小さい頃から毎年2人で来ているお馴染みの神社。ちょっとした有名カップルになっている。
潤 初詣編
潤と最寄りの神社に初詣に参りました。
「・・・寒すぎないか?賽銭ならぶのもめんどくさいし帰るか」
「・・・それ、毎年言ってない?こういうのは形だけでもやったほうがいいの。こんなに特別感あるお賽銭、元旦にしかできないよ?今日を逃すと364日お預けなんだよ?」
「別にお預けくらって困るもんでもあるまいに・・・」
「まぁまぁ、ここはあったかい甘酒も配ってくれるしいいんじゃない?」
「甘酒ってなんで未成年でも飲んでいいんだ?」
「えっと、確かアルコール度数1%未満ならセーフ、みたいな感じじゃなかったっけ?」
「え?そんなアバウトなの?」
「ごめん、ボクもよく知らない。適当に言っちゃった」
テヘヘ、とはにかむ潤。可愛いからハニー潤と名付けた。列に並ぶ前に甘酒を2人分受け取って、潤に渡す。
「はい、ハニー潤」
「・・・は、はにー?」
・・・こんなしょうもないことまで恥ずかしがるとは、ウブすぎないか・・・?
「お前の恥ずかしがるラインが未だによくわからんわ」
「い、いや、だって人前だし・・・あ、家で言われても多分照れちゃうかも・・・」
「かわいいハニーだなぁ」
「うぅ、うるさいよ・・・」
顔を隠すようにくぴくぴと甘酒を飲みはじめた。これだから潤をからかうのはやめられない。たまに暴走しだすけど。
その数分後のことだった。
「・・・」
「・・・」
潤がコアラみたいに抱きついてはなしてくれない。
「いや、潤さん?人前ですよ?ね?」
「やだぁ!」
・・・幼児退行してらっしゃる。どういうことだ?まさか酒か?
「いや、これはさすがの俺も恥ずかしいと言うか、生暖かい視線が痛いというか、離していただきたいというか」
「やなのっ!」
もはや会話もできない。ていうかあれだけで酔うんですか潤さん・・・
「・・・実力行使ッ!」
「んぎぎぎぎ・・・!」
離れねぇッ!なんちゅう抱きつき力(?)だッ!!
「くそ!わかった、今離してくれたら、帰ったらずっとくっついててやるから!」
「・・・うそだもん、いっつも、なんだかんだボクから離れていっちゃうんだ・・・」
「いや・・・そんなことはない気がするけど・・・」
「・・・授業中とか」
「そりゃ仕方ねぇだろッ!今日はずっと、夜もお前ん家泊まるから!」
「・・・なら離す」
ぽてっとコアラ状態を解いて着地する潤。そんなことをやってる内に賽銭の順番が来てた。
「きみはなにを願うの?」
「そうだな・・・例年通り2人共健康で、にしようと思ってたけど」
「・・・けど?」
「今年は、お前が溜め込んでなんかの拍子に爆発しないように、甘え上手になってくれるよう祈るわ」
「・・・神様ってそんな細かいお願い聞き入れてくれるの?」
「細かいことはいいだろ・・・形が大事ってお前が言ってたじゃん。そういうお前はなんてお願いすんだよ」
「・・・ボクは例年通りだよ。君が、しあわせになれますように、って」
・・・こいつ、毎年そんなこと願ってたのかよ・・・なんかこう、知ってたけど重いわ・・・
「・・・じゃあ今年からそれ変更」
「・・・え?」
「君と、にしろ。俺もそれにするわ」
「・・・ッ」
また潤がコアラになった。
そして再び数分後。
「・・・ボクは人前でなんてことをしてるんだ」
「すこし冷静になったな」
「・・・だ、だいたい君も悪いんだからね!あんなに急に、ボクが嬉しくなっちゃうようなこと、いうんだもん・・・」
「恥ずかしがるお前可愛いからな、ついつい」
「ついじゃないよ・・・ばか・・・」
それはいいとして。
「・・・まぁ、せっかく付き合えるんだからお前も少しくらい、したいこととか言えよな。ちょっと無欲すぎるぞ」
「無欲・・・なのかなぁ。ほんとに、君と一緒にいられるだけで、しあわせなんだよ?」
「いや、それは嬉しいけど・・・なんかこう、あるだろ、な?」
「・・・まぁ、あるけど」
「だろ?ほれ、言ってみ」
「・・・いいの?」
「いいぞ、どんとこい。ドンコイ」
「なにそれ。・・・それじゃあ、ずっとボクの部屋で、ずっと、24時間、365日、いつまでも、2人だけでくっついていようよ」
「・・・忘れてたわ!最近お前ただの普通の子だったからちょっと怖いの忘れてたわ!」
「怖いってひどいなぁ・・・まぁ冗談だけどね。そんなの、君がちっともしあわせなんかじゃないし」
「・・・お前は幸せなんだな」
「そりゃあ・・・まぁ・・・」
「怖いわ!あとなんでそういう怖いこと言う時は終始真顔なんだよ!」
「笑いながら言った方がいいかな?」
「いや、絶対やめてください」
チビるかもしれない。
「なんかもっと小さいのないのかよ、軽めの甘えというかさ」
「・・・軽めの、じゃあさ、はい」
そう言って、潤はジャンパーのポッケに突っ込んでいた手を出した。
「手繋いでくれたら、嬉しいな」
「・・・これまた急に可愛らしいお願いになったな」
「・・・付き合ってるのに、外じゃぜんぜん繋いでくれないから、嫌なのかなって思ってたんだけど・・・」
「いや、恥ずいだろ、普通に」
「あはは、君も結構な恥ずかしがりさんだよね」
「うっせ!お前ほどじゃないわ!」
カイロを握ってたからか、握った潤の手はやわらかくて、あったかかった。
行きよりも、時間をかけて家に帰った。
本編もなにも無いような気がするけど、一応番外編です。
本編全然思いつかないんで、しばらく小ネタに逃げるかもしれないです。
あーあ!俺にもこんな幼馴染がいればなァ!って毎回書いてる時叫んでるので、あーあ!俺にもこんな幼馴染がいればなァ!って言いながら読んでもらえれば。