ToLOVEる~変わりゆく運命と恋~   作:叶夢望

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ダークネス其の六

ギドはザスティンに夕崎梨子の存在について静かに語った。

世界が何千か何万回も繰り返されるのは当然の事実であり、その原因はギドやザスティンは知らないがララと結城リトが中心になって何らかの手段を用いて世界はループしていた。

今回の世界も何の変哲も無い事象であったはずでまたもループするはずだった。しかし、夕崎梨子というイレギュラーが存在し、ガラリと一辺していた。

結城家に存在しないはずの夕崎家という親戚とその愛娘夕崎梨子の存在、そしてその夕崎梨子によって未来がどんどんと変わっていてそれが本当に言い方向なのか分からなかったし、悪い方向かもしれないという可能性も大いにある。

 

例えばヤミを改心した彼女の行為。以前の世界ならばヤミはラコスポとの一件が終わった後は結城リトの命を狙い続けていたのだ。

更に黒崎芽亜やネメシスも本来ならもっと遅く来るはずだった。しかもダークネス化を早くもヤミのモノへとなっている事も驚きであった。

 

もし、夕崎梨子が居る事で結城リトに起きる事件が早まる事ならば、もし運命そのものが早まってループする間隔が縮まって挙げ句の果てにはループする間隔が無くなってしまったら世界が無くなる恐れがある。

ならば夕崎梨子を亡き者もしくは永遠に眠らせこの世界に干渉しないようにする事でその心配は無くなるのだ。

 

「し、しかし!婿殿には傷一つつけないと約束しました!騎士として一度交わした約束は果たします!ですので殺すだなんて言わないでください!」

 

ザスティンは必死にギドを説得するが、ギドは唸るような声を出しつつ夕崎梨子をどう対処するのかを考え出した。傷一つつけずに殺さずかつ夕崎梨子を無力化する方法はないものなのか?脳や精神を弄って植物人間にする事も容易いが、そんな鬼畜な行為は子を持つ親としてもそれは出来ないものだ。

 

「はぁ、どうするか、だな・・・ま、一応まだ色々と探ってから考えとくか」

 

ギドはカプセル状の検査機の近くにあるパソコンを操作し、様々な情報を読み取ると不思議な項目が目に留まった。

 

「・・・?突発性ハレンチ症候群?なんじゃこりゃ?」

 

結城リトの難病であった突発性ハレンチ症候群の項目に眉をひそめてその項目の詳細に目を通すと、かつて結城リトが所有したものが夕崎梨子のもとへと移動したと記されていた。

 

「つまり何かがコイツを生成する時、この病気を奪って産まれた、という事なのか?身体を作る情報が足りないからって人のモノ盗るんじゃねぇよ。ま、病気だからいいんだけどよ」

 

カプセル状の検査機に気持ちよさそうに寝ている夕崎梨子に呆れ顔のギドはため息を吐いた。ザスティンは心配そうな表情でギドを見て一つ一つの行動に警戒するようにソワソワと落ち着かない様子だった。

 

「おいザス、もう殺すとか眠らせるとか言わないからそんなツラすんな」

「は、はい!了解しました!」

「さて、もう少し調べるか」

 

ギドとザスティンは夕崎梨子の情報を全て引き出し、もうこれ以上の情報は得られないというところまで情報を得て、ギドは近くにあったリクライニングの椅子にふんぞり返るように座り一息をついた。

 

「ふぅ、全部終わったな、ザス」

「はい、しかしリコさんには悪いですので、後で謝っておきます・・・ですので何か適当な物を贈りましょう」

「おう、悪いな」

 

しばらく身体を休めるとギドの宇宙船に電話のコールがなり、それを繋ぐとギドの目の前に画面いっぱいに広がる映像が流れ、その映像にはヴェールで顔が隠された女性が現れた。

 

「げ、セフィかよ・・・」

 

電話の主はセフィ・ミカエラ・デビルークであり、ギドの妻でララ、ナナ、モモの母親だ。宇宙一の美しさと称えられていて見た目はロングヘアーで、髪の色はピンク色。瞳の色は紫色だそうだがその顔を直接見てはいけなかった。何故ならば宇宙一美しい容姿と声を持つ少数民族チャーム人の最後の末裔であり、顔を見たらギド以外どんな男でも魅了するそうだ。

 

