結城リトとララ達の何気ない一時です。
結城家の日常は他の一家との日常とは大きくかけ離れていた。まず、デビルーク星から来たという宇宙人でその宇宙人の名はララ・サタリン・デビルークであり、結城リトとの婚約を果たすべく抱きついて愛情を示していた。今日も彼女は彼を抱きしめていた。
その彼は女の子に免疫が無く結城リトは顔を真っ赤にして恥ずかしがっていた。
ララの双子の妹であるナナ・アスタ・テビルークとモモ・ベリア・デビルークは彼らの行動を見て、姉はあの地球人を良くベタ惚れだなとどこか諦めていた。その三姉妹は結城家の天井裏に空間歪曲システムを作りだして部屋を作って結城家に居候していた。
不思議な植物から誕生したセリーヌという頭に花を咲かせた見た目二~三歳児の幼女も結城家の一員となり、結城家は賑やかにならない日は存在しなかった。
「だー!?は、裸になるなよー!」
「えー!?いいでしょー!?それくらい!」
裸になって結城家をウロウロしている羞恥心の無いララは結城リトによって説教されるも全くの反省を示していなかったのだ。
一方、結城家で唯一真面目で常識人であろう結城美柑は台所に立ち、遊びに来ていた姉と慕う夕崎梨子と共に料理を作っていた。彼女達の両親は共働きであり夕崎梨子は一人娘でいつも家で一人なので結城美柑は心配だと言ってくるので夕崎梨子はそれに甘んじてお世話になっていた。それの報酬として夕崎梨子は結城家の料理や洗濯に掃除もよくやっていつしかそれが趣味となっていた。
「リコねぇも料理出来るようになったね」
小学五年生の結城美柑からの褒め言葉に照れくさそうに高校一年生の夕崎梨子は身体をくねらせて顔を赤くして嬉しそうな顔をした。
「ふふふ、美柑ちゃんもしっかりしているし、いいお嫁さんになれるけど、変な男が夫になるならばお姉さんとして反対するからね?覚悟しておくといいよ」
「お、お、お嫁さん!?わ、わ、私が!?」
夕崎梨子のお嫁さん発言に顔を真っ赤にして恥ずかしがり盛大に照れていた。しっかりしてても小学五年生の女の子なので刺激が強すぎるのであるのだろう。
「ふふふ、ま、気長に待つといいよ?まだまだ子供なのだから、ね?美柑ちゃん」
「ぅぅぅ~、リコねぇだって心は子供みたいなのにぃ~」
そんな他愛の無い話を交わしつつ彼らは彼女達の手料理を食し、美味しい美味しいと感想を述べながら彼らは存分に腹を満たしていた。
そんなこんなで登校となり、ララは結城リトの腕を腕組みながら満面に笑みを浮かべ登校し、結城リトは顔を真っ赤にするも拘束は解かれる事もなく途方に暮れていたのを夕崎梨子は微笑みながら温かい目で見守って歩いていた。
しばらく歩くと猿山ケンイチが登場し、挨拶を交わすと早速と意中の夕崎梨子の隣に並んで他愛の無い話を交わしていた。四人の奇妙な関係は優しくて気持ちが良い雰囲気であり、誰にも砕けるモノではなかった。その彼らの様子を後から駆けつけるように走る西連寺春菜はその輪に入っていた。
「おはよう、みんな」
西連寺春菜の挨拶に全員挨拶を交わし、雑談を交わしていく。結城リトの周りには不思議に人が集まっていく、彼の人徳なのだろうか?それは分からないがそれは悪い事ではないのだろう。
五人は学校へと到着し、クラスメイトと全員に挨拶を交わしていく。もちろんクラスお馴染みとなった夕崎梨子と古手川唯による口喧嘩も交わされた。
「籾岡さんのこのファッション雑誌は学校に必要の無い物なのよ?夕崎さん。なのに、学業に必要のある物だと言うのね?」
籾岡理沙が所持したファッション雑誌を古手川唯により没収とし、風紀委員としてそれを処罰しなければなかったのだ。それを夕崎梨子の声によって口喧嘩が始まっていたのだ。
「ふふふ、本当にお堅いね?唯ちゃん。それに唯ちゃんほど学業が好きなのに、その穴に気づかないだなんて」
「穴?穴ですって・・・何なの?その穴は」
彼女達の口喧嘩にクラスは息を呑む。もちろん、籾岡理沙も自分を護ってくれという眼差しも強かった。
「この学校に家庭科があるから、理沙ちゃんはこのファッション雑誌で服のデザインや服の構想を考え、繕うとしているからこそ、必要となるんだよ」
夕崎梨子の言葉に思わずクラス一同は拍手喝采を送っていて、籾岡理沙は嬉しさのあまり夕崎梨子の身体に抱きついてどさくさに胸や尻を触り喜んでいた。一方、古手川唯はぐぬぬといった様子で悔しがってそっぽを向き踵を返した。
「ふふふ、また勝てなかったよ。ボクはなんて口下手なんだ。あの時は女の子だから仕方無いと言えば良かったのに」
