私にとって、覇王は全てでした。
覇王の無念を晴らすため、拳を鍛え続けて来ました。
でも、いつからでしょう。私が普通の女の子として生きたいと思えたのは。
「もう、止めろよ。お前はお前だろ。覇王とか、聖王とか、無念とか・・・・意味分かんねーっつの」
「止めないで下さい。もう、私にはこれしか残ってないから」
「嘘だ」
「嘘じゃない!」
「じゃあ、何で泣いてるんだよ!それはお前自身が求めてないことだからじゃないのかよ!!」
彼に言われて慌てて顔に手を当てる。確かに、私の目から涙が出ていました。
何故?どうして私は泣いているの?
「貴方に・・・・貴方に何がわかるんですか!!!!」
止めて・・・・これ以上は・・・
自分を抑えられない
「魔法も使えない、なんの才能も、家族も、背負う宿命も、何も無い!!!!」
これ以上はダメ!言ってはイケナイ!!
言ってしまったら私は・・・・もう彼に・・・・
「そんな空っぽの貴方に、一体私の何がわかるんですか!!!!」
ああ、言ってしまった。最低だ、私は。
「・・・・そうかよ。なら、俺はもう止めない。お前の好きにしろ。俺はもう二度と、お前に関わらないよ」
あ・・・・・やってしまった。私は、彼を、傷つけた。
「じゃあな、アインハルト。精々、捕まらないようにな・・・・」
唯一、私を心配してくれて、私の初めての友達で・・・・・
その人を、私は傷つけた。
だから彼は、私に背を向け、去ってしまった。
「あ・・・・ああ・・・・・・・ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!」
後悔しても、もう遅い。一番大切な人を、私は自分の手で失ってしまった。
彼が去った後も、私はその場でずっと泣き続けた。
◇
vividな恋愛シリーズ第二弾、アインハルト編
空っぽの俺は、彼女との絆を取り戻した
◇
アイツとほぼ絶好状態になって2週間。
今まで噂になっていた自称覇王の通り魔事件は急に聞かなくなった。
最初はアイツが遂に逮捕されたんだと思った。だが、違った。
アイツは今でも学院に通っている。
アイツ・・・・アインハルトと俺は昔からの腐れ縁。初等科の頃からずっと同じクラスだった同級生だ。
お互い、友達がおらず、クラスで浮いていた所、学級活動ではぶられもの同士で組むことがあったことがキッカケで俺たちの腐れ縁が始まった。
俺は言わいる不良。と、言っても素行が悪い訳じゃない。
成績はドべで、魔法の才能は無し、孤児院出身で家族は無し。お金を稼ぐためにバイトをしてるから授業に参加できないときもある。
故に、周りから不良扱いにされているのだ。
アインハルトは、無口で大人しい性格。更に誰とも関わろうしようとはせず、休み時間もずっと教室でじっとしていた。
ほかの連中の評価は根暗らしい。可愛い顔してるのに勿体無いと、当時の俺は思った。
今?聞くな。
だから、俺たちが友達になったのも必然だったんだろうな。はぶられもの同士ってことで。
んで、ついこの間までは本当に友達と言える関係だったさ。お互いのことも言えてたし。
でも、最近のアイツは変わった。
それは、ついこの間のマリアージュ事件が関係してると思う。あの事件以来、アイツは夜道で通り魔な戦闘行為を行っている。
それを知ったのは2週間前。たまたまその現場を目撃してしまったからだ。
変身魔法を使って、バイザーで顔を隠しても、腐れ縁の俺には直ぐに分かった。
だから、問い詰めた。どうしてこんなことをするんだと。
アイツは言った。聖王のクローンと蘇った冥王に会うためだと。
そして、弱い王なら、潰すと。
それが、覇王の悲願だと。
俺はアインハルトが、覇王の記憶で悩んでることは知っていた。
だが、こんなことになるまで苦しんでいたとは思ってなかった。
俺は何で、気がついてやれなかったんだろう。
だから、俺は止めようとした。
そんなことをしても、お前が苦しむだけだ。覇王の記憶はお前自身のものじゃない。
お前はお前なんだと。
お前にはそれしか残ってない何て、嘘っぱちだと。
でも、俺は否定された。
それどころか、俺は、空っぽだと言われた。それが事実だとはわかっていた。
でも・・・・そう、だよな。
そんな俺が、アインハルトを止める資格何か・・・・・なかったんだ。
きっと、アイツを止められるのは、アイツと同じモノを持ってる奴じゃないとダメなんだ。
俺じゃ・・・・ダメだ。
だから俺は
二度と、アイツと関わらないことにしたんだ。
俺では、アインハルトをわかってやれないから。
夢も無い。才能も無い。全てにおいて無い空っぽの俺。
最初から、俺は、アイツの友達をする資格は無い。
だって、俺は
空っぽだから
それから数日後、俺は孤児院に閉じこもった。
もう、学院に行きたくない。
行けば、アイツの顔が嫌でも目に映る。
いや、それだけじゃない。全てにおいて、空っぽの俺がいていい場所じゃないから。
院長やチビ達も俺を心配してくれて、元気付けようと励ましてくる。
でも、俺はそんな気にはなれなかった。
だから昨日も、「ガキは黙ってろ!!」と酷いことを言ってしまった。
俺を兄と慕うチビ達の泣き顔は、マジで辛かった。
院長はそれでも俺に優しくしてくれて
「貴方は独りじゃありませんよ?」
と、言ってくれた。
ダメなんだ。ダメなんだよ、院長。
夢も希望も無い俺じゃあ、ダメなんだよ。
だから、俺は
この世界からいなくなることにした
続く
ども、ゼルガーです
アインハルトは前編と後編の二本立てです。
リストラシリーズと違って、今回の主人公は特別な才能は一切ありません。
なので、メンタル面がかなり弱いです
この主人公が立ち直るのは、アインハルト次第ですが・・・・あれ?ヒロインと主人公が逆な気が・・・・・
主人公がヒロインになってる気がする(汗)