「聞きましたよ?一人の女の子を拉致して何か調べてらっしゃるなんて、いつから極悪非道の人になったんですか?」

「チッ、情報が回るのが早いな・・・そんなんじゃねぇよ。それよりも仕事はどうした?ヒマになるのは今後先と言ってただろ?」

「仕事の合間にこの電話をしていますのでお気になさらないでください。後、その子に何か怪我でもさせたら許しませんよ?」

「分かった分かった、用が済んだら無傷のまま絶対帰してやるからそんなに怒った顔するなよ」

「うふふ、顔隠しているのに分かるなんてやはり私達は夫婦ですね?だから貴方を愛しています、それでは」

 

電話を切ったセフィの愛している宣言に顔が少しだけ赤くなるギドは恥ずかしそうに「ケッ」と笑みをこぼし誤魔化している様子だったが、長年の付き合いでギドと共に戦っているザスティンは温かい目で見守っていたが、その視線が気に入らないのかギドはザスティンを睨んだ。

 

「おい、ザス!テメェ、俺をそんな目で見るんじゃねぇよ。夫婦のやりとりの観察がそんなに楽しいか?オイ」

「いえ、滅相もございません!ただ本当に仲睦まじい夫婦だな、と思っただけです。それよりも、リコさんはどうなさいますか?調べる事はもう特にございませんし・・」

 

ザスティンの言葉にギドは唸るような声を出し、目を閉じて考える仕草をしている。ザスティンや妻セフィによって約束を押しつけられたので改造も出来なくなってしまった。でも、機械で調べるのは全部が全部分かる訳では無いので、夕崎梨子と直接話す事にした。

 

「よし、コイツを起こすぞ・・ゲ、コイツよだれ垂らしてやがる!ばっちいな!」

 

カプセル状の検査機で寝ている夕崎梨子は無邪気な寝顔でよだれを垂らし、検査機を汚していたのである。その悪い寝相で気持ちよさそうに眠っている夕崎梨子を起こそうとして検査機の扉を開き、しばらくすると夕崎梨子は目をゆっくり、ゆっくりと開いていた。

 

「・・・ん?パパ?ママ?どこなの?ここ」

 

夕崎梨子は眠り眼のまま身体を起こしキョロキョロと見渡し、ジンワリと目に涙を浮かべていた。未だに寝ぼけている夕崎梨子は幼い子供のような精神らしく大好きな両親が見当たらない事と見知らない場所に居る事の不安と寂しさと恐怖が夕崎梨子に襲いかかった。

 

「ぅぅぅ、ひっく、パパぁ、ママぁ・・・」

 

夕崎梨子の感情が爆発し涙が大量に流れ泣き声が宇宙船中に響き渡りギドとザスティンは耳を塞ぎ、しばらく大泣きした夕崎梨子はようやく落ち着きを取り戻し、目を赤くしてギドとザスティンを睨んでいる。

 

「くすんっ、ぼ、ボクを一体どうしたの?何かしたの?改造か何かをしたの?」

 

涙目で上目遣いをしてギドやザスティンは夕崎梨子のその仕草に驚きつつ夕崎梨子の身体を検査した事を伝え、何も身体や脳に一切、手をつけていない事を明らかにし、夕崎梨子は心底安心した。

 

「おい、テメェに聞きたい事がーーー」

「リコちゃん、と呼んで欲しいな。テメェじゃないよ?ちゃんと名前を言ってくれ」

 

ギドは夕崎梨子の言葉に一瞬たじろぐも、コホンと咳払いし「それじゃ、リコ」と夕崎梨子の名前を言ったら、夕崎梨子は「よろしい」と微笑みを浮かべていた。

 

「チッ、貧弱な地球人のくせに偉そうな態度とりやがって・・・地球を破壊するぞ?コラ」

「ならば、キミはか弱い女の子を無理矢理襲った悪人のくせに、と言ったほうがいいのかな?それと地球は破壊させないよ?この命に変えても、ね」

「ケッ、テメェ如きが一体何が出来るんだ?戦闘力も無いし、頭も悪そうだ」

「確かにそうかもしれないね?だけど、ボクは奇跡を信じて絶対に諦めない夢見る乙女なんでね。それなりに抵抗する事になるだろうね」

 

夕崎梨子のその決意するような揺るがない目にギドは密かに笑った。宇宙最強や鬼神と言われたギドに対して恐怖も感じず堂々と立ち向かう夕崎梨子の姿に尊敬と信頼を送ってもいいも思うのはセフィを含め夕崎梨子だけであった。

 

「ケケケッ、リコお前面白いヤツだな?気に入ったぞ、もうしばらくお前と話したい。結城リトに二~三日お前を借りると言ったからそれまでの間帰らせねぇ。おい、ザス適当に茶と菓子をやれ」

 

ギドの要求にザスティンは頷き、ギドと夕崎梨子の前から消えていった。

 

