ToLOVEる~変わりゆく運命と恋~   作:叶夢望

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天上院紗姫後編です。


第十七話

ミスコンテストの投票結果は天条院紗姫が50票でララが70票であった。

残るは夕崎梨子の投票結果であったが天条院紗姫の読みでは多くても30票そこそこでビリのはずだった。

そんな彼女の票数は・・・・

 

「・・・・・は、は、は、は、80!!?」

 

あり得なかった数字に戸惑いを隠せなかった。

なぜ30票よりも多い80票を手に入られる事は不可能なはずだった。

 

「い、い、インチキですわ!そ、そうですわ!コピーとかそんな卑怯なマネをしているに違いないわ!」

 

勝負内容に投票券のコピーは不可だというルールがあるので夕崎梨子は本物の投票券を使った証明をしている。

投票券には一人一人の生徒の名前が記されてあり、誰が誰に投票しているかを示すようにと天条院紗姫と約束したはず。

天条院紗姫は夕崎梨子が掲示した投票券に目を疑った。

 

「・・・西蓮寺春菜、籾岡里沙、沢田未央ーー」

 

まさかの女子生徒による投票で度肝を抜いた。

 

「ずるいですわ!女子生徒からの投票・・だ、な、ん、て」

 

天条院紗姫は怒りをぶつけるけど、夕崎梨子の満面に笑みを見て彼女との勝負内容の事を事細かに思い出していた。

絶望的な表情を浮かべ顔から血がサァーと引いたような感じがして、そんな天条院紗姫を夕崎梨子はコクリと頷くように

 

「そう、男子生徒からのみの投票に限るだなんてないからだよ」

「ーーーっっっ!!!」

 

悔しくて悔しくて声にならない声を出す天条院紗姫の完敗であった。

 

「い、いつから、いや、あの時からこの時を待っていたのですの?」

 

天条院紗姫による強制参加のミスコンテストを伝えた瞬間、夕崎梨子は考える素振りをした後黒い笑顔をしたあの時からの考えであったのかと。

 

「なぜ、なぜ私が負けるなんて・・私が負ける理由なんかないのに・・」

「ふふふ、紗姫ちゃんが負ける理由はあの訳の分からないルールと契約のせいだよ」

「ですけど!あなただって同じ条件下にあったはずですわ!なのに!」

「ならば紗姫ちゃんはあのルールと契約をどうしようとしていたんだい?」

「・・そりゃあそのまま覚えようと必死に考えて一言一句どこかに穴があるのかと思い出していたわ」

「そこがダメなんだよ」

 

ルールや契約を覚える事は必然的だと言うのに、いけしゃあしゃあと必要無いと言い張っている夕崎梨子に腹が立った。

 

「そもそもボクたちはミスコンテストで審査を受けるんだよ?だから紗姫ちゃんは男子生徒のみが審査をするとしか思わなかったんだ」

「・・このミスコンテストが終わる前まではそう思いましてよ」

「ボクは紗姫ちゃんがするであろう行動を予測し、思考し、思案し、何通りかの手段が浮かんで一番勝率が高そうな手段を選んだよ」

「あの時の笑みはそう思っていたって事ですわね」

「そしてあのルールと契約をちらつかせて女子生徒の存在を忘れさせる・・いや消えさせる事が目的だったんだよ」

「確かに私はそれにまんまと引っかかり、私の意識には女子生徒の存在は消えていましたわ・・お見事ですわ」

 

天条院紗姫と夕崎梨子はいつの間にかミスコンテストと言うよりは頭脳戦や心理戦をしている錯覚を覚え、いつしか二人に笑みがこぼれた。

天条院紗姫は悔しくて悔しくて大声を出して叫びたいのに、どこか楽しい気持ちになり、夕崎梨子に指を指し宣言する。

 

「参りましたわ!あなたの勝利としミスコンテストは終了と致しますわ!」

 

天条院紗姫の宣言により周りにいたギャラリーは大きく拍手喝采し、盛り上がっていた。

 

「さぁ、あなたに勝者権限への報酬を与えますわ。何でも言ってくださるといいですわ」

「ふふふ、それについても考えが・・いや頼まれたものがあるんだけどそれでいいかい?」

「ええ、どうぞご自由に、ですわ」

「文化祭の時にミスコンテストを開催し、再度このボク、夕崎梨子他多数の女子を含め参加する事を認め出来る事ならば天条院紗姫も参加するとする、ではダメかい?いや、してくれるとありがたいな」

