HUNTER LORD   作:なかじめ

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この話まで説明回です。狩人さんが納得してもらってから異世界に出荷するための説明回です。狩人さんが納得してない状態でどういう動きするのか私には考えつきませんでした…ゴメンナサイ。


2話 狩人の夢

「ぷれいやー?プレイヤーか?」

「そう、プレイヤー。」

「随分俺の知っている上位者とは毛色の違う名前だ。何のプレイヤーなんだ?」

「それは、あの獣狩りの夜を君たち狩人を通じてプレイする事だと私は思っている。それ以外は考えられないからね。」

「そいつらは…俺たち狩人を何だと思っているんだ?チェスの駒のように扱っているのか?」

「ふふふ」

「ん?何がおかしい」

「いや、随分と怒っているようなのでね。」

「それはそうだろう?」

「いやいや、君が怒るのは筋違いだぞ?狩人よ。」

「筋違い?何故?」

「君は今、プレイヤーは狩人の事をチェスの駒として見ているのかと言ったがそれとは全く違うのだよ。君はチェスの駒一つに愛着を感じて何時間も向き合えるかね?」

 

「…。」

 

狩人は何となくだが言っている意味が分かり首を横に振る。

「そうだろう?私はね、狩人よ。プレイヤーは君たち狩人の事を自分自身の分身として操って居たのだと思うよ。」

「分身?」

「その通り。自分自身が介入出来ない代わりに自分の分身を作り、操り、この獣狩りの夜を終わらせようとしてくれたのだと思うよ。そう言う意味ではプレイヤーは君の生みの親、造物主で有ると言える。故に君がプレイヤーに怒るのは筋違いなのだよ、狩人よ。」

 

~っ!?

 

狩人はさっきから怒涛のように自分の中に入ってくる情報の多さに再び目眩を感じる。

「俺の親はちゃんと…ちゃんと…、くそっ!」

「思い出せなくとも無理はない。プレイヤーという特別な者に作り出されたのだから。そう!君は特別なんだよ。狩人!」

「特……別?」

「そうだ。君たち狩人は我々とは違い狩人の夢の外からやってきた。プレイヤーに作られて。しかし、しかしだ。その特別も終わり時間が近い。」

「どういう事だ?」

「君がプレイヤーから解放され我々からも枷が外れた。これがどういうことか分かるかね?いや分かるわけないな、すまない。」

 

当たり前だろ!と、狩人は心の中で突っ込む。

「恐らくだが、この狩人の夢も消去されようとしている。」

今なんと言った?

「狩人の夢が…工房が消えるっ!?」

この場所には良い思い出も悪い思い出もある。俺に取って唯一安らぎを与えてくれる場所でもあった。当然消えていい場所じゃ無い!!

「恐らく、嫌何度も恐らくと付けて済まない。」

 

…良いから続けろと言う意味で、頷いて先を促す。

 

「恐らくだがプレイヤーが全く違う世界に介入を始めたのだろう。他の狩人の夢も消えている、いや、正確には分からんが今までぼんやりと感じていた別の夢の気配も消えている。」

「…そうか、もう、本当の終わりか…」

「ふふふふふ!そう思うかね?狩人よ?」

 

何笑ってんだこのジジイ…!イライラを隠す気もなく答える

 

「どうにもならんだろ。この夢、狩人の工房が消されるなんて。俺達では戦いにすらならないんだろ?」

 

 

「…そうだな。だからこそ君は特別で

正しく、そして幸運だ。」

「はぁ?」

 

何で消されるという話しをしているのに幸運なんだ?

「狩人よ?君は…いや、正確には君のプレイヤーは人助け、つまり救える人間は皆協会に避難させていたと思うのだが、どうかな?」

…いや、何故今そんな話を…

「確かにそうだが、それが?」

「何回も、いや何十回も繰り返しても皆を毎回避難させていたね?その事について君はどう思う?」

「…当たり前だろ。目の前で困っている人がいたら助けるのが当たり前だ、ただし…自分に助けられる力があるのなら、だが。」

「素晴らしい!そう言う君だから安心して余所に行かせられる!」

 

また何か新しい単語が出てきた、は?余所?

 

「余所とは?」

「ヤーナムでは無い、全く違う場所。そう、異世界と言う奴だな。その異世界の住人が獣狩りの狩人をご所望だ。」

「…何故俺なんだ?さっきの話だとプレイヤーの狩人は俺以外にも沢山居るように聞こえたが?」

 

「だから言っただろう?君は正しく、そして幸運なんだよ。君のプレイヤーはとても正しい心根の持ち主だった。やはり子供が親に似るように狩人もプレイヤーに似るんだろう。君も正しい心の持ち主なんだよ。」

「他の狩人は違うのか?」

「他のプレイヤーは最初は人助け等をしていた。しかし何回も繰り返しているうちにやはりというか、狩人の宿命か。血に酔い、また狩りに酔う。闘いにしか興味を持たなくなっていく。」

「そうか…」

「それに向こうのご所望している狩人は誰よりも強いこと、そして何事にも心の折れないこと。それが条件だ。君が適任だろう」

 

……確かに俺は今やどれだけか分からないぐらいの、天文学的な数字の血の意志を自らの力に変えてきた、もう伸ばす力が無いくらいに。武器も全て強化してあり、アイテムも保管箱に入りきらない程貯めこんでいる。それに何度も強敵に殺され続けた事もある。それでも俺は、プレイヤーは心が折れなかった。

「何度も言うぞ、君は強く、正しく、そして幸運だと。」

「……それは分かった。あんた達はどうなる?」

「私はそろそろこの夢から解き放って貰いたいと常々思っていたからね。これを気に、君を送り出して私の狩人の締めくくりとしたい。」

 

「ゲールマン様。私は狩人様に付き添おうと思っています、工房も必要でしょうし。」

「そうだな。狩人を支えてあげておくれ。」

 

ん?人形が付き添う?工房も必要と言ったのか?え?

