文化祭当日となり、校舎の中は様々な飾りで色鮮やかとなり生徒達は興奮気味となり賑やかになっていた。
前日まで看板や衣装作りにメニュー作りにと大忙しだったが、クラス一同の必死の努力により完成となったアニマル喫茶は大人気であり、全てのウエイトレスの露出度が高い衣装であり、しかもだいたいが犬科か猫科の動物かと思われる装いであった。
例えば豹のようなララは豹の耳飾りを頭に乗っけて、胸付近のみしか纏わない豹柄の布で肩や鎖骨は丸出しでありへそも丸出しであった。そしてスカートの丈は短すぎて股下ほとんどゼロ状態で太股も丸出しであった。一応スカートの中にも布を巻き付け、所謂見せパンと呼ばれる見られてもいいパンツを巻き付けていた。
ウエイトレスの全員のだいたいがそんな衣装を身に纏い、アニマル喫茶に入店する生徒達を接客していた。
無邪気なララや他女子生徒は楽しい楽しいと次々と接客していたのだが、夕崎梨子と西連寺春菜は顔を真っ赤にさせ裏方に隠れていた。
「ぅぅう、は、は、恥ずかしいっ!な、な、なんて格好なんだい!」とリスのような夕崎梨子
「わ!ウエイトレスが足りないみたい!は、早く行かないと!」と黒猫のような西連寺春菜
二人は目を瞑りながら、注文を待つ男子生徒の前に立ち、恥ずかしいなんとか目を開けると顔を真っ赤にして彼女達を見る。それもそのはず、美少女達が顔を真っ赤にして恥ずかしいコスプレしているのだから興奮するのだろう。
「ーーーふぅ、致し方ない」
緊張と恥ずかしさのあまり逆に無の感情へと変貌する夕崎梨子は無の表情となり、接客していた。
「ん?コーヒーセットだって?ああ、三つかい?そう、待っててくれ」
無となった夕崎梨子は淡々と注文をとり、彼らに注文の品を机に置き「それだけだったね?それじゃ」と愛想無く接客していた。普通ならばクビ当然の接客だったのだが、冷たくあしらわれるのが好きな男子生徒は夕崎梨子を指名し、それに応じた夕崎梨子は無となりながら接客していた。
それを見た西連寺春菜も頑張ろうと注文をとりにいくと、ジロジロと見られるのは恥ずかしかったが、慣れてくると楽しい気持ちになり、次々と晴れやかな表情で注文をとっていた。
彼女らの活躍を見た青猫に扮した古手川唯も満面の笑みを浮かべ、イヤらしい目で見てくる男子生徒らに注文をとっていくのであった。
(こんな格好ハレンチなんだけど、これもケジメだわ)
最初の時点からアニマル喫茶を認めず全然手を貸しておらず途中辺りからの参加となっていたのでその罪滅ぼしとしてせっせと働いていく。
そんなこんなでアニマル喫茶は大成功で終了し、教室で女子生徒はまだウエイトレス姿で打ち上げし万歳三唱をしてこれでめでたしめでたし、と終わろうとしていた時、女王蜂の格好をした天上院紗姫が教室へと飛び込むようにやって来た。
「ちょっと!ミスコンテストは!?どうなってんの!?いつ来るのよ!?待ってたのよ!?夕崎さん!」
文化祭はまだ終わってはいないらしい。
天上院紗姫は何者にも負けたくないので勝負を挑みたかったのだ。しかし、夕崎梨子は考えるように顎に手を添えてしばらく考えるポーズをとっていた。
「・・・・・おおっ」
またまた完全に忘れていた夕崎梨子は両手開きをパンッと叩き思い出した様子を見た天上院紗姫は憤怒していた。
「おおっ、じゃありませんわ!なんですの!おおっ、て!せめて思い出したー!ぐらいおっしゃってください!この口下手が!ですわ!」
「えぇ・・・素で出た言葉に難癖を言われてもねぇ?困った困った、ふふふ」
「またあなたはもー!これから体育館でその格好のまま来るといいですわ!あとミスコンに参加したい方はご自由にですわ!おーほっほっほ」
天上院紗姫は高らかに笑いながら教室から出て行ったので、これからどうした事かと夕崎梨子は考えていた。
(まさかこの恥ずかしい格好のまま学校の中をウロウロと徘徊しないといけないのかい?参ったな)
夕崎梨子は自分の姿を改めて確認する。
頭にはリス耳の頭飾りでララと同様肩や鎖骨それにお腹も丸出しであり胸付近には茶色の布で覆い隠せてているが、胸の谷間が水着のように強調され、スカートは股下ほぼゼロであるが見せパンとして茶色の布を履いている。
(・・・はっ!また無になってしまった!全然慣れないなこの格好は!)
