ToLOVEる~変わりゆく運命と恋~   作:叶夢望

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ダークネス其の九

彩南高校に新しい教師がやってくるーーそんな情報は一体誰がどのように広めたのか定かではないが、その教師はとんでもなく美人でありグラマラスな女性であるというのだ。

彼女の名前はティアーユ・ルナティークという女性であり、髪は腰まで届くであろう金髪のロングヘアーであり、基本服装は黒のハイネックにタイトなジーンズだ。シンプルながらもそのグラマラスな体型を強調していた。御門涼子のようなスタイルを持っていて、おっとりとした雰囲気を持っていてしかも眼鏡を掛けているというマニア心を擽る萌え要素が男子生徒の心にときめいていた。

そのティアーユは結城リトが所属するクラスの副担任を仰せつかり、ティアーユは二年A組の教室へとその担任教師骨川先生の案内で移動し、緊張と不安の中、その教室の扉を開いた。

 

ティアーユの目にまず映ったのはララであった。黒くて先端がハート型の尻尾がフリフリと振られていて、クラスのみんなはそれが常識であると特にツッコミをいれてなかった。

 

(あの子はデビルーク星人?何でこんな所にいるのかな?私が言うのもおかしいんだけど、あんな遠い所からわざわざこの地球に来るだなんて何かあるのかな?)

 

次にキョロキョロと見渡し、一人の男子生徒がクシャミをし、煙を包み込みその彼は彼女となっていた。その様子をクラス一同は一瞬驚くも特に気にしないでいた。

 

(あ!あの子はメモルゼ星人!この学校とても宇宙人が居るみたい!私も宇宙人なんだけど、なんだか不思議な感覚ね)

 

この彩南学校に宇宙人が多数居る事への安心を感じて、ティアーユは彼らに晴れやかな笑顔のまま自己紹介をして最後にニッコリと微笑んだ。すると男子生徒はその笑顔にときめいて中には涙を流す者もいたそうだ。

 

「うふふ、よろしくね?みんな」

 

ティアーユ副担任就任祝いでクラスは大盛り上がりで、拍手喝采を交わしていた。

そんなこんなで美人で性格が良いティアーユの噂は一日もしない内に学校中に広まり、ティアーユを見たいが為にわざわざ見にくる生徒もしばしば居たのだ。

ヤミと黒崎芽亜それに黒崎芽亜の身体の中に居るネメシスは影ながら見守っていた。

 

「ティア・・・良かった、生きていた・・・たいして変わってなくて安心しました」

 

ヤミはティアーユの姿を目撃し、目に僅かな涙を浮かべていた。かつてヤミが生命兵器として産まれた時、人としての生き方を教えてくれた親であり姉でもあった。だけどある日突然とある組織の攻撃によって離れ離れになり数年間も音沙汰が無くなっていた。だけど、その人物が現れてどう接したら良いのかヤミは分からなくなっていた。

 

「ねぇヤミお姉ちゃん、何だったら私と一緒に行く?恥ずかしいから足が震えているよね?」

 

黒崎芽亜の言葉にヤミは自分の足を見た。プルプルと震え今にも倒れそうなぐらい震えていた。人としてのヤミならばすぐに駆けつけたかった。だけど兵器としての金色の闇であったヤミは何人も何人も人を殺めた罪の意識が強くてティアーユに会わせる顔が無かったのだ。でも、今は殺し屋金色の闇ではない、護り屋金色の闇である。しかし、過去の罪は拭いきれないのだ。

 

「ヤミよ、心が泣いているな?それは兵器として不必要なモノだ。そんなお前は自分の事を兵器だと言い切れるのか?」

「ーーっ!そ、それはっ!」

 

ネメシスの言葉に反論したかった。生命兵器だとしても殺戮兵器だとしてもヤミの心はあるのだ。以前交わした夕崎梨子の契約を思い出していく。初めて殺して欲しいという依頼では無く、護って欲しいという願い、そして信用とそこに居てもいいというヤミの希望がヤミの黒い心は浄化されていくのを感じていた。

 

「更に言うが、今のお前は殺し屋を廃業しているのだろう?何を戸惑っているのだ。悩む必要は無いぞ」

「そうだよ、ヤミお姉ちゃん。私は賞金稼ぎとして悪い人やっつけているけどそんなの関係無くお母さんに会いたいよ。どんな憎まれ口を叩かれようとも私はそれを受け入れる覚悟はあるよ」

 

黒崎芽亜はネメシスによって賞金稼ぎとして育てられ、トランス能力をフルに活用出来るようになり、それ以来ネメシスは黒崎芽亜の身体に憑依し長年賞金稼ぎをやり続けていた。そしてついに黒崎芽亜自身は善人となり、悪い人を見つけたら直ちに排除するまでとなり、己の正義を執行していたのだ。そんな黒崎芽亜の説得でも、なかなかうんとは言わなかったのだ。

 

