学校が終わり、結城リトは我が家へと帰っていた。
結城美柑が作ってくれた夕食を夕崎梨子と三人で食べ、夕崎梨子が帰ると言うので見送り、風呂へと向かっていった。
脱衣所で全ての服を脱ぎ、程良い温かさの湯を被り身体や頭を洗い湯船へとゆっくりと浸かる。
「ふぅぅ~」
オヤジくさく自然に声が出てしまうが、これはどうしようもない。
今日は猿山ケンイチの話を聞いて張り切って体育の授業で精一杯身体を動かしたからなのだ。
今まで通りでは意中の西連寺春菜は振り向かないからとせめてもの授業は頑張る事にしたが、いきなりそうはいかないので身体中がガタガタだ。
「う~ん・・やっぱ、少しずつ仲良くなるしかないのかなぁ?」
ポツリと独り言を言うのだが、誰も答えてくれない。だけど、その誰かが答えを言ったとしてもその通りにする義理もない。
「やっぱり俺が、この手でなんとかするんだ。猿山や他の誰かに頼らず自分自身で」
猿山ケンイチだって意中の相手によく雑談するような仲になれたのだから自分だってやれない事もないのだろう。
「その為には、いったん落ち着いて行動しよう」
結城リトは湯船にゆったりと身体を預け、目を閉じて全身の力を抜いていく。
結城リトは何も考えなくなり、これほどもないリラックスとなっていた。
すると、湯船からブクブクとたくさんの泡が吹き上がった。
だが、それを気づけない結城リト。
それでもなお、湯船からとんでもない泡がブクブクと吹き上がったので結城リトは何事かと驚愕した。
「な、なんだ!?ウチにジャクジーとかないぞ!」
すると泡から全裸の美少女が「脱出成功-!」と言いつつ現れたのだ。
彼女はロングヘアーで、髪の色はピンク色で瞳の色は緑色。巨乳でクビレもキュッとしまっており、身長165cm程あるのだろうか?そんな人物があり得ない所から出現したのだ。
「だ、だ、誰か知らないけどとりあえず出ていけー!」
「へ?うん、分かった」
純粋な彼女は彼の言葉を聞き素直に行動し、脱衣所へと向かっていった。
今のは一体なんだったのだろうと考えるのだが、裸をバッチリと見てしまったおかげなのか彼女の裸をすぐに思い出してしまう。
(ゆ、夢だ!幻覚だ!俺が女の子に免疫がないからあんな幻みたいなのを見るんだ!)
結城リトはあり得ない現象を幻と思い込みつつ、風呂から出て、身体をバスタオルで拭きつつ、寝間着に着替え自分の部屋へと向かっていったーーのだが
「なっ!!?」
先程の美少女がバスタオルのみを身に纏ってベッドに腰をかけていたのだ。
その姿は色っぽい・・そのまだ乾かない綺麗なピンク色のロングヘアー、バスタオルで隠れてはいるが、どうも胸のサイズが大きいからか谷間が丸見えで、剥きだしの太ももにどうやってでも目が離せないでいた。
「ふ、ふ、服を着ろよっ!」
「だってペケがいないし・・」
「ペケって誰だよ!って、そんな事よりも適当に服やるから着ろ!」
いつまでも埒があかないのでクローゼットを開けて適当な服を見つけようとしたその時、妙な白い機械がそこに座っていた。
「・・なんだコレ?」
見たこともない機械のようで人形でもありそうな白い機械だった。
『あなたはどちら様で?』
「しゃ、喋った!?」
その喋る機械はどうやら意思疎通が出来るようでいきなり喋ってきた。
最近はカタコトだが喋る機械や機能をもった携帯アプリが存在するのだが、それを上回る機械に驚きを隠せないでいた。
その喋る機械は宙を舞って、美少女に近づき、白い機械が消えたと思ったら美少女はいつの間にか服を着ていた。
「な、な、なんだ!?アイツはどこにいったんだ!?」
一つの物質があっさりと消える事なんて到底理解出来ない。結城リトはパニック状態になり、美少女に警戒していた。
「キミはいったい誰なんだ?」
「私?私、ララ。ララ・サタリン・デビルークだよ」
「ララ?」
「そう、デビルーク星ていう惑星から来たんだけど」
「し、知らないよ、そんな惑星・・っていうか宇宙人?」
「そうだよ。証拠見せようか?ほら」
美少女のお尻付近からニョロッと悪魔のような黒く細い棒がスラリと伸び、先端にはハートのような形をした尻尾が生えていた。
結城リトはそれを見てギョッと驚き、さらにララと名乗る人物に更なる警戒を強めていく。
確かに宇宙人っぽいが、それでもなかなか理解出来ないし、なぜその自称宇宙人が自分の前に現れるのだろうか?
