軌跡〜ひとりからみんなへ〜   作:チモシー

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今回はちょっと意味ありげな感じの場面から始まります…。
最後まで、ゆっくりとご覧下さいm(__)m


七十七話『ほんね』

 

 

 

 

 

悠里「痛っ!あ、あまりキツくしないで?もう少しだけ…優しく…」

 

 

 

「すっ、すいませんっ!…えっと、こう…ですか?」

 

悠里「んっ…うん…気持ちいい…♡」

 

「……よかった」

 

 

夕食を済ませ、それから約2時間後…

悠里は自分の部屋にて、彼と二人きりで言葉を交わしていた。

 

他の皆は既に寝静まっているかも知れない…

でも、だからこそかも知れない。

彼と悠里が…こんなにそばにいるのは…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

______

 

20分前……

 

 

 

「………暇だな」

 

彼は自分の部屋のベッドの上に寝転んだまま、一人でポツリと呟く。

就寝するつもりで彼女達と別れたのだが、いざベッドにたどり着いた途端、まだ眠気が無いことに気がついたのだ。

 

 

 

 

(部屋に戻ってもう1時間以上たってるし…みんなは寝てるかも)

 

(でも、誰かと話でもしてたいなぁ。そうでもしないと、このまま朝まで起きていることになりそうだ…。一人で寝よう寝ようと思うほど、眠れないんだよな…)

 

(適当に一人一人の部屋ノックして、起きてたら話し相手になってもらおうかな…。でも、もしノックの音で起こしちゃったらわるいか…)

 

 

彼は眉間にシワを寄せながら頭を悩ませる…。

話し相手がいないならば、他に何か眠気がくるまで時間を潰せる方法はないか…または、彼女らが起きているのかどうかを静かに確認出来る方法はないか。

 

 

 

…トッ…トッ…トッ…

 

「んっ?」

 

 

そんな最中、部屋の外…廊下から誰かの足音が聞こえた。

その足音は彼の部屋の前を通りすぎ、そのまま数メートル歩いていったところで聞こえなくなったが、また少しすると戻ってきて、再び彼の部屋の前を通っていった。

 

話し相手を探していた彼はその足音が聞こえている内に部屋から出て、その人物に声をかける。…薄暗い廊下の中、ライトを片手に歩いているその人影の正体は悠里だった。

 

 

 

「…りーさん?」

 

悠里「あら?どうかした?」

 

小さく首をかしげながら、彼の方へとライトを向ける悠里。

そのライトの明かりは確認ついでに彼の顔を照らしていたが、彼が眩しそうにしているのに気がついて悠里はすぐにそれを足下へと下げる。

 

 

 

「いや、中々寝付けなくて…りーさんはどうしたんです?」

 

悠里「…ちょっと…トイレにね…」

 

「あぁ…」

 

 

悠里「………」

 

「………」

 

 

それから数秒間、二人は無言で見つめあう。

話し相手が欲しかった彼だったが、いざその相手を目の前にすると少々緊張するものがあった。

 

何せ、こんな夜に『二人きりでお喋りでも…』などという台詞を女子に言わなければならないのだから。

 

 

 

悠里「…じゃあ、おやすみなさいね」

 

悠里は一度ニッコリと微笑みを見せると、彼に背を向けて部屋へと戻ろうとする…彼は慌ててそんな彼女の左手首を掴むと彼女の振り向き様、その目を見つめながら尋ねた。

 

 

 

「あ、あのっ…」

 

悠里「うん?なに…?」

 

「りーさん、もう眠たいですか?」

 

悠里「…ううん。まだ、あんまり眠たくないかな」

 

 

 

「…じゃあ、これから部屋に行ってもいいですか?」

 

悠里「……えっ?」

 

 

彼の言葉を聞いた直後、悠里は固まってしまう。

薄暗い廊下の中でも、彼女の顔がじわじわと赤く染まっていくのがしっかりと確認出来た。

 

 

 

「僕、まだ全然眠たくないんです…。だから、りーさんと一緒に…」

 

悠里「………」

 

悠里の手首を掴んだまま、真っ直ぐに彼女を見つめる。

悠里は段々自分の胸の鼓動が速くなるのを実感しつつ、その顔を見つめ返していた…。

 

