ToLOVEる~変わりゆく運命と恋~   作:叶夢望

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ダークネス其の七

夕崎梨子がギドとザスティンにより連れ出されてからだいたい二日が経っていた。そんな日の昼休み結城リトは自分の席に座ってボォーと呆けていた。

夕崎梨子は遠い親戚の所に急用の用事で少しの間休むという出任せの理由でクラスを騙しているのだ。

夕崎梨子を好きな猿山ケンイチも呆けていて、結城リト同様席に座って呆けていた。

その様子を心配になったララと西連寺春菜は彼らに元気を分け与えようとするも猿山ケンイチだけは説得出来なかった。

 

「チクショウ!何でだ!リコちゃんが居ないってだけで俺はこんなに情けなくなるんだ!」

 

猿山ケンイチは少しの辛抱も出来なかった。いつも傍に居る夕崎梨子が微笑みかけて他愛の無い世間話をする事が日常であった。しかしその日常は崩れ去り、早く夕崎梨子に会いたいという願いが日に日に強くなっていた。

 

「大丈夫だよー!リコなら何とかして学校に戻ってくるよー!」

 

ララの無邪気な笑みでの言葉に猿山ケンイチはそれに強く頷いた。西連寺春菜もララの意見に同調するように、「リコちゃんは帰ってくるから心配しないで」と説得し、猿山ケンイチは益々元気を取り戻していた。

 

「そうだよな!リコちゃんを信じないで何が親友なんだ!だよな?リト」

「ああ、リコは親友に黙って居なくならないよ。リコはそういう冷たいヤツじゃない」

 

結城リトと猿山ケンイチは笑みをこぼし、夕崎梨子を心の底から信用していた。そんな中、夕崎梨子の天敵古手川唯が彼らの前に現れ、腕を組み胸を高らかにしていた。

 

「ふん、夕崎さんってば友達を心配させるだなんてとんだ悪い子ね?少しくらいは連絡くらいしたらいいのにね?まったく・・・」

 

古手川唯の表情はどこか心配しているような不安げな顔であり、古手川唯も夕崎梨子が心配で心配でたまらなかったのだ。それにいつもの口喧嘩をしないと調子が多いに狂っていた。

 

「あ、あの、古手川さん、リコちゃんだって急用があるし、仕方ないよ」

「そうね、それは分かる。だけど、みんなを心配させたからそのケジメをつけさせないと多分許せないわ」

「うふふ、多分なの?絶対じゃないんだ?てことは悪い事したリコちゃんを許せるんだね」

「なっ!!?何を言っているの!?西連寺さん!その口答えはまるで夕崎さんみたいだわ!クラス委員長とあろう者が悪に染まったらいけません!」

 

古手川唯は顔を真っ赤にさせ、西連寺春菜を指差し説教するも、古手川唯の赤い顔では何者にでも夕崎梨子の事が好きなんだなと思われていた。

 

「悪だなんて言わないでよ古手川さん。私は好きなんだよ?リコちゃんの事を・・・古手川さんはどう?」

「っ!!?もういいです!失礼するわ!」

 

古手川唯は耳まで赤くしてそっぽを向き踵を返し、教室から出て行き、その彼女の行動を「あらら、唯が怒っちゃったね」とララはのほほんとした声であっけらかんとしていた。

 

「もう、古手川さんったら素直じゃないね?誰に似てるんだろうね?私はその誰かの名前を言っちゃうと古手川さんが怒っちゃうよ」

「ははは、そうだな西連寺。俺もそれが誰か分かるけど、女の子が怒るのは怖いから言えないよ」

「リト、お前嫁出来たら尻に敷かれるぞ?普通の喧嘩でも負けるぞ」

 

猿山ケンイチの嫁発言に結城リトと西連寺春菜は顔を真っ赤にした。もし、もしも夫婦になれたらと彼らは同時に考え、更に些細な喧嘩でもしたらどうなるのかと思うと緊張のせいで動悸が止まらない。