その宇宙人は警戒する結城リトの顔をまじまじと観察するかのように見て、首を傾げて言い放つ。
「ん~?あれ?キミ、私とどっかで会わなかったっけ?」
しかし、結城リトには全く記憶にない。
こんな自称宇宙人を見たら忘れない自信がある・・が、しかし、これで二度目だ。
一度目は夕崎梨子、二度目は自称宇宙人ララ・・なぜ自分が知らない人物が次々と現れるのだろうか?学力があっても理解する事が出来ない。
もしかして、もしかしてすると自分には記憶がないがララには出会った記憶があるのだろうか?その可能性は低くない。
「なら結城リトっていう名に記憶ないか?」
「・・結城リト?ん~・・何処かで聞いたような~・・聞いたこともないような~」
ララにはほんの少ししか記憶がない様子だが、結城リトの名を知っているかもしれないとほのめかした。
彼女も彼と同じ症状なのだろうか?しかし、妙だ。
知っているかもしれないが知らない訳でないその記憶に齟齬が発生しているようだ。
「でもね、私はね?家出する時になぜか急にこの地球という所に行きたいって、そこにいるある人に会いたいってすごく思っていたの」
「い、家出してきたのか!?」
「うん!それでね、話を続けると私は地球に行った事もないし、地球を最近まで知らなかったの。ある日にふっと地球っていう所が思い出すように頭を過ぎったの」
「思い出す?地球を知らなかったのに?」
「そう、不思議なんだよね~それに、リトとこうして話しているとなんだか落ち着くっていうか懐かしい気持ちになるの」
「懐かしい?俺もキミ・・ララと話すのは初めてのはずだ」
「あはは。リトも初めてのはずって事は私と会った事かがあるのかな?」
結城リトとララとの奇妙な出会いが更なる未来への道へと導かれる。彼と彼女ととの奇妙な運命は逃れる事が出来るのだろうか?
しばらくララと話すと宇宙の歴史や家出の理由、彼女の家族構成などを聞く事ができ、これからどうするかと思案していくと結城リトの部屋の窓から鎧を身に纏った騎士と二人のサングラスをかけた屈強な黒服のおじさんが現れ、騎士はララの前へ歩き怒ったような表情を浮かべた。
「ララ様!ダメです!家出なんて!」
「ちゃんとパパに言ったもん!家出するよって!」
「普通に報告したらダメだろララ・・」
父親に家出宣言とはなんとも純粋で素直な娘なのだろうか?しかし、たかだか勉強ばかりで嫌だからと家出するララもララなのだろう。
「ララ・サタリン・デビルークの名に命ずるよ!お願いだから私の言う事を聞いて!信頼して!」
「し、しかし!」
「ザスティン!お願い!お願い・・だから今回だけ・・ぐすっぐすっ。な、なんで涙が?」
ララはその目から大量の涙が溢れだしてきた。
ララ自身その行為に驚きを隠せないでいた。
(な、なんで?こんなにもこの地球から・・リトから絶対に離れたくないの?なんで?こんな気持ち初めて・・)
寂しい、悲しい、不安の気持ちがララの心中に渦巻いていた。
ただ地球に居たいからって、ただ結城リトから離れたくないからって、なぜこんなに・・なぜこんなに・・
(どうしてもリトと暮らしたいって思うようになったんだろう・・不思議)
出会ってまだ一日も経っていないのにこんなに結城リトを信頼したいのだろうか?こんなに自分を信頼して欲しいのだろうか?不思議で不思議で困惑してしまった。
そんな彼女の気持ちを読み取りザスティンらは膝を落とし、跪いた。
「・・分かりました。ただしーーただ一つだけ条件がありますララ様」
「な、なに?」
「もし、その地球人をはじめその他の地球人どもからララ様のお命及びそれに準ずる危険、それらが発生しようとした時、または発生した場合何が何でもララ様を連れて帰ります。それをお許し頂ければ私達は今すぐ帰ります」
ザスティンの言葉に自らの耳を疑うララ。
いつものワガママーーあれは嫌だこれも嫌だとさんざんザスティンを困らせ、頭ごなしにダメダメだと言ってきたあのザスティンが唯一許してくれたワガママだった。
「ーーありがとう」
その彼女の涙ながらでも最高の向日葵のようで美しく太陽のような眩しいくらいの笑顔が浮かんでいた。
「ーーありがとうザスティン」
この次あたりから大きく原作とかけ離れる展開や話の流れが変わる事を報告します