(ざっくりですが水銀弾=他のRPGゲームでいうMPです。)
「いきなり森の中か…、もう少し人がいるような所に来れるのかと思ったんだかな…。幸先良いスタートだ事で…」
狩人、ルドウイークは回りをもう一回ぐるりと見回す。
「本当に木ばかりだな。というかここは本当に俺の知らない世界なのか?」
ルドウイークはヤーナムにあった森の事を思い出す。
「禁域の森…じゃないよな。」
言葉に出してみたもののやはり違う。この今いる森は小鳥の囀りや綺麗に咲く花等もある。対して禁域の森は…
「あの森は入った途端に罠だらけで蛇だらけだったものな。この森程のどかで牧歌的では無かった。」
ルドウイークはこの森の事を牧歌的等と言っているが、この森は現地の人間からしてみればモンスターの巣窟であり、中でも『森の賢王』という超が付くほどの魔獣も住み着いておりそれなりに腕の立つ程度の冒険者では好んで踏み込む者の居ないほど危険な森なのだが、当然この世界に来たばかりのルドウイークはそんな事、露ほども知らないのだった。
「さて、取り敢えず灯りを探すか。…本当に有るんだろうな?それに装備を見直しておくか。」
今装備しているのは狩人の装束一式、右手武器が月光の聖剣、仕込み杖。左手武器が獣狩りの短銃、獣狩りの松明である。
「まあ、月光の聖剣は水銀弾を使うしあまり消耗品を使用しないために装備を替えておくか。ん?あれ?」
狩人は自分のインベントリーの中をみて驚く。
「何だ!?保管箱の中に閉まっておいた分までインベントリーの中に全て収まってる…どういう事だ?」
これはルドウイークの知るよしも無いことなのだが、この世界は『ユグドラシル』というゲームのシステムが適用されており例えbloodborneからやって来ようが強制的に『ユグドラシル』のアイテム所持限界数等が適用されるためだ。そのためアイテム所持限界数が少なめな(アクションゲームで有るためRPGのユグドラシルとは根本的に違うので当たり前だが)ルドウイークとしてはむしろ好都合だった。
「しかしこれは、…輸血液600個に水銀弾も600発って…、どこかと戦争する気か?」
ガトリング銃を持てばとても気持ち良くなれそうだった。
「とは言え、節約するに越したことは無いな。取り敢えず武器を鋸鉈に変えて左手は獣狩りの松明に持ち替えてと…、よし!どちらに向かうか?向こうにするかな。目印にこのデカい木に傷でも付けてみるか」
ルドウイークはその場にあった木に鋸鉈で十字傷を付けようとした…したのだが…
バキバキっという音を立て横倒しに倒れていく木。
「へ?やってしまったか?」
何時もの癖で普通に鋸鉈を振ったところ、何時もなら弾かれる角度だったのだが、今回は何の抵抗も無く鉈の刃が木に滑り込みそのまま木を両断したのだ。
「これが…『枷』が外れた、俺の力か?」
その通りだった。これが筋力99技術99の一撃だった。
「これは…もし人間に喧嘩を売られても相当手加減しないとあっさり殺してしまいそうだ…。」
予想外の事態に少し呆然としていると少し離れた木立の奥に何かの気配をかんじた。
「…なんだ?」
身構えるルドウイークをよそになんの警戒もせずその正体は姿を現す。
「ニンゲンのニオイがするぞ!」
「ニンゲン、喰う!チョウド腹が減ってる!」
ルドウイークはかつてヤーナム市街で対峙したレンガや石像を持った大男、獣狩りの下男を思い出していた。その大男はこの世界ではオーガと呼ばれているモンスターだった。
「やれやれ、初めての戦闘になりそうだな…、おい、お前等には俺が食い物に見えるのか?」
「ニンゲンは食い物、お前も食い物」
「たからお前は俺達が喰う!」
「これなら、容赦はいらないな…丁度良い、俺が食いたいのなら好きにしろ。」
「ブハハハ!当たり前!お前に言われなくても喰う!喰う!」
「ニンゲンなんて雑魚!弱い!」
「そうだ、人間は弱いんだ。だからあまり苛めてくれるなよ?さっさと終わらせよう。」
ルドウイークはそう言うと左手の人差し指をクイクイとこちらに動かす。
二匹のオーガは顔を見合わせると左の奴から突っ込んできた。右手に掴んだゴツいクラブを大上段から振り下ろしてくる。
「ぐおぉぉぉおおおっ!」
(うるせぇ…。)
そう思いながらもルドウイークは軽く自分の左斜め前に一度ステップを踏むとその攻撃をあっさりかわし、そのまま折りたたまれた鋸鉈の鋸部分をオーガの脇腹に振り上げる。取り敢えずこのぐらいの力で振るとどの程度怯むのか確認するために手加減してだ。しかし…
「げっ!?」
オーガは右わき腹から左肩まで袈裟切りに上半身が吹き飛ばされていた。
もっと加減しなきゃ駄目なようだ。
「はぁ~、なかなかに難しいな。次は仕込み杖でやるか。ん?」
もう一匹のオーガに目をやると呆然とこちらを見ている。
「オマエ、ナニシタ?」
「かわして、切った。それだけだ。」
「そんな訳ない、ニンゲン弱い!何か卑怯な事シタにチガイナイ!!」
「卑怯な事等してないが、まあいい。もう一度見せてやる。来い!」
言いながら狩人は、仕込み杖を変形させ鞭状にする。もちろんオーガはそんな事お構いなしに、
「死ネえええええぇえ!!!」
とさっきのオーガ以上に凄い声を上げて突っ込んできた。
「ぐおおおぉぉお!ごおおおお!」
オーガのグレートソードを振り回す連続攻撃。しかしその悉くをステップだけで全て回避する。しかもバックステップは一度も踏まず、全て前進してのステップで。ルドウイークは一度も手を出していないのにも関わらず逆にオーガが後退しはじめた。
「ぐっ!がぁ!はぁ!はぁ!」
「どうした?」
息の上がるオーガに対して涼しい顔をしたルドウイーク。流石にオーガも恐怖を感じていた。
「来ないのか?ならこちらの番だな。行くぞ?」
ざっとわざと大きな音を出してルドウイークは踏み込む。
「グヒィ!」
その無様な悲鳴と共にオーガは背中を見せて逃げだした。
「見逃してやってもいいか?いや、流石に地の利もない場所で仲間を呼ばれて囲まれるのはまずいか。すまないな。」
オーガは今度こそ本気で恐怖する。全力で走って逃げているのにも関わらずずっと、声色も変えずその声は自分に付いてきたのだ。オーガは死ぬ本当に際の際で『狩人』の怖さを、恐ろしさを知った。まぁ全てが遅かったのだが。
シャリン!
それがこのオーガの聞いた最後の音だった。その音と共に全力で走っているオーガを仕込み杖の鞭状の刃が頭から股間までを真っ二つにした。
「しまったなぁ、あいつ等を挑発して色々聞こうと思ってたのに予想以上に話にならなかった…でもあいつ等あっちから来たよな。向こうに向かって見るか!」
狩人、ルドウイークは久々の未知の冒険に、しかもプレイヤーに操られていない自分の意志での冒険にとてもワクワクして歩き出した。
初バトル。バトルになって無いけど。
レベルカンストが規制やゲーム的な表現もなく現実世界の物理法則が通用するソウルシリーズの一周目程度の難易度に来たらこうなりますよね。
しかもbloodborneは従来の武器強化に加えて更に血晶石で攻撃力上げられるので3周目くらいまでは火力インフレですし。
早くオバロキャラに会わせたいなぁ~…