ToLOVEる~変わりゆく運命と恋~   作:叶夢望

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とらぶるくえすと前編です。もちろんオリジナル展開です。


第二十七話

夕崎梨子は困惑していた。

学校へと向かい靴を脱ぎ捨て、その靴を自分の下駄箱に入れようと下駄箱の扉を開けたらラブレターらしき手紙が入っていたのを確認した。もちろんラブレターを貰うのは今回が初めてであり、その手紙をどうしたほうが良いのかを立ちすくんで考えていた。

しかし、想いを綴ったラブレターだったとしてもそれを読まない訳にもいかず、その手紙を開いた。

その刹那、目映い光が彼女を包み、夕崎梨子はその場から消えてしまった。

 

どすん、と床にお尻から着地した夕崎梨子は周りを見渡し、見慣れない建物の中にいるという事を理解出来た。まさかヤミとの契約者である自分が何者かによってこの妙な建物に連れ出されたのではないのか?と思案していると、西連寺春菜と結城美柑がその場にいた。

彼女達も謎の手紙を読んだと思ったらこの世界に居たというのだが、夕崎梨子は疑問を抱いた。

なぜ依頼主の自分はともかく他の人物を捕獲する理由があるのか?とその問いを考えても仕方ないので、建物を散策すると奇妙な看板が立ててあった。

 

「・・・転職屋?なんだい?なんの事なのかい?」

 

木造建ての奇妙な看板の文字に頭を悩ませるが、やはり理解出来ないと建物を散策すると、どこからともなく結城リトが天井から降って彼もお尻から床に着地した。

 

「いってー!若干ケツ割れたー!」とボケる結城リト

「もともとでしょ!」とツッコミを入れる結城美柑

「結城くん!?」と驚いた表情の西連寺春菜

 

二人は結城リトを心配し、彼の話を聞くとこれまた謎の手紙を開き、なぜかここに来たという訳だ。そして、またしばらくすると古手川唯も天井から降ってきて、夕崎梨子の顔に胸から着地し、二人は絡み合うように床に伏していた。

まるで、正面から抱き合い合わせ仲睦まじい関係を想像させる彼女達の百合百合しい雰囲気であり誰もが顔を真っ赤に染め上げ興奮した。

 

「ちょ、は、離れなさいよ!もう!」

「ど、同感だ!離れよう!」

 

二人は顔を真っ赤にして恥ずかしそうにそっぽを向いて素直にならない彼女達を温かい目で見守っているみんなだが、今は緊急事態でありそれどころではないのだ。

結城リトや古手川唯も同様に謎の手紙によってここに来たと言う事を聞いて、夕崎梨子は顎に手を添えて考える素振りをしたのを西連寺春菜は何か心当たりがあるのか聞いてみた。

 

「ふむ、どうやらその謎の手紙が原因なのはハッキリしてるんだよ。そしてその謎の手紙の主はどうやらボク達に用事があるみたいだね」

 

夕崎梨子の視線の先には転職屋と書かれた看板と手紙主が用がある人物が揃ったのか急に現れた同じ顔をしたバニーガールがたくさん現れた。

そのバニーガール達は彼女達を転職しないかと誘うのだが、転職しないという選択肢は無いようで、あれよあれよと転職続きが成された。

西連寺春菜は勇者で結城美柑は魔道士、古手川唯は格闘家として転職していった。

 

「え!ちょ、ゆ、勇者で何!?何なの!?」と西連寺春菜は中世騎士のような真っ白の鎧を着て片手に剣と片手に盾を持ち、黒いマントを翻しながら驚いている。

 

「魔道士かぁ、いいね!魔法少女みたいに!」と弾ける笑顔ではしゃぐ結城美柑は黒くて鍔の広い尖りの帽子をつけて全身黒色のフリルのついた可愛いドレスを身に纏い先端がグルグルと円を描いたような杖を持っていた。

 

「な、なんてハレンチな!」と恥ずかしい様子の古手川唯は茶色のチャイナドレスでスリットが大きく広がり太股が大きく露出されていて、手にはかぎ爪が装着されていた。

 

しかし、三人の職業は戦闘的にマシであった。何故ならば結城リトはなんてこともない私服姿に白いエプロン姿花屋であり、攻撃方が見当たらないのだ。そして、夕崎梨子の職業は漫画家であり趣味として漫画を読むのは多々あるが漫画を書いた事もない素人なのだ。その彼女の格好も地味で、白いTシャツに黒い半ズボンであり手にはペンを握りしめられていた。

 

そんな弱々しそうな二人に西連寺春菜や結城美柑は素直に力を貸すと助けてくれる様子だったのに対し、ツンツンした古手川唯は頬を赤らめて仕方ないから助けてやると素直じゃない様子で手を貸す事を決意した。

