ベートさんに妹を作りました   作:スパイラル大沼

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戦闘中

 

 

遠征開始。【ロキ・ファミリア】は二手に分かれて18階層まで進行することになった。

 

「おっはよーう!ユノさ〜ん」

 

後ろからガバッとティオナが飛びついて来た。

 

「おー、遠征初日だというのに元気だねー。ても重たいから降りてくれやしませんか?」

 

「しませーん。んふふー♪」

 

ほとんどおんぶさせられてる状態で歩くユノと、その上のティオナ。【ロキ・ファミリア】に入りたての頃、同じ系統の武器を使うということもあって、ティオナはユノに剣を教わっていたから、すごく懐いていた。

 

「うん、ホント重いから離れてくれない?」

 

「やーだー」

 

「ねぇ、あたしそっちの気はないし。ノーマルだからさ」

 

が、まるで話を聞かずに頬をスリスリするティオナ。ユノはティオネを睨んだ。こいつ、どうにかしろ的な。

 

「……あー、ティオナ。ユノさん困ってるから放してあげなさい」

 

「やーだよー。今日はこのまま18階層まで行くんだもん」

 

「あたしを殺す気?重くて18階層まで保たないんだけど」

 

「そうユノさんも言ってるんだから降りなさい」

 

「やだー」

 

そんなやりとりしてると、ベートが後ろから声を掛けた。

 

「オイ、人の妹オモチャにしてんじゃねぇよ。離れろバカども」

 

「はぁ?ベートは関係ないじゃん」

 

「ていうか、私は止めようとしてるんだけどベート」

 

「つーかテメェら、そこのバカは『さん』付けでなんで兄の俺は呼び捨てなんだよ」

 

「そりゃあ、尊敬してるから?」

 

「師匠だから!」

 

「ていうか、好かれ方が違うのよそもそも」

 

「私、ベートにさん付けするくらいなら【ロキ・ファミリア】辞めるなー」

 

「テメェらブッ殺すぞ‼︎」

 

「喧しいわ!遠征中じゃ、静かにせんか馬鹿者共‼︎」

 

ガレスに怒鳴られ、3人はおとなしくなった。

ちなみにユノはいつの間にかアイズの隣で大人しく歩いていた。

 

 

 

 

遠征を開始し、数週間が過ぎた。【ロキ・ファミリア】の皆様は50階層に到達していた。

 

「盾、構え‼︎」

 

フィンの声で、盾持ちの冒険者達は盾を構えた。

 

「前衛、密集陣形を崩すな!後衛組は攻撃を続行‼︎」

 

その声を聞きながら、全員が全員動き始めた。

モンスターを切り刻む獣人、ヒューマン、アマゾネスに、後ろから魔法を詠唱するエルフ。

もはや戦場と化してる50階層。最前列のメンバーは盾を構えて、フォモールの群れを支えていた。最後列の魔導師の詠唱が終わるまで、持ち堪えるのだ。

 

『オォオオオオオオオオオ‼︎』

 

そのうちの一ヶ所のフォモールが盾を押しのけて突破した。

すぐにフィンから指示が飛ぶ。

 

「ベート、穴を埋めろ‼︎」

 

「チッ‼︎何やってやがる‼︎」

 

援護に向かうベートだが、間に合わない。フォモールは前衛を突破し、後衛の魔導士部隊に襲い掛かった。

その内の一人の魔導士、レフィーヤが吹き飛ばされた。直撃は避けたものの、地面を粉砕する一撃の衝撃波で、体は大きく後ろに飛ばされた。

 

「………ぁ」

 

そのレフィーヤに黒い影が被さる。

フォモールの中でも特大サイズ、それが目の前で自分を見下ろしていた。

 

「あっ……あっ……」

 

