ToLOVEる~変わりゆく運命と恋~   作:叶夢望

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次の投稿は本日十二時となります

まさかの世界ループ話です。


ダークネス其の三

親友が出来たと豪語したヤミに黒崎芽亜とネメシスは驚きを隠せなかった。かつてはいつも一人で戦場へと行き戦友とも呼べる者も居ないはずのあの金色の闇の口から親友という言葉が信じられなかった。

 

「し、し、親友って何!?何なの!?なんでそんなヤツらの事を信じられるの!?教えて!ヤミお姉ちゃん!」

 

黒崎芽亜とネメシスもかつては一人であった。しかし、彼女達は出会って一人ではなく、二人となったがあくまで主従関係であり、友と呼べるものではなかったのだ。

 

「私が信用してもいい人物が私を信用してくれるからです。そして互いが信用しあってから多分、それが親友だと思います」

 

ヤミはうっすらと笑みをこぼした。ヤミの脳裏に親友の姿が過ぎっていく・・結城美柑に夕崎梨子、ついでに結城リトが微笑んで手を差しのばしてくれる。彼らは戦闘力的には弱いかもしれないけど、心は誰よりも強いような気がしていたのだ。

 

「親友はいいものです。どうですか?あなたも親友を求めてはいかがでしょうか?」

 

ヤミは黒崎芽亜に手を差しのばした。まるで孤独な少女をヒーローが助けに来たような感覚に陥った。しかし、黒崎芽亜にはネメシスだけで充分であったし、それに彼女達は大きな秘密を抱えているから親友の存在を信用出来ないのでそのヤミの手を払いのける。

 

「目を覚まして!ヤミお姉ちゃん!私達は兵器だよ!?だからみんなが!みんなが!みんなが私達を怖がって、利用して後はポイッて捨てるだけだよ!?」

 

黒崎芽亜は涙を流しながら訴えかけていた。その場に居る結城リト、ララ、夕崎梨子、ヤミは黒崎芽亜に満面に笑み手を差しのばして同時に語りかけた。

ーー兵器とか関係無くキミと友達になりたい

その言葉で黒崎芽亜は涙を流した。悲しい訳ではなく、嬉しさの涙だ。兵器じゃなく一人の女の子として、一人の黒崎芽亜として受け入れてくれる優しさが黒崎芽亜を包み込んだ。

 

「俺はキミを認めるよ女の子として」と結城リトが

「そうだよ!仲良くしようよ!」とララが

「ボク達はキミを受け入れるよ」と夕崎梨子が

「私の妹だったら姉を信じて欲しいです」とヤミが

 

彼らが差し伸ばしてくれる手が、その優しさに包まれた手が黒崎芽亜を包み込んだ。友達として親友としてこれから彼らと一緒に行動出来るのだろうと思うと楽しい気分になれた。だから、彼らに自分の事を教えようと、黒崎芽亜は名乗る事にした。かつて赤毛のメアと恐れられていた名ではなく、彼らの友人ーー

 

「私は黒崎芽亜!メアって呼んでね!よろしくね、みんな!」

 

黒崎芽亜は満面の笑みを浮かべ名を名乗った。一人の女の子として彼らと仲良くする事を決意した。一方、ネメシスは黒崎芽亜の変化に戸惑いを隠せなかった。彼らが黒崎芽亜の存在を受け入れた事で心を開かせた事が何よりの驚きだ。

 

(あり得ない!やはり、結城リトと夕崎梨子に何かがある!何だ!?何がそこまで金色の闇やメアの心を変えられるんだ!)

 

ネメシスが知る果てしなく終わらない運命が今、大きく大きく良い方向に動き始めていた。その運命は最後まで良い方向へと進んでいくのだろうか?それは誰も知る由も無い。

 

(・・・今回で何とか抜け出せるかもしれんな。この繰り返される世界から・・いや、抜けるなコレは)

 

 

ネメシスはそう思うと、黒崎芽亜の身体から抜け出し、結城リト達の前へと姿を表した。結城リト以外の人物は驚いた表情を浮かびいきなり現れたネメシスに警戒心を強めていく。

 

「ならば私も貴様らを下僕と親しみを込めて呼ぼうか?おっと、名乗るのが遅くなったな。私の名はネメシスだ、よろしく」

 

ネメシスはニッコリと笑い、彼らと固い握手を交わし、友情を育んだ。こうしてネメシスと黒崎芽亜の存在も彼らにバレたがそんなのは関係無いと普通に接していた。

ネメシスは夕崎梨子に近寄り、耳打ちをした。

 