結城リト(夫)が朝食の目玉焼きにはソースだと言い張るが西連寺春菜(妻)が目玉焼きには醤油が常識だという些細な喧嘩が始まるけど、いつしか料理には愛情が一番だと結論され二人の唇は近寄り、その二人の唇はじっくりと重なっていく・・・という結城リトの妄想が終わった後、結城リトは頭からボンッと煙を出し顔を真っ赤にした。

 

「私もリトのお嫁さんになっても嫌いにはならないよ?だから安心してね?私はリトの事、大好きだから」

 

ララは無邪気に笑いかけ素直に結城リトに好きだと言い張るが、結城リトはララの事は好きではあるが西連寺春菜の方が好きという気持ちが大きいので結婚はおろか恋人だって断りたい。しかし、ララが結城リトを好きだと正面きって言っている以上彼女の気持ちを尊重し、心が傷つかないようにやんわりと断らなければならないだろう。だから、ララに一言伝えないといけない。伝えなければならない。

 

「ララ、俺はお前の事を嫌いじゃない。でも、好き同士だからって必ずしも結婚出来るとは言い切れないんだ。だから、簡単に結婚出来るという考えは止めて欲しい」

 

結城リトの答えとしては唯一ララを傷つけない説得であり、ララが結城リトを想っているからこその優しい言葉であった。そんな言葉を聞いたララと西連寺春菜の頬は赤くなり、結城リトの事がますます好きになってしまった。ちゃんとララを見ていてしかもフォローも入れてくれる優しさが結城リトの強みであったのだから惚れるのは致し方ない事である。

 

「結城くんの言うとおりで私もそう思うな。もちろん結婚したい人とずっと一緒に居たい気持ちは良く分かるけど、だからって安直に結婚するのは反対だな、て思ったよ?だからララさんはもう少し結城くんの気持ちを尊重した方がいいじゃないかな?」

 

西連寺春菜は微笑んでララにアドバイスを送り、無邪気なララは分かったと微笑んで結城リトに抱きつき、ララの大きな胸は結城リトの身体にグニャリと形を変えるほど強めに抱きついたので結城リトは顔を真っ赤にさせた。

 

「だー!分かってねぇよ!くっつくな!」

「えー?だって私の事嫌いじゃないんでしょ?だったら私の事が好きって事なんじゃないの?」

「はー・・・言ってもムダなのか?リコだったらこの窮地を脱せるかもしれないのに・・・」

 

結城リトには味方が居なかった。ネメシスは黒崎芽亜に用があると結城リトの身体に居なくて、西連寺春菜はただ苦笑いするしかなく、猿山ケンイチは羨ましそうに睨んでいるし、救いのヒーローであるはずの夕崎梨子が居ないので身体にひっつくララをどうする事も出来なかったのだ。だけど結城リトはララに真剣な表情を向けて伝えなければならない事を伝えた。

 

「いいか?ララ、お前の気持ちは良く分かった。だけど俺はその気持ちに対して応じられないかもしれない。だからそんなにベタベタされると困るんだ。もちろん決してお前の事が嫌いって訳じゃないから勘違いするなよ?分かったか?ララ」

 

結城リトの真剣な言葉にララは少しだけションボリと落ち込むも、持ち前の明るい性格のララに戻り無邪気な笑みを浮かべ「それでも大好きだよ」と告白するが結城リトはクスリと微笑み「勝手に言ってろ」と言い放ちララを説得するのを諦めていた。

 

一方、とある公園にて黒崎芽亜とネメシス、ヤミはたいやきを食しながら夕崎梨子についての話題に話が弾む。ギドにより連れ出された夕崎梨子が心配で心配でたまらないヤミに対して黒崎芽亜とネメシスは親友するなと説得しているようだった。

 

「大丈夫だよヤミお姉ちゃん。リコちゃんはいつか私達の妹になるんでしょ?だからお姉ちゃんとして待っておこうよ、ね?」

「そうですね。末っ子のリコを信じなくて何が長女ですか・・・一番年上の私がしっかりしないと笑われますね。もちろん、私をバカにしたらお仕置きしますが」

「おいお前ら、何勝手にアイツを妹扱いにしてるんだ?ま、私としても同類が増える事は喜ばしい事だがな」

 

