ネメシスによる夕崎梨子妹計画が彩南高校の保健室にて実行されようとしていた。
その場にいる夕崎梨子、黒崎芽亜、ヤミ、御門涼子、ティアーユは驚いた表情を浮かべていた。
「くくく、どうした?メアにヤミよ。リコちゃんを妹にするのではなかったか?そんな驚く顔するな」
「えへへごめんね?マスター。いきなりそんな事言っちゃうからびっくりしちゃった。ね?ヤミお姉ちゃん」
「はい、黒崎芽亜の言う通りです」
ネメシスから計画を教えて貰った二人は一旦落ち着くも、夕崎梨子と御門涼子それにティアーユは落ち着かずに困った表情を浮かべるしかなかったのだ。
「詳しく話してくれるかしら?ネメシスちゃん」
「そ、そうよ!いくらなんでもその頼みに、はいそうですかと言える訳ないでしょ!?」
御門涼子とティアーユは困った表情のままネメシスに問い詰めるがネメシスはニヤニヤと黒い笑みを浮かべて、二人に落ち着けと言い放ち、静かにさせた。
「ま、お前達の言いたい事は分かる。けどな、いずれ必要な時がある。先程話した通りにリコちゃんはイレギュラーな存在でな、私達の目を盗んでよからぬ企みをする悪者が現れてリコちゃんを連れ去られたらどうなると思うか?ドクター御門よ」
「そうね、ただじゃ済まない事は分かる。だけど、そうなる前に貴女達が退治したらいいんじゃないの?四六時中ずっと見張れとは言わないけど、リコちゃんの家に居たり、傍に居たりしたらいいじゃないの?」
「はっ!?た、確かに!マスター!御門せんせーの言う通りだよ!私達がリコちゃんの家に泊まればいいだけだよ!それでみんな家族になれるよ!」
黒崎芽亜は興奮気味にネメシスの身体に抱きついて夕崎梨子の家に居候しようと提案し、ヤミもその提案に納得しているようでそれはそれでいいと思うようになっていたのだ。
「くっ!しかし、改造するしない関係無くリコちゃんに何らかの攻撃手段を与えた方がいいと思うぞ?いくら私達が強いからって、敵がそれより弱いとは限らないぞ」
「でもイヴはダークネスを自分のモノにしたんでしょう?結構な戦力になると思うよ?」
「ティアの言う通りですよネメシス。自慢ではありませんが、ダークネスになった私が負ける気はしませんよ」
ヤミは胸を高らかにそしてどこか顔にやる気を感じさせるような表情を浮かべていたのだ。そんなヤミを見た夕崎梨子は微笑みを浮かべヤミの頭を撫でて「ありがとうね、ヤミちゃん」と感謝の言葉を伝え、ヤミは顔をわずかに赤くなっていた。
「ふぅー、ネメシスちゃん?そういう事だからリコちゃんにトランス能力は与えられないわよ?悪いわね」
「くくく、そうか。ならば万が一に備えてリコちゃんでも扱える危険ではないモノを作ってくれないか?そればかりは聞いてもらわないとな?ドクター御門にティアーユよ」
「はいはい、携帯用に小型化の何かを作ってあげるわよ。ね?ティア」
「う、う~ん、女の子がそんな危ないモノ振りましたらダメなんだけど、状況が状況だから仕方無いわねぇ」
ネメシスの要求に渋々呑む二人は苦笑いを浮かべながら、夕崎梨子を護る何かを作る事にしたのである。そして用事が済んだからかネメシスと黒崎芽亜とヤミは保健室から出て行くが、ヤミと夕崎梨子はどこか顔を赤くしてスカートをモジモジと弄って恥ずかしがっていたのだ。
「どうしたの?二人共?具合でも悪いの?」
御門涼子は二人の様子がおかしいので風邪なのかと診察するが、どうやら病気でも怪我でもないらしく、二人は声を揃えて御門涼子に伝えたのだ。
「ぱ、ぱ、パンツをくださいっ!二人分!」
突然の下着の要求に御門涼子とティアーユは目を丸くして驚いた表情を浮かべていた。どうやら彼女達が下着を失ったらしいのだ・・・
事の発端はとある休み時間、ヤミは夕崎梨子に会いに行こうとして二年A組の教室へと移動し、夕崎梨子の姿を目にしてヤミは少し嬉しそうな表情を浮かべ、夕崎梨子の元へと歩んでいた。
「やぁ、ヤミちゃん。どうしたんだい?」
「はい、昼休みか放課後を使って、地球の本の内容について聞きたい事がありまして、空いている日を確認をしたいのですが・・・」
「うん、明日の放課後でいいよ?それよりもボク達は親友じゃないか。だから気軽に誘ってくれよ?ヤミちゃん」
「はいっ、そうですね。私達は親友でしかも姉妹なのですからね。姉の言う事を聞くのは末っ子の運命なのですから仕方無いのです」
「ふふふ、本気でボクを妹にしたいようだね?まったく・・・仕方無いワガママヤミお姉ちゃんだよ」