 

 

 

「お喋りでも…と思ったんですけど…」

 

悠里「…お喋り。私と…二人きりで?」

 

「二人きりが嫌なら他の人を誘っても良いですし…そもそも断ってくれても結構です」

 

彼は悠里の手首から手を離し、返事を待つ。

悠里はそれに対して優しい笑みを見せながら、即座に返事を返してくれた。

 

 

 

悠里「ううん…二人きりでいいわよ。私も、あなたと二人だけで話したいこととかあったし…」

 

「そうなんですか?」

 

悠里「まぁ、大したことじゃないけどね。じゃあ、とりあえず部屋まで行きましょ」

 

 

そう言って部屋まで先導する悠里の後に続き、彼は歩み始める。

…といっても部屋はすぐそばにあった為、歩いたのはほんの数秒だった。

 

 

 

 

悠里「…それで、なんの話をする?」

 

部屋にたどり着き、彼を中へと入れた悠里はベッドに腰掛ける。

そうしてなんの話をするかと聞かれると、特に話題を用意していた訳でもない彼は頭を悩ませた。

 

 

 

「ん~…あっ、りーさんは僕に話したいことがあるんですよね?それから聞きますよ。僕は特に話題が無かったんで…」

 

悠里「…そう…。じゃあちょっとだけ…」

 

 

悠里は自らの膝に手をおきながら、彼をじっと見つめる…。

その直後に軽く一呼吸挟み、真面目な表情で彼女は語り始めた。

 

 

 

 

悠里「あなたは…生き延びられる自信がある?」

 

「…どういうことですか?」

 

 

悠里「言葉のままの意味…。こんな世界で、あとどれだけ…生きていられるのかってこと…」

 

 

そう尋ねられた彼は考える…。こんな危険だらけの世界で、彼女達とともに、自分はどこまでやれるのかと…。

 

だがその直後、真剣に考える彼のそんな気持ちを読み取ったのか、悠里は少しおどけた表情をして笑った。

 

 

 

悠里「ごめんなさいね。ちょっと暗い話になっちゃった…話題、変えましょうか?」

 

「……構いません」

 

悠里「そう……。じゃあ、もう少しだけ続けてもいい?」

 

 

「ええ、どうぞ…」

 

彼が答えると悠里は表情をほんの少しだけ暗くして、その話の続きを彼に話していく…。しかしその口は重たいようで、中々言葉を出しきれなかった。

 

 

 

 

悠里「わたし…その、ね……」

 

「……」

 

悠里「…えっと……」

 

 

 

 

 

悠里「………怖いの」

 

目を微かに潤ませて、悠里は彼にそう告げる…。

彼はそんな悠里の言葉を、今はただ黙って聞いていた。

 

 

 

悠里「あと何年…何ヵ月…ううん、あと何日も…みんなといられないかも知れない…」

 

悠里「もしかしたら明日にでも、誰かがかれらに傷付けられて…いなくなったりするかも…」

 

悠里「それがわたしならまだいいの…。でも、それは胡桃かも知れないし、美紀さん…由紀ちゃんかも知れない…。」

 

悠里「ミナさんやゲンジさん、シラユキちゃんも…もう大切な友達だから…失いたくない…」

 

悠里「もちろん、あなたがいなくなるのも…絶対にイヤ…」

 

 

 

 

 

 

悠里「元の世界に戻って欲しいとまでの贅沢は言わないから…わたしは……」

 

悠里「みんなと…ただ毎日笑っていたい…」

 

 

悠里「もう、誰も……死んでほしくない…」

 

悠里「今度誰か一人でも欠けたら…もう立ち直れないから…」

 

うつむいて語る悠里…。いつからか彼女の目には涙が溢れていて、それは自らの太ももへとポタポタこぼれ落ちていた。

 

 

 

 

「…大丈夫、僕が…みんなを守りますから」

 

強がって放った言葉で、本当は自信が無かった。彼自信もいつ、誰が欠けてもおかしくはない世界だと実感していたから…。この世界はいつまでもみんなでいられるほど甘くはないし、いつまでも…どんな危機からもみんなを守れるほど、自分は強くない。それは自分が一番理解していた。