 

転職が終わるとバニーガールの一人がこれからやる概要を事細かに説明し、彼女の説明を簡単にまとめると魔王から連れ去られたララ姫を救い出せという筋書きだそうだ。

 

「ふむ、なるほどね?ララちゃんを取り戻せという設定だからこれはゲームだと、単なる遊びだとそう言っているのかい?・・・ふざけるなよ」

 

夕崎梨子の言葉にバニーガールは頷き、肯定の意を現した瞬間、彼女の雰囲気が一気にどす黒いものとなっていた。その顔は初めて表に出して見せる怒りであり、その顔の眉間は深く刻まれ、目はギラギラと光らせ、口はギリギリと歯ぎしりする勢いであった。

 

「なめるなよ、お前ら」

 

その声は夕崎梨子から聞こえた。間違いなく夕崎梨子であり、その場に居た全員は驚きを隠せていなかった。激怒した夕崎梨子はさらに続ける。

 

「遊びとしてくるんなら魔王に言っておくといいよ。お前だけは絶対に許さない、と。こちらは本気でいく覚悟をしておく、とね。ボク達はララちゃん事が大好きで友人なのだから」

 

その脅迫に戦慄するバニーガールをよそに、激怒した夕崎梨子は普段の夕崎梨子へとかわり満面の笑みをこぼしていた。結城美柑は恐る恐る夕崎梨子に近寄り大丈夫かと聞かれると普段通りになったからだと安心させていた。古手川唯や西連寺春菜それに結城リトも心配そうな顔をして今の普段の夕崎梨子を見て内心ホッとしていた。

 

「リコねぇ!す、すごかったよ今のアレ!」と結城美柑は大はしゃぎで興奮していた。

「ん?いいや、さすがにプッツンとキレたからね、激怒したんだよ」と普段通りに解説する夕崎梨子。

「リコ、お前キレると本当に怖いな・・・」と未だに恐怖の表情をする結城リト。

「そ、そうだよね!ララさんが誘拐されたのをゲームだなんてヒドイよね!」と西連寺春菜は夕崎梨子にフォローする。

「風紀委員としても許しがたいわ!」と凛々しい古手川唯。

 

そんな彼らは歩を進め、水分が固形になっている奇妙な生き物が出た。おそらくこれはRPGのゲームに序盤で特に出るスライムというモンスターなのだろう。

そのモンスターを西連寺春菜と結城美柑と古手川唯の三人がかりでボコボコにした。そんな彼女達は戦力になり武力でもあったので結城リトは彼女達の補佐として影ながら花屋として助力していた。

 

「花屋奥義!スコップの裏でぺーちぺち!」

 

結城リトはスコップでモンスターを攻撃するが全く効果なしで次なる攻撃は肥料によるモンスターへの目潰しを試みるも目が存在しないモンスターが居るので効果なしだった。そもそもスコップ自体に攻撃力は無いのだが。

一方、漫画家の夕崎梨子はモンスターをペンで突いたり、インクや原稿用紙であらゆる攻撃を試みるも当然効果なしであったので、彼女は顎に手を添えて考える素振りをした。

 

「・・・少しだけ試してやるかな?」

 

夕崎梨子は結城美柑達が倒したモンスターに『二つに分裂する』と書き込みモンスターは本当に二つにそのままの姿で分裂した。それを見た結城リトや他のみんなもすごいと賞賛の声が上がった。

 

「なるほど、ね。ボクは特殊能力系なのか。ひょっとしたらリトも特殊能力系だと思うけど」

「ま、マジで!?い、いや、それよりその能力でララを呼び込めないのか!?」

「うん、やってみるとするよ」

 

夕崎梨子は地面にララがここにやってくると書き込み、期待の眼差しで待つ事数分、ララはやって来ないので、夕崎梨子は顎に手を添えて考え始めた。

 

「・・・なるほど。多分、生物のみにしか書き込めないようだね?それかララちゃんが本当はここにはいないかもしれないけど」

「ええ!?そ、そうかもしれないの?リコちゃん!」

 

西連寺春菜の言葉にコクリと頷き、仮の説明を続ける。本当に生物のみにしか書き込めない能力だとしたらそれで済むはずだけが、ララはこの世界ではないどこかの世界にいるかもしれないという事。 

もしも、全ての事柄において能力が発動されるのであれば、ララはすでにどこかの世界に隠され、自分達をこの謎の世界へと閉じ込めておき、それを放っておきながらそのどこかの世界へと行っている可能性もなくはない。

 