「リコちゃんとやら、私達と少しばかり話があるがいいか?」

 

夕崎梨子はララと結城リトに適当な理由を言い放ち解散して、ネメシスの言葉にコクリと頷き、黒崎芽亜とネメシスに連れられ近くのファミレスへと入店し、適当な席へと座る。

 

「さて、早速本題だが・・・お前、本当は何者なんだ?答えろ」

 

ネメシスの言葉にピクリと眉を動かしたものの何言っているんだ?コイツと言いたげな表情を浮かべる夕崎梨子だが、普通に人間であり普通の女の子である事も話した。ネメシスもその言葉を真実と捉えた。今の場面、嘘をつくメリットもないからだ。

 

「ねぇ、マスターも知っているけどこの子の精神を調べたら普通だったよ?私が調べているのバレちゃったけどね」

 

黒崎芽亜も夕崎梨子が正真正銘の普通の女の子であると断言した。しかし、本来居るはずがない謎の人物である事には間違いないのだ。

 

「ふむ、なるほど、ね?とにかくキミ達はボクの正体を知りたいが特に何の変哲もないボクに戸惑いを隠せないのかな?しかし、何故そのような事を調べるんだい?」

 

夕崎梨子の質問に正直に答える事にしたネメシス。この世界が何度も何度も繰り返している事を、それと今回だけ夕崎梨子の存在が居てしかもヤミや黒崎芽亜の心を開いたのも今回だけ起こった事象だという事もだ。

 

「・・・な、る、ほ、ど、ね?とにかく世界はループしていてどうにかそのループから脱出したい、と・・そういうことかい?」

 

夕崎梨子は困った表情でネメシスの顔を見ると、そのネメシスは真剣な表情を浮かべているので嘘じゃないという事を納得するしかない夕崎梨子は深くため息を吐いた。

 

「・・・で?ボクはイレギュラーの存在であり、今回の世界は今までと違う時間軸だと言うのかい?何故そう言い切れるんだい?ネメシスちゃん」

「私が今までの世界の事を全てとは言わないが知っているからだ。それらの記憶はないが、とにかく知っているからとしか言いきれん」

 

ネメシスの説明に夕崎梨子は顎に手を添えて目を閉じ深く考える仕草をするも理解出来ないが納得するしかない事に気づきまた深くため息を吐いた。

 

「分かった、分かったよ。それでボクはどうしたらいいんだい?まさか改造されてヤミちゃんやメアちゃんのようなトランス能力をもたされるのかい?」

「ほう?それは面白いアイデアだな。では早速、改造するか?ん?」

 

ネメシスは黒い笑みを浮かべジリジリと夕崎梨子への距離を詰め寄って顔と顔がくっつきそうな距離へと移動した。そのネメシスの行動を顔を赤くしながらも微笑みを浮かべる夕崎梨子は微動だにしなかった。

 

「ふふふ、冗談だよ。まさか本気にされるとはね?ネメシスちゃんは冗談が通じないのかい?」

「なんだ?冗談なのか?もしも本気でトランス能力が欲しいのならいつでも大歓迎だぞ?メアに妹ができるからなぁ、くくく」

「妹!?私に妹が出来るの!?なら改造しようよ!リコちゃん!」

 

ネメシスの妹発言に黒崎芽亜は大興奮し夕崎梨子の両手を掴みブンブンと上下に揺さぶった。どうやら黒崎芽亜には妹が欲しいようだった。

 

「ふふふ、考えておくよ。ま、おそらく改造はしないだろうけどね」

「え~?いいじゃん!楽しいよ?空飛べたり、何かを切ったり叩いたり出来るしさぁ~、ねぇねぇ」

 

黒崎芽亜の猫なで声に夕崎梨子は翻弄されず、適当にあしらうも、それに怒った様子の黒崎芽亜は夕崎梨子に抱きついて離れなかった。

 

「ヤミお姉ちゃんも妹が増える事が嬉しいと思うよ?お、ね、が、い!ね?」

「ふふふ、参ったな。どうする事も出来ないな・・・分かったよ、本当にトランス能力が欲しいならいつか言うと思うから離れてくれ。他の客や店員がちらちらと見ているんだ、恥ずかしいよ」

 

夕崎梨子の言葉に黒崎芽亜とネメシスは辺りを見渡して数人がちらちらと視線を送っているので、黒崎芽亜は渋々と夕崎梨子の身体から離れてキチンと座り、普通の客を演じた。

 