夕崎梨子は口下手だった。口下手だからこそ人を傷つけてしまうし、素直じゃないので誤解されてしまう。だけど、そんな彼女を心配した西連寺春菜は近寄り微笑みかけていた。
「大丈夫だよ?リコちゃん。古手川さんには可哀想だけど籾岡さんを助けたのを私はちゃんと見てた。だからリコちゃんは優しい子なんだよ?私が保証する」
西連寺春菜の言葉に夕崎梨子は満面に笑みを浮かべて、彼女の頭を撫でて「ありがとう」の感謝の言葉で伝えられた彼女は頬に朱を染めて照れていた。
「もう、子供扱いしないでよ。リコちゃんの方が子供でしょう?」
そんな彼女達の百合百合しい光景にララも突入し、ララは二人を抱きしめ、三人の百合百合しい光景はクラスに見られていた。夕崎梨子と西連寺春菜は恥ずかしそうにしていたがララはいいからいいからと身体を密着させていた。ララは人懐っこい性格であり、その愛情表現は抱きついて喜びを分かち合うしか出来ないのだけど、どこか心安まるような気がして、三人の心は最高の気持ちへと変貌していた。
「えへへー!私、リトはもちろん、リコや春菜もだーい好き!」
ララはそれとなくリトも好きだと公表した為、クラスは一同騒然としたがどこか納得していた。前々から腕を組んだり抱きついたりとスキンシップをして愛情表現を表しているので好きではないとしないのだ。しかも、婚約者ともなればその愛情表現をリトに注げなくてはならないという訳だ。
「うぅ、ララのヤツ、こんな堂々と!恥ずかしいだろうが!」と顔を真っ赤にするリトは恥ずかしがっていて
「ハレンチだわ!」と古手川唯も説教し
(私も堂々と言いたいけどムリ)と西連寺春菜が思い
彼らのクラスはどの学校にも無い不思議な関係がいくつも重なり交ざわり合い一つの関係へと変貌する。その関係は絆、と言えるのだろう。その絆は決して折れる事は無く、今日も明日も紡ぐのであろう。
その日の昼休みの昼食。
ララは弁当箱から変な黒いモヤを出していて、それを結城リトに食べさせようとするが彼は逃げてそれをララは追いかけていたのをよそにし、夕崎梨子と西連寺春菜は猿山ケンイチは机をくっつかせ一緒に食していた。
「サルくん、春菜ちゃん、ボクは悪くない、と思うかい?ボクのこの性格・・・」
夕崎梨子は悩んでいた。自分が口下手で素直じゃないこの性格。彼女はこの性格を直したいけど一筋縄ではいかないのだ。どうしても、どうしてもみんなと仲良くなりたい、素直になりたいと強く思えば思うけどその分、空振りしてしまう自分が寂しいのだ。
彼女にとって最大な弱点であり悩みなんだけど、そんな彼女を知っている彼らは声を揃えてこう言う。
「大丈夫だぜ?リコちゃん。俺、いや俺達は仲間だ!友達だ!だからリコちゃんが変わる必要は無いぜ」
「そうだよ?リコちゃん。今更変わったらリコちゃんがリコちゃんじゃなくなるよ。そんなの許さないよ?」
二人の顔は晴れやかであった。彼女は彼女だし、彼女が変わったら彼女ではなくなり、今まで過ごしていた経験や感情が嘘になるような気がするのだから。夕崎梨子は口下手で素直じゃなくて可愛いただの女の子に過ぎないのだから。
「ふふふ、ありがとう。ボクはこれほどいい友人に囲まれるのは幸せだ。そんなキミ達に一言だけ伝えたいね・・・友人として好きだよ」
夕崎梨子は普段と同じ満面に笑みだ。しかし、その笑みの顔に赤みがあって恥ずかしがっているのだけど、少しだけ素直になった彼女によく出来ましたと褒めるように微笑んだ。しかし、彼女を慕っていた猿山ケンイチは心にキュンと恋心が動いた。
(リコちゃんに好きって言われた!これは大チャンスだろ!しかし、焦ったらダメだ!あくまで友人としてだ!まだまだ勝機はある!)
見た目も性格も弱点も全てが好みとなっている猿山ケンイチにはイチコロの笑顔であった。その夕崎梨子の笑顔と言葉は彼の、彼女を知る彼らとの支えとなっているのだから。
「ふふふ、ボクはまた勝てなかったよ」
夕崎梨子は敗北者になった。彼らの優しい心に打ち砕かれたのだから負けてしまうのも無理は無い。彼女はいつしか勝てるのだろうか?彼らに素直になれる日があるのだろうか?自分の口下手が直るのだろうか?そもそもそれは直らずにそれを武器になる日があるのだろうか?その答えはいつしか彼女自身しか分からないのだろう。
「改めてボクは夕崎梨子だよ。気軽にリコちゃんと呼んで欲しいな」
この自己紹介で幾つもの出逢いを、経験を、親しみを、知人を、友人を、この甘えん坊のような夕崎梨子という子供を導くのだろう。