うちのカルデアに星5の鯖がようやく来たんだけど、全クラス揃えるとか夢物語だよね? 作:四季燦々
今回はちょっとだけ最初がメタいです。えっ?いつものことだろって?
せやな。
『物欲センサー』という言葉をご存じだろうか?
それは全てのハンターの、全ての神機使いの、そして全てのマスターの天敵であり、しかし決して切っても切れないものである。自分の欲しいものがあり、それを得ようとする度に『物欲センサー』はひょっこりと顔を出し、ありとあらゆる妨害を実行してくるのだ。
今まで何度遠ざけようとしただろうか。今まで何度逃げ出そうとしただろうか。それでも『物欲センサー』は決して逃してはくれない。ありとあらゆる場所、時間、人物へと執着し、超絶とも言える絶望を振りまいていくのだ。
まあ、冒頭からつらつらと無意味な主張を展開してきたわけだが、それは何故かというと――
「――なんでじゃあぁぁぁぁ!なんで掠りもしねえんじゃあぁぁぁぁぁ!!!」
オレことカルデアのマスターが見事にその沼にはまってしまったからである。
「別の世界の聖杯戦争?」
魔術をコントロールする訓練の途中、ロマンの仕事部屋に呼び出されたオレは彼から聞かされた話に思わず首を傾げる。
「そう、別の世界。つまりは平行世界だね。そこの月面電脳空間で行われた聖杯戦争が通称『月の聖杯戦争』と呼ばれるらしいんだ。君が今やっている人理修復のようなものではなく、文字通りマスターとサーヴァントが手を組み他のマスターやサーヴァントと戦う聖杯戦争のことだ」
「随分とぶっ飛んだ戦争ですね。というか、月面でどうやって戦争するんですか?」
「まあ、概要としては『ムーンセル』だの霊子虚構世界『SE.RA.PH』だのと言ったものがあるんだけど、一応聞くかい?もっともさすが平行世界のことだけあって情報は不十分だし、どこまでが本当でどこまでが間違いか分からないけどね」
「遠慮しときます。別の世界のこととか今のオレに理解できるとは思えませんし」
「はっはっは!そうだよね、――君は考えるよりも行動するタイプだしね。こういう小難しいことは気にしなくてもいいよ。考えるのは僕やレオナルドの仕事だ」
じゃあなんでわざわざ部屋に呼び出してこんな話したんですかねぇ。こちとらマシュとの訓練を早々に切り上げて来たんですが。
「なるほど。つまりロマンはマシュとの訓練を妨害して特に関係ない話をしたかったと。……丁度今カルデア戦闘服の礼装装備してるんでガンドでも撃ち込んでやりましょうか?」
「やめて!ガンドって一応呪いだからねっ!?僕みたいな貧弱な人間に撃ち込もうものなら一週間は倒れちゃうよ!」
ちゃんと君にも関係あることもあるから!と椅子に座りながらワタワタと焦るいい年こいた男を見て思わずため息をつく。一応現カルデアのトップなんだしもう少し威厳があってもいいものだと思うんだけどなぁ。
「で、結局のところ要件は何なんですか」
「君、僕に対して遠慮が無さ過ぎない?一応僕今のところカルデアのトップだよ?」
「はい、発射まで5、4、3、2――「言う!言うからその指を下ろしてぇ!」早くしてください」
「うう、僕の部下が辛辣すぎて辛い……」
よよよ、と泣き崩れそうになっているロマン。彼はオレの指先に若干ビクつきながら呼び出した経緯を説明し始めた。
要件の内容をまとめるとこうである。先ほどの『月の聖杯戦争』とやらが最近活性化していて、その影響がこの世界にも表れているらしい。新たな特異点でも起こったのかと思ったがそうではなく、また召喚サークルに影響が出てその戦争に関連するサーヴァントが召喚されやすくなっている、ということだった。
「ここに新たな呼符が何枚かある。ぜひ召喚してみてくれ。きっと君の力になってくれると思うよ」
「…………」
「どうしたの?」
「……ロマンのくせに普通に美味い話で驚いた」
「君、日ごろ僕のことどう思ってるの!?」
いや、だってロマンだぞ?オペレートだと微妙な活躍しかできてないロマンだぞ?本当に時々あるガチシリアスモード以外はポワポワしてるような奴だぞ?いや、影でオレ達のことを真剣に考えてくれていることは知ってるけどさ!頼りにはしてるけどさ!
まあ、とりあえずロマンのことはいいや。それよりも召喚だ!
「はあ。じゃあ、とりあえず呼符渡すから召喚部屋に行ってきてくれるかい?」
「了解。サンキューロマン!いつも助かってるぜ!」
「なかなか現金な子だよね、君」
オレの変わりようにため息をつくロマン。とにもかくにも、こうして新しい仲間を得るチャンスがきたんだ。聞くところによると、色々と強い星5のサーヴァントがいるらしい。これは今度こそうちに星5のサーヴァント来るんじゃないか!?