「いいのか?あの計画は?アイツとドクター御門の力が無いと出来ないぞ?そもそもお前を含め私達がアイツに直接頼まないといけないから遅かれ早かれ会う事には間違いないのだぞ?」

「・・・・・・少しだけ考えさせてください」

 

ヤミは暗い表情を浮かべトランス能力を使い白くて大きな翼を生成し、空高く舞い上がった。その様子を黒崎芽亜とネメシスはただ見守っていた。

 

「ねぇ、マスター。本当に私達のお母さんと御門せんせーが手を組んでただの人間にトランス能力をつける事って出来るのかなぁ?」

「さあな。しかし是が非でもやってもらうぞ?アイツらは天才だからな?それに、それらしい理由も考えているんだ。くくく」

 

ネメシスは黒い笑みを浮かべ、黒崎芽亜の身体に憑依し姿を消した。黒崎芽亜はネメシスの思惑に期待を膨らませ屋上から姿を消していった。

それから数日後の昼休み、屋上でベンチに座りヤミは本を読んでいてその本がよほど面白いからか夢中になっていた。だんだんと近づいてくるティアーユの存在に気がつかなかったのだ。

 

「イヴ?イヴだよね?私に良く似た生徒が最近屋上に居るって聞いて確かめに来たけど・・・」

 

ヤミの本名であるイヴという名にヤミの耳に届き、夢中になって呼んでいた本をパタンと閉じ、無表情の顔でティアーユをじっくりと観察するように見つめている。

 

「違います、人違いです」

 

ヤミはティアーユが知るイヴではなかった。夕崎梨子によって与えられた護り屋ヤミという名であったので、少しだけ怒った表情を浮かべていた。そのヤミの表情を見たティアーユは唇を少しかみ締め悔しさの表情を浮かべ俯いていく。

 

「ごめんね?イヴ。あの時置いてきぼりにしちゃって・・・言い訳になるんだけど、貴女を助けようとして色んな所探してもどこにも居なくて・・・それで私一人助かるのが精一杯で置き去りにしちゃった・・・」

「・・・私はそのイヴではありませんが恐らくその彼女ならこう言うのでしょう。助かって良かったね、と」

「ふふふ、イヴが女の子であると私言ったかな?やっぱりイヴは嘘をつくのは苦手だね?」

「・・・迂闊でしたね。しかしイヴという名が男なのはあり得ないでしょう」

 

ヤミはションボリと落ち込んだ表情を浮かべ頭を垂らし、ティアーユの姿を直視したしなかった、いや出来なかったと言った方がいいだろう。何故ならばティアーユも助けられなかったヤミを直視出来ず罪の意識を感じていたからだ。

 

「イヴ・・・隣座っていい?お話したいんだけど」

「私はイヴではありませんが、どうぞご自由に」

 

ティアーユは感謝の言葉を伝え、ヤミの隣に腰を掛けた。だけど、言いたい事がなかなか言えず、ティアーユはしばらく無言となり、いつまでもヤミを受け入れないというのも親として情けないので深く深呼吸をし、だいぶ落ち着きを取り戻したティアーユはヤミの顔を直視した。

 

「あの時の事を許してくれるとは思わない。だけど、あの時からずっとイヴの事を心の底から心配して謝り続けていたの。今もそうよ?私が貴女を見捨てたからイヴは金色の闇と呼ばれる兵器になっちゃった」

「はい、その通りです。貴女と会った時の私は何色にでも染まる純粋な子供でした・・・いえ、まだ赤ん坊のままだったのでしょう」

「そう・・・あの時のイヴの色は白色だった。言うなれば白色のイヴだったけど、その色は私のせいで漆黒の暗い色の闇に包まれて、黒色の闇になっちゃった・・・」

「私はそれが正しい、それをやらないと悪になる・・・本当は殺し屋をやりたくありませんが自分が兵器だと思い込むまでになり、心は無になりました。何故なら私は何色にでも染まる赤ん坊ですから」

「ごめんね、本当に、うぅぅ、ごめんね?イヴっ」

 

ティアーユはただひたすら謝った。数年間兵器として扱われたヤミ、いやイヴを数年分謝り続けた。ティアーユは涙が枯れるほど涙を流し続け、許しをこう。だけど、泣いて謝り続けるティアーユにどんな声を掛けたらいいのかヤミは分からなかった。ヤミは育ての親に伝えなければならない事がある。最近までは生命兵器であり宇宙一の殺し屋金色の闇はある一人の少女によって宇宙一の護り屋ヤミちゃんとなっている事を伝えなければならないと・・・だって、ティアーユは人として大切な事を教えて貰ったのだから。

ーー友人を作ればヤミの世界は変わる

殺し屋金色の闇時代では友人は居なかっただけど、護り屋ヤミちゃんになってからは友人が増えていったのだ。兵器だと知ってもそれが関係無いと一人の女の子として認めてくれる友人が居る。だから、ティアーユを心配させないようにしないといけない。それがヤミにとって、かつてのイヴにとっても"親孝行"なのだから。

