まず最初辺りにでてくる言葉があります。それは
艶麗(えんれい)意味は 女性の容姿がなまめかしいさま。美しくて華やかなさま。
彩南高校看護教諭の御門涼子は艶麗であった。
その地球人離れしたスタイルが生徒に惹かれるので人気者となっていた。
その助手の村雨静は幽霊ではあったが御門涼子が作ったバイオロイドと呼ばれる生物学的・有機物的人造人間を用意し、それに憑依する事によって見た目が普通の女の子となっていた。
そんな彼女達は怪我している生徒やたまにくる人間の姿をした宇宙人を治療していき、いそいそと忙しいそうに村雨静は助手として協力していた。
治療が終わると疲れがたまったのか御門涼子はため息を吐き、紅茶を啜りながら休憩していた。
「あら?この紅茶おいしいわね?いったいどこの紅茶なのかしら?お静ちゃん」
村雨静をお静ちゃんと親しみを込めて呼び、その村雨静は笑みをこぼして答えた。
「えーっとですね、リコさんと街でたまたま会ってお勧めのお茶があるのかと聞いた私は、あるお店にあるという紅茶のパックを買う事にしたんです。確か、そのお店の名はーーー」
御門涼子は村雨静の話に耳を傾け、夕崎梨子の名に反応するようにピクリと反応するように眉が密かに動いた。
(リコちゃんか・・不思議ね?最近その名を聞くような気がするわ・・そうだわ!あのミスコンテスト騒ぎの!)
御門涼子は天条院紗姫主催ミスコンテストの話を聞いた記憶があった。
なぜ夕崎梨子がそんなミスコンテストに参加したのか分からないけど、策略によって優勝した事は知っていたのでおのずとその策略家の名が耳に届いたのだろう。
(うふふ、本当に頭がキレる子ね?相手の考えを予想してそれをリコちゃんは普通に上回った、て事だったかしら?それにしても本当に地球人なのかしらね?あのリコちゃん)
地球人である夕崎梨子に疑問を抱きながらも、夕崎梨子が宇宙人ではないと納得するようにかつ考える事を諦めて紅茶を啜っていた。
「うふふ、本当に気になっちゃうわね?リコちゃん」
「そうですね、あのリコさんは何者なのでしょうか?不思議ですよ!あんなに可愛くて優しいのに男の子みたいな口調で話しているのは勿体ないです!」
「それもそうね?だけど、私はそんなリコちゃんも可愛いと思うけど」
「そうですか?たまに難しい事を仰られる事がありますし・・ですけど、私と同じ目線で話してくれる感じがしますので友達になれたんだな、て思っています」
「そうなの、それじゃあ話してくれるかしら?あなた達が友達関係になれた話をね」
「はい!それはその紅茶のパックを買った後の事でしたーーー」
村雨静は自分の胸に両手を添え、目を閉じ夕崎梨子との交流を静かに語っていく。
時は戻り、とある日の休日、村雨静は困惑していた。
村雨静が死んでから400年程の月日が流れていて街が一様に変わった事に戸惑いを隠せないでいた。
行き交う謎の速く走れる箱(車)、奇妙な出で立ちの大勢の人々(洋服やスーツを着ている人)、奇妙な箱を耳に当てて何やら独り言を喋る人々(スマートフォンで電話している人)、奇妙な縦に細長くて高々と伸びる数々の謎の箱(マンション)、動く奇妙な絵(広告動画)を目の辺りにした。
(ひ、ひぇぇー!何ですかここ!?何ですかこの世界!400年も経ったらこうなるのー!?)
いつも廃校舎にいて街の様子が確認出来ないので驚きを隠せなかったのだ。まるで昔話に登場する浦島太郎のような気分に陥るのは当然なのだ。
(御門先生のお土産どうしよ~!)
