ToLOVEる~変わりゆく運命と恋~   作:叶夢望

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黒崎芽亜登場回です。


ダークネス其の二

ネメシスが結城リトの身体に憑依してまだ一日も経たなかった。そのネメシスは結城リトの身体に憑依する事で結城リトと一心同体となり、テレパシーのような超能力的な力で会話のやりとりも可能にした。

そんなこんなで結城リトは学校へと向かう途中、ネメシスに絶対に姿を見せるなと警告していた。もちろんネメシスとしても必要以上に姿を見せる訳にもいかないのでその要求は呑むが、話しかけるくらいならばいいだろうというネメシスの交渉のもと結城リトは受け入れた。

 

(ふふ、下僕よ。学校とやらは楽しいのだろうな?私は今回初めての事象だからな。つまらなかったら暴れるぞ?)

 

頭に直接語りかけるネメシスが冗談を交えつつ、結城リトはネメシスに退屈しないとハッキリと断言した。いつも自由奔放なララや意中の西連寺春菜が居るおかげで退屈しない日なんてないのだ。

 

(大丈夫だネメシス。俺が、いや俺達がお前を楽しませる事が出来るし、ネメシスが気になっているリコ・・夕崎梨子が居るんだ)

 

ネメシスは夕崎梨子の名を聞くとピクリと反応した。どうしても気になるその人物は結城リトと共に学校へと向かうのは少しばかり興味を持つ。

 

(ふむ、下僕よ。その夕崎梨子の元へ急げ。少しばかり調べたい。なに、ソイツをどうこうするつもりは無いが、直接見たい)

 

ネメシスの言葉に大きく頷き歩を進めていくと、夕崎梨子の姿が猿山ケンイチと共に登校している姿が見えて、彼らの元へ急ぎ足でかけより軽く雑談を交わしていく。

 

「やぁ、リトおはよう。セリーヌちゃんは元気かい?あの子を良く育てているかい?」

 

ネメシスは結城リトの体内に居るので、夕崎梨子を結城リトを通してまじまじと観察する事にしたが、やはり地球人である事は明らかではあったが何かがおかしいのだ。夕崎梨子は普通に女の子ではあったが、同時に男の子でもあるようだ。しかし正真正銘の地球人の女の子である事は確定的であった。

 

(至って普通だ。しかし、バレないようにヤツの身体に憑依しよう)

 

ネメシスは夕崎梨子や猿山ケンイチに姿を見られないように素早く移動し、夕崎梨子の身体へと憑依した。すると、やはり只者ではなかったのだ。何故ならば・・・

 

(下僕と同一人物のようだ!下僕とほぼ全く同じ感覚がする!あり得ない!コイツは一体・・いや、考えすぎか?・・今度メアに頼んでみるか)

 

ネメシスは夕崎梨子の身体からそっと抜け出し、結城リトの身体からへと憑依し、夕崎梨子は一瞬だけ怪訝そうな表情を浮かべた。

 

(・・・?今、何かがボクを観察していたような気が・・・いや、気のせいなのか?)

 

夕崎梨子は何かが体内に入って観察していた事に気づいたものの、やはり地球人で真面目なのであまり追求しなかった。

 

(・・・もし、次何かが来たら、『貴様、見ているな!』と格好良くセリフを言いたいものだよ)

 

夕崎梨子はうっすらと微笑みながら何も解決しない対抗策を練りつつ歩を進めた。その様子を見たネメシスは怪しく微笑みを浮かべる夕崎梨子を観察するように見ていた。

 

(ふむ、あの夕崎梨子はどうやら私のほんの少し気づいたみたいだが、あの様子じゃ気のせいだと思っているな。やれやれ、恐れ入るよ、あのお人好しは)

 

ネメシスの観察は続きながらも彼らは学校へと向かって行き、教室へと向かい自分の席へと向かい、近くに居た西連寺春菜や古手川唯は結城リト達の存在に気づき軽く挨拶を交わしていく。ララは遅れてやってきて教室へと向かうと一目散に結城リトの腕に抱きついて結城リトは顔を真っ赤にさせて慌てるが古手川唯はハレンチだと風紀委員としての説教するも夕崎梨子は結城リトやララをかばうように言い訳を言うが、それに反論する古手川唯は少し怒った表情を浮かべ夕崎梨子に突っかかる。それを西連寺春菜が止めにかかるという日常がネメシスを包み込んだ。

 

(ギャーギャーと喧しいが、賑やかな場所はなんだか懐かしいな。ま、既視感というヤツだなこれは)

 

ネメシスは何度も何度も世界を繰り返されているのを知っていて、なんとなくだがその繰り返された世界による記憶があるらしいのでその既視感を感じるのは無理は無い。

 

(ふふ、なるほどこれならば退屈しないだろうな)