 

「でも私の色はまた染まりました。虹色のような色んな色が混ざり合って、それでいてその色は輝いているのです。どの色も邪魔しない色達は私を染めてくれました」

「・・・え?どういう事なの?イヴ」

「かつての私の色は純白でありました。それで漆黒の闇の色になりました・・・そしてまたその色はある人により染まって虹色の輝いた色になってかつてあった闇は晴れて光になりました」

「そう・・・つまりはお友達が出来たという事なのね?イヴ。でも、変な言い回しね?誰の影響なの?」

 

ティアーユの質問に思わず顔を赤くして俯くヤミは、脳裏に無邪気な笑顔で笑う夕崎梨子の姿が過ぎった。その夕崎梨子のおかげでヤミは赤ん坊から子供にようやくなれたような気がしていた。その成長を促した夕崎梨子に

感謝の気持ちを込めてほんの少し口角を上げてヤミさ微笑んだ。

 

「私の大切な親友です」

 

ヤミの言葉に耳を疑って目を見開き驚いた表情を浮かべたティアーユは口を両手で隠していた。かつてティアーユはヤミが幼い時友人を作れと約束したはずだった。だけど、その友人より関係が上な親友を作るなんて夢にも思えなかった。

 

「そう・・・ならその子と会わせて欲しいな?親として娘がどんな子と親友になっているのか見過ごせないわ。だからいつか教えてね?」

「だったら早く会えます。この学校に居るからいつでも会えますよ?」

「え!?この学校に居るの!?偶然ね?何年生なの?」

「二年生です。彼女が居るクラスはAだと聞きました。まだ私はそこに遊びに行っていませんが」

「私のクラスじゃないの!すぐに行きましょうイヴ!こんな所で一人寂しく本なんか読んではいけません!」

 

ティアーユは立ち上がり興奮気味でヤミの腕を引っ張りあげドタバタとした足取りでA組の教室へと向かい、教室の扉を開き、生徒達が食事をしていたが急に現れたティアーユとヤミの登場に驚きを隠せなかったのだ。

 

「誰!?誰なの!?イヴ!まさかここじゃないのかな?ねぇねぇ!」

 

ティアーユは興奮気味でヤミに問いかけるも身体が低いヤミでは人を探すのは少し困難であった。少し背伸びをして目線を泳がせると驚いた表情を浮かべている夕崎梨子の姿が見えたので、ヤミは夕崎梨子に近寄り軽い挨拶を交わしていた。

 

「ヤミちゃん?そうかこの学校に入学したんだね?おめでとう。その制服似合っているよ?」

「ありがとうございますリコ。それよりもリコを紹介させて欲しいとある人がどうしても頼むものでいきなりの訪問になりました」

 

ヤミはティアーユに手招きをし、ティアーユはパタパタとした足取りで歩き、深々と夕崎梨子に向かってお辞儀をして、自己紹介を交わしてゆく。

 

「ティアーユ先生それでボクに何の用なのかい?」

「あのイヴの親友だと聞いて直接見に行こうかと思って・・・貴女だったのね?」

「・・・?イヴ?誰の事なのかい?」

 

夕崎梨子はヤミの本名を知らないので首を傾げて分からない様子を見せた。ヤミはティアーユに耳打ちで自分の事はヤミという名で通しているのでヤミと呼んでくれと頼み、ティアーユはその要求を呑んで頭を縦に振って肯定の意を表していた。

 

「ごめんね?ヤミの事を言ってたんだ。イヴはヤミのあだ名みたいなものでね?あんまり気にしないで?」

「ああ、そういう事か。そうそう、ヤミちゃんと親友かという質問に対してはもちろんその通りだよ。ボクはヤミちゃんの事が好きで信用しているから親友だよ。ね?ヤミちゃん」

 

夕崎梨子はヤミにソッと軽く頭を撫でて、子供扱いされるのが恥ずかしいからかヤミは顔を赤くして夕崎梨子のナデナデ行為から解放したいから逃げていった。

 

「ふふふ、恥ずかしがっているね?ボクとしてはもう少しヤミちゃんの柔らかい髪質を堪能したかったのだけどね?嫌われたらボクは泣いちゃうよ」

「大丈夫ですよ?リコ。いずれ私達の末っ子になるのですから甘えん坊で泣き虫な妹になるといいのです」

 

ヤミの末っ子宣言にティアーユは驚いた表情を浮かべた。末っ子とはどういう意味なのか?そもそもヤミの他にトランス能力を持った人が居るのか知らないティアーユはただその場に立ち尽くし言葉を失っていた。

 

「い、一体どういう意味なの?イヴ」

「言葉の通りで、私には妹がいます。一人は黒崎芽亜ですが後々に紹介しましょう。そして、いつか末っ子になるリコですね」

 

ヤミは、はにかみながら夕崎梨子を末っ子だと紹介しティアーユと夕崎梨子は愕然としていたのであった。

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