vividな恋愛シリーズ   作:ゼルガー

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空っぽの俺は、彼女との絆を取り戻した【後編】

 

 

 

孤児院を飛び出した俺がたどり着いたのは、教会にある墓地。

 

そこには俺の両親が眠っているから。

 

 

「父さん、母さん。俺さ、もう疲れたよ・・・・・・俺には何も無い。ずっと空っぽのまま生きている。どんなに努力しても報われない。なにより、一番大切な友達を止めることも出来なかった」

 

 

それに、アイツを止めたもの俺じゃなかった。

 

 

「もうさ、辛いんだ。生きてるのが」

 

 

きっと、俺の目は腐った魚のように濁ってるだろう。

 

だって、今の俺には生きる気力が無いから。

 

 

 

「いいよな?俺もそっちに逝って。あの時・・・・・・9年前の交通事故で、俺も一緒に死んでれば良かったのに」

 

 

 

9年前、当時3歳だった俺は父さんと母さんの三人で車で家族旅行に出かけてたらしい。

 

俺はまだ3歳で、その頃の記憶も曖昧。

 

でもさ、父さんと母さんの優しそうな顔だけは覚えてる。

 

その旅行の帰り、悲劇は起きた。

 

事故の原因は飲酒運転の大型トラックによる追突事故。

 

相手の運転手は重症だけど生きてて、退院後逮捕された。

 

そしてこっちは、父さんと母さんが即死。俺は奇跡的に無傷だった。

 

母さんが自分の身を犠牲にして、俺を守ってくれたから・・・・・

 

 

 

それ以来、俺は引き取り手も無くて孤児院行き。

 

 

 

俺の両親は管理局でも少しは名がしれた魔導師だった。

 

でも俺は魔導師の適性はゼロ。

 

親戚たちが俺に向ける目は幻滅とゴミを見る目だった。

 

それでも、父さんと母さんは俺を愛してくれていた。それはちゃんと覚えてる

 

 

 

でもさ、それでも俺・・・・・一人ぼっちなんだぜ?

 

覚えてても、小さい頃の曖昧な記憶。

 

成長して、孤児院ではマシだったけど、学院に通ってからはダメ。

 

アインハルト以外の友達が出来なかった。

 

いや、もうアイツとも友達じゃないか。

 

 

・・・・・よそう。もう、これから死ぬのに。

 

バッグから即効性の毒を取り出した。

 

最初はナイフとか、首吊りとか考えたが、痛いのも苦しいのも嫌なので、一瞬で逝ける薬にした。

 

 

・・・・・・分かってる、これが逃げだと言うことは。

 

でも、俺はもう・・・・・・耐えられない。

 

 

そして、俺は薬の錠剤を口に含もうとした

 

 

 

 

 

「何をやってるんですか!!!!」

 

 

 

 

 

だが、それは突然響いた大声の持ち主によって阻止された。

 

 

 

 

「アイン・・・・・ハルト?」

 

「はぁっはぁっ・・・・・・・何を、何をしようとしてるんですか!!!これ、即効性の毒ですよね!?」

 

「・・・・・ああ、そうだ。俺はそれで、自殺しようとしたんだよ」

 

 

 

と言うか、今更何しに来たんだよ。絶交したのにさ。

 

 

 

「俺はお前の言う通り、才能も親も全て何も無い。おまけにお前を止められなかった最低な奴。空っぽの人形だろ?」

 

「そ、それは・・・・・・私の所為ですよね。私が貴方を追い詰めてしまったんですよね」

 

「お前の所為じゃ無い。それにさ、もう疲れたんだ。生きていることにさ」

 

 

 

孤児院の皆には悪いとは思う

 

でもさ、もう俺は耐えられない。

 

生きる目的も無い。ただ辛いだけ。だた目的もなく存在している人形のようだ。

 

それなら、生きている理由。ないじゃんか。

 

 

 

「頼むから死なせてくれよ。空っぽで生きる理由の無い俺を、これ以上苦しめないでくれよ」

 

 

 

お前はさ、もう一人じゃないんだろ?

 

新しい繋がりが沢山できたんだろ?俺なんかとは違って。

 

 

 

「・・・・ゴメンなさい」

 

 

 

アインハルト?

 

気がつくと、俺はアインハルトにハグされていた。っておい!?

 

 

「ゴメンなさい。私があの時酷いことを言ったのに・・・・・貴方を傷つけたのに、貴方を無視した。貴方の気持ちを踏みにじった。それに、私は貴方を独りにしてしまった」

 

 

そうじゃない。俺は元々独りなんだよ。

 

 

「貴方の気持ちを知らないフリして、私は自分の目的だけを考えてしまった」

 

 

止めろ

 

 

「貴方の言葉をちゃんと聞くべきだったのに」

 

 

うるさい

 

 

「もう・・・・自分を責めないでください。貴方の所為じゃ無い」

 

「なら、どうすれば良かったんだ!!!」

 

「貴方が自分を空っぽだと、生きる理由が無いと言うなら・・・・私が与えます」

 

 

 

・・・え?

 

気がついたら俺は、アインハルトにキスされていた。

 

って、ええええええええええええ!?

 

 

 

「お、おおおおおお前!?」

 

「貴方、鈍感だから気づいてないと思いますけど。私、貴方好きです。というか、小さい頃からずっと一緒にいて、好きにならないと思いましたか?」

 

 

そ、そりゃ確かに、初等科からの付き合いだし、幼馴染と言っても過言じゃねーよ?

 

で、でもさ?俺はずっとアインハルトを友達だとしか・・・・・・

 

 

 

 

 

本当にそうか?

 

 

 

 

 

「この数日で、私は反省してました。覇王のこと、聖王のこと。でも結局、自分自身を疎かにしてました。それを、あの子と戦って気づいたんです」

 

 

あの子?

 

 

「彼女は聖王と呼ばれる、どこにでもいるただの女の子でした」

 

 

探していた聖王に会えたのか。

 

そいつがアインハルトを止めたんだな。

 

 

 

「もう一度言います。私は貴方が好きです。だから、貴方に生きる意味を与えます。私と共に生きてください」

 

「俺に・・・・・・・生きろと?」

 

「そうです。私は、貴方を失いたくはない。私はズルい女です。貴方を傷つけ、自己満足の為に絶交したのに、また貴方と共にいたいんです」

 

「でも俺は」

 

「からっぽだと言うなら、一緒に探しましょう。私も探してるんです。自分にできることを」

 

 

 

自分に出来ること?

 

からっぽの俺に、探せるのか?

 

 

 

「いや、それ以上に・・・・・俺はお前を好きでいていいのか?俺はお前に絶交と言ったんだぞ」

 

「いいよ。ううん、無理矢理でも私と一緒に居させる。だって私は頑固ですから」

 

 

 

あは

 

あははははははははは

 

ごめん、父さん。母さん。

 

 

俺さ、まだ死んでそっちにはいけないや

 

だってさ、俺のことを死なせてくれない奴がいるんだ。

 

だからさ、もう少し生きてみようと思う。

 

俺のことを好きと言ってくれたアインハルトの傍で。

 

 

 

「なら、責任取れよ。俺を死なせてくれなかた責任を」

 

「ええ、取りますよ。一生の人生を掛けて」

 

 

 

 

 

終わり




ども、ゼルガーです。

・・・あれ?本当に主人公とヒロインが入れ替わってる?

アインハルトが主人公してて、主人公がヒロインになってる。

もし、希望とかが多ければ、アインハルトの視点を書いてみたいと思います。

次回のヒロインはミウラちゃんです

ではまたノシ
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