黒崎芽亜とヤミによる夕崎梨子妹化計画は進行中いや、確定中らしく既に夕崎梨子を妹扱いをしていた。

 

「ララ姫だって三姉妹でズルいでしょ?マスター。だから私達も対抗するべく三姉妹の方が燃えるでしょ?展開的に!ね?ヤミお姉ちゃんもそう思うでしょ?」

「三姉妹・・・良い響きですね?私も大いに賛成ですよ黒崎芽亜。ところでリコにトランス能力をどうやって与えるつもりなんですか?ネメシス」

「ふむ、それについて出来るであろう心当たりの人物が居るぞ。ヤミは聞いた事がある名だろうがな・・・」

 

ネメシスの黒い笑みに黒崎芽亜とヤミは首を傾げた。

 

「ソイツの名は・・・ティアーユ・ルナティークだ」

 

ヤミは目を見開き度肝を抜いて驚いた表情を浮かべていた。ヤミにとってその人物は忘れたくても忘れられない大切な人物であった。何故ならば、その人物こそがヤミの元となっている細胞の持ち主であり、親同然の女性であった。

 

「ティアが・・・いえティアーユが居るのですか!?この地球に!?」

「ああ、メアと共に色々と調べててな?下僕が通ってる彩南高校の教師になろうと頑張っているらしいぞ。ま、もちろん同僚のドクター御門の情報を掴んで一緒に教師生活をする事を目論んでいるらしいがな」

 

ティアーユは御門涼子と共に学生時代を過ごし、ティアーユは宇宙生物工学の分野で並ぶ者がいないと称され天才科学者と謳われるほどの学力を身につけていた。後にティアーユは兵器として産まれたヤミを人として育てようとするも、それを思わない輩がいた。生体兵器として育てようとする組織と対立、抹殺されそうになったため姿を消し、星々を転々として組織から逃れていたのである。

 

「ならその人はヤミお姉ちゃんのお母さん、て事だね。そのお母さんにに会わなくていいの?ヤミお姉ちゃん・・・あ!私にとってもその人がお母さんって事になるよね!?どうしよう!興奮してきた!」

 

黒崎芽亜は無邪気な笑みを浮かべ「でへへ~」とだらしない笑い声をこぼし、身体をクネクネと動かしていた。もちろん黒崎芽亜を造った人物は違うのだが、同じように兵器として産まれてきたヤミを姉と慕うからとティアーユを親と慕うのも特に理由は無いだろう。

 

「くくく、お前もしばらくしたらあの学校に通ってもらうぞ?ティアーユ・ルナティークと会えるかもしれないからな。もちろん、ヤミお前もだ」

「・・・私も、ですか?」

「何か不服か?ヤミ。アイツに会えるのだぞ?」

 

ネメシスの勧誘にヤミは深く考えた。ティアーユ・ルナティークはヤミにとって一番大好きで大切な存在であった。だけど、今まで罪も無い人々を金色の闇として抹殺していたから今更どんな顔をして会えばいいのか分からなかったのだ。

 

「私はマスターの言う事なら全部聞けるよ?だけどヤミお姉ちゃんは誰の指示も受けつけないから自由になれる。そんなヤミお姉ちゃんの好きにしたらいいんじゃないかな?」

 

黒崎芽亜の勧誘はヤミの心に響き、その勧誘を前向きに検討するというヤミの言葉は黒崎芽亜とネメシスに伝わり、三人は笑みをこぼしていた。

 

「ま、私達が立てた計画にはヤミやメア、それにティアーユとドクター御門がいる学校ならば完璧に実行される事だろうな?くくく」

「あ!リコちゃん妹化計画!そうだよ、あの天才二人がいるなら失敗なんてありえないもんね!素敵だよ!」

「そういえばそうでしたね、今学校に行くのをスゴく躊躇いましたけど一気に悩みが吹き飛んでしまいました」

 

三人は大はしゃぎで夕崎梨子妹化計画の成功への糸口が見えはじめ、夕崎梨子の了承無しで彼女達は計画を進めていくのであった。

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