 

「人形も…付いて来れるのか?」

「はい。使者の方々も付いて来てくれるそうです。」

 

「…は、はは、どういう事なんだ?ゲールマン?」

「狩人は工房込みで狩人だろ?様式美と言うものだよ、狩人よ。…では行くと言う事でいいのかね?…いやその顔を見れば答えは出ているね、ふふふ」

 

そう言われふと鏡を見ると俺は笑顔だった。それでやっと俺は自分の気持ちに気づいた。ワクワクしているのだ…初めての自分の意志での冒険、今度こそちゃんと人を助け『きれる』かもしれない。

 

そう、今までこのヤーナムでは生存者を協会に連れて行って終わりだった。その後は皆おかしくなったり死んでしまった…。俺はまだちゃんと、最後まで人を助けきったことがないんだ。

 

「さてもう時間が無いな。ゆっくり話過ぎた。最後に、これからいく世界は紛れもない現実だ。夢のような君に対する『枷』、世界からの抑止力は働かない。」

「枷?世界からの抑止力?」

「君は今まで不思議に思ったことはないかね?何故あの巨大な獣の肉や骨は断てるのにこの薄いドアはびくともしないのだと?壁は?床は?思ったことはないかね?」

 

…有る。有りまくる。

「それはね、プレイヤーが自らにかけた縛り、枷のような物だと私は思う。」

「なんでだ?鍵を探すよりドアを吹き飛ばした方が楽だろうに」

「あえて難しくしているのだろう?簡単過ぎるとつまらないと。回り道して鍵を取りに行く、それもまた様式美だよ。」

「はぁ、よく分からない奴らなんだな。」

「しかしそれも無くなる、君が本気で殴ればドアや壁、床板など簡単に吹き飛び、地面を蹴れば盛大に抉れるだろう。君のいる領域は『枷』が無ければそういう領域だ。」

 

「つまり…、つまりやりすぎるなって事だな?」

「ふはは、そういう事だ!」

ゲールマンにつられて俺も笑う。

「ふふっ」

 

「さて、君と最後に話せて良かったよ。準備はいいかね?」

「俺は、何をすればいい?」

「今は私の介錯に身を任せたまえ。君は死に、目覚めた時には異世界だ。異世界に着いたらまずは『灯り』をさがしたまえ、工房に帰る為のあの『灯り』を」

「最後の最後でそれか……、あんたは知ってるのか?」

「何をだ?」

「あんたの介錯は…結構痛い!」

「ふふ、はははは!そうか、はは、それはすまなかったな、狩人よ!ん?そうだな、そう言えば君の名前を聞いていなかったな。」

俺の名前…

「俺の名前は…なんだったか?J

「やはり、忘れたか。夢にとらわれた狩人は自分の名前など気にしないからな。ならば何かきめたほうがいいと思うぞ」

「そう言えばそうか。」俺は今背中に背負っている聖剣を見る。

俺がこの獣狩りの夜で出会った狩人の中で尊敬し、唯一『カッコいい』と思ったあの男の名前を借りようか。獣と化し、すでに理性を失って尚、自分の信じた聖剣を見て自分を取り戻した男の名前を。俺はその聖剣を親指で指し、

「ならば…俺は自分を戒める為にコイツの名前を借りよう、血に酔わず狩りに酔わない為に!俺は今後ルドウイークと名乗る事にする!」

「…そうか。あの男と会っていたのだったな。分かったぞ。狩人よ、いやルドウイークよ。…では今生の別れだ。最後になるが」

そこでゲールマンは一旦区切ったあとぽつりぽつりと話し始めた。

「君は既に私を遥かに超え嘗ての弟子を超え、恐らく私が知る限り最強の狩人だ、ヤーナムの、狩人としての最高傑作、君のような傑物をどこかに送り出せると言うのは本当に狩人冥利につきるよ。ルドウイークよ。友の名を借りた狩人よ。どうかこれから行く世界で狩人の力を見せつけ英雄と呼ばれるような男になってくれたまえ。……異世界でも自分の信念を曲げず、狩りたまえ、それが結局君の目的に叶う。」

「ああ、今まで世話になった!ゲールマン、ありがとう。人形、向こうで会おう!さあ!心の準備は出来た!やってくれ!」

「はい。あちらでお会いしましょう。ルドウイーク様。さようならゲールマン様。」

「ああ。さようなら人形。では!いつも見守っているぞルドウイーク、行くぞ!」

 

ブン、と空気を切り裂くような音の後にゴガァッ!と言う凄い音が響く。そして遅れてきた衝撃と共に俺の意識が遠くなる…

 

 

……まずは『灯り』をさがしたまえ。工房に帰る為の『灯り』を……その後は君の信じたままに行動したまえ、それが一番君とその世界の為になる……

 

 

 

 

 

 

 

 

そして狩人は、ルドウイークは目を覚ます。

「今日はよく目を覚ます日だな……」

言いながら苦笑し、辺りを見回す。

木、木、木。

周囲360°……大森林だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




ぐはぁ。説明回は書いてて頭ががが
次回から異世界での話しです。長かったなぁ。
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