 

それでも、目の前で泣く悠里を安心させてあげたかった…。

だから彼は…『みんなを守る』と彼女に言った。

 

 

 

 

悠里「…__君っ、あなた…それ、ちゃんと自分を含めてるの?」

 

「えっ…」

 

悠里の言葉の意味が理解できず、彼は少しだけ間の抜けた声を出す。

 

 

 

悠里「あなたのその台詞、私には…『自分がどうなってもみんなを守る』ってように聞こえるのよ…」

 

「…それは…その…」

 

悠里「いくらみんなを守っても…あなたが死んじゃったらなんの意味も無いのよ?わかってるの!?」

 

頬を伝う涙を両手で拭いながら彼に告げる悠里。

涙はまだいくら拭っても溢れてきて止まる様子を見せないが、それでも悠里は一生懸命に拭っていた。

 

 

 

悠里「わたしはっ…誰も死んでほしくない!…だから、あなたが欠けてもダメなのっ!いくらあなたがみんなを守っても…その最後であなたが死んだら…」

 

悠里「もう…わたしはっ……」

 

 

涙を拭っていた両手はいつしか目を覆い隠していて、悠里はとうとう肩を震わせながら泣き始める。ここまで弱気の悠里を見たのが初めての彼はそれに戸惑い、どうすれば良いのかわからない…

 

 

…はずだったのだが、彼は自然と悠里の隣に腰掛けると…目を覆うその手をどかした。

 

 

 

悠里「ぐすっ…!ちょ、ちょっと…!?」

 

手をどかされて驚く悠里の表情…。その目は泣き過ぎたせいで赤く腫れているにも関わらず、まだ涙が溢れてきていた。

 

彼の手は自然とその目に伸び、親指でそっと、優しくその涙を拭う…。

 

 

 

悠里「っ…ぁ……」

 

少しだけ戸惑いつつ、悠里はそれを受け入れた。

彼はただじっと顔を見つめて、優しく丁寧に涙を拭い続けてくれる…。

頬や瞼に触れるその指の感触がなんだか心地よくて…悠里は目を閉じた。

 

 

「…僕も」

 

目を閉じ、真っ暗になった悠里の視界。

そこに突如、彼の声が聞こえた。

悠里は相変わらず目を閉じたままで、その声に耳をすませる…。

 

 

 

「僕も…怖いんです。いつ、誰が死んでもおかしくないから…」

 

「ちょうど昨日、ふと夜にそんなことを思いまして…寝付けませんでした」

 

「一人の時はもっと気楽だった…、守るのは自分の身だけですし、最悪それだって諦めがつく…でも、今は違う。自分の命よりも大切な人がたくさん増えて…その人達を守らないとならない」

 

悠里「……っ…」

 

 

「もっとも、誰かに守れと頼まれた訳ではないです。…自分でそうしたいと思ったから、僕はみんなを守っているんです…」

 

 

 

「みんなにはずっと…僕のそばにいて欲しいですから…」

 

悠里はうっすらと目を開けてみる。

そこには優しく笑う彼がいて、まだ溢れてくる涙を拭ってくれていた。

 

 

 

「…僕は…あなた達が大好きです。由紀ちゃんも、美紀さんも、胡桃ちゃんも…もちろん、りーさんの事も大好きです」

 

「あなた達を失ったらと想像するだけで、とても怖くなります。でも…それでも僕はあなた達に会えてよかったと思っています。あなた達に会えなかったら、ここまで楽しい毎日は過ごせなかったはずですから…」

 

彼は微笑みながら人差し指の背を悠里の頬にあて、彼女の涙を拭う。

だが悠里は彼の前で泣いているという事実が今になって恥ずかしくなってきてしまい、彼の手をそっと振り払って自らの手で涙を拭い始めた。

 

 

 

 

悠里「ご、ごめんなさいっ!わたし…情けないとこを…」

 

「…僕は平気ですよ。でも意外でした、りーさんでも弱気になる日があるんですね」

 

悠里「わたしは…いつだって弱気よ。ただ、みんなの前ではそれを出さないようにしてるだけ…」

 

