ララの転入から数日後、またもこの彩南高校に転入生が現れるのだという。
その情報網をどこから入手してきたのだろうか?それよりもどんどんと転入生が来る事を不思議に思う結城リトだった。
もしかしてララの婚約者を亡き者する為の宇宙からの刺客ではないか?と
しかし、ザスティンの話によると地球へと忍び寄る不審な宇宙船を次々と検問して悪者と見なした場合それ相応の対応をするという。
でも、ザスティンらの検問をかいくぐる悪者の宇宙人が現れる可能性も低くはないし、そもそもララ一行の宇宙人らが来る前からこの地球に宇宙人がいるとするならば外部から来るという手段が必要なくなるというのだ。
そう思う結城リトはただその転入生がますます怪しいと警戒を強くしていた。
(俺の思い過ごしであればいいんだけど)
その転入生がただの人間であったのならばそれでいいが、時期が時期な為に警戒の他の文字が見当たらなかったのだ。
そんな不審な転入生が結城リトらのクラスへと転入し、その彼は自分の名を名乗った。
「僕はレン・エルシ・ジュエリア」
彼は爽やか系に分類されるイケメンでそのスラリとした体型に爽やかスマイルフェイスに一部を除き女子生徒はときめいていた。
「そして僕はララの婚約者でもあるのだ!」
レンはとんでもない爆弾発言を投下した。
ララには結城リトという婚約者がいるのにも関わらず、二人目の婚約者が現れる事によって大騒ぎになってしまった。
「えっと、誰だっけ?」
ところがそのレンの婚約者であるララは記憶にない様子だった。
ララは結城リトを好いているのでその他の男性に好意を抱くつもりもないし抱くはずもないのだろう。
「幼なじみだったではないか!覚えているだろ!?泣き虫レンちゃんだよ!」
「へ?え、え~っと、ごめん、本当に忘れちゃった。ごめんなさい」
ララはペコリと頭を下げ謝ったのだが、その態度にはいそうですかと引き下がるレンではなかった。
「ならばまた一度僕と結婚を前提にお付きあいしてくれ!」
「それは無理だよ。だって、私には結城リトっていう婚約者がいるんだもん」
ララは近くにいた結城リトを抱きつき、仲が良い事を見せびらかすようにした。
自分が好意をもつあのララが他の男性にひっつくとは思えなかった・・けど、その男よりも自分が優れているのを見せればひよっとするとララが振り向いてくれるかもしれない。
「キミが結城リトか!?勝負だ!絶対に負けられない!」
幼い頃にララと約束した男らしくなったら結婚して欲しいというのをララは快く受けてくれたのだが、今ではどうやらララはすっかりと忘れたようだ・・という事はララは結城リトが自分よりも男らしいという事になるのだろうか?とレンは思案していく。
だから結城リトよりも男らしく強くたくましい自分になればララは自分の事を好きになるはずだろう。だから何よりも何事よりも結城リトよりも上である事を証明しなければならないのだ。
「僕は結城リトよりも早く食事を済ませる事が出来るぞ!」
「僕は結城リトよりも速く走れるし、歩けるぞ!」
「僕は結城リトよりも教室から出入り出来るぞ!」
「僕は結城リトよりも何もかもも上なんだぞ!」
ララに結城リトよりも上な自分を見せつけたし、証明したはずだったのに
「え、えっと、それで?」
ララは認めてくれなかった。
自分が何よりも上だと言うのにララは振り向いてくれなかった・・それが悲しくなって無我夢中で屋上へと走り出していた。
するとその屋上に一人の女子生徒がいた・・それは夕崎梨子であった。
「やぁ、レンくん。ようこそ彩南高校の屋上へ」
不思議な女性だった。
レンにとってはララには劣るけど、目の前にいる夕崎梨子はどこか魅力的な女性だった。
「キミは一体誰なんだ?」
「あぁ、自己紹介が遅れたね。ボクの名は夕崎梨子だよ。気軽にリコちゃんとでも呼んでくれ」
ーー夕崎梨子
彼女の名を知ったレンは繰り返すように呟きその名を胸に刻んだ。
ララ以外の女性にこうも心引かれるのは初めての経験であり、無条件で彼女ならばと信頼出来ると思う事が出来たのも初めてだった。
「少しだけ、話聞いてくれるかな?リコさん」
「あぁ、いいとも。気軽に話してごらん?」
不思議な彼女はこうも自分の頼みをすぐに解決しようとするのか理解に苦しんだ。だけど、恐らく彼女は誰でも優しく出来る唯一の人物であろう。
