

 

彼がその言葉を発した直後、彼女達全員がピクッと反応したが…寝起きの彼はそれに気が付かなかった。

 

 

 

 

 

由紀「ん~、一応決まったよ。__くんにはまだ伝えてなかったね…」

 

 

 

 

 

「あれ?みなさんはもうゲーム内容をご存じで?」

 

それぞれの顔を見回して彼が尋ねるが…

みんなそれが聞こえなかったかのような表情をして答えない。

 

少ししてその空気に耐えきれなくなったのか、あいまいながらも美紀が答えた。

 

 

 

 

 

美紀「まぁ…知ってるかといえば知っていますけど…」

 

 

 

 

 

 

 

「へぇ、何やるんですか?」

 

美紀の言葉を聞いた彼は改めて由紀に尋ねる。

 

 

 

 

 

由紀「えっとね……あの~…腕相撲…だったっけ?」

 

彼の問いに、由紀は何故か疑問系で答える。

 

 

 

 

 

「腕相撲?…それって男の僕が有利になっちゃいませんか?」

 

彼が言った直後、胡桃と美紀が慌てて由紀に近づき、彼女を車の隅まで引っ張っていくと…彼には聞こえぬよう小さな声で由紀に耳打ちした。

 

 

 

 

胡桃「バカっ!もっと他にあるだろ!?そこはトランプとかって言っとけばいいんだよ!」

 

 

 

 

美紀「いえ…そもそも、まだ決まってないって答えれば良かったんですよ!」

 

由紀のそばでコソコソと何かを呟く二人を、彼は不思議そうな表情で見つめた。

 

 

 

 

 

由紀「ご、ごみん!…でももう腕相撲って言っちゃったから、どうにかそっちの方向で…」

 

 

 

 

胡桃「そっちの方向でって…」

 

 

 

 

美紀「はぁ…分かりました。私がフォローします。」

 

美紀は彼の方へ振り向くと、ゆっくりと歩き出し、彼の目の前で言った。

 

 

 

 

 

 

 

美紀「__さん知らないんですか?りーさんは腕相撲が強いんですよ!」

 

 

 

 

「へぇ~!りーさん…意外ですね。そんなに強いんですか?」

 

彼が驚きながら悠里を見つめる。

 

 

 

 

悠里「えっ!?その……ちょっと美紀さん!こっち来て!」

 

今度は悠里が美紀を隅まで引っ張っていった。

 

 

 

 

「???」

 

 

 

 

 

 

 

悠里「どういうつもり!?」

 

 

 

美紀「すいません!すいません!由紀先輩をフォローしようと思って…」

 

 

 

悠里「私、腕相撲なんか得意じゃないわよ!?」

 

 

 

美紀「本当にすいません!今はとりあえず話だけ合わせて下さい!」

 

 

 

 

悠里「う~ん…」

 

 

 

 

悠里「……仕方ない、分かったわ…合わせてあげる。」

 

 

 

美紀「ありがとうございます!」

 

美紀は小さく頭を下げ、悠里と共に彼の前へと戻った。

 

 

 

 

 

 

「何を話していたんですか?」

 

 

 

美紀「いえ、別に…」

 

 

 

「?…まぁいいか、話を戻しますが…りーさん腕相撲強いんですか?」

 

 

 

悠里「え、えぇ…そこそこね、…別に凄く強いわけじゃないわよ?」

 

 

 

 

 

 

「へぇ~…意外です。りーさんみたいな人が力自慢とはね」

 

 

 

悠里「いや、だから…そこまで強くはないし、別に力自慢では…」

 

悠里は小さな声で力自慢ではないと否定するが…

彼は全くそれに気がつかなかった。

 

 

 

 

「りーさんはあんまり力があるように見えなかったです。本当に意外ですね!力自慢って言えば胡桃ちゃんのイメージでしたよ…」

 

彼がヘラヘラしながらそう言うと、ツカツカと胡桃が彼の元に歩み寄り、その頭を背後から叩いた。

 

 

 

 

 

バシンッ!!

 

 

「イタっ!!何すんの!?」

 

 

 

 

 

胡桃「うっさい!なんで力自慢って言えばあたしになるんだよ!?」

 

 

 

「普段からあれだけシャベルをブンブン振り回してるんだ、それなりの力はあるでしょ!?」

 

叩かれた頭を両手で抑えながら、彼は胡桃に言った。

 

 

 

 

胡桃「そりゃそうだけど…でも、なんかムカつく!」

 

不機嫌そうな顔をする胡桃…

そんな彼女を見た由紀は慌てた様子でそこに駆け寄る。

 

 

 

由紀「胡桃ちゃん!暴力はダメって昨日言ったでしょ?」

 

 

 

胡桃「うっ!…でも、これはそういうのじゃなくて…単純にコイツがムカついたからって意味の暴力だぞ?」

 

 

 

由紀「ん~、分かった。今回は見逃してあげる!」

 

 

 

 

胡桃「…そりゃどーも」

 

由紀と会話を交わしてから、胡桃は静かに席につく

彼がそんな胡桃を目で追っていると…その視線に由紀が割り込んで言った。

 

 

 

 

由紀「…ところで__くん、その腕相撲だけど…やるのは夜だからそれまでは適当に外とか見てても良いって~。」

 

 

 

 

「あれ?じゃあ今日は丸一日この広場に車停めっぱなしですか?」

 

彼が悠里に尋ねる。

 

 

 

 

悠里「ええ、今日は一日のんびりしましょう。一応安全そうな場所に停めたつもりだけど、危ないからあまり遠くまでは行かないでね。」

 

悠里は全員にそう言い聞かせた。

 

 

 

 

 

「了解です。んじゃ…ちょっとその辺散歩してきますかね。」

 

そう言って彼は立ち上がり、車のドアに手をかける。

すると直後、その横に美紀が立って尋ねてきた。

 

 

 

 

美紀「お邪魔じゃなければ、私もついていって良いですか?」

 

 

 

 

「もちろん良いですよ、行きましょうか。」

 

 

 

 

美紀「はい。…ではみなさん、行ってきますね。」

 

美紀は車内に残る由紀達に一言挨拶してから、彼と共に外へと降りた。

 

 

 

 

バタン…

 

 

 

 

 

胡桃「はぁ……」

 

ドアが閉まったのを見届けてから、深くため息をつく胡桃…

 

 

 

 

由紀「さてさて…今の内に予習を~」ペラペラ

 

一方由紀は、昨晩彼女達に見せたあの本をどこからか取り出して読み始める。

 

 

 

 

胡桃「………」ジーッ

 

 

 

 

由紀「…なに?胡桃ちゃん。」

 

胡桃に見つめられている事に気付いた由紀は、読書を一度中断して尋ねた。

 

 

 

 

胡桃「いや…あの…」

 

 

 

 

由紀「…あぁ~!大丈夫!わかってるよ~。コレ…後で胡桃ちゃんにも貸してあげる!」

 

そう言って胡桃に微笑みを見せてから、由紀は再びその本を読み始める。

 

 

 

 

 

胡桃「あ~…うん、頼むわ…」

 

少しだけ恥ずかしそうな表情をして胡桃は呟く。

 

 

 

 

由紀「りーさんも後で見る?」

 

 

 

悠里「そうね、ちょっとだけ見てみようかしら。」

 

由紀はそう答える悠里の顔をチラッと覗きこみ、にっこりと笑った。

 

 

 

 

 

 




今回の話はかなり短めになってしまいました、すいません(>_<)

次回はみーくんと彼がメインの回になると思うので…そちらに力を込めます!



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