これから御門涼子のもとでお世話するので何かを買おうと街には出かけたのはいいが、村雨静は途方に暮れてオロオロと不安な様子で困惑していたがそんな村雨静に救いの手が差しのばされた。
「おや?キミはお静ちゃんじゃないかい?なんでここに・・いや、なんでそんなハッキリと姿が見えるのかい?まるで人間だよ」
買い物袋を持った夕崎梨子だった。
その夕崎梨子の登場に驚きを隠せず、目をパチクリと動かしていた。
「あ!あの時の!確かリコさん!」
「ふふふ、覚えて貰ってなりよりだ。ところでお静ちゃんは幽霊だったような気がするんだが・・」
「はい!そうなんですけど、御門先生がなんとかしてくれました!」
「オイオイ、魂をいったいどのように治療したら人間が出来上がるんだい?少しばかり教えて貰いたいな」
「え、えっと、難しい事はよく分かりませんけど御門先生は人間を作れるんです。その人間の身体に憑依したらこうなっちゃったんです、じゃあダメかなぁ?」
「・・・・・」
村雨静の説明を聞き、夕崎梨子は顎に手を添えて真剣な表情で深く考え、自分の左の手の平を右の握り拳で軽くポンと叩き、閃いた様子を示した。
「ふむふむ、なるほどそういう事か。その姿はバイオロイドかもしくはそれに近い物としそれを器とさせ、村雨静という魂を注いだのか・・まぁ例に例えるなら風船の中に空気を膨らませそれを閉じたイメージが今のお静ちゃんに近いだろう」
「????よく分かりませんけど、多分そうです」
「ふふふ、正解してよかったよ。ボクは思考力と洞察力が自慢でね?いつも何事にも考え、説明する事が好きなんだよ」
「へぇ~?そうなんですかぁ?リコさんはお勉強が好きなんですか?」
「ああ、ボクは勉強熱心でね?いつも予習や復習を兼ねて勉強しているんだよ。だからそのおかげでそれらの力を手にいれる事が出来たのだろうね」
夕崎梨子の話は故人であった村雨静には所々分からない事があったけど、それでも優しい雰囲気で説明する彼女にどこか惹かれるような村雨静は嬉しかった。
(リコさんは珍しい話し方なんだけど、一つ一つの言葉の後に説明をしてくれる優しさが嬉しいなぁ)
夕崎梨子は無意識的に説明するような会話をしていた。彼女自身の性格から出てくる優しさはもともとのモノであり、それが素でそれら全部が夕崎梨子である事が証明されるのだろう。
先程の会話の例を見ると、村雨静の身体がバイオロイドだと考察された時、『へぇ、すごいね』などと驚いた声をあげてビックリするはずだった。
しかし、夕崎梨子は風船に例えて相手に分かるように確認していた事に優しさを感じた。
この夕崎梨子の推察からの確認へと移り変わる奇妙な癖が人々の心に留まるのだろうと気づいてしまった。
(やっぱりリコさんは優しい人なんですね)
夕崎梨子の優しさを感じ、彼女と一緒に彼女のおすすめの店や食べ物などを教えて貰いながら街を散歩していく村雨静であった。
そして現在、村雨静の夕崎梨子との出会い話を聞いた御門涼子は楽しそうな表情を浮かべ、紅茶を啜り終えカップを置いた。
「なるほどね、確かに私と会った時もそういう話し方だったわね」
「やっぱり癖なのでしょうか?あの説明する癖」
「そうみたいだわ、だってあの時も自分に自信が無いような口振りだったし、あの子は素直じゃない子供みたいな性格なのよ」
「へぇ~?そうなんですか?詳しく聞かせてください」
「いいわよ?ちょっと長くなるけどいいかしら?」
「もちろんいいです!よろしくお願いします!」
「そうね、あれはーーーーー」
御門涼子は村雨静を発見する前の廃校舎で起こった事を事細かに思い出しながら静かに語り、夕崎梨子について話していくと
(リコちゃんは随分とみんなに慕われるんじゃないの?本当に人懐っこい仔犬や仔猫みたいな人ね)
静かにそう思い、紅茶のお替わりを欲求し、紅茶を優雅に啜りながら御門涼子は威容な夕崎梨子を褒め称えつつ、いつまでもその会話は終わる事がなかったのであった。