「男らしくなったのにララは僕を好きにならないんだ」
「ふぅん。それなりに努力したがダメだと?」
「あぁ、僕はどうしたらいいんだろう?」
「その前に一つだけ聞きたい。ララちゃんは本当に男らしい人が好きだと思っているのかい?または本人からそう聞いたのかい?」
「え?」
夕崎梨子の言葉にしまったと思っていた。
確かにララは男らしい人が好きとは言ってはいないが、自分がそう思っただけに過ぎなかった。
「ふふふ、やっと気づいたのかい?そう、レンくんは自分勝手に彼女の好みを押しつけたんだ」
「・・・」
「でも、一つだけララちゃんがキミを好きになるかもしれない方法があるんだ」
「っ!!?だ、ダメだ!それは僕が見つけるんだ!それは僕のやり方じゃない!リコさんのやり方だ!」
「分かっている。だけど、アドバイスだけは送ってあげる。自分を信じてララちゃんを信じてあげるただそれだけでおのずと道は開かれるよ」
「・・ララよりも早くリコさんに会っていたら僕はキミの事を好きになっていたかもしれないな」
「ふふふ、そればかりはどうにもならないよ。だって、過去は変えられないのだから」
「・・話は済んだ。もう帰るとするよ」
夕崎梨子は本当に不思議な奴だった。
だけどこの気持ちはなんなのだろう?この胸がときめいていてほんの僅かなんだけど胸が苦しくなっていた。
その感情はララに向けられるものとは違うような気がしていた。
自分は本当にララの事が好きなのだろうか?
そもそも、好きという感情はなんなのだろうか?
ララと夕崎梨子の違いが正反対でもあり別次元でもある違いが頭を悩ませた。
(・・まさかあの子が気になるなんて)
恋愛感情でもないような気がしなくもないが、どうしてでも夕崎梨子の姿が脳から離れてくれないのだ。
(だけど僕が抱えるあの秘密を知ったら驚く事は間違いないだろう)
彼にはどうやってでも解決出来ない大きな秘密があったのだ。
へっくしゅん、とレンはクシャミを行った。
するとそのレンは男から女へと性別を変えてしまった。
実は彼ーー否、彼と彼女はメモルゼ星人という宇宙人であり、特徴として、男女変換性質がある。
彼らの故郷である砂漠の星では周期ごとに入れ替わっていたが地球の環境と合わないからかクシャミをするごとに性別が変わってしまった。
(リコちゃん、か。本当に変わった子なんだね)
レンから入れ替わった女の名はルン。
爽やかイケメンのレンと打って変わり、ルンはスタイルの抜群な美少女へと変身していた。
ルンはレンの時に過ごした経験や記憶を保持したまま変わる事が出来るのだが、逆の場合はほとんどの事を忘れているようになっているという。
でも、そんな秘密だって夕崎梨子ならば受け止めてくれるかもしれない。
(私と友達になれるかもしれない・・ううん、リコちゃんから友達になってとか言われそう)
会って数時間もしないのに信頼を築けるようになった。
彼女ならばどんな秘密だってどんな弱点だって受け止めてくれそうな存在なのだから。
(私は逃げない。どんな過酷な道だって立ち向かえる)
その心に静かに闘志を燃やし、またクシャミをしてレンに戻ったのだがそれに気づかないのかレンあるいはルンは己の道を歩み続ける。
「結城リト、僕は絶対に諦めない」
結城リトに改めて宣戦布告をする。
男らしいとか誰がララに相応しいとか一切関係無い。
ただあるのは自分が自分でありその自分を極めていく事こそが最大の試練なのだから。
「え?いったいどういう事か知らないけど、頑張れよ」
結城リトは何がなんだか分からないけど真剣な眼差しをするレンに敬意を払い不敵に笑う。
どうやら彼の真剣な目を感じ取り、男と男の勝負のような気がしてならない・・結城リトとレンは恐らく恋のライバルになるのだから。
しかし、ライバルになるのはいいが、レンは迷っていた。
彼はララの事は好きだし、結婚だってしたいと思っているのだがそれ以上に夕崎梨子の事が気になってしまったけど、それでも決断するべき時があるのだろう・・それまでの間は待って欲しいと願いつつ今日も自分を磨きつつけるのだろう。
「僕は筋を通す」
自分との約束を果たす為に今日も戦い続けることを誓いながら彼は闘志を燃やし続けるのだろう。
ルン回もあります!少しだけお待ちを!