何故オリジナル回が多いのかというと、ダークネス編を考える際筆が進まずなかなか書けないから、ちょっとだけ気分転換にと思った次第でございます。
つまりダークネス編を執筆ーーちょっと書けないな、なんかオリジナル回でも書きながらでも考えよう、それでそのオリジナル回がいつの間にか完成となりました。
西連寺春菜は気まずかった。
ララの婚約者であるという結城リトには隙がなく、いつもララと一緒にいる事で話しかけるタイミングを失い続けていた。
西連寺春菜は結城リトの事が好きであり、その理由としては至って簡単のような気がしてならない。
中学時の体育祭で結城リトらが所属する組が負けようとした時、リレーでしか勝利への道筋が見えなかったので結城リトはリレーのアンカーを承り、それまでリレーの順位がドベだったのにも関わらず一気にトップへとなり挙げ句の果てには結城リトのおかげで結城リトが所属していた組が勝利したのだ。
その努力した姿に一目惚れし、なんとか結城リトと仲良くなろうと試みるが、やはり楽しそうにララと一緒にいるので話しかけるのは諦めるしかなかったのだ。
そんなある日の朝、西連寺春菜は自分の席に座って視線を泳がせた。
(はぁ、猿山くんは普通に好き・・なんだと思うリコちゃんと話しているし・・)
西連寺春菜の視線の先には満面に笑みを浮かべて雑談を交わしている夕崎梨子と猿山ケンイチの姿があった。
西連寺春菜は猿山ケンイチの夕崎梨子への恋を感じていて、確信は無いのだけれどそれでもそうかもしれないと理屈では無い理由で感じていたのだ。
(リコちゃんは猿山くんの事は好きじゃないかもしれないけど・・でも、猿山くんを気に入っているのは間違いないのかな?)
西連寺春菜の読みは的中しており、彼らの関係はまさにそれであり、友人以上恋人未満な関係である事に間違いないのだ。
(って!人の恋が分かるのになんで私の恋は私が分からないのぉ~!?)
考察した西連寺春菜は顔を真っ赤にして顔を左右に振り回し、髪型が乱れていた。
「(もう、どうしたらいいの~?)はぁぁぁぁ・・」
大きなため息を吐いて落ち込む西連寺春菜の様子を心配するような表情を浮かべた古手川唯が現れた。
「西連寺さん、女の子がそんなため息を吐いたらいけません!みっともないわ!」
いつもならば夕崎一派だから好きではないと豪語した古手川唯の出現に驚きを隠せなかった。
以前ケーキバイキングの時は本当の偶然でたまたまケーキバイキングの割引チケットが手に入って、これまた偶然に古手川唯もたまには息抜きだと言い張って着いてきたので西連寺春菜はそれを了承しただけに過ぎなかった。
「え、えっと、古手川さん?私の事嫌いなんじゃあ?」
「いいえ、西連寺さんの事だけは好きって言ったでしょ?それにケーキバイキングの店に一緒に行ったじゃない?だから友人でしょ?ただ、そこに邪魔な人がいたけどねっ!気にしないけどねっ!」
古手川唯は最後の言葉の後満面に笑みで答えていたので、西連寺春菜は夕崎梨子の事を言っているのだろうと解釈し、苦笑いするしかなかった。
「ところで西連寺さんは悩みがあるのかしら?たまには私を頼ってもいいのよ?どっかの誰かさんと違って変に回りくどい事は言わないからね!」
「そ、そ、そんな事言ったらダメだよ!き、聞こえちゃう!もういい加減に仲直りして仲良しになってよぉ~っ」
「い~い?西連寺さん?私は許すとか許されないとか関係がないの。私達は敵同士で決して手を結ぶ事なんてないのよ」
「わ、わ、分かったらから!悩み言うから静かにして!」
西連寺春菜と古手川唯による口喧嘩のような会話は教室に響き、クラスメイトらは何事かと視線を向けていた。
彼女らが口喧嘩なんて珍しいなと興味津々な様子だったが、古手川唯の満面に笑みが向けられた視線を泳がせ、何事もないように雑談していくクラスメイトは彼女らの口喧嘩見なかった事にしたのたわ。
「・・・ふぅ、これじゃ私が西連寺さんをイジメているみたいじゃない?呆れちゃうわ」
「ご、ごめんね?な、なんか私のせいで」
「いいえ、私が悪いのよ。だってあの子を粛正するのは私なのにそれが出来ないの、ごめんなさい」
古手川唯は深々と頭を下げて許しを求め、西連寺春菜は慌てるように謝罪しながら古手川唯を励ました。
すると、古手川唯はまたニッコリと笑いかけ、西連寺春菜はそれを見てホッと安心した。