自分のメイン武器は杖、50階層クラスの相手に苦手な近接戦闘で戦うには勝ち目が無かった。

フォモールは、んなこと知らねえよ、とでも言わんばかりに鈍器を振り上げた。

振り下ろされ、自分に迫ってくる鈍器から目を逸らし、キュッと目を瞑った直後、ボグッと鈍い音がした。自分に攻撃は当たっていない。恐る恐る目を開けると、ユノが鈍器を片手で防いで支えていた。

 

「大丈夫〜?」

 

「ゆ、ユノさん……!」

 

「いや〜、驚いたよー。ぼんやりしてたらレフィーヤがピンチなんだもん」

 

「や、それより前を……!」

 

「やっぱり戦闘中に立ったまま寝るのは良くないねー。でも、どうしてもお昼寝したくなっちゃうんだよなー」

 

「あのっ、モンスターが……!」

 

「ねぇ、どうしたらいいと思う?」

 

「知りません!ていうか前!」

 

「ああ、ちょっと待ってねー」

 

言うと、ユノは鈍器を握り潰した。

 

『ブォッ⁉︎』

 

「五月蝿いよ」

 

直後、バゴッと、バゴッと生き物から出るとは思えない音と共に、フォモールは後方へ大きくぶっ飛ばされた。

 

「ほっ」

 

タンッとユノは軽くジャンプし、ぶっ飛ばしたフォモールの真上へ。上から首を掴むと、地面に思いっきり首から叩きつけた。

真下にいたフォモールもろとも叩き潰し、デッカいクレーターを作った。

 

「…………うわあ」

 

ドン引きするレフィーヤだが、そうボヤボヤもしていられない。また襲い掛かってくるモンスターを相手にした。

 

 

 

 

リヴェリアの超特大魔法によって、フォモールの群れを一掃した。

その跡を見ながら、ユノは口笛を吹いた。

 

「ヒュー……すごいなぁ、相変わらずリヴェリアの魔法」

 

巨大な地面の抉られた跡、その中のより深い場所、つまり途中で自分が作ったクレーターの所まで歩き、ビニールシートを敷き、その上に枕を置いて寝転がった。

 

「………うん、ここならフィンに見つからないよねー」

 

「あ、あのっ、ユノさんっ」

 

「おおう……見つかるの早っ……」

 

自分の隠れるセンスのなさに驚愕しつつ、声のした方向を見た。レフィーヤがクレーターの淵で自分を見ていた。

 

「んあー?」

 

「た、助けていただいてありがとうございましたっ」

 

「………?」

 

助けたっけ?と、割と本気で忘れてるユノだった。

 

「………助けたっけ?」

 

「は、はいっ!助けてもらいました!」

 

「………………?」

 

「ほ、ホントに忘れてるんですか?」

 

「………あ、うん?覚えてるよ?」

 

「なんで疑問系?」

 

実際、欠片も覚えてないのは言うまでもない。

 

「それより降りておいでよー。気持ち良いよー」

 

「あの、いいんですか?団長が呼んでいましたけど……」

 

「いいのいいのー。どーせお説教だし」

 

お説教、というのは戦闘の途中まで立ったまま寝ていたことだろう。レフィーヤとの会話が聞こえていたようで、ほぼほぼ間違いなく怒られる。

それはごめんだったので、話を逸らした。

 

「それより一緒に寝よう」

 

「ふ、ふえ⁉︎」

 

「………何顔赤くしてんの?そういう意味じゃないんだけど。このムッツリ」

 

「ち、違います‼︎」

 

「いや、ムッツリでしょ。レフィーヤえろい〜」

 

「お、怒りますよ⁉︎」

 

「怒ればいいじゃん。レフィーヤが怒ったって怖くないし」

 

「団長に言付けますよ⁉︎」

 

「ごめんなさい」

 

団長には弱かった。コホン、と咳払いすると、

 

「とにかくおいでよレフィーヤ。そこにいつまでもいられるとフィンにバレちゃ……」

 

「僕が何だって?」

 

「あっ」

 

言い付けるまでもなかった。

 

「さ、こっちへ来ようか」

 

「…………はぁ」

 

 

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