翌日の昼下がり、近くの公園に集まった結城リトと夕崎梨子とヤミと黒崎芽亜とネメシスは人通りが少なそうな場所を選び、適当な草原地帯へと到着した。
「さて、下僕よ。ララ姫達には適当な理由をつけてここには来ないよな?」
ネメシスの言葉に結城リトはコクリと頷く。デビルーク三姉妹にはヤミデビルーク化計画の全貌を知らず、もしもそれを知ったら命の危険があり危ないかもしれないので彼女達には内緒にする事にした。
「金色の闇、心の準備は出来ているか?ま、出来ていてもその心は一旦おかしくなるがな」
ネメシスの脅しに少し怯むも力強く頷くヤミは目を閉じ、ゆっくりとして落ち着いた様子で立ち尽くしていた。ネメシスは黒崎芽亜に視線を移し「いくぞ」と言ってヤミの精神へと進入しようとした。しかし、彼女達の前に思わぬ人物が現れたのだ。
「よぉ、なんか面白そうな事してんじゃねぇか?オイ」
黒髪のツンツンヘアーの黒服を身に纏った青年の姿が現れ隣にはザスティンも居た。結城リトはザスティンに隣に居る人物は誰かと聞いたら、とんでもない人物である事が明かされた。それは・・
「ああ、オレはギド・ルシオン・デビルークだ。オレの娘達・・ララやモモ、ナナが世話になっているなぁ、結城リト」
彼は戦乱の只中にあった銀河を統一した宇宙最強の男であり、デビルーク星の大王というのだ。そのギドは眉間にシワを寄せてニヤリと笑っていた。
「な、何の用なんだ?そ、そのオヤジさんが俺に?」
「何の用か、だと?特にお前には用は無いが、二つ用があってな?一つは今やろうとしている実験に用があるんだよ・・お前ら、そこの金色の闇のダークネスを発動させようとしてんだろ?」
ギドはヤミに指を差し、ギクリと緊張感と警戒心を強め、ギドは彼らを嘲笑うかのようにヤミのもとへ普通に歩いて行く。まるでいつでも攻撃してもかまわんぞ、と雰囲気で語りかけるくらいのオーラを出しながら歩を進めていた。
「ま、マスター!ど、どうしよう!?やっつける!?」
「くっ!ダメだ!今の私はともかくメアや金色の闇じゃ太刀打ち出来んぞ!今のヤツはベストコンディションだぞ!一瞬で私達がやられるぞ!」
黒崎芽亜とネメシスはトランス能力を使い、警戒心を強めて行くもギドにとっては仔犬が牙を向けて威嚇しているようだった。
「あ~、待て待てオレはお前らと戦いに来たんじゃねぇよ。逆にお前らの手助けをしたくてな?この繰り返される世界を救うには必要なんだろ?ダークネスってやつがな」
ギドの言葉に耳を疑うみんなは驚きを隠せなかった。何故ギドが繰り返される世界の事を知っているのか、しかもダークネス化を協力してくれるのかと思うと疑問が疑問を呼び頭がパニック状態へとなっていた。
「婿殿、私はこの世界が繰り返される事なんて到底信じられなかったのですが、信用出来るある情報屋から情報を集めたらどうやら本当のようでした」
「ザスティンやオヤジさんもその事を知っていたのか?だから手伝ってくれるって事なのか?」
結城リトの必死の表情をギドは見てニヤリと笑いをこぼした。ギドとザスティンの登場によりヤミが万が一大暴れしたらヤミを戦闘不能及び拘束する事を約束し、ヤミのダークネス化計画は今、始まろうとしていた。
「では、やるぞ。メア!精神侵入だ!」
「うん!マスター!」
黒崎芽亜とネメシスはヤミの精神へと侵入し、精神の奥底に眠っているダークネスを起こしていた。すると、ヤミの身体は暗黒に包まれ、ヤミは声にならない声で叫び、しばらくすると暗黒は晴れてヤミの姿が一気に変わっていた。
ヤミの頭部に二本のツノが生えており、両手の爪が鋭くなり、ヤミの格好は胸と股間だけ黒い布で覆い隠され後はその黒い布が脱げないように細い黒い紐で身体に括りつけられていた。
「あはははっ!あはははっ!き、気持ちぃ~!」
ヤミは満面の笑みを浮かべ自分の姿を見てはしゃいでいた。久方ぶりのダークネス化となり、誰でもいいから殺したくなっていた。
「メア!今だ!」「うん!マスター!」
黒崎芽亜とネメシスは精神侵入を使い、ダークネス化となっているヤミの身体を支配しようとするも、異様な力によりはじき飛ばされそうになっていた。
「ザスティン!」「はい!」
ギドとザスティンは黒崎芽亜とネメシスのバックアップに回り、ダークネス化になっているヤミを無力化しようとギドとザスティンは尻尾でヤミに電撃を浴びせ、ヤミは大ダメージを受けたので叫んだ。
「ヤミ!」「ヤミちゃん!」