しかし今はこの世界の魔王もしくはララ誘拐の黒幕を捕まえララを救い出すのが先決であり、夕崎梨子は三度顎に手を添えて考える素振りを見せ、黒い笑みを浮かばせ、結城リトと結城美柑は同時に身震いさせ、彼女の黒い笑みの意味を知っている彼らは勝てると確信した。あの夕崎梨子が黒い笑みを見たら最後、相手は完膚なきまでに敗北する運命なのだ。

 

「今、いい策が思いついたーー」と言いかけた夕崎梨子に興奮するように結城リトと結城美柑はうんうんと近寄ってくるので、夕崎梨子はたじろぎつつ、コホンと小さく咳払いしながら、彼らにある書き込みをいれた。

 

経験値取得一万倍とステータス上昇一万倍それに基本能力倍々増にパーティ協力ボーナス効果倍々増などなどのパッシブ効果を書き込んだ。

結城リトにはエプロンに、結城美柑には背中に書き込んで文字はすぅ、と消えていって二人の頭にハテナマークが浮かんでいた。要するに何やってんだ?と言いたげな様子だった。

 

「ふふふ、ボクは言ったよね?“生物”には能力が発動するってね」

 

夕崎梨子の言葉に全員は「あー!」と感嘆な声をあげた。彼女の言う通り冒険者も“生物”なのだから能力が発動しない訳がないのだ。ただ弱点はあり、動き回る生物相手にしっかりと書き込まないといけないのでその間は無防備だ。

 

「という事は無敵になる!とか書き込んだらいいんじゃないのかな?」

 

西連寺春菜は夕崎梨子にそう提案すると、彼女は首を左右に振っていた。彼女が言うには能力発動に制限があり、強みである言葉を書き込めるが、設定をまるごと書き換えれないというのだ。

 

「つまりはね、例えばスライムが居たとしよう。それを石ころにすると書き込むとそれは変わらないんだよ。そしてボク達は人間という設定であって無敵になるとかそれは人間じゃないんだよ。設定を書き加える、といったところかな?ボクの能力は」

「えーと、つまり設定を全部変えるような事を書き込めてもそうならない、て事か?リコ」

 

結城リトの言う通りで、すでにある設定を一から変える事が出来ず、プラスαとして書く加えるという能力発動しないが、それでもチートのようなずるい力である事には間違いないのだ。

 

「夕崎さんみたいにずる賢い人にはピッタリね」

 

古手川唯の誉め言葉に夕崎梨子は嬉し恥ずかしそうに、顔を赤らめていて、西連寺春菜は誉め言葉じゃないよとツッコミを軽くいれつつ、モンスターを倒し続けていた。

しばらく倒し続けると序盤のはじまりの草原と銘打たれるであろう見渡す限りの草原であり、そのはじまりの草原(仮)でモンスター狩りをすると、夕崎梨子の漫画家の特殊能力のおかげで彼らのレベルはカンストとなって、全員驚きを隠せなかった。

 

そんなはじまりの草原(仮)でボスらしき石で出来ていたニメートル超えの数体のゴーレムと数千体のモンスターが彼らの前に立ちはだかった。「美柑ちゃん!とんで!」と催促する夕崎梨子の声に結城美柑は「分かった!」と言ってその場で跳躍すると、魔道士の魔法を使わず上空30メートルは飛躍して、呪文を唱え杖から魔法を発動させた。

 

「ファイアーボルト!」と直径一キロは超える巨大な数々の雷に包まれた火球がゴーレムをいや、はじまりの草原(仮)の約数十キロ範囲を消滅させる程の威力をもっていた。

 

「正拳突き!」と古手川唯のただの正拳突きは空をきった、と思ったらその拳の風圧で周りに居た数千体のモンスターを吹き飛ばした。

 

「やぁぁ!勇者切り!」と西連寺春菜は一閃空を切った、と思ったら地面までもが大きく割れて、その空いた地面の大きな穴に全てのモンスターが入っていった。

 

「トドメよ!美柑ちゃん!」と古手川唯と西連寺春菜は同時に言い放ち、呪文を唱えて体長20メートルを誇る白い猫を召喚した。すると夕崎梨子はその巨大猫の腕に素早く地上から飛び乗り「猫パンチに大爆発の効果を付加する!」とペンで書き込んだ。その召喚獣は全てのモンスターが入っている割れた地面の中に向かって猫パンチを連打連打連打の攻撃で大爆発した結果は、はじまりの草原(仮)の消滅となった。

 

「みんなやりすぎだろー!」

 

みんなは大爆発をまともにくらうも何ともないが少し焦げて結城リトのツッコミは空へこだましていくのである。

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