深夜。やたら暑くて目を覚ますと、小さく寝息を立てている彼方の顔が真横にあった。
「・・・彼方、ねぇ彼方」
体をゆする。
「ん・・・顔に似合わず・・・キミのはおっきぃな・・・」
「どんな夢見てんだよっ!起きろッ!」
がばっと布団を剥ぎ取った。
「あぁ、おはよう・・・もう朝かい・・・?」
「違うよ!って・・・」
ホットパンツとノースリーブという、防御力の低い彼方の装備に、僕はつい目をやってしまった。
「っ!!感じるッ!キミから欲情の香りがッ!これはチャンス!?」
「ちっ違うよ!?別に見てないよ!?」
「・・・見てない?何をだい?私は何も言ってないけれど、キミは私のどこを見てくれていたというんだ?」
「あっ、いや、違くて・・・」
「そう照れないでくれよ・・・キミにならいくら見られても見られたりないくらいさ・・・」
そう言って彼方は、左手で肩紐、右手でホットパンツの裾を引っ張った。
「ちょっ、ちょっと彼方!見えちゃうよ!」
「キミは本当に可愛いなぁ!何度も見せているのに未だにその反応・・・たまらないよ・・・!」
「もう何でもいいからそれやめて・・・」
ふむ、とつまらなそうに息を吐くと、彼方ははだけた服を直してくれた。
「さて、今日は子供ができる日なんだ。子作りしようか!」
「一息つく間もないよッ!品性はどこに置いてきたんだよ!」
「下らない品性にかまけて異性を逃がす臆病者にはなりたくないのさ、さぁおいで・・・たくさん可愛がってあげるよ・・・」
「おいでってそこ僕のベッドだから!帰れよッ!まず何でいるのか説明すらないよ!」
「いや、覗きにきたら気持ちよさそうに眠っていたから、ゼロ距離マスカキでもしてやろうかと思ってだね・・・そのまま勢いで寝てしまったんだ」
「表現はオッサンだしやってることは犯罪だし言ってることは最悪だしッ!なんだよコレは!なんなんだお前は!」
「オマエ・・・なんて・・・大学卒業までは結婚しないと言ったのはキミじゃないか・・・もう亭主気取りかい・・・全くもって悪くないっ!」
くっ!一切悪びれない・・・!なんでこんな真っ直ぐ歪んでいってしまったんだ・・・!かくなるうえはっ!
「・・・彼方」
「なんだい?あ、一応初めてなんだ。優しく頼むよ・・・」
「・・・あんまりなめない方がいいよ?」
「えっ」
彼方を押し倒す。そうだ、オトコの怖い所を見せてやれば彼方も反省するハズ・・・!
「僕だって男なんだし・・・それに、僕の部屋まで上がり込んできて挑発して、どうなっちゃっても知らないよ?」
「・・・か、カオがなかなかに近いな、ウン・・・」
・・・あれ、ひょっとして手応えアリ・・・?
「ねぇ彼方、いつも僕をからかってばっかだし・・・偶にはやられる側の気持ちにもなりなよ・・・」
そう耳元で言って、彼方の耳を丁寧に舐める。いつもの仕返しだ・・・!
「ん・・・き、キミからというのも、・・・んっ、新鮮で・・・悪く・・・ない・・・」
・・・あれ、なんか変な気分が・・・彼方をイジめたくなってきた・・・
「キミ・・・?今は僕がオシオキしてるんだよ・・・キミじゃなくて、ご主人様、ね?」
「~~ッ!ご、ご主人・・・様ぁ・・・」
「そう、よしよし、いい子だね・・・ほら、目隠ししてあげる・・・」
「う、うん・・・何をするんだい・・・?」
タオルで目を塞ぐ。彼方が赤い顔で僕の胸元にしがみついてきた・・・やばい、ドキドキする・・・!これはやばいぞ・・・!
「ほら、彼方・・・後ろを向いて、壁に手をついて・・・そう、お尻をつきだしてごらん・・・?」
「あぁっ・・・!はい、・・・ご主人様ぁ・・・!」
「うん、いい子だ・・・それじゃあ行くよ・・・!」
「はぁ、はぁ・・・はやくぅ・・・!お願いします・・・!」
その瞬間、ガチャン、とドアが開いた。
「彼方ちゃん来てるの~?明日学校だから早く寝な・・・さ・・・」
「「あ」」
この後めちゃくちゃ説教された。
終始服はちゃんと着ています。あぁKENZENだぁ・・・!