苦しそうなヤミを心配する結城リトと夕崎梨子はただ見守るしかない、しかし応援ならば出来る。ヤミを知っている彼らならば、ヤミが信用している彼らならばおのずとヤミは正気に戻るのだろう。だから彼らはヤミに必死に語りかけていた。
「くっ!あともう少しだ!踏ん張れ!」
ネメシスの言葉に大きく頷く黒崎芽亜はヤミに精神侵入でヤミを表に出そうとし、ギドとザスティンは尻尾で電撃を与え無力化し、結城リトと夕崎梨子はヤミに必死に語りかけ、ついには・・・ダークネス化して性格が変化したヤミは通常のヤミとなっていた。
「~~っ!?えっちぃのは嫌いです!」
ヤミはトランス能力で結城リトの顔を髪で覆い隠し恥ずかしい格好を見せないようにしたが、今更遅い。しかし、ヤミのダークネス化は成功し、全員はホッと安心した。だけど、ギドは眉間にシワを寄せて夕崎梨子のもとへ近寄っていた。夕崎梨子は何事かと首を傾げギドを見つめていたが、ギドは夕崎梨子の首をトンッと手刀で叩き夕崎梨子を気絶させ、夕崎梨子を片腕で抱え込んだ。
「あともう一つ用があるのはコイツだ」
ギドのいきなりの発言に全員は驚きを隠せなかった。先程まで力を合わせてダークネス化計画を成功させたのに裏切られているような気分に陥られていた。
「り、リコに何すんだよ!!?言えよ!!」
結城リトの必死の言葉にギドはケッと笑いをこぼして興味が失せたような目線で気を失っている夕崎梨子を見て、少しばかり調べたい事があると言うだけでその他の言葉は言わなかった。
「リコの命の危険があると判断した場合、私は貴方を排除しなければなりません。今のダークネス化ならおそらく貴方を倒せるでしょう」
ヤミはダークネス化のまま戦闘態勢でギドにトランス能力で脅しをいれる。しかし、ギドは夕崎梨子の命を消す事はしないと言い張るが、結城リトとヤミは信用出来なかったのだ。
「二~三日コイツを借りるだけだ。大丈夫、改造も何もしねぇって・・だからそんな物騒なモノ向けるな。いくぞザスティン!」
「はい!婿殿、私もリコさんの身体に必ずや何一つ傷を負わせない事を約束します、それでは」
気絶してダランとなっている夕崎梨子を片腕で持ちながらギドはザスティンと共に結城リト達の前から消え去り、結城リト達は呆然と立ちすくんでいた。
「ど、どうする?マスター・・・リコちゃんが・・」
「アイツは信用出来るヤツだからな・・・ま、大丈夫だろう」
「しかし、ギド・ルシオン・デビルークはリコに何の用だったのでしょうか?気になります」
黒崎芽亜とネメシスとヤミは落ち着いた表情であり、淡々とした会話に腹が立ってしまう結城リト。何故夕崎梨子が連れ去られているのに、何故夕崎梨子がギドの攻撃により気絶しなければならなかったのか、何故、何故夕崎梨子が危ない目に遭うというのに自分が無力で彼女を助けられなかったのか、それが悔しくて悔しくてたまらなかったのだ。
「リコ・・・ごめん、俺が、俺が弱いせいで」
いくら相手が宇宙最強であろうと、いくら相手が敵意は無くても、それでも女の子を守れなかったのが男として、夕崎梨子の親友として情けなかった。
「・・・結城リト、大丈夫です。もし、本当に心配なら私達がリコを護ります」
「俺が護れねーとダメなんだ!ヤミ!・・・いや、怒鳴ってごめん、今はオヤジさんを信じるだけだ。一応はララ達の親だしな」
自由奔放のララの親ならば心配は要らないし、ザスティンだって夕崎梨子の身体に何もしないと約束をしてくれた。だから夕崎梨子が帰ってくるのを待つだけで、その帰ってきた夕崎梨子にお帰りと言わないといけないからしっかりと正気にならないといけない。
「・・・ふぅ、落ち着いた。よし、気晴らしにこのまま遊びに行くか!みんな、どこに行きたいか?あまり遠い所じゃなければどこでもいいぞ!」
結城リトは晴れやかな笑顔にヤミ達は微笑み、街をブラブラと歩き回り、ショッピングセンターやゲームセンター、図書館などなど有意義な時間を過ごし、彼らは羽目を外していたのであった。
一方、宇宙船に乗って宇宙へと飛び立ち地球から近い距離に留まっているギドとザスティンはカプセル状の大きな検査機のような機械の中にいる眠ったままの夕崎梨子を驚いた表情で見ていた。
「ま、まさか、こ、これは・・・この反応は・・・」
検査機の反応をザスティンは驚いた表情で見ていた。ギドも驚きを隠せず冷や汗を流していた。
「ふ、気づいたか?ザス。そうだコイツは、早く・・・永遠に眠らせるか殺すべきだ」
ギドの言葉にその場は凍り付き、夕崎梨子はカプセル状の検査機で眠り続けていたのであった。