軌跡〜ひとりからみんなへ〜   作:チモシー

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今回のタイトルですが、久々にベッドで眠る事ができた彼の心の声をそのままタイトルにしただけなので、特に深い意味はないです。

タイトルはいつも適当に考えてますので(汗)



六十五話『今日はベッドで…』

 

 

 

 

 

 

由紀「ヒメちゃん!もしよければ今日、わたしと寝る?」

 

白雪「だめ。今日はゆーりと一緒に寝る約束したから。」

 

由紀「りーさんと?…いつの間にっ!?」

 

 

 

キッチンにて、夕食を終えた由紀と白雪が会話を交わす。

そばでその光景を見ていた未奈は、にやにやしながらそれを見守っていた。

 

 

 

 

未奈「ふふふ、ヒメちゃん、もうみんなと仲良くなってるね?」

 

弦次「……ああ…」

 

未奈「ん~?どうしたのゲンくん、なんか元気無いね?」

 

弦次「……ああ…」

 

 

 

丈槍弦次…彼は未だ、白雪が数時間で由紀達に心を開いた事にショックを受けていた…。

新しい友達ができて、楽しそうに笑う白雪…それはとても喜ぶべき事なのだが…弦次はそれを掴むのに一ヶ月かかったのだ。

しかもよく見ると、由紀達はすでにそんな弦次よりも白雪と仲が良いように見える…。

 

 

 

 

白雪「ゆーり、後で部屋まで案内するから一緒に寝ようね?」

 

悠里「ちょっと待ってね?ちゃんと未奈さん達に確認しないと…。」

 

悠里「ごめんなさい…今日、この子と一緒に寝てもかまわないですか?」

 

 

 

白雪の肩に手を乗せながら、悠里が未奈と弦次に尋ねる。

知り合った初日から小さい子を預けるのは少し心配なところもあるが…既に未奈は悠里達を信頼していたし、何よりそれを楽しみに待つ白雪にダメだとは言えなかった。

 

 

 

未奈「はい。いいですよ。ヒメちゃん、悠里ちゃんに迷惑かけたりしないようにね?」

 

白雪「うん。わかってるよ♪」

 

未奈「ゲンくんもかまわないよね?」

 

弦次「あ…うん。悠里さんなら、白雪を安心して託せます。頼みますね」

 

悠里「はい。任せて下さい!」

 

 

軽く頭を下げ、白雪を悠里に託す弦次…(一晩だけだが)

弦次の少しだけ寂しげなその表情を覗きこんだ彼は、『離れる娘を見送る父親ってのはこんな感じなのかな…』などとのんきに考えていた。

 

 

 

 

 

弦次「お嬢、そういえばこの人達の部屋はどうした?」

 

未奈「二階にたくさん空き部屋があるでしょ?そこをそれぞれの個室として使ってもらうんだ。さっき美紀ちゃんと悠里ちゃんに手伝ってもらって、それぞれの部屋の掃除も済ましたから綺麗だよ」

 

弦次「そっか。今更ですけど、皆さんは個室でも大丈夫ですか?」

 

悠里「ええ。何かあっても部屋は近いから様子を見に行けるし、どの部屋のベッドも大きめで二人くらいは一緒に眠れそうでしたから、あんまり寂しかったら誰か呼びます。」

 

 

そう言ってにやにやと笑う悠里。

寂しかったら誰か呼ぶ…というのはさすがに冗談だったようだが、ちゃんと全員に伝わったのだろうか…?

 

 

 

 

白雪「今日はわたしと一緒だから寂しくない?」

 

悠里「うん。全然平気よ♪」

 

白雪「えへへ…よかった」

 

 

 

由紀「りーさんいいなぁ…。仕方ない。胡桃ちゃん、みーくん…今日は寝るギリギリまでわたしの部屋でお喋りしよ?」

 

美紀「かまわないですけど、夜ふかしはダメですよ?」

 

胡桃「そうだな。遅くまで起きてると朝がつらいし…」

 

 

「今日はベッドで眠れる…。こんなに嬉しいことはない…」

 

 

 

 