「それで西連寺さん、何か悩みがあるんじゃない?」
「へ!?そ、そ、そういえばそうだったね・・」
「やっぱりあるのね?」
「ぅぅっ!うぅ、そ、そ、それは・・」
西連寺春菜は言えなかった。
好きな結城リトとどうしても仲良くなりたいと強く思ってしまっていると言えなかった。
古手川唯ならともなく他の女子に相談する気も無いし、それに恥ずかしいからもっと言えない気持ちになるのだ。
顔を真っ赤にさせる西連寺春菜はオロオロとした様子で口もアワアワと何言っているか分からない様子を古手川唯は察した。
(なるほどね、好きな人がいるって訳ね?ハレンチだけど仕方ないわね?好きになってしまったなら)
未だにオロオロとする西連寺春菜に静かにため息を吐き、これ以上の話は出来ないから仕方ないからと悩みを聞く事は諦めた。
「わかったわ西連寺さん、もういいわ。それと本当に何か悩みがあったら絶対に私に、絶対に私に!言ってよね。フリじゃないわよ?私に!言ってよね」
「わ、分かったよっ、その時があればね?古手川さん」
「そう?待っているわよ?西連寺さんが私に!悩みを持ってくるのをね・・」
古手川唯は満足した表情を浮かべ教室から出てしまい姿を消し、古手川唯による尋問が終わった事により西連寺春菜は安堵した。
(うぅぅ~怖いなぁ~もぅ・・)
うっすらと目に涙をためながらも、西連寺春菜は彼女らの口喧嘩に終止符が打たれる事が無いのを確信し、心はどんよりとした曇り空のように暗くなっていった。
(あ、ようやく結城くんはララさんから解放されて・・リコちゃんと猿山くんの輪に入って行ってる)
西連寺春菜の視線の先に結城リト達が楽しそうに会話をしている姿を映し、その姿を羨ましそうに見つめていた。
(あっ、結城くんとリコちゃんが楽しそうに話していてる・・いいなぁ羨ましいなぁ。猿山くんは結城くんたちの話に相槌をうって楽しそうにしてる)
西連寺春菜からの視点で夕崎梨子が何を話しているか分からないけど、人差し指を立てながら何かを説明するように会話している様子が目に映った。
(リコちゃんは説明とか解説を言う癖があるのかな?いつも回りくどいなぁ、とは思ったけど・・ちょっとだけ近づこうかなぁ?)
西連寺春菜は結城リト達の輪の近くにコッソリとバレないように近づき、聞き耳を立てていたが、本当ならその輪に入りたいけど、そのタイミングがなかなかとれないので仕方なかったのである。
「ーーーで、ボクとしてはそれが正しいと言えるのだろう」
「さすがリコちゃん!分かりやすい解説どうもー!」
「ふふふ、褒めすぎだよサルくん。ボクは褒められると照れてしまうんだよ?恥ずかしいんでね」
「あはははっ、今照れてるのか?普段のリコにしか見えねぇよ!分かりづらいって!あはははっ」
会話の終了間際のようなオチまで雑談が終わってしまい、結城リト達は近くに居た西連寺春菜に気づいてしまったのだ。
「あ、あれ?さ、西連寺?どうかしたのか?」
結城リトが西連寺春菜に声をかけ、これからどんな行動をするべきかを必死に考えるも何も浮かんでこず、とっさに西連寺春菜は焦りながら必死に言葉を紡いだ。
「こ、こ、こん、こんにちわっ!今日も良い天気だよね!そんな日はピクニックが一番だね!」
今日は暗転の曇り空であった。
結城リトと猿山ケンイチは『は?』と怪訝そうな表情を浮かべ西連寺春菜を見ていた。
(あわわわわわっ!何言っているの~?私のバカ~!)
西連寺春菜の脳内はパニック状態となり目や脳内はグルングルンとどこかに彷徨うように混乱になっていた。
そんな西連寺春菜をあざ笑うかのように夕崎梨子は普段と同じ満面に笑みを浮かべ、その口からとんでもない言葉が言い放たれた。
「ふふふ、春菜ちゃんって変なんだね」
変、変、変と変の言葉が西連寺春菜の脳内にグルグルと駆け回りショックを受けたと同時に失礼な事も感じていた。
(うぅぅぅー!言っちゃなんだけど、リコちゃんも変なのにぃー!うわぁぁぁー!)
変な夕崎梨子に変と言われては致し方ない事であり、屈辱のどん底に堕ちるような気を感じてしまったのであった。
西連寺春菜は気が気ではいられなかったのだ
多分次もオリジナル回だと思います。
文化祭編やセリーヌ編、ナナ・モモ編はストックにありますが色々と手直ししないといけない所があるので少々お待ちを。