ビーストハンター   作:佐渡 譲

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ビーストハンター 第3話 「帰らざる波止場 」(3)

 「商品は揃ったか?」店を訪ねてきたジャーダンの幹部が言った。

 「大体は…今回は上玉が揃っていると思います」建勝はそう答えた。

 「よし。俺が品定めをしてやろう…一週間後に東京港を立つ「永泰号」で向こうに送る」

 

 客の振りをしたジャーダンの幹部は何人かの女の子を呼んだ…その中には千恵子も入っていた。

 彼女のかいがいしい接客振りを見て、いたく千恵子が気に入ったジャーダンの幹部は建勝に言った。

「あの女はなかなかの上玉だ。素直だし行儀がいい…その上美人と来てる。向こうで高く売れるだろう」

「いゃ、あの女はまだ」

「何だっ、何か都合の悪い事でもあるのか?」

「いぃぇ」建勝はそう答えるしかなかった

 せっぱ詰まった建勝は、ついに千恵子にすべてを告白して一緒に逃げてくれと頼んだ。

「俺は君が好きだ。だから俺に付いて来てくれ…例え命に代えても君を守る」

 それから数日後、建勝は警視庁にジャーダンの悪事を密告し、組織の金を盗んで千恵子と店を逃げ出したのだった。

 

 小雨の降る中をツクモとジョーとシュンは、ジャーダンの表向きの本拠「桃源カジノ」にやってきた。

 だがそこには、すでに大手の『大東亜警備』が一般警備員を配置して周囲に網を張っているらしかった。

 桃源カジノに近づいていくツクモたちに気付いた一人の男が、つかつかと彼らの傍らにやってきた。

 彼こそ大東亜警備のトップイェーガーで、ランキング5位。ツクモと同じ一級警備免許を所持する日下部大悟だった。

「手回しのいいこったな~」ツクモは側に来た日下部にそう言った。

「何だ…誰かと思やぁ、音羽の殺し屋集団かい」日下部は嘲笑うように言った。

 

 音羽警備は他社のように一般警備部門を持たない。もっぱら犯罪の処理と個人のボディガードを専業としていた。

 それは三年前に殉職した倉橋社長時代からの方針であり、後を継いだ沙羅も同様に少数精鋭を旨としていた。

 そのため、他の警備会社からは業界の異端児扱いを受けて殺し屋集団と陰口を叩かれていた。

 

「ここは大東亜警備が預かっている。お前らには用はねぇよ」日下部はツクモたちを見下すように言った。

「縄張りはビースト法で禁止されてるはずだがなぁ」ツクモがすかさずやり返した。

「文句があるんなら四課の斉木刑事に言えよ…さぁ、とっとと帰ぇんな」

「何だとぉ~!」ツクモはムッ!とした。

「とっつあん。ここは一旦引こう」ジョーがツクモをたしなめるように言った。

 ここで揉め事を起しても始まらない…三人は仕方なく桃源カジノの現場から引きあげる事にした。

「まったくあいつら、大手だと思って図に乗りやがってぇ~!」

 ツクモは憤懣やる方ないらしく、まだぶつぶつと言っていた。

 

~続く~

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