「ふふふ、宇宙人にキャトルミューティレーションされた体験は滅多に無いのでね?それにここは宇宙なんだろう?宇宙飛行士になるにもスゴく大変なんだからボクとしても宇宙から地球を見たいし、無重力も楽しみたい。だから少しはここに居たい、と願ってたところだよ」

「つまりは同意の上で居る、てか?いいだろう。身体を調べさせて貰った詫びとしてそれくらいの要求は呑もう、好きにくつろげ」

 

ギドの了承を得てギドの宇宙船で世話になる事になり、ザスティンが持ってきてくれたどこかの惑星で買った茶や菓子を夕崎梨子に与え、それを観察するようにマジマジと見て、香りを嗅ぎそれを口に運んでいた。

 

「うん、不思議な味だ。今まで食べた事が無い味だけど、おいしいと思うな。この虹色のせんべいみたいな食べ物は見た目と違って繊細な味が際立っているよ。あと、澄んだ水色のこのお茶は喉にスッと通って爽やかな味わいで飲みやすいね」

「ケケケ、饒舌だな?リコ。おいザス、褒められてるぞ?良かったな」

「はい、お口に合って何よりです」

 

夕崎梨子の満面の笑みに一安心するザスティンは微笑み、夕崎梨子とギドの他愛の無い話に耳を傾け、一息をついていた。

 

「ギドくんの話は面白いね?宇宙戦争なんて日本じゃ絶対に聞けない話だよ。そもそも日本の技術力は最近よく発達しているけど、宇宙人はまだ見つけられて居ないんだよ。もちろんその手のインチキっぽい話は耳にするんだけどね」

「ああ、そうみてぇだな。地球に降りた時、どっかの店の前に細く白くて喋る奇妙な人型ロボットが居たが、あんなもんオレからすりゃガキのオモチャみてぇなモノだ」

「ふふふ、そんなオモチャでも地球がようやく辿り着けた技術力なんだよ。でもね、まだまだ地球の技術力は進化すると思うよ」

「ケッ、それも奇跡を信じる女の勘、てヤツか?イマイチそれが理解出来ねぇよ。どうなってんだ?女ってヤツはよ」

「男だろうが女だろうが関係ないよ?奇跡はきっと起こるよ。確証は無いけど確信出来るんだ」

「へぇへぇ、分かった分かった。ところで宇宙から地球を見たいだろう?なら着いてこい」

 

ギドは夕崎梨子を連れ出し、宇宙船の運転席へと移動し、そこから見える宇宙の星々と大きくて美しい青い地球が夕崎梨子の目に映っていた。

 

「ーーー綺麗だ」

 

夕崎梨子は無意識に言葉が出た。

自分が、人間達が、生物達が心地よく住める地球が宝石のように輝き、輝く青い空が、輝く黄緑色の土地が、動く白い雲が、夕崎梨子の目に釘付けとなっていた。

 

「ケケケ、本当にいい惑星だよな。オレの娘達がこの地球にずっと居たいのも分かる気がするぞ」

「ああ、そういえばギドくんはララちゃん達の親だったね?なるほど。あの三姉妹の親としては家出した彼女達にお仕置きしなくてもいいのかい?」 

「仕置きだと?面白いアイデアだな、リコよ。お前ならばどんな仕置きをするんだ?」

「う~ん、子供に一番の効果があるお仕置きとしてはお尻ペンペン百叩きの計だね。アレは痛いし、恥ずかしいし、何よりもそれを受けるともう二度とイタズラしたくないと思うからね」

「ほう?アレ、と言ってたのはお前はその仕置きを受けた事があるのか?ケケケ」

 

ギドの黒い笑みにしまったと後悔した表情を浮かべ夕崎梨子はそっぽを向いた。

 

「ま、その仕置きは追々娘達にやるとするとして、だ。何だったら太陽とか火星とか色々見て回るか?どうせヒマだろ?」

「ふふふ、光栄だよ。このボク如きが太陽系の惑星を見れるだなんて夢にも思えなかったよ。ボクはそれを甘んじて受けよう」

 

ギドは黒い笑みを深く刻み、宇宙船の操縦桿を握り、宇宙船は太陽系をウロウロし、夕崎梨子は無邪気な笑顔で目を輝かせ太陽系の惑星を見て回り堪能していった。

 

「次は無重力体験がやりたい!ギドくん!」

 

夕崎梨子は大興奮のままギドの服を掴み目を輝かせていて、その様子を見たギドは仕方ないなと渋々といった様子で夕崎梨子の願いを叶えていくのであった。

 

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