 

夕崎梨子が再び戦おうとしてくれるその挑戦に断る理由も無く、強く気高く優雅に頷いた。 

 

「ふふふ、ボクに協力してくれた女子達のお願いでね?投票されたくば先程の報酬を約束しろ、という事でね。致し方ない事だが承知したよ。ま、ボク自身紗姫ちゃんとこんな形で勝負をつけたくないからという気持ちもあるけどね」

「あなたって意外と交渉に弱いですわね?あんなルールや契約はスラスラと言うくせに」

「ボクは弱いんだよ?あの手段が無かったらボクは最下位だったよ」

「ですけど私が負けましたわ。ところで女子生徒の投票券はどこから調達してきましたの?」

「校長先生からさ。ボクは校長先生に女子生徒にも投票権を与えてくれと言ったら快く採用してくれたよ」

 

勝負をつける前から様々な下準備をしていた夕崎梨子に呆れつつ、天条院紗姫は握手を交わしその場を去った。

勝者となった夕崎梨子は思い出すようにミスコンテスト以前の行動を今一度確認したが・・恥ずかしい事に遭遇した事もあってその記憶を封印したかった。

 

ーーーー『ミスコンテスト前』

夕崎梨子の頼みを聞いてくれる校長と夕崎梨子は対面していた。

 

「ボクの頼みは女子生徒への投票権の贈与及び投票券の贈与をお願いしたいんだよ。頼めるかな?校長先生」

 

校長は『うーむ』と唸って考えていて夕崎梨子の身体中を舐め回すように見ていつしか興奮した。

 

「な、ならば条件があるっ!ぼくちゃんをメチャクチャにしてぇー!」

 

 

服を脱ぎ捨てパンツ一丁となって突進してくる校長先生に冷たい目を向ける夕崎梨子は蹴る殴る投げるなどのコンビネーション攻撃で戦闘不能とさせた。

 

「はい、メチャクチャにしてあげたよ?校長先生。頼める・・だろうね?」

「ヒィィ!ご勘弁をー!」

「よろしい、それでは投票券を後ほど渡してくれよ?」

 

校長の頼みを聞いたので報酬を貰えたという出来事があったので夕崎梨子の作戦は始まった。

投票券を女子生徒から投票されるのはいいのだが、夕崎梨子自身に投票されるとは限らないので近くに居た西蓮寺春菜や近くの女子生徒に作戦概要を話し投票させる事を約束させた。

その女子生徒の代表なのか籾岡理沙が小悪魔的な笑みを浮かべ夕崎梨子に近寄った。

 

「へぇ、見かけによらず悪魔だねぇ?そんな悪い子はお仕置きよっ!手伝って未央!」

「あいあいさー!」

 

籾岡理沙とその友人沢田未央は夕崎梨子の身体を弄り、胸やお尻を撫で回していた。

 

「ふふぅんふ、ボクはねぇぁ、あ、あ、悪魔じゃ、にゃぁあくてね、つ、つまぁっりっ!っっぁっ」

 

無防備である夕崎梨子は恥ずかしい声を出しながらも解説するもその言葉は艶やかで色っぽいので近くに居た結城リトや猿山ケンイチらの男子生徒は顔を真っ赤にさせていた。

 

「おやおや?リコちゃんてば意外と可愛い声で鳴くね」

「よし!もっとお仕置きしちゃえ!」 

 

籾岡理沙と沢田未央の目がキラリと輝いて夕崎梨子の身体を更に弄った。

耳に息を吹きかけたり、耳をハムハムと咥えられ、胸やクビレ付近にお尻も全て触られていた。

 

「お、オイオイ!そ、そんにゃところは、あひゃっ、ぼ、ボクは、す、ひゃぁん、そのスキンシップが、ひゃあ、き、嫌いな、んぅぅ、嫌いなんだょんっ」

 

二人掛かりの責めに辱めに遭う夕崎梨子は彼女らに翻弄され、その彼女らに援軍が来るように古手川唯が夕崎梨子のもとへと近寄った。

 

「あらあら夕崎さん・・いえ夕崎ちゃんってば、ようやく目が覚めたようね?ずっとそのままでいなさい?ハレンチな事は絶対許されませんけどあなただけは特例で許してあげるわ」