「こほん、話がそれたな。さてリコちゃんとやら、今話したループした世界から抜け出す方法だが、私は知らん。しかし、今回で何とか抜け出すかもしれないから、手を貸せ。それと、あまりこの事は人に言いふらすなよ?下僕・・いや、結城リトは知っているが、詳しい話を聞くとしても特に情報は得られないぞ」

 

ネメシスの頼みに大きく頷く夕崎梨子は満面の笑みを浮かべるが、ネメシスが結城リトの事を下僕と呼んだのを耳にするも気のせいかと思い、ツッコミをいれなかった。そんなこんなでネメシスの話を終えてファミレスから出た瞬間、夕崎梨子の前から黒崎芽亜の姿が消え去ってしまった。

 

「ふふふ、速いね?視界に捉えられない速さだったよ。ねぇ?ヤミちゃん」

 

ファミレスの影からヤミがスッと現れ、夕崎梨子の前に立ちすくんだ。

 

「・・・一体、何の話をしていたのですか?リコ」

 

どうしても彼女達の会話内容を聞きたいヤミはソワソワと落ち着かない様子で、仕方ないと適当な理由をつける事にする夕崎梨子。もちろん、世界がループする話を極力避ける話をだが。

 

「ああ、実はボクを是非とも改造してトランス能力をつけろとお勧めされてね?つまりはヤミちゃんやメアちゃんの妹になれ、という事だよ」

「妹、ですか・・・ならもしそうならリコは末っ子になるという訳ですね?」

「ふふふ、ヤミちゃんもそんな事言うのかい?家族が増える事は喜ばしい事だけど、ヤミちゃんの方が年下じゃないのかい?ボクは十五歳・・いやもうすぐで十六歳になるけど?」

 

夕崎梨子の言葉にヤミはニヤリと笑った。その笑みは黒い笑みであり、その笑みの意味が分からない夕崎梨子は首を傾げるしかなかった。

 

「私の歳、聞きたいですか?そうですか、そんなに聞くなら仕方ないですね」

「勝手に了承しないでもらえるかな?ま、非常に気になるけどもね」

「フロムス銀河暦で二十四歳です。つまりは私の方が大人なのです。当然のように黒崎芽亜もそれくらいの歳だと思います」

 

ヤミは胸を高らかに自分が年上だという事を宣言し、その姿はまるで『えっへん!』と言いたげな表情であり、早くも姉の威厳を見せていた。

 

「ふふふ、なるほどね?しかし、地球暦で言えば本当にその歳なのか不思議でたまらないね」

 

夕崎梨子はヤミのその身体を観察した。小柄かつ細身で、胸も小ぶりのヤミの身体ではいくらなんでも二十四歳とは思えず、黒崎芽亜の見た目も二十歳ほども無いのだ。

 

「・・・あまりジロジロ見ないでください。あなただってその歳でその身体は反則だと思います」

 

ヤミは身体を隠し、夕崎梨子の身体を観察する。その大きな胸は恐らく八十センチそこそこはあり、クビレは五十センチほどでお尻も胸と同等近くのナイスバディであった。

 

「ふふふ、反則かい?ならば何か罰を与えられるのかい?そうだ、近くの喫茶店に行こうか?メアちゃんやネメシスちゃんと話す時、何も頼んでいないから小腹が空いたよ」

「はい、では報酬として貰います」

 

夕崎梨子はヤミを連れて近くの小さな喫茶店へと向かって入店し、適当な席へと座り店員を呼び適当なスイーツとコーヒーを頼み、しばらくするとその商品が来て、その商品を口へと運ぶ。

 

「ふふふ、おいしいかい?ヤミちゃん」

「はい、まさかこんな所にたいやきがあるなんて思いもしれませんでした」

 

ヤミはたいやきを口に運びリスのように頬を膨らませもぐもぐと租借していた。

 

「たいやきか・・・そういえば、ボクがヤミちゃんにあげたのがきっかけで好物になったのかい?」

「はい、あの時のリコのせいでクセになりました」

「ふふふ、ボクのせいか・・・なるほどね?ボクはヤミちゃんを大きく変えたから責任を取らないといけないね?ならその責任はどうとればいいんだい?」

「そうですね・・・私の妹になるしか手は無いですね」

 

ヤミの妹勧誘宣言はいつまでも続き、のどかな時間がいつまでも流れていくのであった。

 

 

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