「…そうなんですか?」

 

悠里「うん…。こんなわたしでも頼りにしてくれる人がいるから、弱気なところなんて見せてられないの」

 

悠里は彼にそう告げると、少しだけ恥ずかしそうに微笑む。

彼はそんな悠里を見て、彼女も普通の女の子なのだと…今更ながら確信する。誰よりもしっかりしていて、大人びている彼女だったが、その心は毎日不安だらけだった。

 

 

 

悠里「ほんとは__君にも、こんな話をするはずじゃなかったの。でも、こんな夜に二人きりだったからかしら…少し、情けないところを見せちゃったわね」

 

「いえ…情けなくなんてない、当たり前の事ですよ」

 

悠里「…そうね、__君だって怖いんですもんね?みんなを失うのが…」

 

「ええ、そりゃもう。怖くて怖くて仕方ないですよ」

 

 

少しだけうつむきながらそう語る彼の横顔を、じっと眺める悠里…

彼女はそんな彼の手をそっと握ると、そのままニッコリと笑った。

 

 

 

悠里「意外…。あなたもそんな弱気な事を言うのね。普段は呆れるほど元気だから、あまりそういう事は考えないのかと思っていたわ」

 

「僕もあまり考えたくないんですけどね…。どうしても考えてしまう時があります」

 

悠里「…みんなと楽しく過ごしていると、不意に考えたりしちゃうでしょ?こんな毎日はいつまで続くのかな…って」

 

「…そうですね」

 

悠里「……本音、言えてよかった。おかげで少し楽になったわ♪」

 

「起こるかどうかわからないことなんて…考えても仕方ないですから、とりあえず今は楽しい毎日を過ごしましょう?みんなと…一緒に…」

 

悠里「…うんっ♪」

 

握りしめていた彼の手を離し、悠里は微笑む。彼と本音を言い合った事で多少気持ちが楽になったらしく、その笑顔は本当に輝いていた。

 

 

 

「誰かに言わないと、心が段々と暗くなっていってしまいますからね」

 

悠里「…うん。でも由紀ちゃん達には心配かけたくないから、こんな事は言えなくて…」

 

「ん?…まるで僕には心配かけてもいいみたいな言い方ですね?」

 

悠里「ふふっ♪そうね、あなたになら、甘えてもいいと思ったのかも…」

 

イタズラに笑いながら呟く悠里…。

薄暗い部屋で見る彼女のそんな笑顔がいつも以上に可愛らしく見えて、なんだか意識してしまう…。少し赤くなっているであろう自分の顔を悠里に見られるのが嫌で、彼は思わず目を逸らした。

 

 

 

悠里「?…どうかした?」

 

「いっ…いえっ///」

 

悠里「…変なの」

 

「っ///あ、あの…疲れてるでしょう??肩でも揉みましょうか?」

 

照れ隠しの為、とっさにそう言って彼は悠里の背に回り込む。

悠里はそれに戸惑ったが…言われれば少しだけ肩がこっていた為、それに甘える事にした。

 

 

 

悠里「…じゃ、お願いしてもいい?」

 

「はっ、ハイ喜んで~っ!!!」

 

悠里(…居酒屋さん?)

 

 

彼の異常に高いテンションのスルーしつつ、悠里は前を向いたままで肩が揉まれるのを待つ。

 

少ししてから彼の手は悠里の肩に触れ…そこをゆっくりと揉み始めた。

しかしながらその力は強く、思わず悠里は声を漏らした。

 

 

 

 

悠里「痛っ!あ、あまりキツくしないで?もう少しだけ…優しく…」

 

「すっ、すいませんっ!…えっと、こう…ですか?」

 

彼は力加減を弱めて、丁寧に肩を揉む。

今度のそれは悠里にとって心地の良いものだったらしく、彼女はリラックスしていた。

 

 

悠里「んっ…うん…気持ちいい…♡」

 

「…よ、よかったです」

 

彼女の気に入る力加減が分かったところで、彼はそれを維持しながら肩を揉んでいく。ずっと無言のまま肩を揉み続け…そのまま10分は経過したであろう時、彼は一つの難題に頭を悩ませていた…。