 

ネメシスはこれからの楽しみに心躍らせ、優しくて心安まる結城リトの体内に魂だけの存在だけど身体を伸ばした。そのせいなのか結城リトもその動きに連動され両手をおもいっきり手を伸ばし、近くに居た夕崎梨子のスカートを盛大に捲り上げてしまった。

 

「ーーっ!!?きゃあ!!」

 

夕崎梨子は結城リトによってスカートを捲られた事への恥ずかしさで顔を真っ赤にさせ、女の子のような声色でスカートを素早く直し、ギロリと結城リトを睨む。

 

「リト、歯を食いしばってくれ」

 

夕崎梨子は平手打ちで全力で結城リトの頬をひっぱたいた。結城リトの意思でスカートを捲った訳では無いはずだったのに、誤解されてしまった。いや、誰がどう見たって結城リトが自分の意思でそうしたと思われても仕方ない。結城リトは顔を真っ赤にさせながらも夕崎梨子に土下座する勢いで謝ったが、なかなか許してくれなかったが、夕崎梨子は何かのお詫びとして何か奢れという頼みを引き受けなんとか許してくれた。

 

「まったく、気をつけてくれよ。ぱ、ぱ、パンツをみんなに見られるところじゃないかい」

 

夕崎梨子は顔を真っ赤にさせそっぽを向き、結城リトの前から離れていた。その様子を見たララは結城リトが下着を好むかもしれないと思い、結城リトの前へと移動し、自分でスカートをたくし上げた。すると結城リトはおろか男子生徒は顔を真っ赤にさせ興奮した。

 

「見てー!リトー!この姿が好きなのー!?」

「ば、ば、バカヤロー!早く隠せー!」

 

無邪気なララはまだスカートをたくし上げ下着を見せびらかすも、古手川唯によりその行為を禁じさせる事に成功させ、どことなくションボリと落ち込んでいたララだった。その様子をネメシスは観察してクスリと笑みをこぼした。

 

(ふ、ララ姫も相変わらずのお転婆娘だな)

 

ネメシスは初めて会うララに相変わらずといった感想が出るがやはりネメシスはぼんやりとした記憶からララの事を思いだしていた。しかし、そのララや結城リトのせいで世界が繰り返されるのだがら、気を抜くのはまだ早いかもしれない。

 

その日の放課後までネメシスは結城リトやララそれに夕崎梨子を観察し、学校の授業や昼休みが何も変哲も無い日常を送っていて、特に夕崎梨子の正体が普通の人間だと確定するしかなかった。

 

(・・・話し方が奇妙で友人がそこそこいるだけで、特に何ともないな。あの夕崎梨子とかいうヤツ)

 

夕崎梨子が不思議な人間だというのは間違いないのだ。今回の事象で現れた特異点が、これからの運命にどう影響するかネメシスは分からなかった。

 

(おい、下僕。私は少しばかり用が出来た。お前の身体から少々の時間だけ出て行く)

 

ネメシスは結城リトの身体から抜け出し、誰の目からも見られない速度で学校へと出ていき、とある場所の屋上へと移動し、前の身体に憑依した人物である『メア』という者の前へと姿を現した。

 

「あ、マスター!お帰り!今までどこに行っていたの?心配してたんだよ?」

 

ネメシスの前に居る人物の名前は黒崎芽亜という女性であり、その彼女もまたトランス能力を持っていて、赤髪のおさげが特徴の美少女であり、ヤミの妹であり、ネメシスを主と慕っていた。

 

「ああ、すまなかったな。ところでお前の精神潜入・・サイコジャックで調べて欲しい人物がいるんだが、頼めるか?」

「あれ?マスターだって精神潜入出来るんじゃないの?どうして?」

「いや、今の私は不安定な存在になっているからか、人物に憑依しか出来ない状態だ。だから精神の底まで調べれないし、それにお前の身体から普通に出られる程の弱い身体になっているしな」

 

ネメシスの身体・・いや存在が非常に不安定であり、いつも誰かの身体に憑依しなければ生きられず、誰かを器としなければネメシスはおそらく消えるのである。そんなネメシスの願いを無邪気な笑みをこぼし黒崎芽亜はそれを快く受け入れた。

 

「うん!分かったよ!」

 

時は流れ、夕方となった。

黒崎芽亜は夕崎梨子を探し、通学路を歩く夕崎梨子とララと結城リトが共に歩いている姿を見つけ、素早くそこへ移動した。

 

「やっほー!」

 

黒崎芽亜のいきなりの登場で三人は驚いた。黒崎芽亜は上空から登場したかのような現れ方であった。ララは無邪気に「やっほー」と返すが結城リトと夕崎梨子は警戒心を強めていく。

 

「あの、夕崎梨子って誰なの?マスター」

 