――そう考えていた時期がオレにもありました。
こうして序盤の悲鳴に戻るわけです。
「おいぃぃぃぃぃ!呼符7枚も使って1体しかサーヴァントが出ないってどういうことじゃあぁぁぁ!?」
おのれ物欲センサーめぇぇ!またオレの前に立ちふさがるかぁぁぁ!いい加減星5のサーヴァントよこせやぁぁぁぁ!
「まあまあ、落ち着けよマスター。こういう時もあるさ」
「槍ニキィィィィ!!しかも出てきた1体がお前ってどういうことだよぉ!?とっくに宝具レベルもMaxだって言ってんだろうがぁ!!]
こんの幸運Eがぁぁぁ!と槍ニキの胸倉を掴もうとするが、さすが敏捷A。矢除けの加護もあってヒョイヒョイと躱される。
ちなみに出てきたものは1つを除いてすでに持ってる礼装ばかり。新しい礼装は『月の勝利者』と書かれてあり、これだけは使えそうだなと思った。
「はっはっは!鍛錬が足りねえな、マスター」
「うっせえ速度馬鹿!お前らみたいな英霊と一般ピーポーを比べるんじゃありません!」
「何なら稽古でもつけてやろうか?それなりに動けるようになるぜ」
「ケルト式ブートキャンプとか普通に死ぬわこの野郎!お前らみたいな戦闘キチなケルトとただの人間を一緒にするなっつーの!」
オレの苛立ちもどこ吹く風と言わんばかりに受け流していく槍ニキ。ちくしょう、戦闘だと滅茶苦茶頼りになるこの身軽さが今は憎い!
「こうなったら残ってる石も注ぎ込んでやらぁ!」
「おいおい、マスター。そいつはやめといたほうがいいんじゃねえか?」
「ここまで来て引けるかぁ!オレはっ!星5のっ!新しい仲間がっ!欲しいのっ!!」
「まあ、好きにすればいいと思うけどよ。賭け事ってのはタイミングが命だぜ。計画性のない博打は自滅へ一直線だ」
「今がその時っ!」
「あっ、もうこりゃダメだな」
おりゃあ!と10連には足りないがあるだけの石を注ぎ込んでみる。グルグルと召喚サークルの光の輪が回転しだし、やがて爆発するようなお馴染みのエフェクトを散らして召喚されたものが出てきた。
「三流サーヴァント、アンデルセンだ。本棚の隅にでも放り込んでおいてくれ」
小柄な体躯に似合わない皮肉めいた顕現口上。青い髪の隙間からはどこか疲れているようにも見える眼光が光っている。その少年のようなサーヴァントの召喚と同時にカシャンと礼装が落ちてくる。
「アンデルセンかよ!?レアリティ下がってんじゃねえかっ!?」
「なんだ、マスター。つまらん雑音を聞かせるために俺を再び召喚したのか?そんなことはすでにここにいる俺にでも聞かせてやれ。もっとも相手も俺である以上、まともな返しには期待しないことだな」
「相変わらずの皮肉っぷりだな、おい。そんなこと言うと今度の種火周回で酷使すんぞ」
「好きにするといい。働くのはすでにここにいる俺であって、俺自身ではない」
「いーや!元からいる奴じゃなくて今召喚されたお前を絶対使ってやる!ひたすら『人間観察』と『高速詠唱』と『
「おい、きちんと休みぐらい取らせろ!この鬼めがっ!」
「うるせえ!普通に強い自分の力を恨めっ!あといつもサポートありがとよっ!」
ガルルルッ!と睨み合いをしているオレ達2人の喧嘩は、あまりの五月蠅さに業を煮やした槍ニキが『
「うう……青王ー、文明絶対破壊するウーマンさーん、マハーバーラタの大英雄さーん、船長ー、狐巫女さーん、聖女さーん。どうして来てくれないんだー」
「先輩、元気出してください。また呼符と石を貯めて次頑張ればいいじゃないですか」
「でも、そろそろ第七特異点も定まりそうだし、戦力の補充は早めにしないと間に合わないしー」
「確かにそうですが……」
マイルームにて。自身のベッドの上でゴロゴロとしているオレの様子にどうしたらよいのか分からないマシュはアワアワしていた。彼女から見たら、オレは相当落ち込んでいるように見えるらしい。
実際のところ、そこまでショックが大きいわけでもなかった。そもそも星5なんて今まで来てないわけだし、要はいつも通りなのだ。ぶっちゃけ今回の召喚で来た槍ニキとアンデルセンもレアリティこそ低いものの非常に頼りになる英霊達である。
槍ニキは言わずもがなひたすら敵の攻撃を躱した持久戦ができるし、アンデルセンもサポート役としては申し分のないスキルを持っている。どちらも少々火力不足は否めないが、他のサーヴァント次第ではそこらへんも十分補える。まあ、せっかく『月の聖杯戦争』に関する者達が召喚されやすい状態になっていたのだから、できれば召喚したかったがこの際しょうがない。自身の幸運Eを恨むしかないのだ。
……そろそろマシュが本当に困った表情をし始めているので悪ふざけはここまでにしようか。