再び無となるが頭をふるふると振るわせ覚醒し、自分の顔を両手で軽く叩き意識を保ち続けていた。
とにかく、早く体育館に行かなくてはならないので早歩きで急ぎ、その道中男子生徒達にジロジロと見られ、恥ずかしいのか顔を真っ赤にして、ようやくたどり着くと女王蜂の天上院紗姫が待っていた。
「ようこそミスコンテストへ、ですわ」
体育館にギャラリーとして生徒が集まっていて、ミスコンテストが始まるのを待ち遠しいのかソワソワとザワザワと騒がしかった。
「・・・って、ミスコン参加者は他に居ないのですの!?二人だけではつまらないでしょう!?」
前回のミスコンテストで天上院紗姫に買った報酬として夕崎梨子以外女子生徒の参加を貰っていたのだが、その女子生徒らは文化祭を思いきり楽しみすぎたので非常に疲れたと訴えるがララだけは元気いっぱいに参加の意を示した。
「そうですの?また同じ面子でやるのは・・・いえ、今度こそ初めて!本物の!頭脳戦じゃない!ミスコンテストがようやく!開催されますわ!おーほっほっほ!」
前回のミスコンテストを根に持っていたのかそのミスコンテストを無かった事にしたいらしい。天上院紗姫はようやく美を競い合う事を嬉しく思い、楽しそうに高らかに笑っていた。
(紗姫ちゃんのあの、おーほっほっほ、と笑うのは無理があるような笑い方だね。普通に笑えば良いのに。あと今更だけど、なんで蜂の格好なんだ?)
夕崎梨子は天上院紗姫の戦う意思を感じ取れず、彼女の性格を観察し、長々と思考を続けていた。
「早くやろうよ!紗姫ー!」とララの催促に、天上院紗姫は「気安く呼ばないで!ですわ!」と叱りつつ、正真正銘のミスコンテストが開催された。
「ではルールを紹介しますわ!たった一個のシンプルなルールですわ!」
天上院紗姫は高らかに優雅にミスコンテストの簡単なルールを告げ、そんな彼女提案のルールとは、男子生徒による一人一票の投票者の名前記入投票であり、コピーや投票の奪取及び破壊は禁止とされた。
「そして、投票数が一番多かった人がクイーンとなりますの!以上・・・でいいのですかしら?夕崎さんにまた頭で勝たれそうな気がいたしますわ・・・どうしましよう?不安ですわ」
以前のミスコンテストのトラウマなのか頭脳戦を思い出して身体をフルフルと震わせたが考えても仕方ないとミスコンテストを始める事にした。
まず、天上院紗姫からのアピールで口で自分を優雅で可憐で端麗で麗しく華やかで美の結晶だと言い放つが、蜂の格好していたからなのか男子生徒はイマイチな反応を見せ、小さく拍手を始めた。
次にララのアピールは天真爛漫の様子で無邪気な笑顔を浮かべその場でクルクルと身体を回転させながらその豹に扮した露出度が高い衣装は男子生徒は大喜びで発狂したのだ。
最後に夕崎梨子は大勢の生徒の前で恥ずかしいリスに扮した格好で出るのが恥ずかしいのか顔を真っ赤にして俯くが、すぐにその顔は晴れやかな笑みへと変化し、いつもの夕崎梨子の表情となっていた。
「やぁ、ボクは夕崎梨子だ。気軽にリコちゃんとでも呼んでくれ」
いつものセリフで誰にでも親しくしようと、誰にでも懐く仔犬や仔猫みたいな人懐っこいその性格は生徒に親しまれてくれて、彼女は常に微笑みを浮かべてくる
「ボクは口下手で素直じゃなくて可愛げがないと思うけど、それでも仲良くして欲しいな」
夕崎梨子のアピールは生徒達の心に響き、ララ同様大きな声をあげて大きく拍手をする生徒達に彼女は深くお辞儀し、ミスコンテストのアピール審査が行われた。
男子生徒は投票紙に自分とアピールが良いと思った彼女に投票し、その投票結果は天上院紗姫の助手と思われる藤崎綾と九条凜らに託され、その投票結果を待ち遠しく天上院紗姫達は祈るように手を組んでいた。
その投票結果は、ララが一位で夕崎梨子が二位、天上院紗姫が最下位となり、ララは満面に笑みを浮かべ「やったー!勝ったー!」とピョンピョンと飛び跳ね喜んでいた。その大きな胸もピョンピョンと揺れて興奮する男子生徒は目に焼きつけたのは秘密だそうだ。
続けて夕崎梨子は「ま、それもそうか」とその結果に納得して、肩を竦める動作をして微笑んだ。彼女は自分の顔や身体に自信はないのだろうか?その綺麗に整った顔とララには及ばないがスタイルもいいのにそれを武器としないのだ。
最後に天上院紗姫は「普通に負けましたわー!」と泣きじゃくり悔しさを感じていた。それもそうだろう、前回のミスコンテストは頭脳戦や心理戦のようなものであり、美とは全くの無関係だったのに、今回は美そのものを審査していてその結果がこのザマであった。
そんな彼女の敗因はおそらく蜂の格好していて気持ち悪い蜂柄の露出度の低い服を着ていてほとんど肌を露出させていなく、見た目は蜂だと人目で分かるような装いをしていたからに違いないだろう。
一方、ララや夕崎梨子は露出度高い衣装であり、可愛いし何よりも性格がいいと思わせるアピールであった。ララは結城リトが好きな事や文化祭はとても楽しいものだなどと元気いっぱいな様子で語っていて自分よりも相手達に語っていた事が一位となる秘訣なのだろう。
夕崎梨子は自分を少し蔑んだ事によって票数は獲得出来なかったけど、満面に笑みで仲良くしようと言ってくれるその優しい心に胸を打たれた。特に猿山ケンイチはメロメロとなり目がハートになる勢いで彼女にときめいていた。
(やっぱ、可愛いなぁー!リコちゃん!)
猿山ケンイチはそう思いたいからこそアニマル喫茶を主催し、彼女の可愛い所を見たいが為にやったと言っても過言ではないのだ。
そんなこんなでミスコンテストは終了し、文化祭はようやく幕を閉じていくのであった。