黒崎芽亜の探し人の夕崎梨子は更に警戒心を強めていくが、その警戒心を解く為に黒崎芽亜は戦う意思も何もしないという事を話し、夕崎梨子の警戒心を緩めていく。

 

「ふぅ、なるほどね。それでボクに何の用かな?」

「うんっ!それはねーーー」

 

黒崎芽亜はトランス能力で髪の毛を夕崎梨子の身体に素早くくっつかせ、精神潜入を試みた。その精神は至って普通の女の子であり、戦闘力や特殊な才能も一切無かった。しかしーーー

 

『貴様!見ているな!』

 

夕崎梨子の精神の中に夕崎梨子が現れて、その彼女は黒崎芽亜に指さしギロリと見つめていた。こんな事は初めてであり、精神潜入能力を素早く解いて思わず黒崎芽亜は後ろに下がった。

 

「ーーキミ、誰?」

 

聞かずにはいられなかった。普通の人間であるはずなのに、精神侵入した事がバレるはずは無かった。でも、夕崎梨子はそれを感じて、あまつさえ黒崎芽亜に語りかけたのだ。その不思議な夕崎梨子は満面の笑みを浮かべ、自分の名を語った。

 

「ボクの名前は夕崎梨子だよ。気軽にリコちゃんと呼んで欲しいな」

 

それ以上でもそれ以下でもない自己紹介であった。本当に夕崎梨子は地球人であるし、不思議な能力も持ち合わせていない。黒崎芽亜の身体にいるネメシスでさえもその情報を掴み、それ以上の情報は得られなかったのだ。

 

(やはりか。おい、メア私はまた急用が出来た。いったん出るぞ)

 

ネメシスは黒崎芽亜の身体から出て結城リトの身体へと向かおうとした瞬間、突然現れたヤミの攻撃によりその移動は出来なかった。

 

「・・・?気のせいなのでしょうか?何者かが結城リトに危害を加えようとした気がしたのですが」

 

ヤミの登場によりその場にいる者は驚きを隠せなかったがララだけは「ヤミちゃんだー!」と元気にはしゃいでいた。ヤミは黒崎芽亜をジロリと見つめ、自分と同じトランス能力を持っている事を認識し、ヤミはトランス能力を発動し戦闘態勢で黒崎芽亜を警戒していた。

 

「ヤミお姉ちゃんお久しぶりだね?」

「・・・なるほど、そういう事ですか。私と同じで造られたクローンですね」

 

ヤミはとある天才学者の細胞から造られたクローンであり、その開発データを元に造られたのが黒崎芽亜であるので彼女達は姉妹という関係なのだ。

 

「もぅ、ヤミお姉ちゃんは妹と会うのは嬉しくないの?家族でしょ?私達」

「・・・例え家族だったとしても私が護るべき人物に危害を加えようと攻撃したら私は抵抗します」

 

ヤミの言葉に耳を疑う黒崎芽亜とネメシス。以前の金色の闇ならば感情を捨てて標的を排除する兵器だと思っていたが、目の前にいる金色の闇は全然違っていた。

 

(ど、どういう事?マスター!なんかヤミお姉ちゃんがおかしいよ!)

 

黒崎芽亜は体内に潜んでいるネメシスに必死の表情で語りかけた。ネメシスが言うには、世界が何度も繰り返したせいで運命がガラリと変わったせいでその影響で金色の闇が誰かを殺すではなく、護ると宣言したから驚きを隠せなかった。

 

(メアよ、やはりヤツの何かがおかしいな。お前の精神潜入の力で金色の闇の精神を探れ)

 

ネメシスの言うとおりにトランス能力を使い、ヤミの精神を探った。すると、かつてヤミが体験した日常を観測し、その体験を黒崎芽亜も体感したような気がした。

優しい心と優しい場所、それに信頼出来る心とそこに居たいという願望が、暗い精神の心が虹色に染まって眩しい日常が毎日送っていたのだ。

 

「・・・精神への侵入ですか。私と違って優秀ですね?私の妹」

 

ヤミの言葉にハッと正気に戻る黒崎芽亜は、ヤミの顔を見て怒りを感じ震えていた。何故、宇宙一の殺し屋が甘えた日常が送れるのか、何故その殺し屋と仲睦まじい関係になれるのかが理解出来なかった。

 

「な、なんで!?なんでなの!?なんでヤミお姉ちゃんはそんなに弱くなれるの!?どうして!?」

 

黒崎芽亜はヤミの弱さを感じた。だけど、本来の戦闘力はほぼ全く感じられないが、それでも金色の闇がいや、今目の前にいる姉が風変わりしてしまったのだ。

 

「親友が出来たから、ですかね?」

 

ヤミの表情は子供のような無邪気な笑みでそう答えたのだった。

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