「――なんてな。大丈夫、そこまで気にしてないよ」
「ほ、本当ですか?でもさっきまですごい落ち込みようでしたが……」
「こんな結果いつものこといつものこと。むしろ全部礼装じゃなくてよかったよ。だからいいんだ」
「先輩がそうおっしゃるなら……」
さて、困らせてしまった詫びでもしようか。とりあえずあと1時間ほどでおやつ時だし、気晴らしに食堂でお菓子でも作ってマシュに振る舞うかな。
「マシュ、今から食堂に行かないか?心配してくれた礼にクッキーでも焼くよ」
「とても嬉しい提案ですが、わざわざ先輩の手を煩わせる――「令呪を持って命じ……」分かりました!分かりましたから!こんなことに貴重な令呪を使わないでください!前にも言ったじゃないですか!」
まったく強引なんですから……と桜色の髪によって片眼が隠れてる状態でジト目をするマシュ。いや、だってここまでしないとマシュって素直にお礼受け取ってくれないじゃん。いっつも遠慮しちゃうじゃん。オレのことを敬ってくれているんだなって分かるんだけど、ちょっとばかりそれは寂しい気もする。マシュとはできるだけ対等でいたいんだよなあ。マスターとサーヴァントではなく、2人のただの人間として。
マシュはとんでもなく良い子なんだし、もう少し我儘になっても罰なんか当たらないと思う。むしろ当たらせない。こんなにも優しくて生きることに対して真摯な女の子なんだ。多少の我儘だって許される。というか、オレが許す。
……って、あれ?何の話してたっけ?ああ、そうだ。食堂に行こうって話だった。
「んじゃ、行こうか」
「分かりましたよ、もう。先輩は意地悪ですね」
「なんだ、今気づいたのか」
「ふーんだ。そんな強引な先輩なんか知りません」
そう言うと彼女は先にマイルームから出て行ってしまった。
あちゃー。こりゃ詫びしようと思ったのに逆効果だったか。流石に令呪を使おうとした(フリ)のはマズったか?
マシュを追いかけて部屋から出る。1人少し先を歩くマシュ。そんな彼女の背中を眺めながら思わず頭を掻く。お礼がしたかったのにその結果これでは意味が無いじゃないかと先ほどの行為を後悔していると、突然後輩である少女は立ち止まりクルリと振り返った。
眼鏡の越しに見える彼女の菫のような紫の瞳は弓形に細められ、口元は柔らかく微笑んでいた。後ろに手を組み、こちらの顔を覗きこむように上体を少し曲げた少女は弧を描いていた口を開く。
「――でも、先輩のクッキー。私大好きです」
楽しみにしてますねと言い残し、スカートを翻してタッタッタッと爽快に走って行ってしまった。おそらく先に食堂へと向かったのだろう。遠くなっていく背中を見送りながら、しかしオレはすぐにその場から動けなかった。バクバクといつも以上に高鳴る胸元を押させ、思わずその場にしゃがみこんでしまう。
やっべえぇぇぇ!うちの後輩超可愛いぃ!!なにあの子!天使っ!?天使なの!?心臓止まるよ!槍ニキの宝具より身の危険を感じるよ!『私大好きです』だってよ!というか、なに都合よくそこだけピックアップしちゃってんの!?クッキーが好きなんだよ!オレじゃないよクッキーだよ!いいなクッキーそこ変われ!
ああああもうっ!うちの後輩ホントにもうっ!と、さっきよりもより激しく廊下でゴロゴロしたオレは、数分後ようやく気持ちを落ち着けて食堂へと向かった。
ようし、こうなったら先輩頑張っちゃうぞー!
「あれ、マシュ?」
「あっ、ブーディカさん。こんな時間にどうしたんですか?まだ夕飯の時間にはだいぶ早いですけど」
「ナーサリーや子ギル達にお菓子を強請られてね。プリンでも作ろうかと思ったんだけど、それよりも……」
「どうかしましたか?」
「マシュ、顔真っ赤だよ」
「……えっ?」
「もしかして風邪?ダメだよ体調が悪いならちゃんと言わなきゃ」
「い、いえ!風邪とかではないです!むしろすこぶる健康体です!」
「そう?でもじゃあなんでそんなに顔真っ赤なの?」
「えっと、その、意地悪された仕返しをしようとしたら、じ、自爆してしまいまして……」
「…………?」
というわけで、EXTELLAガチャ、大 爆 死 !!
なんでや、今回は曜日と時間帯とか考えて、前回星4が当たった早朝の為にわざわざ早起きして、出やすいんじゃないかって言われてる呼符貯めて引いたのになんでや。
諦めきれなくて石も使ったのに見事に爆死。成果といえば『月の勝利者』ぐらい。
こ れ は ひ ど い 。
せ、せめて星4ぐらいは欲しかった。ネロ様とかエリザとか。
まあ、自分の運の無さを嘆くしかないですね。
あと、FGOアニメ化おめでとうございます!さあ、運営!アニメ化を祝してプレゼントという名の呼符と石をYO☆KO☆SE!