「んぅ、い、いやいや、ぅぅ、そ、そんな簡単なっ、んんにぃぃわっ、だ、ダメっ、ぅぅっ」

 

未だに身体を弄られるので呂律が回らない夕崎梨子を見て古手川唯はこれまでかつて見せた事が無いほどの満面の笑みを浮かべていた。

 

「あら、そうなの?もっとやって欲しいのね?いいわ特例で許してあげるわ夕崎ちゃん。籾岡さんに沢田さん!思いっきり本気でお仕置きする事を許します!」

「「あいあいさー!!」」

「んひゃぁぁっっんぁ!」

 

自主規制でこれ以上説明すると十八禁になるような仕打ちを受けた夕崎梨子は二十分程の責めを受け、床に座り込んで涙目でビクンビクンと身体を震わせていた。

 

「やっと私の勝ちね?ゆ・う・さ・きちゃ~ん」

「く、くぅっ、ひょっ、みょ、ボクと、した事が」

「ん~?いつものより口達者で頭良さそうで可愛げがあるじゃないの?」

「う、うるひゃい、にょ」

 

いつもと違う夕崎梨子の弱々しく女の子らしい反応が新鮮であり滑稽であった・・はずだけど

 

(・・・ちょっとやりすぎたかしら?今のは私自身の力じゃなくて籾岡さん達の力業だったし、夕崎さんにはどうしても口で勝ちたいわ)

 

口喧嘩していたからこそ口で勝敗をつけたかった。

あんなハレンチな行動じゃ夕崎梨子は夕崎梨子じゃなくなるからハッピーエンドになるだろうけど、それでも古手川唯の力で何とか改心させたかった事が本望だった。

 

「・・ほら、肩を貸してあげるから立ちなさい」

 

古手川唯は手を差し伸ばし夕崎梨子を助けようとしている様子にクラス一同は驚愕した。

いつもならば喧嘩ばかりしているのに、面と向かって嫌いだと言い続ける彼女らなのに助けようとしている事が古手川唯自身でも驚いているのだから。

 

「・・礼は言わないけどね、借りは返すよ唯ちゃん」

「そんなもの要らないわよ?そんなもの受け取ったら気持ち悪くて三日三晩体調を崩して学校を休まくちゃいけないもの」

「・・ふふふ、それどこかで言ったような気がするよ。あれはいつの頃だったかな?」

「さぁ?私はあなたとの会話を一々覚えていないから忘れちゃうわ。きっとこの会話も今している事も一切忘れる自信があるわ」

 

古手川唯は夕崎梨子の手をとり、彼女をなんとか立たせてた後、古手川唯は『ふんっ』と嫌いな様子をし、夕崎梨子の前から消えた。

 

「ふふふ、素直じゃない子ってなんだか親近感が湧いてしまうなぁ」

 

素直じゃない彼女らはどこか互いを信頼し、戦い続ける運命はこれからも続くのだろうか?それは彼女ら自身がお互いを友と呼ぶまでは永遠に続く事になるのだろう。

 

女子生徒らに投票券を渡す代わりにと沢田未央は夕崎梨子にある提案があると身を乗り出して言ってきたので、それを快諾したのだ。

 

「それでリコリコ!文化祭でまたこういうミスコンテストをやりましょうよ!みんなでね?」

「なるほど、了解した。紗姫ちゃんに勝ったらそう言っておくよ?ボクを除いてミスコンテストに参加資格を他の女子生徒らにも、とね」

「ううん、リコリコも絶対参加する事!じゃなきゃ私達はリコリコに投票しないよ!」

「・・・ふふふ、脅迫かい?なるほど、それならばボクはそれに応じるしかないじゃないか」

 

沢田未央に脅迫される夕崎梨子は従い、ミスコンテストにおける作戦準備が終わったのであった。

ーーーーーーーーーーー

ミスコンテスト終了後日、天条院紗姫は晴れやかな気分だった。

ミスコンテストで屈辱の最下位となったけど、最高のライバルを見つけたから負けよりも嬉しい敗者への報酬であった。

 

(夕崎梨子、ですのね?あの生意気なあの子の名前は・・仕方無いですけど、この私が唯一認めましてよ!ですから他の方々から負ける事なんて承知しませんわ!)

 

天条院紗姫は闘志を燃やし、寛容な心で夕崎梨子を認めていたのである。

 

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