普段は席に座りながら眠る彼がしみじみと呟く。

未奈はそんな彼を見てにっこりと微笑み、一行を二階にある部屋へと案内した。

 

廊下は真っ暗なので、未奈はライトを手に二階に上がる。

そうしてすぐに現れたいくつかの扉…その端を指さして、未奈は彼に尋ねた。

 

 

 

 

未奈「あなたの部屋はここでかまいませんか?まぁ、どの部屋も基本的な内装はほとんど同じなんで、どこを選んでも変わりませんけど…」

 

「ええ。かまいません。ベッドがあるならどんなところでも…。さっそく中で寝ても良いですかね?今日はちょっと疲れちゃって…」

 

 

 

 

未奈「そうですか。じゃあ私はこのまま皆さんを部屋に案内しますね。おやすみなさいです。」

 

由紀「おやすみ~!」

 

美紀「おやすみなさいです」

 

悠里「おやすみなさい」

 

胡桃「…おつかれさん」

 

弦次「おやすみ」

 

白雪「おやすみなさい。ゆっくり休んでくださいね?」

 

 

 

白雪がまだ敬語で接してくるのは少しだけ気になったが、こればかりは仕方ない…ゆっくりとがんばろう。

7人に増えた仲間に見送られ、彼はその部屋に入る。

部屋にはあらかじめ小さな電気スタンドが用意されていて、室内を足元くらいは分かる明るさにしていた。

 

そして部屋の隅、そこには大きめのベッドが一つ…

彼はそのベッドを見るなりすぐに飛び込み、大きなため息をつく。

 

 

 

 

 

「はぁ~っ…つかれた…ほんとにつかれた…。」

 

 

 

それだけを呟くと、彼はよほど疲れていたのか…部屋を照らす電気スタンドを消すのも忘れて眠ってしまう。

 

久しぶりのベッドでぐっすりと、心地よさそうに眠る彼…

その隣の部屋には悠里、そして今日は白雪が…

更に奥へ続くにつれ由紀、美紀、胡桃の順に個別の部屋が与えられた。

 

 

それぞれの部屋へと案内を終えた未奈と弦次は一階に戻り、自分達それぞれの寝室へと向かう。

その寝室へと戻る道中、弦次は未奈に語りかけた。

 

 

 

 

 

弦次「まだあの人達の事を大して知れた訳じゃないのに、部屋を与え、おまけに白雪まで預けるなんてな。お嬢は…あの人達を信じて大丈夫だと思うか?」

 

未奈「みんな良い人そうだし…大丈夫だよ。だって、あのヒメちゃんがあんなすぐになついたんだもん。それってすごい事だよ?」

 

弦次「それもそうだな…。あの人達がもし悪人だったとしたら、白雪はあんな簡単になついたりはしないだろう…」

 

未奈「うん。そうそう」

 

 

 

弦次「明日…あの人達の何人か連れて外に物資探しに行こうかな。交流も兼ねてね」

 

未奈「今日も行ったばかりじゃん!そんなちょくちょく外行かなくても、まだ物資余裕あるよ?危ないからしばらくは家にいなよ」

 

弦次「今日は白雪が欲しがったお菓子で持ち物がいっぱいになったから、まともな食糧は取ってこれてない。」

 

未奈「でも、余裕あるんだよ?しばらくは大丈夫だよ」

 

弦次「物資はいくらあっても困らない。もしもの時の為に、出来るだけ多く集めておきたいんだよ」

 

未奈「まったく、ゲンくんは心配性だなぁ…」

 

 

 

未奈はそう呟いてから自分の部屋に入り、弦次と別れる。

弦次もまたその向かいに位置する自分の部屋に入り、そのまま眠りについた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 




ついに、ベッドで睡眠をとることが出来た彼。…よかったですね(笑)


それはさておき、わりと安定した暮らしを手に入れた彼女達ですが、このままずっとここに留まれるかどうかは分かりません。
由紀ちゃん達にはまだまだ様々な問題が降りかかると思いますが、彼女達がそれらを乗り越えられるよう…温かい目で見守ってあげて下さいm(__)m


そんな本作の次回ですが…彼の出番が全くありません(笑)
女性陣のみの回となります(* ̄∇ ̄*)
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