 

 

 

「………」ギュ…ギユッ…

 

悠里「…っ……んっ♡」 

 

彼の抱えていた難題…それは眠気がここに来る前以上に無くなっていたという事。肩とはいえ、悠里の身体に触れ続けている事…そして肩を揉まれている悠里が時折漏らす甘い声に彼は何とも言えない興奮を感じてしまい、そのせいで全ての眠気が吹き飛んでしまっていた。

 

 

 

(ヤバい…このままでは、確実に朝までお目目パッチリだ…。しかも…それだけじゃない。こうして、りーさんの肩を揉んでいると…何か色々とヤバい…)

 

何がそんなにヤバいのかは彼のみぞ知るのだが…とにかく、彼は色々とヤバかった。どれほどヤバいかというと…『今このまま、りーさんの肩をグッと引っ張って…そのままベッドに押し倒したら怒られるかな…』などと真剣に考えてしまうくらいヤバかった。

 

 

 

悠里「…ありがと、もういいわよ。だいぶ楽になったから」

 

「あっ!?は、はいっ…」

 

彼はその手を肩から離し、悠里との距離を開く…。

このまま彼女のそばにいるのは危険だと判断しての行動だった。

 

 

 

悠里「…気持ちよくて、なんだか眠たくなってきちゃった…」

 

「そ…そうですか…」

 

悠里「あなたは…まだ眠たくないの?」

 

「えっ…と…少し、眠たくなってきたかも…」

 

大嘘だった。彼はまだ全然眠たくない。悠里の肩を揉み続けた事で変なスイッチが入ってしまい、この部屋に来た時にあったほんの少しの眠気すら吹き飛んでしまっていたのだから。

 

 

 

悠里「…よかった。じゃあ、寝ましょうか…お休みなさい」

 

そう言いながら悠里は彼に手を振る。

今の彼にとってそれは、『早く出ていけ』という無言の脅迫のようなものに思えた。もちろん、悠里はそんなことを思ってはいないのだが…。

 

 

 

「…お休みなさいです」

 

彼はそう告げて立ち上がると足早に扉に向かい、真っ暗な廊下へと出る。ライトすら持たずに出てきた為、少し視界が悪いが…自室までの距離はかなり近い。暗闇に目を慣らしていけば問題はないだろう…。

 

そう考えた彼の目が少しずつ暗闇に慣れていった時、一階の方から足音が聞こえたような気がした…。

 

 

 

トッ…トッ…

 

…間違いなく、それは足音だ。

彼はその正体を確認するために、階段を下る…。

いくら暗闇に目が慣れたといっても、視界はまだ頼りない。

彼は足を踏み外したりしないよう、一段ずつ慎重に階段を下りた。

 

下りきった先では、ちょうど誰かの明かりがチラチラとしており、それは彼の顔へと向けられる。

 

 

 

弦次「…なにしてんだ?こんな時間に」

 

ライトを彼に向けながら、弦次は尋ねる。

彼は顔に当たるその光が眩しくて、手をかかげてながらそれを遮った。

 

 

 

「足音聞こえたんで…誰かなって思って…」

 

弦次「俺だよ。夜の見回りに出ていただけだから、安心して寝ろ」

 

そう答えてから弦次はそそくさと歩き出してしまい、彼の前から姿を消した。足音の正体が不審者などではなく弦次だと知った彼は一安心すると階段を上がり、自室へと戻る。

 

 

ベッドに横たわってはみるものの、彼は結局…朝日が昇るその時まで眠る事ができなかった…。

 

 

 

 

 

 

 

 




何かいかがわしい始まり方をした今回のお話ですが、結果はただの肩揉みでした!!
…まぁ、彼にとっては"ただの"肩揉みでは済まなかったらしく、かなり危ない感じになっていましたけどね(汗)

途中まではまだカッコ良さげな感じでりーさんと話していたのに、結局終盤はいつもの彼に戻っていました…。りーさんが『もう肩揉みはいい』と言うのがあと5分遅れてたら、恐らく彼はあのまま、りーさんを襲っていたでしょう(-_-;)

よかったです。そんな事件が起きなくて…。
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