攻 略 完 了
「麗さんは僕と結婚するべきだと思います。」
「・・・」
最近僕は夕飯の際に毎晩プロポーズしている。お相手はもちろん、小さい頃からずっと大好きな麗さん。
「麗さんと世界一付き合いが長いのは僕だし、1番理解しているつもりだし。それに、わりと趣味も合うじゃん?ジャズが好きとかさ」
「旦那様。食事の最中ですので、あまりお話しすぎるのは行儀が悪いですよ」
「行儀なんかじゃ僕のプロポーズを止めることはできない!続けるよ、僕は麗さんのいいところを100個余裕で言える。可愛い所、家事全般完璧な所、頭がすごくいい所、意外とドジな所、あと可愛い所」
「わりと序盤でネタ切れしてます、旦那様」
「クッ!まだだ!毎朝起こしてくれるところ!私服もメイド服も似合うところ!手料理がすごく美味しい!掃除が上手!部屋が綺麗!美人!かわいい!」
「後半は家事全般です。ネタ切れしてます。」
くそぅ、徹夜で渾身のホメホメプロポーズを考えたのに、麗さんの食事のてを止めることすらできない・・・。あ、と思いきやフォークを置いた。
「・・・私は旦那様の従者です。これから先の人生を、大恩を受けたお母様にお父様、何より旦那様に捧げていく所存です。旦那様は昔から、お世話係の私に好意を向けてくださっています。ですが、私はあなたにもっと広い視野をもって生きてほしい。小さい頃からあなたは、私に縛られているように見えるのです。・・・私は心配しなくてもずっとこの家の従者で・・・生涯旦那様のものですから、安心して、沢山の経験をして欲しいんです」
生涯旦那様のものですのあたりで鼻血を吹きかけたが、なんとか堪える。
でもそれじゃだめなんだ、僕は欲張りだから、従者なんかじゃ満足出来ない、捧げられるだけなんかまっぴらごめんだ。
「・・・あんまり僕を侮らないでほしいな。今年で僕もはたちになるけど、麗さんと出会って16年間にもなるし、あなたを好きになって随分経つのに、本当にあなた以外目に入らない。日を重ねれば重ねるほど、どんどん好きになるんだ。麗さんがずっと僕に仕えるって言うなら、僕はいつまでだってあなたに恋をし続ける。・・・だから、大好きです麗さん!!絶対将来本当の旦那様になるから!!ご馳走様!!」
言ってる途中でめちゃくちゃ恥ずかしくなってきたので、それだけ言って食卓をたって去ろうとした。
去ろうとして、麗さんに袖を掴まれた。
「・・・」
「・・・あ、あの、麗さん?」
・・・めちゃくちゃ無言で睨まれてますけど、ていうか麗さんちょっと涙目だし頬も赤いしなんか色っぽ可愛い・・・。麗さんのこんな顔始めてみた・・・
「・・・あ、あの・・・?」
「せめて」
「せ、せめて・・・?」
「せめて、旦那様が大学を卒業されるまでは、私も耐えようと思っていました。日に日に募るあなたへの思いに蓋をして、自由な人生を生きていくあなたを見届けようと思っていました。・・・・・・ですが、いい加減限界です」
どん、と胸を押され、そのまま柔らかい絨毯の上に押し倒される。倒れる際にしっかり頭をうたないよう、麗さんの手が優しく僕を包んでいた。つまり、ほぼ僕も麗さんの距離は倒れつつもゼロに近く、追い打つかのような麗さんの接近に、完全にゼロとなる。
つまりちゅーだった。
「・・・んっ」
「・・・・・・んん!?んむむー!!」
「ん・・・、好きです、旦那様、愛しています。あなたの愛らしい目が好きです、柔らかな香りが、クセのある髪が、寝顔が、笑顔が、優しさが、温もりが好きです。」
「れ、麗さん近い近い!」
「あなたを思わない日などない、愛しく思わない日などない。いけないとはわかっていても、いつかあなたが、私のものとなる日を毎晩のように夢に見ていました。過ぎた幸せだとわかっていても、あなたは毎日、私に愛を囁いてくれる。もうとっくに溢れてます、心が切なくてしょうがないのです、好きです旦那様、愛しています・・・!」
う、嬉しい!すんごい嬉しいけどもはや誰だこの可愛い生き物!目が潤んですごい匂い嗅いでくる!本当にこれがあの冷徹鉄血完全無欠の麗さんなのか!
「あ、あの麗さん」
「嫌です」
「まだ何も言ってな・・・」
「今日はもう絶対離しません」
「い、いやそれはすごく役得というか嬉しいんだけども・・・食器とか片付けなきゃだし、ね?」
「そんなもの明日でいいです」
「麗さんがグレたぁ!」
なんだこの可愛い生き物本当に誰だ!?なんかもはやコアラみたいにしがみつかれてるし、すんごい首筋の匂いを嗅がれてるし、なんというか色々な意味でよろしく無い。
「あの・・・このまま、旦那様の部屋へ行っては・・・ダメですか・・・?」
「・・・」
このあとめちゃくちゃ旦那様になった。
糖分しかねぇ、、、
実は麗さんの話で一番最初に考えたのがこの話でした。
クーデレがデレデレになるの最&高