ヤミと夕崎梨子の会話がとても興味津々なのか結城リトが彼女達の前に現れ、姉妹とはどういう事かとヤミに問い詰めるとヤミは言葉の通りだと伝えた。しかし、結城リトは怪訝な表情を浮かべ、全然理解出来なかった。ヤミと同じようにトランス能力をもっていないのに姉妹とはどういう意味なのか分からないのも無理はないのだろう。
「結城リト、これは女の子だけの秘密な話です。どうしても聞きたいのならば、私を倒してください」
「ムリだよ!返り討ちにされるのがオチだよ!」
「ふふふ、今のヤミちゃんを倒しても第二のヤミちゃん更には第三のヤミちゃんがキミを襲うのだろう」
「なんだその打ち切り漫画的設定は!売れなさそうな漫画だよ!リコお前面白がっているだろ!」
三人の漫才のような会話は教室に響き渡り、クラスメイトはクスクスと笑い声を堪えられない様子で彼らの様子を見ていたのである。
「結城リト、貴方はその打ち切り漫画の主人公かもしれませんが、何か力を秘めているのでしょう。さぁ、力を見せてください。たいした事はないでしょうが」
「くっ!腹が立つ!いつになくヤミがイキイキしているのは嬉しい事だ!ヤミの目がキラキラと輝いているのは初めて見た!ヤミはこんなにはしゃぐ事があるのか!」
「ふふふ、ヤミちゃんは黒幕役みたいだね?打ち切り漫画的に俺達の戦いはこれからだ、という幕切れで終わりそうだよ。どうする?リト」
話がヒートアップし、ヤミははしゃぐようにトランス能力で髪を数本の刀を生成し、自由自在に動かしていた。ヤミの正体は数日前に学校中に知られていてトランス能力を使う事はヤミの常識であると認知されていたのだ。
それはそれとして、ヤミははしゃいでいてトランス能力により生成された髪で作られた刀を振り回したら、思わぬアクシデントが起こったのだ。
パサリ、と二つの布が夕崎梨子とヤミのスカートの中から落ちたのだ。一つはピンク色のフリルがついた下着と一つは純白の下着であったのだ。
「ーーーっ!?きゃあ!!」
「ーーーっ!?えっちぃのは嫌いです!」
二人は顔を真っ赤にして、スカートに手で押さえ思わず座り込み、素早く切られた下着を手に取り、夕崎梨子が結城リトの左頬を、そしてヤミは結城リトの右頬を同時にひっぱたいてしまったのだ。結城リトは悪くないのだが、結城リトは落ちた下着を直視したので乙女の純情を傷つけてしまったのだ。だからやはり結城リトは悪いのだ。そして、下着を求めに保健室へと向かう事にした夕崎梨子とヤミなのであった。
「そう、大変ね?下着の替えはいくらでもあるのよ?だから好きなのを選びなさい」
御門涼子は女性用下着が多数入っている大きな箱を取り出し、下着を失った彼女達は顔を赤らめながら、内股気味に下着を適当に選び、その下着を装着する事が出来た安心からか彼女達は深いため息を吐いていた。
「もう、ダメでしょ?イヴ。無闇にトランス能力を使ったら」
「はい、以後気をつけます。ごめんなさいティア」
「ん、よろしい」
ティアーユは微笑みを浮かべヤミを我が娘のように説教し、ヤミの頭を撫でて、ヤミは気持ちよさそうに目を閉じなされるがままに頭を弄ばれた。その様子を見た夕崎梨子は小さく笑い、用も済んだし家族の団らんを邪魔したくないので保健室から出る事にした。
「ふふふ、さて涼子先生にティアーユ先生、色々とありがとう。それじゃあ」
夕崎梨子はペコリと一礼し、保健室から出てその後に続こうとヤミも御門涼子とティアーユ先生に向けて一礼し、保健室から出て行った。
「ふぅ、大変なお友達を作ったものね?リコちゃんは」
御門涼子は椅子に深く座り、苦笑いでティアーユに語りかけ、ティアーユも苦笑いを浮かべるしかなかった。ただの地球人の女の子が兵器であるヤミや黒崎芽亜それにネメシスの心を開き共に大切な友人となっていたのだ。
「夕崎さんは不思議な女の子ね?本当にただ者じゃない感じがするんだけど、それでもか弱い女の子で脆い子みたいだわ」
「その通りよ、ティア。あの子の周りには常に人が集まって居るわ。あの子は一人ぼっちが嫌で仕方無いみたいだわ」
「つまりは夕崎さんは寂しがり屋なのね?一人が嫌な女の子で甘えん坊なのね、うふふ子供みたいね」
「ヤミも大人になったとはいえ、ティアからしたらまだまだ子供だから子供同士気が合うのかもしれないわね」
ティアーユと御門涼子は夕崎梨子の友人関係の広さに関心し、その友人も夕崎梨子の事を好いているのを確認したので心温まる気持ちに胸がいっぱいになっていたのである。